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|管理運営 =
|構造形式 = 木造、寄棟造、桟瓦葺
|敷地面積 = 2045.44
|建築面積=|建築面積ref = 主屋266.76、ミセ32.23、文庫蔵16.52、東土蔵39.66、北土蔵32.23 [[平方メートル|m<sup>2</sup>]] | 建築面積備考=
|延床面積 =
|階数 = 2階建<ref name="静岡新聞20160630"/>
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|備考=
}}
 
{{maplink2|frame=yes|plain=|type=point|zoom=14|frame-align=right|frame-width=300|text=松城家住宅の所在地|coord={{coord2|34|58|32.7|N|138|46|39.4|E}}}}
 
'''松城家住宅'''(まつしろけじゅうたく)は、[[静岡県]][[沼津市]][[戸田村 (静岡県)|戸田]](へだ)にある歴史的建造物である。'''松城邸'''(まつしろてい)とも呼ばれる。2006年(平成18年)7月5日に主屋、文庫蔵、門などの建造物7棟及び土地が国の[[重要文化財]]に指定された<ref name="静岡新聞20160630"/><ref name="文化遺産オンライン"/>。
 
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2代目松城兵作は事業を米や穀物食品の輸送販売に拡大し、大阪、兵庫、中国地方へ交易を広げていき現在の松城邸を建てた<ref name="重要文化財松城家住宅 1P"/>。
 
3代目松城兵作は伊豆浦汽船会社の社長、[[田方郡]]会議員、静岡県会議員、1912年に[[衆議院議員]]、戸田村長をめた<ref name="重要文化財松城家住宅 1P"/>。
 
=== 建築の経緯 ===
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工事により非公開とされるまえまで、松城家住宅は月に2回の一般公開を行っていた<ref name="静岡新聞20160630">{{Cite news |title=重文「松城家住宅」改修へ |newspaper=静岡新聞 |date=2016-06-30 |author= |page=}}</ref>。2016年(平成28年)4月から6月の3カ月には、前年の同時期に比べ1.4倍の98人が見学に訪れている<ref name="静岡新聞20160630"/>。修繕工事中も年1回は工事の進捗状況を紹介する説明会を実施するとしている<ref name="静岡新聞20170310"/>。
<gallery>修復中の松城邸.jpg|thumb|修復中の松城邸の様子(2020年3月現在)</gallery>
 
2022年(令和4年)9月に保存修理工事が完了<ref>{{Cite web|和書|url= https://www.city.numazu.shizuoka.jp/shisei/pr/kohonumazu/1676/page02-03.pdf |title= No.1676 広報ぬまづ2022年10月1日号 |publisher=[[沼津市]] |accessdate=2022-10-02}}</ref>、2022年11月3日に一般公開された<ref>
[https://web.archive.org/web/20230518091728/https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1145563.html/ 2022年11月4日静岡新聞]</ref><ref>[https://web.archive.org/web/20230518092106/https://izu.keizai.biz/headline/1568/ 2022年11月2日沼津経済新聞]</ref>。
 
=== 松城家を利用したエピソード ===
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== 建築 ==
主屋、ミセ、文庫蔵、東土蔵、北土蔵(各2階建て)からなる建物群と、外周の石塀、石積の庭塀からなる<ref name="文化遺産オンライン">{{Cite web |和書|url=https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/169711 |title=松城家住宅 主屋 |publisher =文化遺産オンライン |accessdate=2020-03-21}}</ref>。現存する蔵は2階建てで、味噌や米を貯蔵するためのものだった<ref name="静岡新聞20170310"/>。
 
以下の建造物7棟及び土地が「松城家住宅」として国の重要文化財に指定されている。
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2階の外壁にみられる3つの窓のうち、右端の1つだけが本物の窓である<ref name="静岡県文化財団53p"/>。左側2つは外観上のバランスをとるために、[[漆喰]]で描かれた窓となっている<ref name="静岡県文化財団53p">{{Cite book|和書|author=創碧社 |title=しずおかの文化新書 伊豆の長八・駿河の鶴堂 |publisher=静岡県文化財団 |date=2012 |page=53 |isbn=}}</ref>。2020年(令和2年)3月の段階では撤去されているが、かつて2階西側南面と北側にはバルコニーが、最低3回は1873年(明治6年)から90年間で改造されている。当初は、西洋式のバルコニーを真似て建築したため簡易なものであったと推定される<ref name="重要文化財松城家住宅 2P"/>{{sfn|重要文化財松城家住宅保存修理工事〜特別公開第2回〜|p=4}}。棟端瓦については、松城家の家紋である[[木瓜紋]]が使われている{{sfn|重要文化財松城家住宅保存修理工事〜特別公開第3回〜|p=6}}。
 
