「リコール (一般製品)」の版間の差分

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=== 消費生活用製品安全法に基づくリコール ===
[[消費生活用製品安全法]]では、重大な欠陥製品に対して[[経済産業大臣]]が「危害防止命令<ref>法第39条</ref>(旧法では『緊急命令』<ref>旧法第82条</ref>)」としてリコールを命じる権限を規定しており、この命令によるリコールは過去に以下の3例があり、いずれも[[コマーシャルメッセージ#お詫びCM|お詫びCM]]の放映に至っている。
*[[2005年]][[11月29日]]夕方に同日付、松下電器産業(現:[[パナソニック]])製FF式石油暖房機による[[一酸化炭素中毒]]による死亡事故が発覚したことによるもの。詳しくは[[パナソニックホールディングス#ナショナルFF式石油暖房機の欠陥による死亡事故]]を参照。
*[[2006年]][[8月28日]]付、[[パロマ工業]]製ガス[[湯沸し器]]による一酸化炭素中毒による死亡事故が相次いで起こっていたことが発覚したことによるもの。詳しくは[[パロマ湯沸器死亡事故]]を参照。
*[[2013年]]、[[TDK]]製[[加湿器]]による発火によるもの。長崎のグループホームでの火災でリコールがCMや新聞広告、チラシなどで呼びかけられている。
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[[道路運送車両法]]に基づく自動車やオートバイのリコール(無償修理)については、[[リコール (自動車)]]を参照。
 
こちらは登録が[[義務]]化されておりユーザーが特定されているため、[[トヨタ自動車の大規模リコール (2009年-2010年)|トヨタの大規模リコール]]や[[三菱リコール隠し]]、[[タカタ (企業)|タカタのエアバッグ問題]]等の大事にならない限り、お詫びCMの放映に至ることはほぼない。
 
リコール対策車が発生した場合、各[[自動車産業|自動車メーカー]]は該当製品の所有者にハガキで通知し、[[自動車ディーラー|ディーラー]]などで対策を施さなければならない。直ちに運行停止となるような重大なリコールは[[自動車検査登録制度|車検]]に合格できないが、多くの事案は使用を続けても法的な罰則などはなく、車検を受けることも可能。
 
=== その他法令に基づくリコール ===
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欠陥がある製品を製造・販売し、結果的に購入者が損害を被った場合、業者に過失が無かったとしても、[[製造物責任法]]の規定により原則としてこの損害の賠償責任を負わなければならない。また、欠陥がある製品を製造・販売したことによって、企業イメージ低下のリスクが発生することがあるが、実際に消費者の被害が発生することで企業イメージがより大きく低下するリスクとなる。これらのリスクの回避を目的として、製造者・販売者が自主的なリコール(製品の回収・交換・返金など)を行うことも多い。
 
[[厚生労働省]][[消費者庁]]は「'''自主回収(リコール)'''」と表記し、自主回収とリコールを同義語として扱っている<ref name="todokede">{{PDFlink|[https://www.mhlw.go.jp/content/11131500/000472253.pdf 事業者の皆さまへ]}} 厚生労働省・消費者庁</ref>。2021年6月から、事業者は食品の自主回収(リコール)を行う場合に行政への届出が義務化される<ref name="todokede" />。
 
=== 実際の例 ===
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*クラスII - その製品の使用等が、一時的な若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可能性があるか又は重篤な健康被害のおそれはまず考えられない状況
*クラスIII - その製品の使用等が、健康被害の原因となるとはまず考えられない状況
医薬品等の回収を行う製造販売業者等が作成した回収情報は、[[医薬品医療機器総合機構|PMDA]]に公開されている<ref>[https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/recall-info/0002.html 安全対策義務 - 回収情報(医薬品)] PMDA</ref>。クラスIの大部分は[[日本赤十字社]]による血液製剤であるが、[[後発医薬品]]も見られる。クラスⅢの大部分は[[化粧品]][[医薬部外品]]で、外装表示の誤り(商品名「渦巻W」であるところを「渦巻きW」、色番号「ML」の品に「MO」ラベル貼付、配合成分「シリカ」を「リカ」と記載、など)が多くみられる。
 
==ユーザー特定の難しさとその対策==
{{独自研究|date=2018年7月2日 (月) 04:19 (UTC)|section=1}}
登録の必要がある製品、例えば自動車の場合は車検証の情報から「誰がどの車両を所有しているのか」を特定することができるためユーザーへの認知が行いやすく、前述の通りお詫びCMにはまず発展しない。しかしながら、他の登録の必要がない多数の製品の場合はメーカーや販売店がユーザー登録や購入履歴記録といった何らかの顧客データを持っていない限り「どこの誰が持っているのか」がわからない。それが故回収漏れ加え匿名性製品も多く発生しやすく、'''回収漏れ製品による事故'''高い販売ルートの隆盛(家電量販店'''リコ総合スーパルの長期化''''''お詫びCMの放映'''を引き起こしている。特にホームセンターなど)や業者間転売(例えば1970-80年代の家電販売業界では、販売店が[[資金繰り]]確保のために家電品を「[[金融品]]」として家電ブローカーや家電安売り店([[城南電機]]など)へ転売することが多かった)、さらにはユーザー情報の変更(たえば住所や氏名の変更、製品の譲渡・転売)加わり'''ユーザーの特定が事実上不可能'''となっている。それが故に'''回収漏れ製品による事故'''や'''リコールの難しさを助期化'''、'''お詫びCMの放映'''を引き起こしている。上おり下記の[[パナソニック|ナショナル]]石油暖房機の件及びTDK加湿器の件については、事故を起こしたのは回収漏れの製品である可能性が高いとされている。
 
