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'''ファルセット'''(
▲|出典の明記=2017-12
▲'''ファルセット'''([[イタリア語|伊語]]・[[英語]]:'''falsetto''')とは歌手が特に高いピッチ(音高)に対応するために作り出す声色、及びその発声技術を指す。「'''仮声'''」と訳されることもある。
== 概要 ==
ファルセットは声区(声域と声質)の一つとして捉えられることが多いが、発声状態あるいは発声技法の一つとして捉えられることもある<ref name="hirayama">{{Cite journal|和書|url=https://doi.org/10.15002/00009878 |title=喉頭の運動に注目した歌唱音声の自動判別と評価 |journal=法政大学大学院紀要. 情報科学研究科編 |ISSN=1881-0667 |publisher=法政大学大学院情報科学研究科 |author=平山健太郎 |date=2013-03 |volume=8 |pages=201-206 |doi=10.15002/00009878 |hdl=10114/9123}}</ref><ref name="takahashi">{{Cite journal|和書|url=https://petit.lib.yamaguchi-u.ac.jp/6710 |title=発声用語の研究(2) : ファルセットの概念規定及び訳語の変遷を中心に |journal=研究論叢. 芸術・体育・教育・心理 |publisher=山口大学教育学部 |author=高橋雅子 |date=2009-01 |volume=58 |pages=165-179 |id={{CRID|1050282812430951552}}}}</ref>。
発声を発声法により細かく分類すると、チェストボイス、ミドルボイス、ヘッドボイス、ファルセットに分類される<ref name="murai">{{Cite web|和書|url=http://kotoba.slp.k.hosei.ac.jp/~itou/doc/2019/15k0036_1.pdf|format=PDF|title=裏声発声に着目した歌唱力向上メソッドの考案|publisher=法政大学情報科学部 音・言語メディア研究室|author=村井 亮介|date=|accessdate=2023-02-10}}</ref>。このうちチェストボイスは[[甲状披裂筋]]を使用した発声、ファルセットは[[輪状甲状筋]]を使用した発声で、歌唱時などその中間にあるミドルボイスやヘッドボイス([[ミックスボイス]])を含めて声区転換しながら発声するためには甲状披裂筋と輪状甲状筋の双方を使う必要がある<ref name="murai" />。
研究機関や辞書の定義にはファルセットを男声高音部の呼称に限定するものも多くみられる<ref name="takahashi" />。歴史的には16世紀にローマ教皇が人前で女性が演奏することを禁じたため、ソプラノやアルトなどの高音パートを少年やスペインからの歌手(ファルセット歌手)が受け持つようになったが、[[ポリフォニー音楽]]が発展する一方で少年の声量不足や[[変声期]]などの問題もあり大人の男声が担当するようになった<ref name="takahashi" />。音声生理学では複数の声区は重なっているとみるが、男性では地声区と頭声区もしくはさらにその上にファルセットの2つまたは3つの声区があり、女性では胸声区、中間区、頭声区の3つの声区があるという主張が多いとされる<ref name="hirayama" />。ただし、声区に関してクラシック音楽以外の分野では、アルペンヨーデルなどで歌唱法は男女の区別がなく行われており、広義にファルセットと呼ばれている<ref name="takahashi" />。また、ポップスの分野でもファルセットの用語を使用すべきかどうか議論は分かれている<ref name="takahashi" />。
また、地声に対する裏声とファルセットの関係についても議論がある<ref name="takahashi" />。一般的には平常時の咽頭がリラックスした状態である日常会話などで用いている声区の地声区(胸声区)での発声を地声というのに対し、頭声区に属するファルセットが[[裏声]]と呼ばれている<ref name="hirayama" /><ref name="murai" />。しかし、[[酒井弘]]のようにファルセットと裏声(頭声)を区別する主張もあり、ファルセットの訳語と解釈に関しては視点の相違が如実に表れていると指摘されている<ref name="takahashi" />。
== クラシック音楽作品での使用例 ==
{{出典の明記|date=2023年2月|section=1}}
ファルセットの音域は、男声歌手である[[カウンターテノール]]が合唱やソリストとして[[アルト]]ならびに[[メゾソプラノ]]の声域を歌うためによく利用される。合唱のテノールは、ソロ歌手が実声で歌うような音域もファルセットで歌うことがある。このようにファルセットは古くから用いられていたが、特定の箇所をファルセットで演奏するように楽譜で定めた作曲家が登場するのはずっと後になってからのことである。[[クロード・ドビュッシー|ドビュッシー]]の混声合唱曲『シャルル・ドルレアンによる3つの歌』、[[モーリス・ラヴェル|ラヴェル]]の混声合唱曲『3つの歌』ではテノールの一部箇所にこの唱法を求めている。[[イーゴリ・ストラヴィンスキー|ストラヴィンスキー]]の『[[狐 (バレエ)|きつね]]』では、低声歌手のファルセットによってコミカルな効果がもたらされている。[[カール・オルフ]]の[[カルミナ・ブラーナ]]ではバリトン歌手の独唱にファルセットが用いられる。
