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『'''白昼の悪魔'''』(はくちゅうのあくま、原題:[[:en:Evil under the Sun|Evil under the Sun]])は、[[イギリス]]の小説家[[アガサ・クリスティ]]によって[[1941年]]に発表された長編[[推理小説]]である。初訳は[[堀田善衛]]訳『白晝の悪魔』が[[早川書房]]の傑作探偵小説シリーズから刊行。同訳は現行の表記で[[ハヤカワ・ポケット・ミステリ]]にも収録された。その後[[講談社]]がクリスチー探偵小説集の一点に『太陽は見ていた』の題名で予定したものの、早川書房が翻訳権を持っていたため中止となった。1976年の[[鳴海四郎]]による新訳はハヤカワ・ノヴェルズ、ハヤカワミステリ文庫を経てクリスティー文庫に至る。
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『'''白昼の悪魔'''』(はくちゅうのあくま、原題:''Evil under the Sun'')は、[[イギリス]]の小説家[[アガサ・クリスティ]]が[[1941年]]に発表した[[エルキュール・ポアロ]]シリーズの長編[[推理小説]]である。
 
スマグラーズ島の浜辺で、周囲の異性に魅力を振り撒きながら避暑地を満喫していた元女優アリーナ・マーシャルが殺害される。「白昼にも悪魔はいる」という[[エルキュール・ポアロ]]の言葉どおり、不穏な空気が流れる中、ホテルの客の1人と不倫していた彼女に殺害の動機を持つ容疑者が浮かび上がるが、完璧なアリバイに捜査は難航する。
 
== あらすじ ==
ポアロは[[デヴォン]]の人里離れたホテルで静かな休暇を過ごす。他には元女優のアリーナ・マーシャルとその夫ケネス、ケネスの娘のリンダ、ホレス・ブラット、退役将校のバリー少佐、ケネスのかつての恋人ロザモンド・ダーナリー、パトリック・レッドファンとその妻クリスチン(元教師)、アメリカ人のキャリー・ガードナーとその夫オーデル、スチーブン・レーン牧師、エミリー・ブルースター(スポーツ万能の独身女性)といった宿泊客がいる。ポアロはまもなく、アリーナが浮気性で、パトリックといちゃついて彼の妻を怒らせ、自分の継娘にも嫌われていることに気づく。ある朝、アリーナはピクシー・コーブという[[入り江]]にこっそり出かけるが、昼過ぎにボートを漕いでいたパトリックとブルースターに遺体で発見される。地元警察の医師により、彼女は何者かに絞殺されたと判断される。
イギリスのスマグラーズ島にある「ジョリー・ロジャーホテル」に休暇でやってきた[[エルキュール・ポアロ|ポアロ]]は、元女優のアリーナ・マーシャルを見かける。彼女の周りには、穏やかならぬ雰囲気が漂っていた。ポアロは、彼女がホテルの客の一人と不倫しているのを見つける。そして、ある快晴の日に、彼女が死体で見つかった。だが、関係者には、完璧と思えるアリバイがあった。
 
ポアロと地元警察のコルゲート警部は、容疑者と思われる人々に午前中の行動を聴取する。アリーナの夫ケネスは手紙をタイプライターで打っており、ガードナー夫妻は午前中ずっとポアロと一緒だった。ロザモンドはピクシー・コーブを見下ろす場所で読書をしており、ブラットはセーリングに出かけ、リンダとクリスチンはガル・コーブに行って昼前まで戻らなかった。正午、クリスチン、ロザモンド、ケネス、オーデルはテニスをするために集まった。ポアロは、午前中に何者かが客室から投げた瓶がブルースターに当たりそうになったこと、ホテルの客室係が正午に誰かが風呂の水を流す音を聞いたことを知る。ピクシー・コーブにある洞窟で、ポアロはアリーナが使っていた香水の匂いを感じる。その後、ポアロは皆をピクニックに誘い、密かに彼らの行動を観察する。ピクニックの後、リンダはクリスチンの[[睡眠薬]]で自殺を図る。ポアロは後に、彼女が[[ブードゥー教]]の[[呪文]]で義母を殺したと思い込んで罪悪感にさいなまれていたことを知る。
 
