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[[ウィリアム・ハーシェル]]によって、(当時の)[[望遠鏡]]で見ると[[恒星]]のように見えることから、ギリシャ語の {{lang|el|αστηρ}}(aster:恒星)と {{lang|el|ειδος}}(eidos:姿、形)から'''アステロイド'''「asteroid:恒星のようなもの」と命名された。[[太陽系]]内の[[惑星]]より小さな天体であることから「minor planet:小さな惑星」、「planetoid:惑星のようなもの」などとも呼ばれた。
 
現在では[[岩石]]を主成分とするものを「asteroid」と称し、「minor planet」は「asteroid」に加え、[[太陽系外縁天体]]、[[彗星・小惑星遷移天体]]や[[準惑星]]などを含んだ天体の総称とされているが、「minor planet」も「asteroid」も日本語ではどちらも「小惑星」と訳されるため、混同しないように注意が必要である(たとえば、[[小惑星番号]]は「minor planet」の番号のことであり、「asteroid」には含まれない準惑星などにも割り当てられる)。
 
その多くは[[火星]]と[[木星]]の間の軌道を公転しているが、[[地球]]付近を通過する可能性のあるものも存在する。[[21世紀]]初頭まで最大の小惑星であった (1) [[ケレス (準惑星)|ケレス]](Ceres:数字は小惑星番号。以下同様)でも地球の[[月]]よりはるかに小さい。
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== 位置と数 ==
=== 位置 ===
すでに個体識別されている小惑星のほとんどは、木星軌道と火星軌道の間に存在し、太陽からの距離が約2 - 42–4天文単位の範囲に集まっている。この領域を[[小惑星帯]] (asteroid belt) と呼ぶ。現在では太陽系外縁部の[[エッジワース・カイパーベルト]]と区別するために'''メインベルト''' (main belt) とも呼ばれる。小惑星は木星の摂動によって、いくつかの群をなして運動する。各群はその公転周期にしたがって分類される。群の中で特に注目されるのが、[[トロヤ群]](周期約12年)と呼ばれる小惑星群であり、これは太陽と木星との間を一辺とする正三角形の一頂点、すなわち両天体の系での[[ラグランジュ点]]に位置することが知られている。なお、トロヤ群の名は、この群で最初に発見された小惑星 (588) [[アキレス (小惑星)|アキレス]] (Achilles) にちなむ。
 
[[1990年代]]以降は (50000) [[クワオアー]] (Quaoar) や (90377) [[セドナ (小惑星)|セドナ]] (Sedna) といった、エッジワース・カイパーベルトや、さらにその外側にある '''trans-Neptunian objects'''([[太陽系外縁天体]]、'''TNO''')が続々と発見されるようになった。これらはメインベルトの小惑星 (asteroid) とは起源が異なると考えられているが、同様に小惑星 (Minor planet) として登録されている。エッジワース・カイパーベルトの総質量は[[地球質量]]より一桁少ない程度であり<ref>Brett Gladman, J. J. Kavelaars, Jean-Marc Petit, Alessandro Morbidelli1, Matthew J. Holman, and T. Loredo [https://doi.org/10.1086%2F322080 The Structure of the Kuiper Belt: Size Distribution and Radial Extent] The Astronomical Journal, Vol.122, No.2 (2001)</ref>、メインベルトの総質量より大きいと推定されている。
 
=== 数 ===
[[20122019年]][[5月]]現在、軌道が確定して[[小惑星番号]]が付けられた天体は329541,243128個にのぼる([[準惑星]]5個を含む。[[小惑星の一覧]]参照)。この他に[[仮符号]]のみが登録されている小惑星で、複数の[[衝]]を観測されたものが138145,053378個、1回の衝を観測されたものが117106,390326個あり、これらを合計すると584794,686832個に達する。番号登録されたもののうち、すでに命名されたのは1721,224922個である[https://minorplanetcenter.net/iau/lists/ArchiveStatistics.html]。
 
直径1km程度、ないしそれ以下の小惑星については未発見のものが数十万個あると推測されている。
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軌道が確定した小惑星数の増え方については[[小惑星番号]]を参照。
 
なお、[[2021年]][[7月3日]]までに[[地球近傍小惑星]]は仮符号のみのものを含めて26,141個<ref name="CNEOS">{{Cite web | url=https://cneos.jpl.nasa.gov/stats/totals.html | title=Discovery Statistics | author=Center for Near Earth Object Studies, Jet Propulsion Laboratory, NASA | accessdate=2021-07-06}}</ref>、[[ケンタウルス族 (小惑星)|ケンタウルス族]]を含む[[太陽系外縁天体]]は同じく1,379個(準惑星4個を含む)が発見されている(『[[天文年鑑]]』2010年版)。
 
