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誤記。抗生物質の定義から外れる。……こんな編集がされた以上は、こんな当然の事を、冒頭文にまで長々と書かねばならないのでしょうね。本文に書いておけば充分だと考えていたのですけれど。いずれにしても、このIPの編集は、専門書を参照しているとも考え難い上に、本文すら読んでいない可能性が高く、このような編集を繰り返すなら、荒らしとしての対処が必要でしょう。しかも「口で服用することができる」などと表現するようでは、基礎的な薬学に関する用語を調べていないのでは?
 
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| Drugs.com =
| MedlinePlus =
| pregnancy_category = C ([[United States|USAアメリカ合衆国]]) <br /> B3 ([[Australia|Ausオーストラリア]])
| routes_of_administration = 経口投与、静脈注
 
<!--Pharmacokinetic data-->
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| protein_bound = 明確でない、<br />
低いとされる
| metabolism = [[肝臓]]、[[CYP2D6CYP3A4]]
| elimination_half-life = 3- 時間から4 時間
 
<!--Identifiers-->
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}}
 
'''クラリスロマイシン''' (Clarithromycin, CAM[[国際一般名|INN]]:clarithromycin) [[マクロライド系抗生物質]]のひとつ。咽頭炎、扁桃炎、慢性気管支炎の急性増悪、肺炎(特に[[菌薬|14員環イコプラズマ肺炎]]と[[ミジア肺炎]])、皮膚感染症、非結核性イド系、[[レジオネラ]]による感染症治療、[[ヘリコバクター・ピロリ]]の除菌療法に用いられ1つである。
 
なお、クラリスロマイシンは天然物'''ではなく'''、天然物を化学修飾した半合成品であるため、[[抗生物質#定義|抗生物質の定義]]<!--この部分は「[[抗生物質]]の定義」という内部リンクの作り方では、不充分。あくまで「[[抗生物質の定義]]」を参照したい人のための内部リンクなので。杓子定規に、つまらぬ変更はせぬこと。-->からは外れる。したがって、これを「抗生物質である」とする説明は誤りである。
 
== 歴史 ==
1970年代に[[大正製薬]]が創製し、1991年にアメリカ合衆国の[[アボット・ラボラトリーズ|アボット社]]によって市販された。一般にマクロライド系抗菌薬化学[[全合成]]、その化学構造が複雑であるいへんめ、大変に難しい。仮に行ったとしても副生成物の除去や反応の制御などのために費用が嵩む。そこでクラリスロマイシンは、同じ14員環マクロライド系抗菌薬である[[エリスロマイシン]]を化学修飾する事によって生ま作られた。すなわち、クラリスロマイシンは[[半合成]]マクロライドの抗菌薬である。
 
== 作用機序 ==
クラリスロマイシンは原核生物の[[リボゾーム]]の、50Sサブユニットという部分に結合して、タンパク質の合成を阻害する。この結果、リスロマシンに対して耐性作用無い細菌の増殖を、[[最小発育阻止濃度|一定の濃度以上]]で抑制する。この濃度を下回ると、細菌主に再び増殖を開始する。すなわち、静菌作用によって細菌に増殖抑制)であがかかっている間に、細菌に感染された宿主の側が、免疫機能によって攻撃を仕掛ける事によって、効果を発揮する。{{main|マよって、適切な間隔で、適切な量のリスロマド}}シンを、適切な期間にわたって使用しないと、意味を成さない<ref group="注釈">これを患者がデタラメに使用すると、単にクラリスロマイシンは原型薬の[[エが効かないばかりか、クラリスロマイシン]]と類似抗菌活菌の出現誘発ている、以降、クラリスロマイシン無効になり得て、さらには、[[レジオネラ交叉耐性]]など一部問題で、他の抗薬まで無効はよ強い得るなど、患者自身が不利益を被る。抗菌活性を持ち、ほぼ全薬におい、患者点でエリスロマ[[服薬コンプラよりも優ス]]が重視さてい。高濃度で理由の1つ、ここにある。なお、このような理由を患者自身が知る事によって、[[服薬コンプラフルエス#アドヒアラザ菌ス|服薬アドヒアランス]]、[[肺炎球菌]]、[[淋菌]]など一部の菌殺菌的にも作用す持ってゆくべきとされ。</ref>
 