ポアロは今回の事件と似たような事件がなかったかどうかを警察に問い合わせ、アリス・コリガン絞殺事件の資料を入手する。アリス・コリガンの遺体は地元の教師によって発見されたが、夫のエドワードにはアリバイがあった。ポアロはエドワードと遺体発見者の二人の写真も手に入れる。ポアロは容疑者たちを集め、パトリックとクリスチンのレッドファン夫妻がアリーナ殺害の犯人であると指摘する。二人はアリーナに多額の資産を「素晴らしいチャンス」に投資するよう騙して金を巻き上げ、それを彼女の夫に知られるのを防ぐために殺したのだった。殺害は死亡時刻を偽るために計画的に行われた。クリスチンはリンダと一緒にいるとき密かにリンダの腕時計を20分進め、わざと時間を尋ねてから再び時計を正しい時刻に戻した。その後クリスチンは部屋に戻り、人目につかないように偽の日焼けメイクを施してその化粧瓶を窓から投げ捨てた。パトリックはアリーナに、待ち合わせ場所に妻が現れたら身を隠すように指示していた。アリーナが洞窟に隠れたのを見計らってクリスチンは死体になりすましてパトリックとブルースターに姿をさらした。ブルースターが去るとクリスチンは急いでホテルに戻って日焼けメイクを風呂で洗い落とした。そしてパトリックは洞窟からアリーナを呼び出し、彼女の首を絞めたのだった。
 
ポアロは、クリスチンが[[高所恐怖症]]だというのは嘘で、ピクニック中に吊り橋を渡ることができたこと、ブルースターが外にいるのを知らずに日焼けメイクのための化粧品の瓶を部屋の窓から捨ててしまったことを明らかにする。リンダの自殺未遂も彼女によって引き起こされたものだった。ポアロは、アリス・コリガンの殺人も同じように行われたと明かす。サリー警察の写真から、パトリックは当時のエドワード・コリガンであり、クリスチンは死体発見者の教師であることが判明したのだ。ポアロはパトリックを煽り、彼は激昂して妻が口止めしようとするにもかかわらず正体を暴露してしまう。事件は解決し、ポアロはリンダに彼女がアリーナを殺したのではないことを告げ、彼女が次の「継母」を憎むことはないと予言する。
 
== 登場人物 ==
* '''エルキュール・ポアロ''' - 私立探偵。
* '''オーデル・C・ガードナー''' - ホテルの宿泊客。アメリカ人。
* '''キャリー・ガードナー夫人''' - ホテルの宿泊客。おしゃべりなオーデルの妻。
* '''バリー少佐''' - ホテルの宿泊客。
* '''スチーブン・レーン''' - ホテルの宿泊客。元牧師。
* '''エミリー・ブルースター''' - ホテルの宿泊客。スポーツウーマン。アリーナに損害を負わされた過去がある
* '''ロザモンド・ダーンリー''' - ホテルの宿泊客。ドレスメーカー。ケネスに気がある。
* '''ケネス・マーシャル''' - ホテルの宿泊客。実業家。
* '''アリーナ・マーシャル''' - ホテルの宿泊客。ケネスの後妻。美貌の元女優。事件の被害者。
* '''リンダ・マーシャル''' - ホテルの宿泊客。マーシャル夫妻の娘。継母であるアリーナを疎ましく思う。
* '''パトリック・レッドファン''' - ホテルの宿泊客。アリーナと不倫関係にある。
* '''クリスチン・レッドファン''' - ホテルの宿泊客。パトリックの妻。元教師。夫の不倫に気付き、アリーナを恨む。
* '''ホレス・ブラット''' - ホテルの宿泊客。ヨットが趣味。
* '''ミセス・カースル''' - ホテルの女主人
* '''コルゲート''' - 州警察警部
* '''ウェストン警視正''' - 州警察本部長
 