== 歴史 ==
[[1781年]]の[[天王星]]発見当時、[[ティティウス・ボーデの法則]]から、火星と木星の間に未知の惑星を探索する試みが行われた。[[1801年]]に (1) [[ケレス (準惑星)|ケレス]]が発見されたが、翌[[1802年]]に (2) [[パラス (小惑星)|パラス]]、[[1804年]]に (3) [[ジュノー (小惑星)|ジュノー]]、[[1807年]]には (4) [[ベスタ (小惑星)|ベスタ]]と、同じような位置に天体が相次いで発見されたこと、またいずれも惑星と呼ぶにはあまりに小さいことから、やがて惑星とは区別されるようになった。小惑星 (asteroid) という語は、[[1853年]]初めに考え出された。
 
[[2006年]]8月に[[プラハ]]で開かれた[[国際天文学連合]] (IAU) 総会で[[国際天文学連合による惑星の定義|惑星の定義]]が採択された結果、それまで惑星とされていた[[冥王星]]および小惑星とされていたケレスと{{mp|2003 UB|313}}([[エリス (準惑星)|エリス]])が '''dwarf planet'''([[準惑星]])に変更され、さらに小惑星のうち十数個が将来的に dwarf planet に変更される可能性があると考えられるようになった([[2008年]]には、新たに[[マケマケ (準惑星)|マケマケ]]と[[ハウメア (準惑星)|ハウメア]]が dwarf planet に変更されている)。また小惑星はTNOや[[彗星]]とともに '''small solar system bodies''' ([[太陽系小天体]]、'''SSBO''') というカテゴリーに包括されることになった。
 
これを受けて、[[日本学術会議]]の小委員会は[[2007年]]4月9日の[httphttps://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t35-1.pdf 対外報告(第一報告)]において、dwarf planet, TNO, SSBO の訳語としてそれぞれ「[[準惑星]]」「[[太陽系外縁天体]]」「[[太陽系小天体]]」の使用を推奨することを提言した。なお、準惑星については当面の間、教育現場などでは積極的な使用を推奨しない方針。
{{main|惑星#日本学術会議の対外報告}}
 
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メインベルトの[[軌道要素|軌道長半径]]がティティウス・ボーデの法則にほぼ合致するため、昔この位置にあった惑星が何らかの原因で破壊されて小惑星帯が作られたとする惑星破壊説が唱えられたこともあったが、メインベルトの小惑星の質量を合計しても惑星の質量には到底達しないことなどから、現在は支持されていない。またすべての小惑星が同一の起源を持つわけではなく、かつて彗星であったものなども含まれると考えられる。一方で、[[火星]]の衛星[[フォボス (衛星)|フォボス]]と[[ダイモス (衛星)|ダイモス]]など、かつては小惑星だったものが他の天体に把捉されてその衛星となったと考えられている天体も存在する。
 
メインベルトにある小惑星発生には2つの要素が働いたと考えられる。1つは太陽系形成時にこの付近にダスト成分が少なかったことがある。通常原始太陽系円盤は内側から外側に向けてガスや塵が少なくなるが、メインベルト付近から外は[[水]]などの[[揮発]]成分が凍るため内側よりも[[固体]]成分が多くなり、結果的にメインベルト領域が固体存在量が最も少なくなる。もう1つは木星が先に形成された影響がある。[[巨大ガス惑星]]の木星が及ぼす[[重力]]によってメインベルト付近の微惑星の軌道が乱され、相対的な[[速度]]差が大きくなり、合体よりも破壊される傾向が強まったという<ref>{{Cite book|和書|author = 編:岡村定矩|title = 天文学への招待|year = 2001|publisher = [[朝倉書店]]|series = |isbn = 4-254-15016-4|page = |chapter=2.太陽系、2.1.3.太陽系小天体の起源、a.小惑星の起源 |ref = }}</ref>。
 
== 命名規則 ==
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* 空白
* アルファベット (A-Y):発見時期(月の前後半)を表す。
* アルファベット (A-Z) + 数字: 発見時期内での発見順を表す。
{{main|仮符号#小惑星}}
 
