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{{Otheruses||松本清張の小説およびそれを原作とするテレビドラマ|事故 (松本清張)}}
'''事故'''(じこ、{{lang-en-short|accident}})とは、思いがけず起こった悪いできごと<ref>[[広辞苑]]</ref>。よくないことが起こること<ref>デジタル[[大辞泉]]</ref>。予期せず、意図せずに発生する不幸な出来事で、典型的には損傷または傷害をもたらすもの(Oxford Lexicoの説明)<ref>An unfortunate incident that happens unexpectedly and unintentionally, typically resulting in damage or injury.[https://www.lexico.com/definition/accident Oxford Lexico, "Accident".]</ref>。
[[ファイル:Japanese car accident.jpg|サムネイル|[[自動車]]と自動車が衝突した様子。([[交通事故]])|290x290ピクセル]]
 
== 概説 ==
{{独自研究|date=2021年12月|section=1}}
事故とは、一般的な用法では、意図していなかったのに、また予期していなかったのに、[[怪我|人のからだが傷ついたり]]、[[死|生命が失われたり]]、あるいは物が損傷したり、財産に損害が発生したり環境が汚染されるような出来事のことである{{Sfn|小松原明哲|2019|p=1}}
 
上記のように事故という[[自然言語|言葉]]には、基本的には「'''予期していなかった / 予期していた'''」あるいは「'''意図していなかった / 意図していた'''」という線引きが横たわっている。よくないことのうち、予期していなかったのに、また意図していなかったのに、起きてしまった(起こしてしまった)ことが事故である。事故をなくしたいという考えは人間共通のものである{{Sfn|小松原明哲|2019|p=1}}
 
言葉の基本的な意味はこうなっている。
 
[[日本]]の[[保険]]関係では、被保険者の被った事故が「'''不慮の事故'''」であったかどうかを「'''偶然性'''」・「'''急激性'''」・「'''外来性'''」の3つで判断している<ref name="Kamio">[[神尾陽子]]ほか(編) 『子どもの健康を育むために:医療と教育のギャップを克服する』 日本学術協力財団 <学術会議叢書>23 [[2017年]]([[平成]]29年) pp.130 - 131.</ref>。[[欧米]]では事故を意味する言葉として「 accident 」が用いられてきたが、事故は予測可能であり、科学的分析を講じて対策すれば予防することが可能であるという考え方が一般的となり、injury([[傷害]]、[[外傷]])という言葉に置き換えられつつある<ref name="Kamio" />。この動きは[[医学]]界で顕著であり、一部の医学誌ではaccidentの使用を禁止している。
ただし[[20世紀]]になってから、さまざまな領域で、事故の深いレベルでの[[因果性|原因]]をどう考えるか、事故というものを組織や[[社会]]としてどう防止するべきなのか、ということの検討が始まり、「事故」という([[歴史]]も長く、ある[[意味]]でありきたりの)[[概念]]を、社会としてどう用いればよいのか、という課題が浮き上がってきた。もう少し分かりやすく[[説明]]すると、さまざまな領域で事故を大規模に[[調査]]して、その[[原因]]を調査しみると、事故を起こした当事者が「'''予期していなかった'''」と言っていても、本当は人によっては「予期可能」なのに、事故を起こした人は「'''予期していなかった'''」人だから事故を起こしてしまった、という[[因果性|因果関係]]が明らかになることが多かったからである。別の言い方をすると、同様の状況下におかれても、一方の人は(このままでは悪いことが起きるかも知れない、と頭脳・用心を働かせて)「予期」して事故を回避し無事だったのに、別の人は「'''予期しなかった'''」結果、対処を怠り、事故を起こしてしまっていた、といった因果関係がしばしばある、ということが明らかになるにしたがって、「事故」という言葉の使い方を慎重にすべきだ、という指摘がされるようになってきているのである。
 