== 日本語訳 ==
本作品は[[早川書房]]の日本語翻訳権独占作品である。
 
初訳は[[堀田善衛]]訳『白晝の悪魔』が早川書房の傑作探偵小説シリーズから刊行された。同訳は現行の題名と同様の表記で[[ハヤカワ・ポケット・ミステリ]]にも収録された。その後、[[講談社]]がクリスチー探偵小説集の一点に『太陽は見ていた』の題名で予定していたものの、翻訳権を取得していなかったため、早川書房の抗議を受けて刊行は中止となった。1976年の[[鳴海四郎]]による新訳はハヤカワ・ノヴェルズ、ハヤカワ・ミステリ文庫を経てクリスティー文庫に至る。
 
<div style="margin:0 2em 0 4em">
{| class="wikitable" style="width:100%;text-align:center"
!style="width:12%"|題名||style="width:8%"|出版社||style="width:16%"|文庫名||style="width:8%"|訳者||style="width:16%"|巻末||style="width:10%"|カバーデザイン||style="width:9%"|初版年月日||style="width:5%"|ページ数||style="width:8%"|ISBN||style="width:8%"|備考
 
|-style="background-color:Gray"
|白昼の悪魔||早川書房||[[ハヤカワ・ミステリ文庫]]1-82||鳴海四郎||ー||[[真鍋博]]||1986年4月30日||313||4-15-070082-6||'''絶版'''
|-
|白昼の悪魔||早川書房||クリスティー文庫20||鳴海四郎||解説 [[若竹七海]]||''Hayakawa Design''||2003年10月15日||389||4-15-130020-1||
|-
|}
</div>
 
== 作品の評価 ==
* [[江戸川乱歩]]は本作品を作者ベスト8の1つに挙げている。
* [[1982年]]に行われた日本クリスティ・ファンクラブ員の投票による作者ベストテンでは、本書は10位に挙げられている<ref>乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10(6)『[[アクロイド殺害事件]]』([[集英社文庫]]、1998年)巻末解説参照。</ref>{{efn|[[1971年]]に行われた日本全国のクリスティ・ファン80余名の投票による作者ベストテンでは、本作品はノーランク([[創元推理文庫]]『[[ゴルフ場殺人事件|ゴルフ場の殺人]]』1976年版の巻末解説参照)。}}
 
== メディア翻案作品 ==
=== 映画 ===
[[1982年]]公開。邦題は『'''[[地中海殺人事件]]'''』。『[[ナイル殺人事件 (1978年の映画)|ナイル殺人事件]]』に続き、[[ピーター・ユスチノフ]]がポアロを演じた。舞台は[[アドリア海]]の隔絶した[[リゾート地]]に変更された(撮影は[[スペイン]]の[[マジョルカ島]]で行われた)
 
*監督 : [[ガイ・ハミルトン]]
* 監督 - [[ガイ・ハミルトン]]
* 脚本 :- [[アンソニー・シェーファー]] / [[バリー・サンドラー]]
* キャスト
** [[ピーター・ユスティノフ]](エルキュール・ポアロ)
** [[ダイアナ・リグ]](アリーナ・マーシャル)
** [[ジェームズ・メイソン]](オーデル・ガードナー)
** [[マギー・スミス]](ダフネ・カースル)
** [[ニコラス・クレイ]](パトリック・レッドファン)
** [[ジェーン・バーキン]](クリスチン・レッドファン)
** [[ロディ・マクドウォール]](レックス・ブルースター)- 原作では女性だが映画では男性の設定になっている。
 