仮符号を付けられた天体は既知の天体との軌道の同定作業が行われる。最終的に軌道が確定して新天体だと確認されると、[[小惑星番号]]が与えられた上で命名される。
 
発見者(すでに死去している場合は軌道確定のための計算を行った者)によって提案された新小惑星の名前は IAU の小天体命名委員会によって審査される。名前は[[ラテン語]]化するのが好ましいというのが世界的な暗黙の了解事項であるが、現在ではそうでないものも多い。その他にも、「発音可能な英文字で16文字以内であること」、「公序良俗に反するもの、ペットの名前<ref group="注">実例としては[[ミスター・スポック (小惑星)|ミスター・スポック]]を参照。</ref>、すでにある小惑星と紛らわしい名前<ref group="注">一部例外あり。[[名前が重複している太陽系内の天体]]を参照。</ref>は付けられない」、「政治・軍事に関連する事件や人物の名前は没後100年以上経過し評価が定まってからでないとつけられない」、「命名権の売買は禁止<ref group="注">[[1886年]]に発見された (250) [[ベティーナ (小惑星)|ベティーナ]]のみで、以降禁止。</ref>」などの基準がある[https://minorplanetcenter.net//iau/info/HowNamed.html]。
 
なお、トロヤ群は[[トロイア戦争]]に参加した戦士<ref group="注">21世紀初頭にはネタ切れのため、本人ではなく肉親が参戦した人物の名前も付けられるようになっている。</ref>の中から、[[ケンタウルス族 (小惑星)|ケンタウルス族]]([[#ケンタウルス族|後述]])には[[ケンタウロス]]族の名前、[[太陽系外縁天体]]には各民族などの創世神話から命名を行うという規則がある<ref group="注">(66652) [[ボラシシ (小惑星)|ボラシシ]]はSF小説の作品中に登場する架空の神話から命名された。また、(174567)Varda、(385446)Manweは[[指輪物語]]の神格から命名された。</ref>。
 
また、人名については、かつては姓・名を分けて命名できた((3744) [[ジャック・ロンドン (小惑星)|ジャック・ロンドン]] (Jack London) など)が、21世紀初頭には姓と名を結合した命名が為されている((79896) [[ビルヘイリー (小惑星)|ビルヘイリー]] (Billhaley) など)。また、別々の小惑星に命名提案された人名を結合するケースなども見られる。
 
近年では、ほぼ同じ大きさの[[二重小惑星]]に命名する際に、それぞれの天体に付けた名前をハイフンで結合して小惑星名とするケースが見られる。例としては、(79360)Sila-Nunam([[:en:79360 Sila–Nunam|en]])、(341520)Mors-Somnus([[:en:341520 Mors–Somnus|en]])がある。
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基本的には、一度命名した小惑星名は変更できないことになっているが、何らかの問題が生じた際には例外的に変更された例がいくつかある。
{{main|小惑星番号#例外}}
また、申請の際に名前の綴りが変更されてしまうことがある。
 