クラリスロマイシンは原型薬である[[エリスロマイシン]]と類似の抗菌活性を有しており、基本的にエリスロマイシンと同様に、充分な濃度が持続している'''時間依存性'''に効力を発揮する抗菌薬だと考えられている。参考までに、[[レジオネラ]]や[[インフルエンザ菌]]など一部の菌には、エリスロマイシンよりも強い抗菌活性を持つなど、ほぼ全ての点でエリスロマイシンよりも優れている。なお、高濃度では[[肺炎球菌]]、インフルエンザ菌、[[淋菌]]などの一部の菌に対しては、殺菌的にも作用する。
== 薬物動態学 ==
エリスロマイシンとは異なり、クラリスロマイシンは酸に対して安定で、コーティングなどで胃酸から保護しなくても経口投与できる。ほとんどが腸から吸収され、かなり初回通過効果(肝臓での代謝)の影響を受けるので、生物学的利用度は50〜55%である。これをわかりやすく言うと、口から投与した量の半分ぐらいが、クラリスロマイシンの作用点にあたる部位に到達して作用する、と考えればよい。最高血中濃度は、投与を開始してから2時間程度で得られる。
 
== 薬物動態 ==
基本的にはエリスロマイシン同様に、'''時間依存性'''の抗生物質と考えられているので、徐放製剤も米国では利用できる('''Biaxin XL''':1日1回の投与でよい。日本では未認可)。白血球などの食細胞に蓄積する作用があるため、能動的に病変部へ輸送され、全身の組織内では血中濃度の10倍以上の濃度を得ることができる。もっとも高濃度になるのは肝臓と肺である。
=== 吸収・分布 ===
エリスロマイシンとは異なり、クラリスロマイシンは酸に対して安定であるため、コーティングなどで胃酸から保護しなくても経口投与できる。ほとんどが腸から吸収されるものの、かなり[[初回通過効果(肝臓での代謝)]]の影響を受けるので、[[バイオアベイラビリティ|生物学的利用度]]は50〜55%であるパーセント程度に過ぎない。これをわかやすく言うと、口から投与した飲み込んだ量の半分ぐらいが、肝静脈にまで到達して、そのまま全身循環へと入るという事である。その後、クラリスロマイシンは、作用点にたる細菌の感染部位に到達して、細菌に接触すると、その作用を発揮する<ref group="注釈">ただし細菌のいる場所が消化管の表面などの場合など、例外も有る。なお、クラリスロマイシンは胃に持続感染する[[ヘリコバクター・ピロリ]]の除菌のために、併用薬の1つ考えればよして用られる場合が有る</ref>。なお、経口投与した場合のクラリスロマイシンの最高血中濃度は、投与を開始してから2時間程度で得られる達し、その後は低下してゆく
 
また、徐放製剤を使用した場合には、消化管内でクラリスロマイシンを放出し続け、それが腸管内から順次吸収されて、門脈を通して肝臓に入るまでの間に一部が初回通過効果で失われながらも、持続的に肝静脈まで到達して、全身循環へと入り続ける。これを利用して、アメリカ合衆国には、1日1回の経口投与で良いクラリスロマイシン製剤も存在する<ref group="注釈">商品名ながら、'''Biaxin XL'''がそれで、1日1回の経口投与で良いとされる。</ref>。
主に肝臓で代謝されるが、代謝産物の中で14-ハイドロキシクラリスロマイシンはクラリスロマイシンのほぼ2倍の活性を持っている。クラリスロマイシンの半減期は5時間で、14-ハイドロキシクラリスロマイシンのそれは7時間である。これは、エリスロマイシンの血中半減期の数倍に相当する。従って、徐放化されていなくても一日2(〜3)回の内服で良い。クラリスロマイシンとその代謝産物は、尿と胆汁へと排泄される。もっとも、相当重症(クレアチニンクリアランスで30未満)で無い限り、腎不全で投与量を修飾する必要は無い。
 
なお、静脈注射・経口投与を問わず、投与されたクラリスロマイシンが最も高濃度に分布する組織は、肝臓と肺である。
=== 薬物相互作用 ===
肝代謝酵素[[シトクロムP450]]([[CYP3A4]])阻害作用を有する<ref name=info.pmda />。従って、CYP3A4で代謝される薬剤と併用したとき、併用薬剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する[[薬物相互作用]]が生じる可能性がある<ref>吉成浩一、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/134/5/134_5_285/_article/-char/ja/ チトクロムP-450の阻害に基づく薬物相互作用] 日本薬理学雑誌 Vol.134 (2009) No.5 P.285-288, {{DOI|10.1254/fpj.134.285}}</ref>。
 
