「わたしを離さないで」の版間の差分
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| id = ISBN 978-4-15-208719-5
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『'''わたしを離さないで'''』(わたしをはなさないで、原題:''Never Let Me Go'')は、2005年発表の[[カズオ・イシグロ]]による長編小説で
日本語版は[[2006年]]4月に、[[土屋政雄]]の翻訳で[[早川書房]]から単行本が刊行され、[[2008年]]8月に[[ハヤカワ文庫]]版が発刊された。
[[2010年]]に[[マーク・ロマネク]]監督、[[キャリー・マリガン]]、[[アンドリュー・ガーフィールド]]、[[キーラ・ナイトレイ]]主演により
日本では[[2014年]]に[[蜷川幸雄]]演出、[[多部未華子]]主演により舞台化され、[[2016年]]には[[TBSテレビ]]でテレビドラマ化された<ref name="cinemacafe20151119"/>。
2017年、イシグロの[[ノーベル文学賞]]受賞にともなって本作の注目度も高まり、日本でも注文が殺到して増版された<ref>{{Cite news |title=ノーベル文学賞 イシグロ氏の作品 出版社に注文殺到 |newspaper=NHK NEWS WEB |date=2017-10-06 |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171006/k10011169681000.html |accessdate=2017-10-12|archiveurl=
== あらすじ ==
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そこは外界から隔絶された全寮制の学校で、主任保護官のエミリ先生を中心に保護官達が授業をし生徒たちの生活を監視・監督する。特に図画工作や詩などを作る創作活動が重視され、健康診断が毎週実施されていた。優れた作品は定期的に施設を訪れるマダムが収集した。それらの作品は外部の展示館に飾られると噂されていた。残りの作品は交換会に出品し、出品に応じてもらえる交換切符で他の生徒の作品を得る事ができた。外部の商品を得る販売会以外で持ち物を増やせる唯一の機会だったため、生徒達は交換会に熱中した。
12、3歳の頃、キャシーは[[癇癪]]持ちでいじめられっ子のトミーと親しくなった。トミーは絵がかなり下手だが、年少組の頃、優しくて人気者だった保護官のジェラルディン先生に絵を褒められて他の生徒達から反感を買った事からいじめられるようになった。しかし、絵を描きたくなければ描かなくてよいとルーシー先生に言われて落ち着く。ルーシー先生の考えが他の保護官達と違ったため、トミーとキャシーはヘールシャムには何か秘密があると感じ、以後情報を交換しあうようになる。
キャシーは、年少組の頃からの親友で見栄っ張りのルースとは喧嘩を繰り返しつつも、惹かれていく。
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提供者として造られた彼らは人工的な[[クローン]]人間であり子供も作れない。それぞれのオリジナルを「ポシブル」と呼んでいる。自分のポシブルがどんな人物であるかを彼らが知ることはめったにない。コテージの先輩カップルのクリシーとロドニーからルースのポシブルの目撃情報を得た3人は[[ノーフォーク]]へ向かう。ノーフォークのとある事務所で働いているその人物は遠目にはルースの面影が感じられた。しかし、尾行してより近い距離から観察してみると明らかに別人だと分かり、落胆する。そもそも先輩達の目的は他にあり、ヘールシャム出身者は本当に愛し合っていれば提供を3年間猶予してもらえるという噂の真相を3人から探り、自分達もそうなりたいという事だった。ルースはいつものように知ったかぶって話を合わせたが、トミーは合わせなかったためルースの怒りを買った。ポシブルが勘違いだった事も手伝ってルースの怒りは収まらず、別行動をとることになり、トミーはキャシーと中古店を回り、かつてキャシーが無くしたカセットテープを買った。
トミーは提供の猶予があるとしたら、マダムの展示館行きになった作品を参考に内面を知り、カップル
コテージに帰ってから、キャシーとトミーにあったことをルースが知る所となり、ルースの誘導によってキャシーとトミーは仲違いをした。キャシーは解決しようとしたが却ってルースとの仲も悪くなった。その後、キャシーは論文を未完成のままコテージを卒業し介護人の訓練に行く事にした。
=== 第三部(18章から23章) ===
キャシーがコテージを出て 7年が経った。ヘールシャムは閉鎖されていた。キャシーがコテージを出た後、ルースの性格はさらに酷くなり周りとうまくいかなくなり、トミーとも気持ちが離れた。ルースもしばらく介護人をしていたが、最初の提供を終えて2か月、キャシーが介護人としてつくことに