=== 表記 ===
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! 族 !! [[軌道長半径]]<br />([[天文単位|AU]]) !! [[離心率]] !! [[軌道傾斜角]]<br />([[度 (角度)|°]]) !! 代表的な<br />小惑星
|-style="text-align:center"
| [[フローラ族]] || 2.15 - 215–2.35 || 0.03 - 003–0.23 || 1.5 - 85–8.0 || (8) [[フローラ (小惑星)|フローラ]]
|-style="text-align:center"
| [[ベスタ族]] || 2.26 - 226–2.48 || 0.03 - 003–0.16 || 5.0 - 80–8.3 || (4) [[ベスタ (小惑星)|ベスタ]]
|-style="text-align:center"
| [[マッサリア族]] || 2.37 - 237–2.45 || 0.12 - 012–0.21 || 0.4 - 24–2.4 || (20) [[マッサリア (小惑星)|マッサリア]]
|-style="text-align:center"
| [[ニサ族]] || 2.41 - 241–2.5 || 0.12 - 012–0.21 || 1.5 - 45–4.3 || (44) [[ニサ (小惑星)|ニサ]]
|-style="text-align:center"
| [[マリア族]] || 2.5 - 25–2.706 || 0.057 - 0057–0.16 || 12 - 1712–17 || (170) [[マリア (小惑星)|マリア]]
|-style="text-align:center"
| [[エウノミア族]] || 2.53 - 253–2.72 || 0.08 - 008–0.22 || 11.1 - 151–15.8 || (15) [[エウノミア (小惑星)|エウノミア]]
|-style="text-align:center"
| [[パラス族]] || 2.71 - 271–2.79 || 0.25 - 025–0.31 || 32 - 3432–34 || (2) [[パラス (小惑星)|パラス]]
|-style="text-align:center"
| [[ゲフィオン族]] || 2.74 - 274–2.82 || 0.08 - 008–0.18 || 7.4 - 104–10.5 || (1272) [[ゲフィオン (小惑星)|ゲフィオン]]
|-style="text-align:center"
| [[コロニス族]] || 2.83 - 283–2.91 || 0 - 00–0.11 || 0 - 30–3.5 || (158) [[コロニス (小惑星)|コロニス]]
|-style="text-align:center"
| [[エオス族]] || 2.99 - 399–3.03 || 0.01 - 001–0.13 || 8 - 128–12 || (221) [[エオス (小惑星)|エオス]]
|-style="text-align:center"
| [[ヒギエア族]] || 3.06 - 306–3.24 || 0.09 - 009–0.19 || 3.5 - 65–6.8 || (10) [[ヒギエア (小惑星)|ヒギエア]]
|-style="text-align:center"
| [[テミス族]] || 3.08 - 308–3.24 || 0.09 - 009–0.22 || 0 - 30–3 || (24) [[テミス (小惑星)|テミス]]
|-style="text-align:center"
| [[キュベレー族]]<!--キュベレー群(共鳴小惑星)の方か?--> || || || || (65) [[キュベレー (小惑星)|キュベレー]]
126行目:
! 群など !! 軌道<br />長半径<br />(AU) !! 公転<br />周期<br />(年) !! 惑星 !! 公転<br />周期<br />(年) !! 共鳴比 !! 備考
|-style="text-align:center"
| 地球の[[準衛星]] || 1.00 || 1.00 || [[地球]] || 1.00 || 1:&ratio;1 ||style="text-align:left"| 常に地球の近くに位置する。
|-style="text-align:center"
| [[火星のトロヤ群|火星トロヤ群]] || 1.52 || 1.88 || [[火星]] || 1.88 || 1:&ratio;1 ||style="text-align:left"| 太陽 - 火星のL4、L5点。
|-style="text-align:center"
| [[ハンガリア群]] || 1.85 || 2.52 || 火星 || 1.88 || 4:&ratio;3 || &nbsp;
|-style="text-align:center"
| [[アリンダ族]]<!--群?--> || 2.50 || 3.95 || [[木星]] || 11.86 || 1:&ratio;3 ||style="text-align:left"| [[地球近傍小惑星]]でもある。
|-style="text-align:center"
| [[ヒルダ群]] || 3.97 || 7.91 || 木星 || 11.86 || 2:&ratio;3 ||style="text-align:left"| 木星と[[衝]]の頃、[[近日点]]通過<br />(木星に近づかない)。
|-style="text-align:center"
| [[チューレ (小惑星)|チューレ群]] || 4.28 || 8.90 || 木星 || 11.86 || 3:&ratio;4 ||style="text-align:left"| 2つのみ発見。
|-style="text-align:center"
| [[木星のトロヤ群|木星トロヤ群]] || 5.20 || 11.86 || 木星 || 11.86 || 1:&ratio;1 ||style="text-align:left"| 太陽 - 木星のL4、L5点。
|-style="text-align:center"
| [[海王星のトロヤ群|海王星トロヤ群]] || 30.11 || 164 || [[海王星]] || 164 || 1:&ratio;1 ||style="text-align:left"| 太陽 - 海王星のL4、L5点。
|}
 
