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[[File:20162023 Freedom Housein worldthe mapWorld.png |thumb|330px|[[:en:Freedom in the World (report)|フリーダム・ハウスの20152023年の調査]]に基づく地図。[[フリーダム・ハウス]]は緑の国または地域を自由(民主)制としている<ref name="Casper">http://polisci.la.psu.edu/faculty/Casper/caspertufisPAweb.pdf</ref>。この評価には異論もある<ref name=Bollen>Bollen, K.A. (1992) Political Rights and Political Liberties in Nations: An Evaluation of Human Rights Measures, 1950 to 1984. In: Jabine, T.B. and Pierre Claude, R. "Human Rights and Statistics". University of Pennsylvania Press. ISBN 0812231082</ref>。{{legend|#179C86|自由(86か国・地域)}} {{legend|#F6DD4F|部分的に自由(59か国・地域)}} {{legend|#706EA4|不自由(50か国・地域)}}]]
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'''自由民主主義'''(じゆうみんしゅしゅぎ、{{lang-en-short|liberal democracy}})または'''自由民主制'''(じゆうみんしゅせい)とは、[[自由主義]]の立場による[[民主主義]]の思想または体制である。[[自由権]]は[[憲法]]により保障されるとの立場から'''立憲民主制'''({{lang-en-short|constitutional democracy}})<ref>[[芦部信喜]]『憲法学』(有斐閣、1992年)</ref>、あるいは[[マルクス主義]]の立場から'''[[ブルジョア民主主義|ブルジョワ民主制]]'''({{lang-en-short|bourgeois democracy}})とも呼ばれる<ref>ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典</ref><ref>百科事典マイペディア</ref><ref>大辞林 第三版</ref>。
 
'''自由民主主義'''(じゆうみんしゅしゅぎ、{{lang-en-short|Liberal democracy}})または'''自由民主制'''(じゆうみんしゅせい)とは、[[自由主義]]と[[民主主義]]の理念が融合した[[政治体制]]<ref>[[加藤秀治郎]]ほか著『新版 政治学の基礎』([[一藝社]]、2002年 ISBN 978-4-901253-24-6)55頁</ref>。[[議会制民主主義]]と[[複数政党制]]を統治形態として認めつつ、[[個人の自由]]をその運用において重視する政治的[[イデオロギー]]である<ref>[https://kotobank.jp/word/%E8%87%AA%E7%94%B1%E6%B0%91%E4%B8%BB%E4%B8%BB%E7%BE%A9-77428#E3.83.96.E3.83.AA.E3.82.BF.E3.83.8B.E3.82.AB.E5.9B.BD.E9.9A.9B.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E4.BA.8B.E5.85.B8.20.E5.B0.8F.E9.A0.85.E7.9B.AE.E4.BA.8B.E5.85.B8 自由民主主義(じゆうみんしゅしゅぎ)][[ブリタニカ国際大百科事典]]/[[コトバンク]](2018年12月30日閲覧)</ref>。[[自由権]]は[[憲法]]により保障されるとの立場から'''[[立憲主義|立憲民主主義]]'''({{lang-en-short|Constitutional democracy}})<ref>[[芦部信喜]]『憲法学』([[有斐閣]]、1992年)</ref>、あるいは[[マルクス主義]]の立場から'''[[ブルジョア民主主義]]'''({{lang-en-short|Bourgeois democracy}})<ref>ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典</ref><ref>百科事典『[[マイペディア]]』</ref><ref>『[[大辞林]]』第三版</ref>、[[西ヨーロッパ]]で発展した[[自由]]を基調とする点から'''西欧民主主義'''({{lang-en-short|Western democracy}})とも呼ばれる<ref>[https://kotobank.jp/word/%E8%A5%BF%E6%AC%A7%E6%B0%91%E4%B8%BB%E4%B8%BB%E7%BE%A9-85529#E3.83.96.E3.83.AA.E3.82.BF.E3.83.8B.E3.82.AB.E5.9B.BD.E9.9A.9B.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E4.BA.8B.E5.85.B8.20.E5.B0.8F.E9.A0.85.E7.9B.AE.E4.BA.8B.E5.85.B8 西欧民主主義] ブリタニカ国際大百科事典/コトバンク(2018年12月30日閲覧)</ref>。
 
== 定義 ==
自由民主主義の原則には、[[立憲主義]]による[[公権力]]の制限、構成員の[[言論の自由]]、[[参政権]]、[[自由選挙]]などを前提とした[[間接民主制|議会制民主主義]]などがあり、構成員の多様な意見や政策が自由な議論と選択によって集団の[[意思決定]]に反映される。現代では多くの国では[[複数政党制]]を採用している。自由民主主義は政治における[[市場原理主義|市場主義]]や[[多元論|多元主義]]でもある。
 
自由民主制は、[[アメリカ合衆国]]、[[インド]]、[[ドイツ]]などの[[:en:federal republic|連邦共和国]]や、[[イギリス]]、[[スペイン]]などの[[立憲君主制]]のような、複数の形態がある。さらにはアメリカ合衆国などの[[大統領制]]、イギリスや[[イギリス連邦]]諸国などの[[議院内閣制]]、その組み合わせである[[フランス]]などの[[半大統領制]]などの形態も含む場合がある。
 
実現している国の数を[[フリーダム・ハウス]](アメリカの団体)の報告書で見ると、2020年時点で「自由が保障された国」は82(2015年は89)、「自由が制限された国」は59(同58)、「自由がない国」は54(同45)である<ref>【奔流デジタル】ジンバブエ/スマホ監視 強まる独裁『[[読売新聞]]』朝刊2021年4月28日1面</ref>。
 