2人はセックスをするようになり、トミーの描き続けた絵を持って、マダムに提供の猶予を頼みに行った。マダムと一緒に暮らしていたエミリ先生が説明をした。もともとエミリ先生とマダムは、クローン人間にも心があり、ちゃんと教育を受けさせれば普通の人間と同じに育つ事を示そうとヘールシャムの施設を作り、子供達の作品を集めて展示会を開き、寄付を集める運動をしていた。しかしモーニングデールという科学者が、能力を強化したクローン人間を作る違法な研究をしていたことが発覚した。無関係な事件であるものの、クローン人間に対する世間の嫌悪を煽る事になり、運動への支援も無くなってヘールシャムも閉鎖に追い込まれた。昔から提供の猶予などは噂でしかなく、保護官にそんな力は無かった。ルーシー先生は、生徒達に将来を正直に教えるべきだと主張したが、エミリ先生達は生徒達に嘘を吐いてでも希望を持たせ、一生懸命に生きる事を教えようとした。そのためルーシー先生は退職した。マダムは昔キャシーがカセットテープを聞きながら踊っていたのも覚えていて、残酷な世界に生きる少女に胸を打たれた事を告白した。
周りから大袈裟に賞賛されるほど危険な 4回目の臓器提供を迎えるに当たって死を覚悟したトミーは、醜態を見せたくないからと介護人を変える事にし、キャシーはトミーの元から去った。
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2017年度ノーベル文学賞がイシグロに送られた際には、その受賞理由である「世界と繋がっているという我々の幻想に隠された深淵を偉大な感情力で明るみにした一連の小説」を体現する{{要出典|範囲=代表作として本作を紹介する解説者が多くいた。|date=2017年10月}}
[[豊崎由美]]は書評で「切ない恋愛小説」「残酷な[[ビルドゥングスロマン]]」と評価した。<ref> [https://allreviews.jp/review/734 『わたしを離さないで』(早川書房) - 著者:カズオ・イシグロ - 豊崎由美による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS] (ALL REVIEWS) </ref>
イシグロは『わたしを離さないで』は[[平行世界]]の[[イギリス]]を舞台にしているにもかかわらず、2015年までの自身の作品のうちでもっとも「日本的」な小説だと考えており、それまでに接してきた[[日本]]の映画や書籍の影響が登場人物のふるまいなどに反映されているという<ref>
▲イシグロは『わたしを離さないで』は平行世界の[[イギリス]]を舞台にしているにもかかわらず、2015年までの自身の作品のうちでもっとも「日本的」な小説だと考えており、それまでに接してきた[[日本]]の映画や書籍の影響が登場人物のふるまいなどに反映されているという<ref>http://www.tbs.co.jp/never-let-me-go/original/</ref>。
== 日本語訳書 ==
* 『わたしを離さないで』[[土屋政雄]]訳
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== 舞台 ==
[[ホリプロ]]の企画制作により[[2014年]]に舞台化され、[[彩の国さいたま芸術劇場]]、[[愛知県芸術劇場]]と[[シアター・ドラマシティ]]で上演された。演出は[[蜷川幸雄]]、脚本は[[倉持裕]]<ref>{{
=== キャスト(舞台) ===
* 八尋 - [[多部未華子]]<ref name=abcsite>{{
* もとむ - [[三浦涼介]]<ref name=abcsite/>
* 鈴 - [[木村文乃]]<ref name=abcsite/>
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| 放送時間 = 金曜 22:00 - 22:54
| 放送分 = 54
| 放送枠 = [[金曜ドラマ (TBS)|金曜ドラマ]]
| 放送期間 = [[2016年]][[1月15日]] - [[3月18日]]
| 放送回数 = 10
| 放送国 = {{JPN}}
| 制作
| 企画 =
| 製作総指揮 =
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| EDテーマ =
| 時代設定 =
| 外部リンク =
| 外部リンク名 = 公式サイト
| 特記事項 = 初回は15分拡大(22:00 - 23:09)
}}
[[2016年]][[1月15日]]から[[3月18日]]まで、[[TBSテレビ
[[キャッチコピー]]は「'''運命に挑むには、愛するしかなかった。'''」。
原作のイギリスから、舞台を日本に移して翻案。主人公は「'''恭子'''」、ヘールシャムは「'''陽光学苑'''」などに置き換えている<ref>{{cite web|url=http://www.oricon.co.jp/news/2062541/full/|title=綾瀬はるか×三浦春馬×水川あさみ共演『わたしを離さないで』連ドラ化|publisher=[[オリコン|ORICON STYLE]]|date=2015-11-19|accessdate=2015-11-19}}</ref>。物語は恭子が過去に遡って語る[[モノローグ]](=[[信頼できない語り手]])によって進行し、第1話 - 第3話を「'''第1章:陽光学苑編'''」、第4話 - 第6話を「'''第2章:コテージ編'''」、第7話以降を「'''最終章:希望編'''」としている。▼
▲原作のイギリスから、舞台を日本に移して翻案。主人公は「'''恭子'''」、ヘールシャムは「'''陽光学苑'''」などに置き換えている<ref>{{
[[鈴木梨央]]は[[2013年]]の[[日本放送協会|NHK]][[大河ドラマ]]『[[八重の桜]]』に