146行目:
; [[地球近傍小惑星]] (NEA)
: 地球軌道の近くを通るもの。いくつかのグループに分けられるが、特に上から3つを指すことが多い。
:*; [[アテン群]] : 軌道長半径が1 AU以下で[[遠日点]]が0.983 AU以上のもの。 
:*; [[アポロ群]] : 軌道長半径が1 AU以上で[[近日点]]が1.017 AU以下のもの。
:*; [[アモール群]] : 軌道長半径が1 AU以上で近日点が1.017 AU以上1.3 AU<ref group="注">この数値は、火星の近日点(1.381 AU)より少し内側。</ref>以下のもの。アポロ群とまとめて、アポロ・アモール天体ということもある。
:*; アリンダ族 : 軌道長半径が約2.5 AUで離心率が0.4 - 04–0.65のもの。木星の公転周期の3分の1の公転周期を持ち、近日点は1AU1 AUに近い。
:*; [[ダモクレス族]] (Damocloid) : <!--地球付近を通過する-->長楕円軌道や、[[黄道]]平面から大きく傾いた軌道を取る。[[オールトの雲]]由来だと考えられている。
:*; [[潜在的に危険な小惑星]](PHA) : 地球近傍小惑星の中でも特に衝突する可能性と衝突した場合の危険性が高い小惑星のこと。
; ○○横断小惑星
: 近日点と遠日点が、それぞれ対象となる惑星の公転軌道より内側と外側にある小惑星。地球近傍小惑星の多くは地球横断小惑星ということもできる。
162行目:
:* [[天王星横断小惑星]]
:* [[海王星横断小惑星]]
; {{Visible anchor|[[ケンタウルス族 (小惑星)|ケンタウルス族]] (Centaur)|ケンタウルス族|Centaur|ケンタウルス族小天体}}
: 軌道長半径が30 AU以下。近日点は木星軌道から[[天王星]]軌道の間に、遠日点は[[土星]]軌道から海王星軌道の間にあるものが多い。木星などの[[摂動 (天文学)|摂動]]を受けやすく、軌道は不安定。彗星起源と考えられており、太陽系外縁天体に分類されることもある。
; [[逆行小惑星]]
170行目:
太陽系外縁天体も、いくつかのグループに分かれている。
; [[エッジワース・カイパーベルト天体]] (EKBO)
:*; [[軌道共鳴|共鳴]]TNO
:**:; 3:&ratio;4共鳴天体 : 軌道長半径が36 - 3636–36.4 AUで、[[海王星]]の公転周期(166.5年)の4/3倍の周期を持つもの。
:**:; [[冥王星族]](Plutino、2:&ratio;3共鳴天体)…) : 軌道長半径が3939–40.5 - 40.5AUAUで、海王星の公転周期の3/2倍の周期を持つもの。
:**:; 3:&ratio;5共鳴天体 : 軌道長半径が42 - 4242–42.5 AUで、海王星の公転周期の5/3倍の周期を持つもの。
:**:; [[トゥーティノ族]](Twotino、1:&ratio;2共鳴天体)…) : 軌道長半径が48.0 - 480–48.5 AUで、海王星の公転周期の2倍の周期を持つもの。
:**:; その他の共鳴天体 : 海王星と4:&ratio;7、3:&ratio;7、2:&ratio;5、3:&ratio;8、1:&ratio;3などの共鳴関係にあるかもしれない外縁天体が見つかっている。
:*; [[キュビワノ族]](Cubewano、古典的TNO)…TNO) : 軌道長半径が41 AU以上で、[[離心率]]が0.15以下のもの。
; [[散乱円盤天体]] (SDO)
: 離心率が大きく、遠日点ではエッジワース・カイパーベルトの外縁を超えるもの。
187行目:
{{Main|小惑星のスペクトル分類}}
小惑星は[[色]]、[[アルベド]](反射能)、[[スペクトル]]によって大きく3種類に[[分類]]される。
* [[C型小惑星]] -: [[炭素]]質。発見されている小惑星の75%がここに含まれる。
* [[S型小惑星]] -: [[ケイ素]]質。ケイ酸塩が主成分。発見されている小惑星の17%がここに含まれる。
* [[M型小惑星]] -: [[金属]]質。[[ニッケル]]と[[鉄]]が主成分。
上記3つのサブグループに相当する型や、それら以外のマイナーな型も存在する。
 
208行目:
[[1996年]]に打ち上げられた[[NEARシューメーカー]]は、[[1997年]]に (253) [[マティルド (小惑星)|マティルド]]、[[2000年]]に (433) [[エロス (小惑星)|エロス]]の映像を撮影し、探査機はエロスの周回軌道に乗った後に着陸を果たした。
 
[[2003年]]に打ち上げられた日本の探査機[[はやぶさ (探査機)|はやぶさ]]は、[[2005年]]に (25143) [[イトカワ (小惑星)|イトカワ]]へ到達、至近距離からの詳細な観測を行った。はやぶさはイトカワに、計画通りではなかったが接地し、その後離脱した。サンプル採取については、操作ミスにより、送られた命令列中に弾丸発射命令が存在していなかったため、サンプルホーンの接触により微粒子状の対象が舞い上がったものが回収されていることを期待する、とした(幸い、そのようにして回収されたものとほぼ断定できるサンプルが、実際に確認された)。[[2010年]][[6月13日]]に地球へ帰還し、サンプル容器を納めたカプセルが回収されて容器内の微粒子の回収と分析がおこなわれ、同年11月16日には、回収された微粒子のほとんど全てがイトカワ由来であることが発表された<ref name="JAXA20101116">{{citeCite web|和書|url=httphttps://www.jaxa.jp/press/2010/11/20101116_hayabusa_j.html|title=JAXA|はやぶさカプセル内の微粒子の起源の判明について|publisher=ISAS/JAXA|date=2010-11-16|accessdate=2010-11-16}}</ref>。これは世界初の小惑星からの[[サンプルリターン]]である。
 
[[2004年]]に打ち上げられた[[ロゼッタ (探査機)|ロゼッタ]]は、[[2008年]]に (2867) [[シュテインス (小惑星)|シュテインス]]、2010年に (21) [[ルテティア (小惑星)|ルテティア]]への接近観測を行った。
 
