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{{複数の問題
'''グループホーム'''(group home)とは、[[病気]]や[[障害]]などで生活に困難を抱えた人達が、専門スタッフ等の援助を受けながら、小人数、一般の住宅で生活する社会的[[介護]]の形態のことである。そこでは、地域社会に溶け込むように生活することが理想とされる。集団生活型介護という言い方もある。
|独自研究=2023年3月18日
|出典の明記=2023年3月18日
|正確性=2023年3月18日
}}
'''グループホーム''' (group home) とは、[[社会的弱者]]が小人数で支援を受けながら一般住宅で生活する[[施設]]。[[高齢者]]や重度[[障害者]]を主とした[[介護施設]]から、軽度障害者や[[親]]と同居不可能な[[子供]]などが[[共同生活]]を行う[[シェアハウス]]のようなもの、[[アパート]]のような[[集合住宅]]まで様々である。
 
社会的[[介護]]、[[養護]]の一形態。地域社会に溶け込む生活が理想とされ、「集団生活型介護」とも称する。
== 概要 ==
[[ヨーロッパ]]から始まった、障害者解放運動、[[ノーマライゼーション]]の一環で、[[精神障害者]]、[[知的障害者]]を社会的な隔離施設から解放しようとする脱施設の動向が、[[患者]]、[[高齢者]]、要養護の児童にも拡大されて、広く浸透してきたもの。現在は[[認知症]]対応型である[[認知症高齢者グループホーム]]を指すことも多いが、嚥下困難、[[学習障害]]など、他にもさまざまな障害に対応したタイプのものがある。グループホームは、[[老人ホーム]]等の福祉施設というよりも家というほうが適切である。実際、後述する認知症高齢者型グループホームは、日本では介護保険上でも住宅とみなされており、そこで提供されるサービスを、在宅サービスに位置付けている。
 
== 概要 ==
最も典型的なタイプとしては、施設ではなく住宅であることを重視し、擬似家族的あるいは里親的に生活を送るグループホームがある。[[社会福祉法人]]や介護援助サービス企業が設けたもの、障害者グループが自ら自立生活を目指して共同生活に踏み切り、[[ボランティア]]を募ってその人たちの援助で生活するものもある。
[[ヨーロッパ]]から始まった障害者解放運動、[[ノーマライゼーション]]の一環で、[[精神障害者]]、[[知的障害者]]を社会的な隔離施設から解放する脱施設の動向が[[患者]]、[[高齢者]]、要養護の児童へ拡大されて広く浸透し、グループホームとなった。
 
日本は、[[認知症高齢者グループホーム]]を指す場合が多いが、嚥下困難や[[学習障害]]など種々の障害に対応するものがある。介護保険は認知症高齢者型グループホームは住宅とみなし、提供するサービスは在宅サービスとして扱う。福祉施設ではなく住宅であることを重視し、家族や里親などを模した生活様式を採るもの、[[社会福祉法人]]や介護援助サービス企業が設置して運営するもの、障害者グループが自立して共同生活するもの、医療施設を核とする大規模な総合福祉施設の敷地内に小規模な建物で分園化したものもある。
こうした独立したグループホームのほかに、大規模な[[障害者コロニー]]のような総合施設の中でいくつかそういう小規模な建物が散在するタイプもある。分園化というが、[[病院]]を中心に持った大規模施設の利点とホーム型居住のケアの細やかさの両方を生かすという工夫である。
 
== 歴史 ==
グループホーム当初精神病患者向けに[[イギリス]]で提唱されたのが始まりである[[18世紀]]のイギリス今日、現在[[援護寮]]、グループホーム、小規模精神科病院に相当するマッドハウスの建設などが盛んに行わ建設さている規模や様式はさまざまで[[ホームステイ]]や[[アパート]]形式のものから100床以上の病床のものまでなど、種々の規模や様式が存在していた<ref>精神障害者をどう裁くか [[岩波明]] [[光文社]] ISBN 9784334035013 p74</ref>。
 
認知症高齢者を対象としたものは、[[1980年代]]に[[スウェーデン]]で認知症緩和ケアの大家である[[バルブロ・ベック=フリース]] (''Barbro Beck-Friis'')博士 、これまでの寝かせきりではなく、民家を借りて認知症高齢者と共同生活を始めた事例、その発祥とされてい最初である。日本のグループホームもスウェーデンに倣って導入された。
 