=== 適応代謝 ===
クラリスロマイシンは[[CYP3A4]]で代謝されると同時に、CYP3A4の阻害薬でもある<ref>佐藤 哲男・仮家 公夫・北田 光一(編集)『医薬品トキシコロジー(改訂第3版)』 p.17、p.18 南江堂 2006年4月15日発行 ISBN 4-524-40212-8</ref>。なお、クラリスロマイシンは、主に肝臓で代謝される。代謝産物の中で14-ハイドロキシクラリスロマイシンは、クラリスロマイシンのほぼ2倍の抗菌活性を持っている。クラリスロマイシンの半減期は5時間で、14-ハイドロキシクラリスロマイシンの半減期は7時間である。これは、エリスロマイシンの血中半減期の数倍に相当する。よって、エリスロマイシンと異なり、クラリスロマイシンは徐放製剤でなくても1日3回程度の内服で良い<ref group="注釈">エリスロマイシンは代謝による失活が速いため、何も工夫されていない経口投与製剤の場合だと、1日に4回から6回の内服が必要である。</ref>。
クラリスロマイシンに限らず、[[マクロライド]]の基本的な用途は[[ペニシリン]]系や[[キノロン]]系がアレルギーなどにより禁忌であるヒトに対する、[[連鎖球菌]]などの[[グラム染色|グラム]]陽性菌感染症の代替薬である。さらに、第一選択となる主なものには[[ベータラクタム系]]が無効の[[マイコプラズマ]]・[[リケッチア]]・[[クラミジア]]による感染症がある。原型薬のエリスロマイシンがかなり臨床的な使いづらさのある薬剤(一日4〜6回も飲まなければならない、消化器症状が強いなど)であるため、クラリスロマイシンは多くのマクロライドの用途において、[[アジスロマイシン]]などと並んで「マクロライドの顔」として広く用いられている。ほか、インフルエンザ菌への活性はエリスロマイシンよりも優れている。
 
=== 主な適応排泄 ===
クラリスロマイシンとその代謝産物は、尿と胆汁へと排泄される。なお、クレアチニンクリアランスが30 (mL/分)未満の重度の腎機能低下でない限り、投与量を調節する必要はない。
* 咽頭炎・細菌性[[肺炎]]・急性[[中耳炎]]、[[副鼻腔炎]]などの、起因菌としてグラム陽性球菌が想定される感染症
:基本的には[[ペニシリン系]]が用いられない場合に限るべき。静菌的な薬剤でもあり、臨床的な「切れ味(効果)」の面で明らかに劣る。
* 非定型[[肺炎]]
:基本的には、[[マイコプラズマ]]と[[クラミジア]]による肺炎の総称。第一選択。ウィルス性肺炎と鑑別しがたい場合も、重症度によってはやむを得ず用いられる<ref>抗生物質の投与が広く行われるようになっているので、症状がマイルドになり鑑別が難しくなっている面もある</ref>。
* トラコーマ、性器クラミジア感染症などの[[クラミジア]]感染症
:後者には服薬コンプライアンス面でアジスロマイシンが優れるとの考えが主流。
* [[発疹チフス]]などのリケッチア感染症、[[ツツガムシ病]]
:基本的には[[テトラサイクリン系]]を優先するが、小児や妊婦では第一選択になりうる。
* [[百日咳]](第一選択)
* [[カンピロバクター]]腸炎(第一選択)
* [[レジオネラ]]感染症(第一選択)
* 非結核性[[抗酸菌]]の予防・治療(第一選択)
:2008年5月より保険適応となった。
* [[ヘリコバクター・ピロリ]]の除菌療法(第一選択)
:前述の様に呼吸器感染症の治療に用いられることから、小児のクラリスロマイシン耐性菌保有も見られる<ref>種池郁恵、山本達男、[http://ci.nii.ac.jp/naid/110004717189/ ヘリコバクター・ピロリの小児への感染とクラリスロマイシン耐性化] 新潟医学会雑誌 118(11) pp.643-644, {{naid|110004717189}}</ref>。
 