[[2007年]]に打ち上げられた[[ドーン (探査機)|ドーン]]は、[[2011年]]に (4) [[ベスタ (小惑星)|ベスタ]]の周回軌道に乗って観測を行い、[[2012年]]にベスタの軌道を離脱した。[[2015年]]には (1) [[ケレス (準惑星)|ケレス]]周回軌道に到達し、[[2017年]]現在でも近接探査が続けられている。
 
[[2014年]]12月には「はやぶさ」の後継機となる[[はやぶさ2]]が打ち上げられた。2018年6月に探査目標である[[リュウグウ (小惑星)|リュウグウ]]に到着、[[2018年]]9–10月に探査機器を表面に下ろしたほか、[[2019年]]2月には第1回タッチダウン、2019年7月には第2回のタッチダウンを実施、サンプル採取を試みた。この間2019年4月には、天体に衝突体をぶつけてクレーターを生成する爆破探査も実施した。2019年11月にリュウグウを離脱、[[2020年]]12月に地球に帰還カプセルを戻した。帰還カプセルの中には小惑星由来と考えられる物質が大量に入っていた。2021年7月現在、詳細な分析が開始されている。なお、本体は別の小惑星への探査を実施する予定であり、2031年7月に1998 KY36という小惑星に到達することを目指している。
 
2016年にはアメリカの小惑星探査機[[オサイリス・レックス|オシリス・レックス]](オサイレス・レックス、オサイリス・レックスとも)が打ち上げられた。目標とする小惑星は[[ベンヌ (小惑星)|ベンヌ]]で、[[2018年]]12月に到着、2020年10月にサンプル採取を実施し成功した。2021年4月に小惑星を離脱、2023年9月に地球帰還予定である。
 
その他にも、彗星探査機などにより比較的遠距離からの、もしくは不鮮明な小惑星の映像がいくつか撮影されている。
 
20172021年現在、[[はやぶさ2]]、[[オルーリス・レックス|オシリス]]の2つの小惑星ー (探査機が運用中で、小惑星サンプ)|リタンを目指している。さらにシー]] (2021年10月打ち上げ予定)、[[ルーシーDART (探査機)|ルーシーDART]] (2021年11月打ち上げ予定)[[サイキ (宇宙機)|サイキ]] (2022年8月打ち上げ予定)が準備中である。また、[[マルコ・ポーロ (探査機)|マルコ・ポーロ]]などの小惑星探査計画が検討中である。さらに[[ドン・キホーテ (探査機)|ドン・キホーテ]]という計画では、小惑星にインパクターを衝突させる構想である。
 
アメリカでは[[コンステレーション計画]]の中止により小天体探査に関心が集まりつつあり、2010年4月に[[バラク・オバマ|オバマ大統領]]の発表した新宇宙政策<ref>{{citeCite web|和書|url=http://www.planetary.or.jp/HotTopics/topics100421_1.htm|title=オバマ大統領、米国の新宇宙政策を発表|publisher=日本惑星協会|date=2010-04-21|accessdate=2010-05-30}}</ref>によれば、月以降中で有人小惑星探査の対象として地球近傍小惑星イニシアチブ」有力検討されたが、2017年に候補り中止見られなっている。
 
=== これまでに行われた近接探査 ===
* [[ガリレオ (探査機)|ガリレオ]] : (951) [[ガスプラ (小惑星)|ガスプラ]]、(243) [[イダ (小惑星)|イダ]]
* [[カッシーニ (探査機)|カッシーニ]] : (2685) [[マサースキー (小惑星)|マサースキー]]
* [[NEARシューメーカー]] : (253) [[マティルド (小惑星)|マティルド]]、(433) [[エロス (小惑星)|エロス]]
* [[ディープ・スペース1号]] : (9969) [[ブライユ (小惑星)|ブライユ]]
* [[スターダスト (探査機)|スターダスト]] : (5535) [[アンネフランク (小惑星)|アンネフランク]]
* [[はやぶさ (探査機)|はやぶさ]] : (25143) [[イトカワ (小惑星)|イトカワ]]
* [[ニュー・ホライズンズ]] : (132524) [[APL (小惑星)|APL]]、(486958) [[(486958) 2014 MU69|2014 MU<sub>69</sub>]]
* [[ロゼッタ (探査機)|ロゼッタ]] : (2867) [[シュテインス (小惑星)|シュテインス]]、(21) [[ルテティア (小惑星)|ルテティア]]
* [[ドーン (探査機)|ドーン]] : (4) [[ベスタ (小惑星)|ベスタ]]、(1)[[ケレス (準惑星)|ケレス]]
* [[嫦娥2号]] : (4179) [[トータティス_(小惑星)|トータティス]]
* [[はやぶさ2]] : (162173) [[リュウグウ (小惑星)|リュウグウ]]
* [[オサイリス・レックス|オサイリス・レックス (オシリス・レックス)]] : (101955) [[ベンヌ (小惑星)|ベンヌ]]
 