== 日本のグループホーム制度 ==
{{Main|認知症高齢者グループホーム}}
{{日本の介護保険財政}}
日本では、厚生省(現在の[[厚生労働省]])のが策定した2000年度から2004年度の計画(通称、である[[ゴールドプラン21]])によってこれまで従来は設置目標がなかった'''認知症高齢者グループホーム'''を、2004年度までに3200所整備すると発表した。また2000年度に制定された[[介護保険法]]に基づく[[介護保険制度]]により介護サービス給付が利用できるように可能となり、認知症高齢者グループホームが急速に普及している。介護保険制度では、グループホームといえば'''認知症高齢者型'''を指す。ただし、目黒区のようになど知的障害者グループホーム条例を制定している自治体もある。本節では、特に断りがない限り認知症高齢者型を指す。
 
グループホームへの仲介は市区町村の介護課や社会福祉協議会行わグループホームを仲介しないのでため、要介護者またはその家族が探す必要がある。また、グループホームの空き状況は一元的に管理されておらず、直接グループホームに確認する必要がある[http://www.wam.go.jp/kaigo/ 介護事業者情報]や各地の認知症グループホーム連絡協議会で空き状況を確認ができ提供すようにしているところ事例みられ
 
=== 介護保険 ===
[[介護保険制度]]は、介護が必になったする際に住み慣れた家庭や地域で安心して生活ができを継続すようために、介護を社会全体で支えようという制度であるが、[[要介護認定]]がグループホームは、入居条件の一つなっ[[要介護認定]]が指定されており、要支援2から要介護5までの認定者利用可能である(ただし要支援2の者が利用可能な施設は「介護予防」の指定を受けている事業所のみしか利用きない)。要支援1の者現行制度では保険事故の対象にはならず利用は出来ないこととなっている
 
日本の認知症高齢者向けグループホームの件数は、[[2005年]][[1月]]時点で6,000である。
 
=== 外部評価 ===
グループホームの外部評価とは、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)に基づき、都道府県が選定した外部評価機関が行う評価であるそのホームが提供するサービス内容について、外部評価の結果事前に行っ実施した自己評価の結果を対比しサービス向上に資することを目的とする。
 
2005年9月までは高齢者痴呆介護研究・研修東京センターが行ってい実施した。
 
=== 知的障害者と精神障害者 ===
[[2006年]]4月よりから[[障害者自立支援法]]に基づく共同生活援助(グループホーム)と共同生活介護(ケアホーム)の二種類になった。ただし[[2009年]][[9月19日]]に[[鳩山由紀夫内閣]]の[[長妻昭]]厚生労働大臣は障害者自立支援法の廃止を明言している<ref group="注">[[2014年]]から共同生活介護(ケアホーム)は共同生活援助(グループホーム)の中に含まれて一元化した。</ref><ref group="注">[[韓国]]の共同生活援助(グループホーム)に相当する名称は「障害者共同生活家庭」である。</ref>
 
それ以前は
* [[知的障害者]]を対象とした制度に、[[知的障害者福祉法]]に基づく知的障害者地域生活援助事業([[1989年]]に制度化)。定員は4名から7名。
* [[精神障害者]]を対象とした制度に、[[精神保健福祉法]]に基づく精神障害者地域生活援助事業([[1992年]]に制度化)。定員は4名以上概ね5から6名
とそれぞれの法律で別々に定められていた。
 
グループホームは世話人が配置され[[家事]]支援日常生活の相談などがなされ、ケアホームは世話人の他に生活支援員が配置され、加えて[[食事]]や[[入浴]]、[[排泄]]などの介護も加わる。対象となる利用者は前者は日常生活の相談が必要な者に対して、後者は要介護1以上の者が対象ある。利用期限は設けられていない。ほかにサービス管理責任者が設けられ、個別支援計画の作成やサービス内容の評価、日中活動系の事業者と連絡調整などを行う。状態が改善した場合の移行先として[[福祉ホーム]]や[[アパート]]、[[公営住宅]]が想定されている。<ref>よくわかる障害者自立支援法 坂本洋一 [[中央法規出版]] ISBN 978-4805846780, 82~83頁</ref>
 