主屋については、2階天井には、ポルトガル製とされる幾何学模様の紙が一面に貼られており、これは、明治当初の輸入品と言われている一方、2階の床は、畳敷きとなっている<ref name="#1">{{Cite book|冊子|author=沼津市教育委員会 文化振興課 文化財センター|title=重要文化財 松城家住宅保存修理工事〜特別公開第1回〜 |publisher=沼津市教育委員会 文化振興課 文化財センター |isbn=}}</ref><ref name="静岡新聞20160630" />。
また、2階に設置されていたオイルランプは、戸田村に隣接する井田村住人がアメリカへの出稼ぎから帰る際、明治30年代に作成されたB・H社オイルランプを明治末頃寄贈したものである<ref>{{Cite book|冊子|author=沼津市教育委員会 文化振興課 文化財センター|title=重要文化財 松城家住宅保存修理工事〜特別公開第3回〜 |publisher=沼津市教育委員会 文化振興課 文化財センター |isbn=}}</ref>。ランプ吊り天井飾りは、いずれも漆喰で描かれている。
 
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=== 入江長八の作品 ===
主屋には漆喰彫刻が施され、土間入口外側の「牡丹」、1階マエナンド天井の「秋の実り」、2階天井の「龍」、2階南側縁の「雨中の虎」などがある<ref name="gekkanbunkazai"/><ref>{{Cite book|冊子|authorname=沼津市教育委員会 文化振興課 文化財センター|title=重要文化財 松城家住宅保存修理工事〜特別公開第"#1回〜 |publisher=沼津市教育委員会 文化振興課 文化財センター |isbn=}}<"/ref>。
入江長八は[[こて絵|鏝絵]]師として知られるが、松城家住宅には左官そのものの長八の技術が窺える特異な建築装飾も、2階の壁面に表れている<ref name="静岡県文化財団51p"/>。次の間の床の間一間が、奥行き20センチメートル弱の鼠色の壁面で、壁一面に着物のしぼり模様のような文様が刻まれている<ref name="静岡県文化財団51p"/>。壁面が湿っている状態で、薄い布をかぶせ、その布を軽くつまんで絞るように描かれたものと思われ、光を当てることで微妙に変化する壁面の肌合いを見せる工夫とみられる<ref name="静岡県文化財団51p">{{Cite book|和書|author=創碧社 |title=しずおかの文化新書 伊豆の長八・駿河の鶴堂 |publisher=静岡県文化財団 |date=2012 |page=51 |isbn=}}</ref>。
このほか特徴的な装飾に、掛け軸を土壁で描いた「寒梅の塗掛け軸」とよばれる壁画がある<ref name="静岡県文化財団53p"/>。掛け軸の四周を擦り切れさせ、軸は丸く盛り上がり、古びて見せるなど手が込んだものとなっている<ref name="静岡県文化財団53p"/>。1875年(明治8年)、長八61歳の折の作とされる<ref name="静岡県文化財団53p"/>。
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:木瓜形の額縁の中に牡丹が3輪描かれている<ref name="重要文化財松城家住宅 9P"/>。1876年(明治9年)、長八62歳の折の作品とみられるが、落款はないものの「天祐之章」と書き判が残る<ref name="伊豆の長八106p"/>。無着色で、長径102センチメートル、短径82センチメートルあり、松城家のランプ掛け装飾の中では大ぶりの作品である<ref name="伊豆の長八106p">{{Cite book|和書|author=伊豆の長八生誕200祭実行委員会 |title=伊豆の長八 |publisher=松崎町・一般社団法人松崎町振興公社 |date=2015 |page=106 |isbn=}}</ref>。
;龍1
:円形額縁の中に龍の姿が描かれており、龍の目玉は金銀の左右異なったガラスで出てきている<ref>{{Cite book|冊子|authorname=沼津市教育委員会 文化振興課 文化財センター|title=重要文化財 松城家住宅保存修理工事〜特別公開第"#1回〜 |publisher=沼津市教育委員会 文化振興課 文化財センター |isbn=}}<"/ref><ref>関賢助『左官教室』黒潮社、600号、p. 69</ref>。
; 龍2
: 天井のランプ釣元飾りである。円形のなかに龍の顔、脚、胴体を巧みにデザインし配置した作品で、玉眼と口にわずかに朱色を用いたほかは漆喰で描かれた鏝絵である<ref>{{Cite book|和書|author=伊豆の長八生誕200祭実行委員会 |title=伊豆の長八 |publisher=松崎町・一般社団法人松崎町振興公社 |date=2015 |page=104 |isbn=}}</ref>。
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== 外部リンク ==
* [https://www.city.numazu.shizuoka.jp/kankou/sisetu/matsushiro/ 松城邸] 沼津市
* [https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/169711 松城家住宅 主屋] 文化遺産オンライン
* [https://www.city.numazu.shizuoka.jp/kankoukurashi/sisetukyoiku/matsushirokyoiku/bunka/matsushiroke.htm 重要文化財松城家住宅] 沼津市公式WEBサイト
* [https://numazukanko.jp/spot/40178 松城家住宅] 沼津観光ポータル
* [https://www.youtube.com/watch?v=kk_QizejHDE ぬまづの宝100選 歴史編]沼津市公式youtubeチャンネル