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{{出典の明記|date=2013年4月7日 (日) 01:43 (UTC)}}
'''水入り'''(みずいり)とは、[[大相撲]]([[十両]]以上の[[取組]])において、長時間の取組(いわゆる大相撲)になり、疲労などのために取組に進捗が見られない状態になった際、行司あるいは審判委員の判断同意によって取組を一時中断することである。水入りの「水」とは休憩中につける[[力水 (相撲)|力水]]のことであり、水入りになることを「水が入る」(あるいはただ単に「水」)ともいう。
 
また、他のスポーツでも雨天順延のことを「水入り」と呼ぶことがある。
 
== 概要 ==
水入りは審判規則第12条に規定されている<ref>審判規則第十二条 競技が長引いて両力士の疲労を認めた場合は、審判委員の同意を得て、水を入れることができる。</ref>。
大相撲では、重い体重を生かし、瞬間的な筋力で自重もろとも対戦相手に突進し体勢を有利に展開する戦法が非常に効果的だが、逆にその重い体重を急激に動かすには、[[瞬発力]]が必須である。長時間にわたる取組で[[筋肉|筋]]が疲労し、瞬発力が十分に発揮できなくなると、双方が力を十分に出し切れない状況に陥ることがある。'''4分を超えたあたりから'''(攻防が激しく、両者の疲労が大きいと判断された場合はこの限りではない)、赤房下の計時係審判が経過時間を見て、膠着状態になったとき正面の審判長に合図を送り、審判長(あるいは[[勝負審判|審判委員]])が手を挙げて、[[行司]]の判断により両者の背中を叩いて中断させる。なお、過去には2分30秒を越えた程度で水入りとなった時代もあり、当時は水入りが頻発していた。
 
大相撲では、重い体重を生かし、瞬間的な筋力で自重もろとも対戦相手に突進し体勢を有利に展開する戦法が非常に効果的だが、逆にその重い体重を急激に動かすには、[[瞬発力]]が必須である。長時間にわたる取組で[[筋肉|筋]]が疲労し、瞬発力が十分に発揮できなくなると、双方が力を十分に出し切れない状況に陥ることがある。'''4分を超えたあたりから'''(攻防が激しく、両者の疲労が大きいと判断された場合はこの限りではない)、赤房下の計時係審判が経過時間を見て、膠着状態になったとき正面の審判長に合図を送り、審判長(あるいは[[勝負審判|審判委員]])が手を挙げて、[[行司]]の判断により両者の背中を叩いて中断させる。なお、過去には2分30秒を越えた程度で水入りとなった時代もあり、当時は水入りが頻発していた。
取組を中断させる際には、行司は、双方の[[足]]の位置、組み方などをよく観察した上で、両[[力士]]に短時間の休憩を促す。再開時にはそれらを入念に水入り前と同じにしたあと、行司の合図により取組再開となる。両力士や審判委員は、水入り前の状態が再現されているかどうかについて、行司に異議を唱えることができる。[[ビデオ判定]]導入後はビデオ室の意見も参考にするようになった。水入りの間中、行司は[[土俵]]上で双方が組み合っていた場所を離れず、足の位置を注視して記憶していることが多い。
 
取組を中断させる際には、行司は、双方の[[足]]の位置、組み方などをよく観察した上で、両[[力士]]を土俵から下ろし短時間の休憩を促す。再開時にはそれらを入念に水入り前と同じにしたあと、行司の「いいか、いいか」の合図により取組再開となる。両力士や審判委員は、水入り前の状態が再現されているかどうかについて、行司に異議を唱えることができる<ref>審判規則第十三条 水入後組み直した時は、力士、審判委員に異議なきをたしかめてから、「いいか、いいか」と声をかけて開始する。</ref>。[[ビデオ判定]]導入後はビデオ室の意見も参考にするようになった。水入りの間中、行司は[[土俵]]上で双方が組み合っていた場所を離れず、足の位置を注視して記憶していることが多い。
取り組みが再開した後は、すぐに勝負が決する場合もあるが、疲労のため再度長時間の相撲となることがある。2度目の水入りとなった場合は審判委員の協議の上、後の取組を挟んで[[取り直し]]となる。有名な例としては[[1978年]]([[昭和]]53年)3月場所7日目の[[大関]][[旭國斗雄|旭國]] - [[前頭]]4枚目[[魁傑將晃|魁傑]]戦([[掬い投げ]]で魁傑の勝ち)、[[2001年]]([[平成]]13年)5月場所6日目の大関[[武双山正士|武双山]] - [[小結]][[琴光喜啓司|琴光喜]]戦([[寄り切り]]で琴光喜の勝ち)がある。それでも水が入る場合には、'''[[引分 (相撲)|引き分け]]'''とする。引分は幕内では[[1974年]](昭和49年)9月場所11日目の前頭6枚目[[二子岳武|二子岳]] - 同10枚目[[三重ノ海剛司|三重ノ海]]戦で水入りの後、二番後取り直しとなったが決着がつかず引き分けとなり、これ以降40年以上も出ていない。
 