知的障害者と精神障害者を対象としたグループホームには短期間で自立生活に至ることを目標として有期での利用となる「通過型」と、長期間を経ての自立生活への移行または永続的な利用を目的として無期での利用となる「定住型」が存在する。施設によって異なるが、入居者は大抵の場合週に一定回数以上の日中の外出、労働もしくは日中活動施設の利用が義務付けられる。
 
=== グループホームの問題 ===
グループホームは、介護職員の過酷な勤務状況、[[虐待]]、安全対策、入居者の財産の侵害(親族からの仕送りなどの中抜き)、既製品中心の食事提供、通信環境の未整備、系列日中活動施設・指定医等への囲い込み、公費の不正請求などが問題となることがある。
 
[[2005年]]2月に[[石川県]]でグループホームのスタッフによる利用者の虐待致死事件が起きている<ref>下村恵美子 , 高口光子, 三好春樹『あれは自分ではなかったか―グループホーム虐待致死事件を考える』ブリコラージュ 2005年 </ref>。
 
[[2006年]]1月[[長崎県]]内の高齢者グループホームで火災が発生して7人がくなる惨事となってしまう<ref>[{{Cite web |url=http://www.fdma.go.jp/ugoki/h1803/07.pdf |title=認知症高齢者グループホーム「やすらぎの里さくら館」の火災を踏まえた消防庁の対応等] |access-date=2022-06-06 |date=2006-03 |deadlinkdate=2022-06 |archive-url=https://web.archive.org/web/20090424004322/http://www.fdma.go.jp:80/ugoki/h1803/07.pdf |archive-date=2009-04-24 |website=総務省消防庁 |format=PDF}}</ref>した。この事件以後、[[消防庁]]が認知症高齢者グループホーム等のなど自力で避難すること が困難な者が入居する小規模福祉施設における防火安全対策のあり方制度改正を[[消防庁]]が検討された。これにより、社会福祉施設にかんして、防火管理業務が義務付けられる収容人数が30人以上から10人以上に変更になり消防用設備等の設置が義務付けられた。平成21年4月1日よりから施行<ref>[{{Cite web |url=http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/190612-3/190613-3houdou.pdf 平成19年6月|title=認知症高齢者グループホーム等の社会福祉施設における 防火安全対策のための消防法施行令等の一部改正 |access-date=2022-06-06 |date=2007-06-13 |deadlinkdate=2022-06 |format=PDF |website=総務省報道資料]消防庁 |archive-url=https://web.archive.org/web/20071027230013/http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/190612-3/190613-3houdou.pdf |archive-date=2007-10-27}}</ref>された
 
[[2010年]]3月13日に[[北海道]][[札幌市]][[北区 (札幌市)|北区]]のグループホームで火災が発生し、入居者7人が死亡した<ref>{{Cite web |url=http://www.fdma.go.jp/ugoki/h2205/2205_04.pdf |title=札幌市グループホーム火災の概要等 |access-date=2022-06-06 |date=2010-05 |format=PDF |website=総務省消防庁 |archive-url=https://web.archive.org/web/20160304141700/http://www.fdma.go.jp/ugoki/h2205/2205_04.pdf |archive-date=2016-03-04 |deadlinkdate=2022-06}}</ref>。前述の事件で、延べ床面積が275[[平方メートル]] (m<sup>2</sup>) 以上のグループホームは[[スプリンクラー設備]]の設置が義務付けられたが、この施設は248.43m<sup>2</sup>で設置がなかった。設置義務施設は国から補助金が支出されるが、[[厚生労働省]]は設置義務がない施設も費用補助する方針を6月10日に決定した。
2005年2月には、石川県でグループホームのスタッフによる利用者への虐待致死事件が起きている<ref>下村恵美子 , 高口光子, 三好春樹『あれは自分ではなかったか―グループホーム虐待致死事件を考える』ブリコラージュ 2005年 </ref>。
 