=== 薬物相互作用 ===
[[アジスロマイシン]]や[[ロキシスロマイシン]]とどちらが優れているかは大変難しい問題である。非定型抗酸菌や[[ヘリコバクター・ピロリ]]のようにクラリスロマイシンによる治療が確立しているものに、理由も無く[[アジスロマイシン]]を代替薬として用いる必要はないだろう(新しい薬がいい薬、とは限らない)。しかし、一方で[[アジスロマイシン]]の薬物動態学的特性(飲ませる期間が短く、回数も1日1回でよい、見かけの分布容積がとても大きい)は魅力的であり、マクロライドという服薬コンプライアンスが悪く(つまり味が悪く)、耐性菌の問題が深刻になっている薬剤では重要な利点である。時に、一般論としてアジスロマイシンの優位性を主張する識者も存在する。
クラリスロマイシンは代謝酵素[[シトクロムP450]]([[CYP3A4]]阻害する作用を有する<ref name=info.pmda />って、CYP3A4で代謝される薬と併用したとき場合には併用そのの代謝が阻害され、その薬の血中濃度の高い状態上昇継続する[[薬物相互作用]]が生じる可能性がある<ref>吉成浩一、[https://wwwdoi.jstageorg/10.jst.go.jp/article1254/fpj/.134/5/134_5_285/_article/-char/ja/.285 チトクロムP-450の阻害に基づく薬物相互作用] 日本薬理学雑誌 Vol.134 (2009) No.5 P.285-288, {{DOI|10.1254/fpj.134.285}}</ref>。
 
== 処方例適応 ==
クラリスロマイシンに限らず、マクロライド系抗菌薬の基本的な用途は、[[ベータラクタム|ベータラクタム系抗菌薬]]や[[キノロン|キノロン系抗菌薬]]がアレルギーなどの理由により使用できない患者に対する、[[連鎖球菌]]などの[[グラム陽性菌]]の感染症の際に、代替薬として用いる。
成人での一日量は400mg/日。非結核性抗酸菌症に対しては800mg/日。一般には'''クラリス'''/'''クラリシッド'''錠(200mg) 2錠 一日2回(AIDS患者の[[非結核性抗酸菌症]](NTM)の治療などでは増量)。
 
ただし、マクロライド系抗菌薬が第1選択とされる主な細菌としては、ベータラクタム系抗菌薬のような細胞壁の関連した抗菌薬が無効な、[[マイコプラズマ]]・[[リケッチア]]・[[クラミジア]]による感染症が挙げられる。よって、特に[[マイコプラズマ肺炎]]と[[クラミジア肺炎]]の治療には、第1選択として使用され得る。
各[[感染症]]について、何日投与を続けるかは疾患や病状、医師により異なる。概して咽頭炎では10日が推奨されている。[[胃潰瘍]]・[[十二指腸潰瘍]]における[[ヘリコバクター・ピロリ]]の除菌で7日間他剤と併用が日本では保険適応とされている。期間も重要であるが、耐性菌の問題もあるので、服薬コンプライアンスに注意を払う必要がある。ことに解熱後の、症状がとれてきた時期が問題である。
 
また、クラリスロマイシンは多剤併用で、[[ヘリコバクター・ピロリ]]の除菌療法に用いられる場合もある<ref group="注釈">胃に持続感染する[[ヘリコバクター・ピロリ]]の除菌のためには、幾通りかの薬物の組み合わせが決まっている。例えば、[[プロトンポンプ阻害薬]]+[[アモキシシリン]]+クラリスロマイシンの併用、[[ボノプラザン]]+アモキシシリン+クラリスロマイシンの併用、プロトンポンプ阻害薬+アモキシシリン+[[メトロニダゾール]]の併用、ボノプラザン+アモキシシリン+メトロニダゾールの併用である。</ref>。
小児では、'''クラリス'''/'''クラリシッド'''ドライシロップ(ないし錠剤)で10〜15mg/kg/日 一日2〜3回。
 