なお家電量販店を「匿名性の高い販売ルート」としたが、昨今では[[ケーズホールディングス|ケーズデンキ]]、[[上新電機|ジョーシン]]、[[ビックカメラ]]などメンバーズカード会員に商品の購入履歴からリコール情報を提供するというサービスを行っている企業もある。<ref>
*パナソニックの事例● - [[パナソニックショップ|ナショナルショップ]]販売分は顧客データがあるため回収が進んだが、[[家電量販店]]や総合スーパー等匿名性の高い販売ルートでの販売分は'''一体どこにあるのか、さては廃棄処分されてしまったのかさえもわからない'''と言う事態に陥っており、対象製品が利用者の自宅で発見されたのみならず、自宅以外で発見された情報や、利用者によって買い替え・廃棄された情報までも集めている。発見された事例として「連絡者の実家」「空き家」「別荘」「空き部屋」「高齢者の自宅」「被介護者の自宅」「物置」「倉庫」「納屋」「ガレージ」「押し入れ」「事務所」「集会所」「店舗」を挙げるまでに至る。
*ケーズ:[http://www.ksdenki.com/corp/safety_passport.html あんしんパスポート]
*ジョーシン:[https://card.joshin.co.jp/pointcard/index.html ジョーシンカード]
*ビック:[https://www.biccamera.com/bc/c/super/point/bic_point/index.jsp?ref=toppage ビックポイントサービス]
</ref>
 
*パナソニックの事例● - その'''製造終了から最短32年・リコール開始から19年という期間の長さ'''(2024年時点)もさることながら、顧客データがあるため回収が進んだ[[パナソニックショップ|ナショナルショップ]]販売分顧客データがあるため回収が進んだが、[[家電対照的に量販店]]や総合スーパー匿名性の高い販売ルートでの販売分は'''一体どこにあるのか、さては廃棄処分されてしまったのかさえもわからない'''と言う事態に陥っており、対象製品が利用者の自宅で発見されたのみならず、自宅以外で発見された情報や、利用者によって買い替え・廃棄された情報までも集めている。発見された事例として「連絡者の実家」「空き家」「別荘」「空き部屋」「高齢者の自宅」「被介護者の自宅」「物置」「倉庫」「納屋」「ガレージ」「押し入れ」「事務所」「集会所」「店舗」を挙げるまでに至る。
*TDKの事例● - グループホームで火災事故を起こした1998年製の加湿器は、発売の翌年である1999年と'''実に事故発生の14年も前'''に[[通商産業省]]にリコールを届け出ていた<ref>[http://www.tdk.co.jp/information/humidifier/2013_0222.htm 火災事故に関するお詫び 2013.2.22、TDK公式]</ref>。また、それ以前に事故を起こした1993年製の加湿器に関しても1994年にリコールを届け出ており、こちらも9年間回収されなかったことになる<ref>[http://www.tdk.co.jp/information/humidifier/2013_01.htm 2013年1月に発生しました事故につきまして TDK公式]</ref>。
*[[トヨトミ]]の事例<ref>[http://www.toyotomi.jp/news/important/石油ファンヒーター1982-1984/?utm_source=ycd&utm_medium=yahoojp-afpbbcom 1982~1984年製の豊臣工業(現トヨトミ)製石油ファンヒーターを探しています。]</ref> - 上記パナソニック、TDKと同じように1982~84年製造のファンヒーターで「一酸化炭素中毒の可能性あり」として86年から回収を続けているが2006年時点でも全数把握にいたっておらず、'''初出から31年も経過した2017年現在も'''この旨のWeb広告を出している。
*サンヨー[[三洋電機]]の事例● - 石油ファンヒーター「CFH-S221F」においては'''1985年当時でも残り10%程度とする行方不明のリコール対象品のために2017年現在も'''リコールを継続している。
*[[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]の事例 - 1984年~92年に日本法人が輸入販売した食洗機・衣類乾燥機について発煙・発火事故が数度発生。しかし2004年11月よりリコールを行ったものの周知が進まず、[[2007年]]2月に経済産業省からも対策を急ぐように指示を受けている<ref>{{Cite press release|和書|title=ボッシュ(株)が輸入・販売した電気衣類乾燥機、電気食器洗い機のリコールにかかる再社告について|publisher=経済産業省|date=2007-02-16|url=http://www.meti.go.jp/press/20070216012/20070216012.html|accessdate=2013-12-02|archiveurl=https://web.archive.org/web/20070220064226/http://www.meti.go.jp/press/20070216012/20070216012.html|archivedate=2007-02-20|deadlinkdate=2013-12-02}}</ref><ref>{{Cite press release|和書|title=【重要なお知らせ】食器洗い機と乾燥機: お詫びと無料点検・修理|publisher=ボッシュ株式会社|date=|url=http://www.bosch.co.jp/jp/rbjp/contact/dishwasher_n_drier.pdf|format=PDF|language=|accessdate=2013-12-02|archiveurl=https://web.archive.org/web/20070928020322/http://www.bosch.co.jp/jp/rbjp/contact/dishwasher_n_drier.pdf|archivedate=2007-09-28|deadlinkdate=2013-12-02}}</ref><ref>[https://corporate.bosch.co.jp/our-company/dishwasher-important-notices/ 重要なお知らせ:ボッシュ製「電気食器洗い機」および「電気乾燥機」をご愛用のお客様へのお願い]</ref>。
 