[[2021年]]11月に、[[大阪府]][[茨木市]]のグループホームで、女性職員が入所者の一人に対し、入所者自らの手を[[槌|ハンマー]]で叩かせるなどしていたことが、翌[[2022年]]4月に報道により判明。同市は虐待に該当するとして、このグループホームを行政指導した<ref>{{Cite news|title=「ハンマーで自分の手をたたけ」入所者軽傷 大阪・茨木の障害者施設|newspaper=[[毎日新聞]]|date=2022-04-13|url=https://mainichi.jp/articles/20220413/k00/00m/040/035000c|access-date=2022-06-06|archive-url=https://web.archive.org/web/20220413010543/https://mainichi.jp/articles/20220413/k00/00m/040/035000c|archive-date=2022-04-13}}</ref>。
2006年1月、長崎県内の高齢者グループホームで火災が発生、7人が亡くなる惨事となってしまう<ref>[http://www.fdma.go.jp/ugoki/h1803/07.pdf 認知症高齢者グループホーム「やすらぎの里さくら館」の火災を踏まえた消防庁の対応等]</ref>。この事件以後、[[消防庁]]が認知症高齢者グループホーム等の自力で避難すること が困難な者が入居する小規模福祉施設における防火安全対策のあり方、制度改正が検討された。これにより、社会福祉施設にかんして、防火管理業務が義務付けられる収容人数が30人以上から10人以上に変更になり、消防用設備等の設置が義務付けられた。平成21年4月1日より施行<ref>[http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/190612-3/190613-3houdou.pdf 平成19年6月13日総務省報道資料]</ref>。
 
2015年時点では、地価の高い東京都を中心としてグループホームやサービス付き高齢者住宅の整備率の低い県があることが課題となっている。
[[2010年]]3月13日、[[北海道]][[札幌市]]北区のグループホームにて火災が発生し、入居者7人が死亡した。<ref>[http://www.fdma.go.jp/ugoki/h2205/2205_04.pdf 消防の動き 平成22年5月号 総務省消防庁]</ref>前述の事件で200万円以上かかる[[スプリンクラー設備]]の設置を、延べ床面積が275m<sup>2</sup>以上のグループホームに義務化したが、この施設は延べ床面積が248.43m<sup>2</sup>であり、設置義務のないスプリンクラーは設置されていなかった。消防側は、小さなグループホームは資金の問題もあり、スプリンクラーの設置義務がない代わりに火災時には地域住民の力を借りられるようにとしていたが、火災のあったグループホームの地域住民は、近くにグループホームがあることを知らない状況であった。延べ床面積が275m<sup>2</sup>以上のホームにはスプリンクラーの設置義務がある代わりに国から補助が出るが、[[厚生労働省]]は同年6月10日、設置義務のない延べ床面積275m<sup>2</sup>未満のグループホームにも、スプリンクラー設備の費用を補助する方針を決めた。
 
== 脚注 ==
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=== 注釈 ===
{{Notelist2}}
=== 出典 ===
<references/>
 
== 参考文献 ==
* バルブロ ベック=フリス(著)、ハンソン友子(著)、小笠原 祐次(編集)『今、なぜ痴呆症にグループホームか—スウェーデンからのメッセージ』2002年 [[筒井書房]] ISBN 978-4887203594
* イノウ『世界一わかりやすい 介護業界のしくみとながれ 第4版』(2015年、ソシム)ISBN 978-4-883-37986-6
 
== 関連項目 ==
* [[宅老所]]
* [[デイケアセンター]]
* [[特別養護老人ホーム]]
* [[養護老人ホーム]]
* [[サービス付き高齢者向け住宅]]
* [[マスターズマンション]](高齢者向け分譲マンション)
* [[社会的入院]]
* [[精神障害]] - [[精神保健及び精神障害者福祉に関する法律|精神保健福祉法]] - [[精神障害者保健福祉手帳]]
* [[障害者福祉]]
* [[障害者基本法]]
* [[障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律|障害者総合支援法]]
* [[障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律|障害者虐待防止法]]
* [[障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律|障害者差別解消法]]
* [[障害者の雇用の促進等に関する法律|障害者雇用促進法]]
* [[障害年金]]
 
== 外部リンク ==
* [httphttps://www.ghkyo.or.jp/home/ 公益社団法人 日本認知症グループホーム協会]
* [http://www.wam.go.jp/kaigo/ 介護事業者情報]
* [http://www.wam.go.jp/wamappl/hyoka/003hyoka/hyokanri.nsf/aHyokaTop?OpenAgent 介護保険地域密着型サービス外部評価情報]
* [http://www.wam.go.jp/ca10/ca10b50.html すぐわかる介護保険]
 
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:くるふほむ}}
{{介護サービス}}
[[Category:障害者福祉]]
[[Category:福祉施設]]
[[Category:エイジング]]
[[Category:薬物リハビリテーション]]