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{{出典の明記|date=2010年12月}}
'''平行進化'''(へいこうしんか、{{lang-en-short|parallel evolution}})は、[[生物]]の[[進化]]に関する現象のひとつで、異なった種において、似通った方向の進化が見られる現象を指す。平行進化の結果が[[収斂進化|収斂]]である場合もある。その他いくつかの用法がある。
 
== 定義 ==
この言葉の内容にはやや混乱がある。往々にして「共通の祖先をもつものが、互いに共通した進化の傾向を示すこと」との定義を見かけるが、用例は必ずしもその通りではない。異なった系統から収斂に向かうような進化を平行進化と呼ぶ例も多い。他方で、先の定義は共通する祖先を認め、平行進化を共通する[[遺伝子]]の働きの元でのもの、と言うことを示唆するものである。
 
先の定義に即して言えば、平行進化というのは、共通の祖先を持ち、現在では別の[[種 (分類学)|種]]となっている生物の間で、互いに相同な器官が、別の種であるにもかかわらず、ある条件の下で、同じような傾向の変化を示すことである。そのような意味でも平行進化の例としては、[[節足動物]]の様々な群に見られる、付属肢の基部関節の摂食器官化などはその例に挙げられよう。現在の節足動物では、口器として一部の付属肢が[[大顎]]などの形になっているが、例えば[[三葉虫]]では、そのような特殊化した口器は見られず、歩脚の基部関節の内側が肥硬化し、あるいは歯のように発達して、摂食のために用いられた。同様な例は[[ウミサソリ]]など系統的に離れた節足動物の各群に見られる。あるいは同じく節足動物の各群で、付属肢先端部分が[[はさみ (動物)|鋏脚]]化する例が多数ある([[エビ]]・[[カニ]]・[[サソリ]]など)ことなども例として挙げられる。あるいは両生類の有尾目のいくつかの群で見られる[[幼形成熟]]([[トラフサンショウウオ科|アホロートル]]、[[ホライモリ]]など)などもこれに近い。
 
== 適応的なもの ==
平行進化は、異なる分類群の生物において、似通った進化の方向性が見られる場合に、これを指していう言葉としてもよく使われている。そのような現象は、異なった系統の生物が、互いに似通った[[ニッチ]](生態的地位)にいることで、似通った傾向の淘汰圧をかけられた場合に生じることがある。例えば[[哺乳類]]の[[イルカ]]と[[爬虫類]]の[[魚竜]]が似通った姿をしていること、あるいは、[[モグラ]]と[[昆虫]]の[[ケラ]]が似たような体型、よく似た前足を持つことを、平行進化の結果であるという。この場合、互いの相同性等は問わない。また、この結果として互いに似通った姿になることを、[[収斂進化|収斂]](収斂進化)という。
 
[[収斂進化|収斂]]の例として有名なのが、多数の哺乳動物のうちの有胎盤類について、それと対応する[[有袋類]]が[[オーストラリア大陸]]でみられることである。[[オオカミ]]に対応する[[フクロオオカミ]]、[[オセロット]]に対応する[[オグロフクロネコ]]、[[マーモット|ウッドチャック]]に対応する[[ウォンバット]]などである。これらも、動物が似たような生活のしかたに適応していくために起こった平行進化の例である。
 
== 体制に関するもの ==
体の基本的な構成や器官の基本的設計などといった、直接的な[[適応 (生物学)|適応]]とは見なせない部分に、系統の違う群で似たような方向の変化が見られる場合がある。これをも平行進化と呼ぶ場合もある。
 
たとえば、[[脊椎動物]]の目は[[レンズ]]と[[網膜]]を備えた[[カメラ眼]]と言われる構造をもつが、ほぼ同じ構造の目が[[タコ]]や[[イカ]]など[[頭足類]]に見られる。これらの間の系統関係は遠く、眼そのものの起源はともかく、この構造は全く独立に発達したものである。また、両者に共通の生態的地位や類似した選択圧を考えるのも難しい。
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{{DEFAULTSORT:へいこうしんか}}
[[CATEGORY:生物学的進化]]