=== 主な適応 ===
*起因菌としてグラム陽性球菌が想定される、咽頭炎・細菌性肺炎・急性中耳炎・副鼻腔炎などの感染症
: 基本的には[[ペニシリン、何らかの理由でベータラクタム]]が抗菌薬を使いられできない場合に限って選択すべきクラリスロマイシンは静菌的な薬剤でもあり、臨床的な「切れ味(効果)」の面でベータラクタム系抗菌薬に明らかに劣る。
* 非定型[[肺炎]]
: 基本的には、[[マイコプラズマ]][[クラミジア]]による肺炎の総称で、1選択薬として用いられ得るなお、ウィルス性肺炎には無効だが、起因病原体の鑑別難しい場合も、重症度によってはやむを得ず用いられ投与する場合も有る<ref group="注釈">抗生物質菌薬の投与が広く行われるようになっているので、症状がマイルドになり鑑別が難しくなっている面も</ref>。
* トラコーマ、性器クラミジア感染症などの[[クラミジア]]感染症
:後者には ただし[[服薬コンプライアンス]]の面では、1日1回の経口投与で良い[[アジスロマイシン]]の方、クラリスロマイシンよりも優れているとの考えが主流である
* [[発疹チフス]]などのリケッチア感染症、[[ツツガムシ病]]
: 基本的には[[テトラサイクリン系抗菌薬]]を優先する。ただし、小児や妊婦では第1選択になりうとしてクラリスロマイシンを選択し得る。
* [[百日咳]](第1選択)
* [[カンピロバクター]]腸炎(第1選択)
* [[レジオネラ]]感染症(第1選択)
* 非結核性[[抗酸菌]]の予防・治療(第1選択)
* [[ヘリコバクター・ピロリ]]の除菌療法(第1選択)
:前述の様に ただし、クラリスロマイシンが呼吸器感染症の治療に用いられることから場合が有るため特に小児には、クラリスロマイシン耐性のヘリコバクター・ピロリ保有も見られる<ref>種池郁恵、山本達男、[httphttps://cihdl.niihandle.ac.jpnet/naid/11000471718910191/2674 ヘリコバクター・ピロリの小児への感染とクラリスロマイシン耐性化] 新潟医学会雑誌 118(11) pp.643-644, {{naid|110004717189}}, {{hdl|10191/2674}}</ref>。
 
== 処方例 ==
成人では400 (mg/日)を2回か3回に分けて投与する用法用量を標準とするものの、例えば、AIDS患者の[[非結核性抗酸菌症]]に対しては800 (mg/日)などと増量する場合も有る。逆に小児の場合は、10〜15 (mg/kg/日)を2回か3回に分けて投与するなど、必要に応じて減量される場合も有る。いずれにしても、どの程度の用量で、それを何日間続けて投与するかは、患者の病状などに応じて医師が判断する。ただし、期間も重要であるが耐性菌出現の問題も有るので、患者の服薬コンプライアンスに注意を払う必要が有る。殊に解熱後の症状がとれてきた時期は、患者が勝手に服薬を中止したり、デタラメな間隔で服用したりし易いので、要注意である。
 
== 剤形 ==
[[image:Clarithromycin200mg.jpg|200px|thumb|right|200px|クラリスロマイシン錠 200mg200 mg]]
[[image:Clarith-200.jpg|200px|thumb|right|200pxクラリスロマイシン200 mgの錠剤]]
*クラリス/クラリシッド錠(200mg・50mg小児用)
*クラリス/クラリシッドドライシロップ(10%)小児用
 
[[錠剤]]・[[ドライシロップ]]などの剤形が存在する。また、錠剤などでは、50 mgや200 mgなどの複数の規格が見られる。
その他、ジェネリック医薬品(後発医薬品)の各剤形が各社から発売されている。
 
== 副作用 ==
* 他のマクロライド系抗菌薬と同様で、重篤なもの副作用は少ない。多いのは消化器症状([[下痢]]・悪心(吐き気)・[[嘔吐]])である。消化器症状の頻度は[[エリスロマイシン]]よりも少なくなっている
 