※●はお詫びCM放映事例
 
昨今では一部家電量販店において、ポイントカード会員に商品の購入履歴からリコール情報を提供するというサービスを行っていることもある<ref>例えば[[ケーズホールディングス|ケーズデンキ]]の場合、あんしんパスポート(厳密にはポイントカードではなく'''現金値引きカード'''であるが)会員のサービスとして[http://www.ksdenki.com/corp/safety_passport.html リコール通知サービス]を提供している。</ref>。
 
== リコール期間の長期化==
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===三洋電機の事例に見る、リコール対応年数の上限===
2007年に[[三洋電機]]の扇風機が発火事故を起こしたが、それは30年以上経過した機種であった<ref>[httphttps://www.meti.go.jp/product_safety/recall/file/070825-1.html 製品安全ガイド 注意喚起情報]</ref>。例えば自動車であれば[[旧車]]扱いされ部品の供給も途絶えることが間々あるように、30年という時間はメーカーに責任を負わせるにはあまりにも長すぎる。この件に関しては「経年劣化」であるとして三洋電機(及びパナソニック)も回収や補修を行う事はなく、お詫びCMも含めユーザーに対する使用中止の要請や廃棄の案内を行うにとどまり<ref>[https://www.panasonic.com/jp/support/sanyo/info/psef080430.html 三洋電機(パナソニック)公式 長年ご使用の扇風機についてのお知らせとお願い]</ref>、また同様に事故を起こした古い(発表当時で37年前の)エアコンに関しても同様の案内を出した<ref>[https://www.panasonic.com/jp/support/sanyo/info/pssap100521.html 三洋電機(パナソニック)公式 長年ご使用のルームエアコンについてのお知らせとお願い]</ref>。結果としてこの事故により少なくとも2016年2月現在のパナソニックにおいてはこの扇風機と前述のナショナル石油ストーブの対応の差から責任を負う限度は15年程度から30年未満にあると示されるような格好となった。
 
実際、「CFH-S221F」とは別のサンヨー製石油ファンヒーターは2017年に「製造終了から20年以上経ったから」とリコールを打ち切っている<ref>[https://www.panasonic.com/jp/support/sanyo/info/summary.html#cfh_20010917 三洋電機(パナソニック)公式 【対応終了のお知らせ】サンヨー・ユアサ・NEC製石油ファンヒーターご使用のお客様へお詫びと無料点検・部品交換のお願い (改訂)]</ref>。しかしその一方で1984年製の「CFH-S221F」に関してはリコール開始当時でも残り10%程度とする行方不明の対象品のために1985年からと実に30年以上にもわたってリコールを継続しており、その旨を公式サイト上に掲載している<ref>[https://www.panasonic.com/jp/support/sanyo/info/pscfh070129.html 三洋電機(パナソニック)公式 1984年製のサンヨー石油ファンヒーターを探しています]</ref>。
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== 外部リンク ==
* [httphttps://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/index.htm 消費生活用製品安全法のページ] - [[経済産業省]]製品安全課
* [https://www.meti.go.jp/product_safety/recall/ リコール情報] - 経済産業省
*[http://www.kokusen.go.jp/recall/recall.html 回収・無償修理等のお知らせ] - 独立行政法人国民生活センター
* [https://www.panasonicrecall.caa.go.com/jp/top.html ナショナリコーFF式石油暖房機を探しています情報サイト] - [[パナソニック]]消費者庁
* [https://www.info.pmda.go.jp/kaisyuu/menu.html 医薬品等の回収に関する情報(医薬品関係)] - 医薬品医療機器総合機構
* [https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kigu/index_00011.html 自主回収報告制度(リコール)に関する情報] - 厚生労働省
 
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