=== 今後行われる近接探査 ===
* [[DART (探査機)|DART]] : [[地球近傍天体]]への衝突実験。(65803) [[ディディモス (小惑星)|ディディモス]]を周回する衛星[[ディモーフォス (衛星)|ディモーフォス]]へのインパクター打ち込みおよび軌道偏向の観測。2022年9月到達予定。
* [[ルーシー (探査機) | ルーシー]] : [[木星のトロヤ群 | 木星トロヤ群]]小惑星探査。2027年に (3548) ユーバ[[エウュバテス]]、(15094) ポリメレ、(11351) リュークス、(21900) オラス (フライバイ)、その後2033年に [[パトロクロス (小惑星)|(617) パトロクロス]]及びその衛星である名の[[メノイティオス (衛星)|メノイティオス]]を探査(フライバイ)。2025年に小惑星帯の (52246) ドナルドヨハンソンを探査する可能性もある(フライバイ)。
* [[サイキ (宇宙機)|サイキ]] : [[プシケ (小惑星)|(16) プシケ]]を周回 (到達は2026年予定)
* [[はやぶさ2]] : {{mpl|1998 KY|26}}((162173) [[リュウグウ (小惑星)|リュウグウ]]のサンプルリターン後の拡張ミッションとして実施予定)
 
=== 計画が存在する近接探査 ===
* [[マルコ・ポーロ (探査機)|マルコ・ポーロ]] : (107P/ 4015) [[ウィルソン・ハリントン彗星|ウィルソン・ハリントン]]
* [[ドン・キホーテ (探査機)|ドン・キホーテ]] : 未定
 
=== 実現しなかった近接探査 ===
中止または他の目標に変更されたもの
* [[クレメンタイン (探査機)|クレメンタイン]] : (1620) [[ジオグラフォス (小惑星)|ジオグラフォス]]
* ディープ・スペース1号 : (107P/ 4015) ウィルソン・ハリントン、{{mpl|1999 KK|1}}
* ロゼッタ : (4979) Otawara、(140) [[シワ (小惑星)|シワ]]
* はやぶさ : (4660) [[ネレウス (小惑星4660番)|ネレウス]]、[[(10302) 1989 ML]]
 
== 地球への危険 ==
 
=== 衝突の可能性 ===
{{main|隕石衝突}}
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地球にとって特に危険性が高く深刻な影響を与える天体は直径が150mを超える天体とされている<ref name="afp20190320-2" />。
 
[[ユカタン半島]]にある[[チクシュルーブ・クレーター|チュクシュルーブ・クレーター]]の調査から、約6550万年前に秒速10~20km10–20kmの速度で衝突した直径10kmの小惑星は、大型の[[恐竜]]を全滅させたと考えられている。クレーターは直径150km150 km、深さ30km30 km。周辺は[[マグニチュード]]11規模の[[地震]]と大規模の[[火災]]が発生し、海に落ちたために生じた[[津波]]は高さ300mと推定される<ref name=New201301-42>[[#ニュートン (2013-1)|ニュートン (2013-1)、p.42-43 42–43、直径10kmの小惑星衝突で生物種の70%が絶滅した]]</ref>。さらに、衝突で巻き上げられた塵が[[成層圏]]やその上の[[中間圏]]に及んで漂い、数ヶ月から数年間太陽光線を遮り、植物など[[光合成]]生物の死滅に端を発し生物全体の70%が滅んだと推測される<ref name=New201301-42 />。
 
直径10km規模の小惑星衝突は1億年に1回程の頻度で起こると考えられる<ref name=New201301-42 />。直径1kmの小惑星衝突でも地球規模の[[気候]]に変動を与えると考えられ、その頻度は100万年に1回程と推定される。これより小規模な衝突は影響こそ限定的になるが、その反面頻度は上昇する。直径1.2kmの[[バリンジャー・クレーター]]を作った隕石は直径50m規模であったが、頻度は1000年に1回程あると考えられる<ref name=New201301-44>[[#ニュートン (2013-1)|ニュートン (2013-1)、p.44-45 44–45、たった直径50mの小惑星衝突で、直径1.2kmの大穴ができる]]</ref>。
 