* まれに[[発疹]]・[[頭痛]]などを起こす。[[アレルギー]]反応はごくまれに重篤になるが、多くはない。
* 多いのは[[下痢]]・悪心(吐き気)・[[嘔吐]]などの消化器症状である。ただ消化器症状の頻度はエリスロマイシンよりも少ないとされる。稀に頭痛・倦怠感などを呈する。ごく稀に[[アレルギー]]を誘発して[[薬疹]]などが現れ、その一部は重篤な転帰を辿る場合も有る。
* クラリスロマイシンにより心臓死が増加することが報告されている。<ref>Svanström H et al. Use of clarithromycin and roxithromycin and risk of cardiac death: cohort study. BMJ. 2014;349:g4930.</ref>([[ロキシスロマイシン]]では同様の影響はみられなかった。)
* クラリスロマイシンにより、心臓疾患による死亡が増加するとの報告が存在する<ref>Svanström H et al. Use of clarithromycin and roxithromycin and risk of cardiac death: cohort study. BMJ. 2014;349:g4930.</ref>。安定冠動脈疾患患者におけるクラリスロマイシンの投与は、心血管疾患死を有意に上昇させたと報告された<ref>Jespersen CM et al for the CLARICOR trial group: Randomised placebo controlled multicentre trial to assess short term clarithromycin for patients with stable coronary heart disease; CLARICOR trial. BMJ. 2006; 332: 22-7.</ref>。
 
== 禁忌 ==
クラリスロマイシンの禁忌は、「本剤にアレルギー反応を持つ者」、「[[ピモジド]]、[[エルゴタミン]]含有製剤、[[スボレキサント]]、[[ロミタモジド]]含有製剤服用、[[タダラフィル]]、[[チカグレロル]]、[[イブルチニブ]]、[[アスナプレビル]]、[[バニプレビル]]を投与中の患者」、「肝臓又は腎臓に障害のある患者で、[[コルヒチン服用者」「[[タダラフィル]]服用者」である<ref name="info.pmda">[http://www.info.pmda.go.jp/goPmdaSearch/pack/6149003F2054_2_16iyakuDetail/400059_6149003F2038_1_31 クラリスロマイシン200mg「EMEC」200] 医薬品医療機器情報提供ホームページ</ref>。
 
* アメリカ合衆FDAの[[胎児危険度分類]]はクラス「C」である。禁忌'''ではない'''。動物実験レベルでクラリスロマイシンの催奇形性を示唆する報告が出ているものの、大量投与を用い場合の実験結果であり臨床上の意義が明らかでない(一般的には、マクロライドは比較的安全である)。しかし、FDA基準では[[アジスロマイシン]]や[[エリスロマイシン]]がクラス「B」として、クラリスロマイシンより安全なクラスに入れてあるので、妊婦に対してアジスロマイシンやもっとも使用年数経験いエリスロマイシンの投与を優先すること、充分考える選択肢である。
* FDAの授乳危険度分類は「2」であり「注意深く用いること」である。禁忌'''ではない'''。
 
== ドラマでの引用 ==
*米国FDAの[[胎児危険度分類]]はクラス「C」である。禁忌'''ではない'''。動物実験レベルでクラリスロマイシンの催奇形性を示唆する報告が出ているが、大量投与を用いた実験であり臨床上の意義が明らかでない(一般的には、マクロライドは比較的安全である)。しかし、FDA基準では[[アジスロマイシン]]や[[エリスロマイシン]]がクラス「B」としてより安全なクラスに入れてあるので、妊婦に対してアジスロマイシンやもっとも使用年数の長いエリスロマイシンの投与を優先することは十分考えうる選択肢である。
ドラマ「アンサング・シンデレラ」第2回では、苦みに敏感な小児に飲ませるためにオレンジジュースと一緒に飲ませようとした母親に対しての服薬指導のシーンとして、酸性の強い飲み物と一緒に飲むとコーティングが剥がれて苦みが出てしまう実例として引用された<ref>{{Cite web|title=アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋|url=https://www.fujitv.co.jp/unsung/medical/index.html#medi_2_2|website=フジテレビ|accessdate=2021-02-16|language=ja|publisher=}}</ref>。
*FDAの授乳危険度分類は「2」。「注意深く用いること」である。禁忌'''ではない'''。
 
== 脚注 ==
{{Reflist脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
<references group="注釈"/>
=== 出典 ===
<references/>
 
== 外部リンク ==
* [httphttps://www.info.pmda.go.jp/ 医薬品医療機器情報提供ページ]
 
 
{{DEFAULTSORT:くらりすろまいしん}}
[[Category:マクロライド系抗菌薬]]<!--用語を理解していれば判るように、クラリスロマイシンは抗生物質]]ではないので、抗菌薬と総称しないと、誤記です。-->
[[Category:配糖体]]