[[日本]]の[[保険]]関係では、被保険者の被った事故が「'''不慮の事故'''」であったかどうかを「'''偶然性'''」・「'''急激性'''」・「'''外来性'''」の3つで判断している<ref name="Kamio">[[神尾陽子]]ほか(編) 『子どもの健康を育むために:医療と教育のギャップを克服する』 日本学術協力財団 <学術会議叢書>23 [[2017年]]([[平成]]29年) pp.130 - 131.</ref>。[[欧米]]では事故を意味する言葉として「 accident 」が用いられてきたが、事故は予測可能であり、科学的分析を講じて対策すれば予防することが可能であるという考え方が一般的となり、injury([[傷害]]、[[外傷]])という言葉に置き換えられつつある<ref name="Kamio"/>。この動きは[[医学]]界で顕著であり、一部の医学誌ではaccidentの使用を禁止している。
 
なお、故意に損害を起こすことを「[[事件]]」と呼び、事故と区別する意味で用いられる場合もあるが、本来の事件というのは事故も含む広範な意味を持つ語であって、損害を起こすという意味だけで用いられる語ではない。'''詳細は[[事件]]の項目を[[参照 (書誌学)|参照]]のこと。'''
 
なお、痛ましい事故・事件の場合は、「'''惨事'''(さんじ)'''」とも称され、特に大きく悲惨な事故・事件の場合は「'''大惨事'''(だいさんじ)'''」とも称される。
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{{要出典範囲|単に「事故」という場合、[[交通事故]]を表す場合が多い。|date= ~~~~~}}
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{{gallery|height=240px
|File:IrvingJohnstonAground.jpg|船舶事故の一例。意図せず[[座礁]]した、座礁事故。<br /> (2005年・[[アメリカ合衆国]] [[カリフォルニア州]])
|File:Telesfro Deluna, miner, walking on crutches. He is recovering from foot injured in mine accident. He has received... - NARA - 540448.jpg|[[炭鉱事故]]にあい、死は免れたが負傷して治療中の炭鉱夫(アメリカ合衆国[[コロラド州]]、1943年)
|File:PBCFR December Construction Accident 1.JPG|[[建設]]現場での事故。掘っている穴の側面が突然崩れて作業員が[[生き埋め]]になったり、足場が倒壊して死傷したり、大型機械に作業員が轢かれてしまったり、[[クレーン]]で吊り上げたものが落下して下の作業員が死傷したり、高所で作業員がうっかり道具を落として下の作業員が死傷、などと様々な事故が起きる。
|File:Telesfro Deluna, miner, walking on crutches. He is recovering from foot injured in mine accident. He has received... - NARA - 540448.jpg|[[炭鉱事故]]にあい、死は免れたが負傷して治療中の炭鉱夫(アメリカ合衆国[[コロラド州]]、1943年)
|File:Netanya Train Accident2011-1.jpg|[[鉄道事故]]の一例(アメリカ合衆国、2011年)
|File:Helicopter_crash_2011_zuoz.jpg|[[航空事故]]の一例。
|File:Chernobylreactor_1.jpg|[[原子力事故]]の一例。[[ロシア]]・[[チェルノブイリ原子力発電所事故]]の現場。(事故後に覆われた原子炉棟)
}}
 
== 種類・表現 ==
{{Main|事故の一覧}}
{{Main|事故の一覧}}「事故」には「交通事故」や「海難事故」など事故の生じた場所を表す言い方、「人身事故」や「製品事故」など事故の作用先を表す言い方がある{{Sfn|小松原明哲|2019|p=1}}。また、事故の重大性や被害の大きさから「大事故」や「軽微な事故」などと表現することがある{{Sfn|小松原明哲|2019|p=1}}。
* [[天候]]による事故
:** [[雨]]による事故
:** [[雪]]による事故
:*: 山岳部での[[遭難]]、人里での雪降ろし中の落下事故や[[生き埋め]]事故、自動車や人の[[スリップ]]事故や転倒事故、[[飲酒]]と関わりが深い事故、豪雪による通信網切断、等々、多岐に及ぶ。
:** [[落雷]]事故
:** ほか、[[気流]]による事故など、多数。
* [[火災]]事故
* [[爆発]]事故
* [[水難事故]]
:** [[海難事故]]
:** [[潜水事故]]
:** 水中洞窟での事故([[テクニカルダイビング]]の事故)
* [[交通事故|自動車交通事故]]
* [[鉄道事故]]
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* [[郵便]]や[[宅配便]] - 「郵送事故」や「配達事故」などと呼ばれる。誤配送や何かの手違いにより配達すべき[[手紙]]や荷物が不達( = とどかない状態)になってしまった場合。
* [[放送]] - [[放送事故]]と呼ばれる。設備の故障や手配・操作ミスなどで、放送すべき番組を間違えてしまったり、[[停波]]させてしまい放送が途切れてしまったりした場合。
 