=== テレビドラマ ===
; [[名探偵ポワロ]]『白昼の悪魔』
[[2001年]]、[[デビッド・スーシェ]]主演のドラマ「[[名探偵ポワロ]]」にて映像化されている。ガードナー夫妻が登場しない、マーシャル夫妻の娘リンダが「息子、ライオネル」になっている、[[アーサー・ヘイスティングズ|ヘイスティングズ]]、ミス・レモン、ジャップ警部らが重要な役回りを演じる、など原作との相違が見られる。
: シーズン8 エピソード1(通算第48話) {{Flagcountry|GBR}}2001年放送<ref>{{cite web| url=https://www.imdb.com/title/tt0276115/| title=Evil Under the Sun |website=IMDB |accessdate=2023-07-02}}</ref>
: 内容はほとんど原作に沿っているが、原作には登場しない[[アーサー・ヘイスティングズ|ヘイスティングズ]]、ミス・レモン、[[ジェームス・ハロルド・ジャップ|ジャップ警部]]も登場する他、一部登場人物にも変更がある。ポワロが島を訪れた理由として、ヘイスティングズが投資したアルゼンチン料理のレストランのオープニングナイトに招かれるもそこで倒れてしまい、病院で肥満と診断されたためにミス・レモンによって半ば強制的に療養としてヘイスティングズと共に訪れたと設定されている(なお、ポワロが倒れた真の理由はラストにおいて明かされる)。
: ロケ地のホテルがある島は{{仮リンク|バー・アイランド|en|Burgh Island}}<ref>{{cite book| title=ポワロと私―デヴィッド・スーシェ自伝 |author=デヴィッド・スーシェ| publisher=原書房}}</ref>{{efn|映像に見られる{{仮リンク|シートラクター|en|Sea tractor}}は現在でも使用されている<ref>{{cite web| url=https://www.burghisland.com/ |title=Burgh Island|accessdate=2023-07-02}}</ref>。}}。
:* エルキュール・ポワロ: [[デヴィッド・スーシェ]]
:* アレーナ・スチュアート: {{仮リンク|ルイーズ・デラメア|en|Louise Delamere}}
:* ケネス・マーシャル: デイビット・マリンソン
:* パトリック・レッドファーン: {{仮リンク|マイケル・ヒッグス|en|Michael Higgs}}
:* クリスティン・レッドファーン: {{仮リンク|タムジン・モールソン|en|Tamzin Malleson}}
:* エミリー・ブルースター: {{仮リンク|キャロリン・ピックルズ|en|Carolyn Pickles}}
:* ロザムンド・ダーンリー: マーシャルの元恋人{{efn|彼女とポワロが過去に[[エジプト]]での殺人事件で会ったことがあるというやり取りがあるのは『[[ナイルに死す]]』を指していると思われるが、原作ではこのやり取りはなく、テレビドラマで『ナイルに死す』は本作より後のシーズン9である。}}
 
=== ゲーム ===
[[2007年]]、[[北米]]と[[EU]]で[[The Adventure Company]]により[[PC/AT互換機|PC]]/[[Wii]]向け[[アドベンチャーゲーム]]としてリリースされた。ポアロを声優のケヴィン・ディレーニーが演じた。
 
=== ラジオドラマ ===
[[1999年]]、[[英国放送協会のラジオ放送#ラジオ4|BBC Radio 4]]で放送されている。
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{Reflist}}
 
== 外部リンク ==
{{lit-stub}}
* [https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000011111/author_KAgyo_KU_1277/page1/disp_pc/ 白昼の悪魔] - Hayakawa Online
 
{{アガサ・クリスティ}}
{{lit-stub}}
{{movie-stub}}
{{tv-stub}}
{{video-game-stub}}
{{DEFAULTSORT:はくちゆうのあくま}}
[[Category:エルキュール・ポアロの小説]]
[[Category:1941年の小説]]
[[Category:宿泊施設を舞台とした小説]]
 
[[Category:島を舞台とした小説]]
[[bs:Zlo pod suncem]]
[[Category:イングランドを舞台とした小説]]
[[ca:Evil under the Sun]]
[[Category:ハヤカワ文庫]]
[[da:Solen var vidne]]
[[Category:1999年のラジオドラマ]]
[[de:Das Böse unter der Sonne (Roman)]]
[[Category:BBCのラジオ番組]]
[[el:Κακό κάτω από τον ήλιο]]
[[Category:殺人を題材とした作品]]
[[en:Evil Under the Sun]]
[[es:Maldad bajo el sol]]
[[fi:Varjossa auringon alla]]
[[fr:Les Vacances d'Hercule Poirot]]
[[hr:Zlo pod suncem]]
[[hu:Nyaraló gyilkosok]]
[[it:Corpi al sole]]
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[[pl:Zło, które żyje pod słońcem]]
[[pt:Evil Under the Sun]]
[[ru:Зло под солнцем]]
[[sr:Зло под Сунцем]]
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[[tr:Ölüm Oyunu (roman)]]
[[uk:Зло під сонцем]]