[[1950年代]]以後声楽にも大きな実験が加えられ、「可能な限り高い音」を出すためにファルセットを使うことが流行した。[[ジェルジ・リゲティ]]の『アヴァンチュール』、『新アヴァンチュール』、『[[レクイエム (リゲティ)|レクイエム]]』に見られる。[[ハインツ・ホリガー]]は[[スカルダネッリ・ツィクルス]]で「全曲がファルセットで演奏される」声楽曲を作曲し、特殊な効果をあげている。
== ポピュラー音楽への応用例 ==
[[ソウルミュージック|ソウル]]、ゴスペルなどでは使用頻度の高い歌唱法で、[[ロック (音楽)|ロック]]の[[ボーカリスト]]もこの歌唱法を使うこともある。[[歌謡曲]]、ニュー・ミュージック、[[J-POP]]でもこの歌唱法が使用された例がある。多くの女性歌手は自然にファルセットを歌うことがある(欧米のオペラ、クラシック界においては、女性の声は胸声、ミドルヴォイス、頭声の三種類に区分され、ファルセットは女性には出せないとする見解も強く、多くの場合、女性の発する高音は頭声として理解される<ref name="oxfordDictOperaOne">The OXFORD DICTIONARY OF OPERA. JOHN WARRACK AND EWAN WEST, ISBN 0-19-869164-5</ref>)。
男性シンガーでは、スモーキー・ロビンソン、エディ・ケンドリックス、ラッセル・トンプキンス・ジュニア、ウィリアム・ハート、[[プリンス (ミュージシャン)|プリンス]]や[[マイケル・ジャクソン]]は頻繁にファルセットを活用した
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* [[エディ・ケンドリックス]]([[テンプテーションズ]])
* [[
*クロード・ジーター(スワン・シルヴァートーンズ<ref group="注釈">ファルセットが売り物のゴスペル・グループ</ref>)
*CPスペンサー(オリジナルズ<ref>http://www.allmusic.com/artist/the-originals-mn0000890724</ref>)
*ジョニー・カーター(デルズ)
* [[スモーキー・ロビンソン]]([[ミラクルズ]])
* [[ソニー・ティル]](オリオールズ<ref group="注釈">ファルセット、ハイテナーが特徴のドゥーワップ・グループ</ref>)
* [[ダニエル・リカーリ]]、スキャット
*デヴィッド・バイロン([[ユーライア・ヒープ]])
*テッド・ミルズ(ブルー・マジック)
* [[アーロン・ネヴィル]]
* [[バリー・ギブ]]([[ビージーズ]])
* [[
*ビリー・ブラウン(モーメンツ、レイ・グッドマン&ブラウン)
* [[フランキー・ヴァリ]]([[フォー・シーズンズ]])
* [[フィリップ・ベイリー]]([[アース・ウィンド・アンド・ファイアー]])
* [[プリンス (ミュージシャン)|プリンス]]
* [[ベイビーフェイス (ミュージシャン)|ベイビーフェイス]]
* [[マイケル・ジャクソン]]
*マット・コヴィントン(フィリー・ディボーションズ<ref group="注釈">「涙のディスコティック」が日本のチャートでもヒット</ref>)
* [[:en:Russell Thompkins Jr.|ラッセル・トンプキンス・ジュニア]]([[スタイリスティックス]])<ref>http://www.russellthompkinsjr.com/</ref>
* [[ロバート・プラント]]([[レッド・ツェッペリン]])
* [[ロン・バンクス]](ドラマティックス)
* [[晃]]([[フィンガー5]])
* [[伊集加代子]]、スキャット
* [[ウイリー沖山]]、ヨーデル
* [[北嶋徹|TK]]([[凛として時雨]])
* [[キングトーンズ]]
* [[シャネルズ]]
* [[橘慶太]](w-inds.)
* [[灰田勝彦]]、ヨーデル
* [[BENNIE K]](YUKI)
* [[舞乃空]]
* [[村上てつや]](ゴスペラーズ)
* [[森中花咲]](にじさんじ)
* [[森山直太朗]]
* [[
* [[ラッツ&スター]]
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* [[トーケンズ]]:「ライオンは
* [[フォー・シーズンズ]]:「シェリー」
* [[ビージーズ]]:「ステイン・アライブ」「ナイト・フィーバー」
* [[ローリング・ストーンズ]]:「エモーショナル・レスキュー」
* [[プラターズ]]:「オンリー・ユー」
* デルフォニックス:「ララは愛の言葉」「ディドント・アイ」
*
* [[スタイリスティックス]]:「[[ユー・アー・エヴリシング]]」「
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* フィリー・ディボーションズ:「涙のディスコティック」(1975)
* [[米良美一]]:「[[もののけ姫 (曲)|もののけ姫]]」▼
* [[プリンス (ミュージシャン)|プリンス]]:「ウォナ・ビー・ユア・ラヴァー」(1979)、「[[KISS (プリンスの曲)|KISS]]」(1986)
* [[V6 (グループ)|V6]]:「[[Can't Get Enough/ハナヒラケ|Can't Get Enough]]」<ref name="V6"></ref>▼
* [[
▲* [[米良美一]]:「[[もののけ姫 (曲)|もののけ姫]]」(1997)
* w-inds:「[[FANTASY]]」「[[夢で逢えるのに〜Sometimes I Cry〜]]」「[[Invisivle|CAMOUFLAGE]]」
* 橘慶太:「[[FRAGMENTS (KEITAのミニアルバム)|Brand-New Day]]」
* 森中花咲:「諦めモード」
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=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
<references/>
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