== 歴史 ==
=== 起源 ===
自由民主主義の思想や名称の起源は、[[啓蒙時代]]とも呼ばれた18世紀のヨーロッパである。当時は、ヨーロッパ国家の大多数は[[君主制]]で、政治権力は君主または貴族が握っていた。[[古典古代]]からの政治的理念により[[民主主義]]の重要性は低いと考えられ、民主主義は本来的に民衆の変化する気まぐれによって政治が不安定で混沌となると広く信じられていた。さらに民主主義は、本来的に悪性や暴力性を持つ人間の本性とも対立し、民衆の持つ破壊的な衝動を抑えるためには強い指導者が必要であるとも信じられていた。多くのヨーロッパの君主の権力維持は[[王権神授説]]となり、その統治権への疑問は冒涜とされた。
 
これらの保守的な視点は、最初に[[啓蒙主義]]知識人の比較的小さなグループによって挑戦を受けた。彼らは人間の出来事は[[理性]]と、[[自由主義|自由]]と[[平等主義|平等]]の原則によって制御されるべきと信じた。彼らは「[[:en:all people are created equal|全ての人間は平等に作られた]]」のであり、そのため政治的な権威は「高貴な血」によっては正当化されない、と主張した。この「高貴な血」は、神との特別な関係や、あるいは人が他の人よりも優越すると主張する他の属性などである。彼らはさらに、政府は民衆に仕えるために存在し、逆ではなく、支配する者を法が支配すべきと主張した([[法の支配]])。
 
=== 市民革命 ===
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改革や革命は、多くのヨーロッパ諸国での自由民主主義への移行を促進した。自由主義は過激な思想として生まれたが、政治的な主流の一部となった。同時に、自由民主主義の概念を採用した多数の非自由主義思想も開発され、伝統的な王党派はより過激な思想とみなされるようになり、自由民主主義はより主流となった。19世紀の末には、自由民主主義はもはや単なる「自由主義の」思想ではなくなり、多数の異なった思想によって構成される概念の1つとなった。
 
[[第一次世界大戦]]後は勢力を拡大日本でも[[大正デモクラシー]]が起きたが、その後世界的全体主義の時代が到来し、[[第二次世界大戦]]を迎える。そのも[[冷戦]]やアジア・アフリカ独立後の不安定な状況などより、自由民主主義体制は一部に留まった。[[冷戦]]終結後は、自由民主主義は政府理論の中で支配的な地位を占めるようになり、現在では大多数の政治的立場から支持されているった
 
=== 現在 ===
自由民主主義は啓蒙主義的な自由主義の主張から生まれたが、当初より民主主義と自由主義の間の対立が存在する。この矛盾([[自由からの逃走]])は、[[冷戦]]の終結により共通の敵がいなくなったことで顕在化することになる<ref>[[外山恒一]]「[http://www.warewaredan.com/genri.html ファシズムの原理]」</ref>。

特に[[古典的自由主義]]体制における自由主義思想は[[個人主義]]が強く、国家の個人に対する権力を制限しようとする。反対に、民主主義の一部では経済的な平等を目指して[[集産主義]]など政府や集団の力を強化しようとする。「自由民主主義は、自由主義的な個人主義と、民主主義的な集産主義の間の妥協である」という立場もあり、この立場からは、[[非自由主義的民主主義]]や[[自由主義的専制]]などの視点の存在が、その証明として挙げられる場合がある。他方では、伝統的な自由主義と民主主義的な政府は、単なる組み合わせではなく、政治的平等の概念を底流として発生した相互に必須の存在であるという立場もある。
 
調査組織の[[:en:Freedom House|Freedom House]]は現在、自由民主主義の簡潔な定義を「[[自由権]]を保護した選挙による民主主義」としている。
 
== 党名 ==
{{see|自由民主党 (曖昧さ回避)}}
「自由民主党」という党名の政党は多数あるが、「自由民主主義」を掲げている場合と、必ずしもそうでは無い場合がある。
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当初より自由民主主義を掲げている政党の例には、[[自由民主党 (イギリス)|イギリスの自由民主党]]や[[自由民主党 (ドイツ)|ドイツの自由民主党(FDP)]]などがある。
 
[[自由民主党 (日本)|日本の自由民主党]]は、[[自由党 (日本 1950-1955)|自由党]]と[[日本民主党]]が合併して結党された。結党時の「党の政綱」には「外交の基調を自由民主主義諸国との協力提携に置いて」との記載がある<ref>[https://www.jimin.jp/aboutus/declaration/ 立党宣言・綱領 - 自由民主党]</ref>。また、党名を公募した際に最多となったのは「日本保守党」であったが、「選挙に不利」という理由で最も自由民主主義を最も端的にす「自由民主党」を党名として採用した経緯がある<ref>『「毎日」の3世紀—新聞が見つめた激流130年』([[毎日新聞社]]130年史刊行委員会、2002年、125)125頁</ref>。
 
[[ロシア自由民主党]]は、[[ソビエト邦の崩壊]]を受けて[[アラスカ州|アラスカ]]等の[[ロシア帝国]]の領土の回復や[[反ユダヤ主義]]を標榜しており、通常は[[極右]]政党と呼ばれている。
 
== 脚注 ==
[[ロシア自由民主党]]は、[[ソ連崩壊]]を受けて[[アラスカ州|アラスカ]]等の[[ロシア帝国]]の領土の回復や[[反ユダヤ主義]]を標榜しており、通常は[[極右]]政党と呼ばれている。
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==脚注= 出典 ===
<references />
 
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* [[人民民主主義]]
* [[全体主義]]
* [[専制政治]]
* [[独裁政治]]
 
{{政治思想}}