ドラマに先駆け、綾瀬はイギリスにて原作者のイシグロと4時間以上にわたる対談に臨んだ<ref>{{Cite web|和書|url= https://www.tbs.co.jp/never-let-me-go/report/2.html |title= 撮影レポート |work= わたしを離さないで|publisher= TBSテレビ |date= 2015-12-23 |accessdate= 2016-02-07}}</ref><ref>{{Cite news|url= https://www.oricon.co.jp/news/2064306/full/ |title= 綾瀬はるか、主演ドラマ『わたしを離さないで』原作者と4時間超えの対談 |newspaper= ORICON STYLE |publisher= 株式会社oricon ME |date= 2015-12-23 |accessdate= 2016-02-07}}</ref>。
=== キャスト(テレビドラマ) ===
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: 原作でのトミーに相当。
: あだ名は「トモ」。やや押しに弱く優柔不断なところがある。感情が高ぶった時に[[屁|オナラ]]が出る体質。
: 幼少期は絵が苦手かつ[[癇癪]]持ちである事で、からかいの対象にされていたが、恭子や龍子の心遣いから[[サッカー]]選手への夢を持つ。
: 「提供者」となった後、恭子とは疎遠になっていたが、美和の「提供」を前に三人で陽光学苑跡地を見に行く約束をし、再会する。
; 酒井 美和(さかい みわ)
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* 脚本 - [[森下佳子]]
* 音楽 - [[やまだ豊]]
* 劇中歌 - 「Never Let Me Go」(作曲 : [[やまだ豊]]、歌 : [[Julia
** 劇中ではCDアルバム『Songs after Dark / JUDY BRIDGWATER』の1曲という設定。
* 演出 - [[吉田健]]、山本剛義、[[平川雄一朗]]
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<!-- 視聴率を書く方へ。最高・最低視聴率に色を使う時はfontタグを使わないでください。[[プロジェクト:テレビドラマ]]参照 -->
{| class="wikitable" style="text-align:center"
!各話!!放送日!!サブタイトル!!演出!!視聴率<ref>{{
|-
|第1話||1月15日||ドラマ史上最も哀しい運命…衝撃の結末へ愛しく儚い命の果ての希望とは||rowspan="2"|吉田健||<span style="color:blue">6.2%</span>
289 ⟶ 292行目:
|最終話||3月18日||愛と希望の結末は…生きること愛することそして生まれてきた意味とは?||吉田健||6.7%
|-
!colspan="5"|平均視聴率 6.8%<ref>{{
|}<!--視聴率を書くときは出典を付けること。-->
{{前後番組
| 放送局 = [[TBSテレビ|TBS]]系
| 放送枠 = [[金曜ドラマ (TBS)|金曜ドラマ]]
| 番組名 = わたしを離さないで<br />(2016年1月15日 - 3月18日)
| 前番組 = [[コウノドリ]]<br />(2015年10月16日 - 12月18日)
| 次番組 = [[私 結婚できないんじゃなくて、しないんです|私、結婚できないんじゃなくて、<br />しないんです]]<br />(2016年4月15日 - 6月17日)
}}
{{TBS金曜ドラマ (1989年以降)}}
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== 外部リンク ==
* テレビドラマ
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[[Category:カズオ・イシグロの小説]]
[[Category:2005年の小説]]
[[Category:イギリスのSF小説]]
[[Category:ディストピア小説]]
[[Category:クローンを題材とした
[[Category:信頼できない語り手の作品]]
[[Category:イギリスを舞台とした
[[Category:ハヤカワ文庫]]
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[[Category:日本の舞台作品]]
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[[Category:2016年のテレビドラマ]]
[[Category:クローンを題材としたテレビドラマ]]
[[Category:TBS金曜ドラマ]]
[[Category:日本のSFテレビドラマ]]
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[[Category:
[[Category:1970年代を舞台とした作品]]
[[Category:1990年代を舞台とした作品]]
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