== 事故の起因源 ==
事故の起因源は大きく分けて
 
# 自然要因:[[気象]]や[[動物]]、[[病原体]]などが自然が原因となるもの。それ自体を制御することは困難であるが、[[防災]]や衛生管理などの事前の対策が行われないと人災として扱われることがある。
# 社会要因:犯罪行為などによって意図的になされた行為が原因となるもの。セキュリティや[[防犯]]により対策していく必要がある。
# 技術要因:業務上で扱う危険因子(毒物や高電圧など)、または道具やシステムの欠陥や故障・運用変更など技術面が原因となるもの。
# 対象要因:サービスの供給能力に対して需要がオーバーすることが原因となるもの。対策として需給のバランスを考えて運用・制御する必要がある。
*# 人的要因:[[ヒューマンエラー]]のこと。
 
に分けられる{{Sfn|小松原明哲|2019|pp=2-4}}。
 
== 事故調査 ==
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=== 自衛隊用語 ===
自衛隊の組織内では、規則違反事案全般、もしくは人員の欠員を「事故」と表現することがある。
; 種類
<ref>「'''規則違反'''」や「'''人員欠員'''」という、本来の表現、内容を直接的表現することを避けており、「事故」と[[表現]]したり、「事故」という言葉と一体化させることで、「'''意図していたのではない'''」という面を強調し、「'''できることなら、ことを穏便に済ませたい'''」という気持ちが背後で働いている、自衛隊ならではの言葉づかい、自衛隊独特の言葉づかい、である。民間[[企業]]では、こういう言葉づかいをすると、かえって「'''[[責任]]を自覚していない'''」とか「'''(やるべきことをやらず)責任回避ばかりをしている'''」などといった指摘がされ、かえって解任されたり、バッサリと[[解雇]]されたりする。</ref>
 
; 種類
* 服務事故
* 人員事故
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{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
 
== 参考文献 ==
 
* {{Cite book|和書|title=ヒューマンエラー|date=2019-10-30|year=2019|publisher=丸善|ref=harv|author=小松原明哲|edition=第3版|isbn=978-4-621-30435-8}}
 
== 関連項目 ==
{{Commonscat|Accidents}}
{{Wiktionary|事故}}
* [[安全]] - [[安全学]]
* [[安全学]]
* [[安全工学]]、[[信頼性工学]]
* [[日本の事故一覧]]
* [[災害]]
* [[ヒューマンエラー]] - [[医療過誤]]、[[過労]]
* [[過労]]
* [[交通]] - [[危険運転致死傷罪]]
* [[医療過誤]]
* [[交通]]
* [[運輸安全委員会]]([[2008年]]([[平成]]20年)10月に[[航空・鉄道事故調査委員会]]から[[組織変更|改組]])
* [[業務上過失致死罪]]
* [[危険運転致死傷罪]]
* [[ハインリッヒの法則]]
* [[フォルトツリー解析]]([[故障の木解析]])
* [[トラウマ]] - [[急性ストレス障害]]、[[PTSD]]、[[メンタルケア]]
* [[ヒューマンエラー]]
* [[トラウマ]]
* [[急性ストレス障害]]
* [[PTSD]]
* [[メンタルケア]]
 
{{Normdaten}}