取り組みが再開した後は、すぐに勝負が決する場合もあるが、疲労のため再度長時間の相撲となることがある。2度目の水入りとなった場合は審判委員の協議の上、後<ref group="注釈">通常は二番後だが、取組が二番しか残っていない場合は一番後。一番しか残っていない場合は残りの取組を行わずに取り直す。当然最後の取組(結びの一番)で2度目の水入りとなれば他の取組を挟まない。</ref>の取組を挟んで[[取り直し]]となる。有名な例としては[[1978年]]([[昭和]]53年)3月場所7日目の[[大関]][[旭國斗雄|旭國]] - [[前頭]]4枚目[[魁傑將晃|魁傑]]戦([[掬い投げ]]で魁傑の勝ち)、[[2001年]]([[平成]]13年)5月場所6日目の大関[[武双山正士|武双山]] - [[小結]][[琴光喜啓司|琴光喜]]戦([[寄り切り]]で琴光喜の勝ち)がある。それでも水が入る場合には、'''[[引分 (相撲)|引き分け]]'''とする。引分は幕内では[[1974年]](昭和49年)9月場所11日目の前頭6枚目[[二子岳武|二子岳]] - 同10枚目[[三重ノ海剛司|三重ノ海]]戦で水入りの後、二番後取り直しとなったが決着がつかず引き分けとなり、これ以降40年以上も出ていない。
なお、[[幕下]]以下の取組は水入りは無く、万が一取組が長引いたときには、その取組の2番後に取り直すことになっている。
 
なお、[[幕下]]以下の取組は水入りは無く、万が一取組が長引いたときには、その取組の2番後に取り直すことになっている。幕下以下の2番後取り直しは年に数番程度は発生する。
 
所要時間の長さでは、[[1951年]](昭和26年)9月場所14日目、前頭11枚目[[大起男右エ門|大起]] - 同10枚目[[二瀬山勝語|二瀬山]]戦([[寄り切り]]で大起の勝ち)は2番後取り直しの相撲でも水入りとなり、合計32分(当時の[[割 (相撲)|割]]の空白欄に「32分」の記載が確認されている)。この記録が最長である。昭和以降で正味20分以上かかった取組は、[[1931年]]5月場所8日目の[[関脇]][[天竜三郎|天竜]] - 大関[[能代潟錦作|能代潟]]戦、[[1932年]]5月場所5日目の大関能代潟 - 関脇[[沖ツ海福雄|沖ツ海]]戦、[[1952年]]5月場所11日目の前頭9枚目大起 - 同16枚目[[潮錦義秋|潮錦]]戦がある。このうち天竜 - 能代潟戦は水入り後も決着がつかず、2日後に再戦(天竜の勝ち)した。
 
[[照ノ富士春雄|照ノ富士]] - [[逸ノ城駿|逸ノ城]]戦は、[[2015年]]1月場所で水入りになった後、翌3月場所でも水入り(照ノ富士の勝ち)となった。同じ対戦で2場所連続水入りとなるのは、[[19501955年]](昭和30年)1月場所と3月場所に[[若乃花幹士 (初代)|若ノ花]] - [[出羽錦忠雄|出羽錦]]戦が2場所連続で引き分けて以来60年ぶりで、平成以降では初となった。
 
== 2023年九州場所では平成以降初の同場所2回目の水入りが行われとなっ幕内の取組 ==
* 7日目:[[北青鵬治|北青鵬]]-[[翠富士一成|翠富士]] 行司[[木村寿之介]](翌場所から三役格行司)
* 11日目:[[水戸龍聖之|水戸龍]]-[[志摩ノ海航洋|志摩ノ海]](十両での取り組み) 行司[[木村隆男]]
また7日目の水入り時寿之介は目印に塩を使い、その行為を真似して隆男も塩で目印をつけた。
 
現在、戦後で最多の水入りを経験したのは、[[琴ノ若]]の4度である。
 
== 平成以降水入りが行われた取組 ==
[[1980年]](昭和55年)1月場所14日目の[[横綱]][[北の湖敏満|北の湖]] - 同[[若乃花幹士 (2代)|2代若乃花]]以来、およそ14年間、水入りがなかった。
なお、安馬は当時のしこ名である。(現在は「日馬富士」にしこ名変更)
 
* '''太字'''が勝った力士者。
* 四股名は当時のもの。
{| border
* 地位は特記しないものは幕内での対戦。
|-bgcolor=#cccccc
 
{| class="wikitable" style="text-align:center;white-space:nowrap""
|-
!年・場所
!東方力士
!西方力士
!水入り
!合計タイム
|-
|[[1994年]](平成6年)9月
47 ⟶ 56行目:
|5分34秒
|8分03秒7
|-
|1996年(平成8年)5月
|[[千代の若秀則|千代の若]](十両)
| '''[[出羽嵐大輔|出羽嵐]]'''(幕下)
|不明
|不明
|-
|1999年(平成11年)11月
|[[北桜英敏|北桜]](十両)
| '''[[琴光喜啓司|琴光喜]]'''(十両)
|不明
|不明
|-
|2001年(平成13年)3月
55 ⟶ 76行目:
|-
|2001年(平成13年)5月
|[[ '''琴光喜啓司|琴光喜]]'''
|[[武双山正士|武双山]]
|5分14秒6
74 ⟶ 95行目:
|[[2004年]](平成16年)1月
|'''[[朝赤龍太郎|朝赤龍]]'''
|[[追風海飛人|追風海]]
|4分21秒
|7分18秒6
119 ⟶ 140行目:
|3分30秒
|3分54秒
|-
|rowspan="2"|[[2023年]](令和5年)11月
|'''[[北青鵬治|北青鵬]]'''
|[[翠富士一成|翠富士]]
|4分17秒
|6分40秒
|-
|[[志摩ノ海航洋|志摩ノ海]](十両)
|'''[[水戸龍聖之|水戸龍]] '''(十両)
|4分37秒
|5分57秒
|-
|}
※2度目の水入り(再開4分03秒7)後、'''一番後取り直し'''。合計9分46秒2('''琴光喜'''の勝ち)
 
== 脚注 ==
===注釈===
{{Notelist}}
===出典===
{{Reflist}}
 
== 関連項目 ==