=== 小惑星の監視 ===
地球の公転軌道より1.3天文単位以内を通過する公転周期200年未満の小惑星はNEA(Near Earth Asteroid, [[地球近傍小惑星]])といい、2012年11月1日現在で9252個が確認されている<ref name=New201301-48>[[#ニュートン (2013-1)|ニュートン (2013-1)、p.48-49 48–49、地球の近くを公転する小惑星が、危険な小惑星に豹変する]]</ref>。その中でも、地球に0.05天文単位(約750km)750万km)以下に近づく公転軌道を通り、直径が150m以上と考えられる小惑星はPHA(Potentially Hazardous Asteroid, [[潜在的に危険な小惑星]])と呼ばれ、1343個が該当する<ref name=New201301-48 />。しかもNEAは惑星重力の影響を受けやすいため、公転軌道は急に変化して予測どおりにならない可能性が高い<ref name=New201301-48 />。
 
NEAと、やはり衝突が懸念される彗星(Near Earth Comet, NEC)と合わたNEO(Near Earth Object, [[地球近傍天体]])<ref name=New201301-48 />を監視する計画は、[[アメリカ航空宇宙局|NASA]]と[[アメリカ空軍]]、[[マサチューセッツ工科大学]]の共同による[[リンカーン地球近傍小惑星探査|LINEAR]](Lincoln Near Earth Asteriod Research)、[[アリゾナ大学]]の[[スペースウォッチ|Space Watch]]と[[カタリナ・スカイサーベイ|Catarina Sky Survey]]、NASA[[ジェット推進研究所]]の[[地球近傍小惑星追跡|NEAT]](Near-Earth Asteroid Tracking)、[[ローウェル天文台]]の[[LONEOS]](Lowell Observatory Near-Earth-Object Search)、[[ハワイ大学]]の[[パンスターズ|Pan-STARRAS]](Panoramic Survey Telescope And Rapid Response Syastem)などがあり、[[日本]]でも[[美星スペースガードセンター]]が観測を行っている<ref name=New201301-58 />。このように多くの観測体制が敷かれる理由は、そもそもNEOが非常に観測しにくいことが背景にある。しかも現在、昼間に観測することは事実上不可能である<ref name=New201301-58 />。
 
=== 衝突回避の技術研究 ===
小惑星の衝突に備えて小惑星を破壊したり進路を変えさせたりする研究も進められている<ref>{{Cite news|date=2019-03-08|url=https://www.cnn.co.jp/fringe/35133916.html|title=爆破は困難?、小惑星は思ったより硬かった 米研究|publisher= CNN|accessdate=2019-03-09}}</ref>。
 
しかし、小惑星の衝突を回避する技術は現在の科学技術では達成しておらず、現存するロケットを衝突させて軌道を変える方法でも、直径100m以下の小惑星でしか効果がいと考えられている<ref name=New201301-58>[[#ニュートン (2013-1)|ニュートン (2013-1)、p.58-59 58–59、宇宙船を小惑星に衝突させる計画が検討されている]]</ref>。[[NASA]]の[[DART (探査機)|DART]]や[[ESA]]の「[[ドン・キホーテ (探査機)|ドン・キホーテ計画]]」など有効な回避法が様々さまざまに模索されているが、いまだ研究段階にあり効果はわかっていない<ref name=New201301-58 />。
 
== 脚注 ==
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== 外部リンク ==
{{commonscat|Asteroids}}
* {{Wayback|url=https://rika-net.com/contents/cp0320a/contents/taiyoukei/syouwakusei/index.html |title=理科ねっとわーく 太陽系図鑑(小惑星) |date=20211210140321}}
* [https://www.cgh.ed.jp/TNPJP/nineplanets/asteroids.html ザ・ナインプラネッツ日本語版(小惑星)]
* [https://www.kahaku.go.jp/exhibitions/vm/resource/tenmon/space/a-c-m/a-c-m00.html 国立科学博物館 宇宙の質問箱(小惑星・彗星・流星・隕石)]
* [https://www.cgh.ed.jp/TNPJP/nineplanets/asteroids.html ザ・ナインプラネッツ 日本語版(小惑星)]
* [https://nineplanets.org/asteroids/ The Nine Planets Asteroid Facts] - ザ・ナインプラネッツ 原語版(小惑星){{En icon}}
* {{Wayback|url=http://www.geocities.co.jp/Athlete/2383/as/as.html |title=小惑星 惑星になりそこなった星たち |date=20021106042150}}
* [http://members.at.infoseek.co.jp/felicidad/index.htm 小惑星の名前研究所]
* {{Wayback|url=http://www.geocities.com/zlipanov/selected_asteroids/selected_asteroids.html |title=小惑星の画像集(英語) |date=20000621000822}}
* {{Kotobank}}
 
{{太陽系}}