「ハンニバル・レクター」の版間の差分

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'''ハンニバル・レクター'''('''{{lang-en-short|'''Hannibal Lecter}}'''}})は、『[[羊たちの沈黙]]』等、作家[[トマス・ハリス]]の複数の作品に登場する[[架空]]の人物。

冷酷で残忍な[[シリアルキラー]]でありながら、著名な[[精神科医]]であり[[猟奇殺人|猟奇殺人犯紳士]]的、[[貴族]]的な雰囲気も併せ持つ。殺害した[[人間]]の[[臓器]]を食べる異常な行為から「[[カニバリズム|人食い]]ハンニバル」({{en|Hannibal the Cannibal}}、ハニバル・ザ・と[[カニバリズム|カニバル]]で韻を踏んでいる)と呼ばれる。
 
== 概要 ==
トマス・ハリスの創作したキャラクターの中でも代表的な人物であり、特に[[1991年]]の映画『[[羊たちの沈黙 (映画)|羊たちの沈黙]]』によって世界的に知られるようになった。元々博識で気品のある振る舞いと優雅な趣向性を持ちながら裏に強烈な狂気をらんでいるというその異質な[[1981年精神病質]]に刊行された小説『[[レッド・ドラゴン]]』の登場人物像から物語における重要稀代の悪役としてカリスマ的な人物ではあ気を誇ってい<ref>伊藤健太, ハンニバル・レクター博士の、脇役探偵能力過ぎなかったみる精神病理, pp.1-9(pp.1-48), 中京英文学28-1-48, 中京大学英米文化・文学会, 2008.</ref>
 
元々は[[1981年]]に刊行された小説『[[レッド・ドラゴン]]』の登場人物で、物語における重要な人物ではあるものの、脇役に過ぎなかった。その後、その存在感を惜しんだハリスが[[1988年]]刊行の小説『[[羊たちの沈黙 (映画)|羊たちの沈黙]]』で再登場させ、以降、映画の人気もあってシリーズ化され、彼の名を冠した続編『[[ハンニバル (小説)|ハンニバル]]』([[1999年]])や、その半生を描いた『[[ハンニバル・ライジング]]』([[2006年]])が刊行されることとなった。
 
先述の『羊たちの沈黙』を含め、シリーズはすべて映画化されており、特にレクター役としては[[アンソニー・ホプキンス]]がよく知られている。シリーズの初映画化は『レッド・ドラゴン』の『[[刑事グラハム/凍りついた欲望]]』([[1986年]])であり、この時は[[ブライアン・コックス (俳優)|ブライアン・コックス]]が演じているが、ホプキンスが演じた『羊たちの沈黙』以降に世界的に人気を博したこともあり、一般には知られていない。
 
この『レッド・ドラゴン』は、[[2002年]]にホプキンスがレクター役として[[レッド・ドラゴン (映画)|再映画化]]されている。ホプキンスのレクターは視聴者に強烈な印象を残し、[[第64回アカデミー賞]]の[[アカデミー主演男優賞|主演男優賞]]の他、[[アメリカン・フィルム・インスティチュート]](AFI)が企画した「[[AFIアメリカ映画100年シリーズ]]」では、『[[アメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100|アメリカ映画の悪役ベスト50]]』で第1位<ref>{{cite web|url=httphttps://www.afi.com/100Years/handv.aspx|title=AFI's 100 GREATEST HEROES & VILLAINS|publisher=AFI.com|language=英語|accessdate=2014年8月17日}}</ref>、彼のセリフ「''A census taker once tried to test me. I ate his liver with some fava beans and a nice Chianti''」(「昔、[[国勢調査]]員が来た時、そいつの肝臓をソラマメと一緒に食ってやった。[[キャンティ|ワイン]]の[[肴|つまみ]]だ」)は『[[アメリカ映画の名セリフベスト100]]』で21位にランク入りする<ref>{{cite web|url=httphttps://www.afi.com/100years/afis-100-years-100-movie-quotes.aspx/|title=AFI'S 100 GREATEST MOVIE QUOTES OF ALL TIME|publisher=AFI.com|language=英語|accessdate=2014年7月15日}}</ref>など、映画史にも大きく記録されている。
 
ハンニバルの青年期を描いた『[[ハンニバル・ライジング (映画)|ハンニバル・ライジング]]』([[2007年]])では若手俳優の[[ギャスパー・ウリエル]]が演じた。[[2013年]]に始まった[[ハンニバル (テレビドラマ)|連続ドラマ]]では[[マッツ・ミケルセン]]が演じている。
 
== 来歴 ==
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; 名門貴族の末裔
: [[1933年]][[リトアニア]]生まれ。先天的に[[多指症]]という[[奇形]]があり、指が6本あったが、映画では一切描かれていない。
: 彼自身の認識によると、父方の祖先は[[イタリア]]の名門貴族、[[フィレンツェ]]の[[マキャヴェッリ家]]と[[ミラノ]]の[[ヴィスコンティ家]]の血を受け継ぐジュリアーノ・ベヴィサングエという[[12世紀]][[トスカーナ]]の人物に遡る。また母方もやはりヴィスコンティ家の末裔らしい{{要出典|date=2022年11月}}。[[スイス]]の高名な画家'''[[バルテュス]]'''とは従兄弟の関係であると言われる{{要出典|date=2022年11月}}
; 英才教育
: 2歳で文字の読み書きを覚え、6歳までに[[英語]]、[[ドイツ語]]、[[リトアニア語]]の3ヶ国語を習得する。8歳の時、家庭教師である'''ヤコフ'''から[[{{仮リンク|記憶の宮殿]]|en|Method of loci}}を用いた記憶術の指導を受ける。一貫して妹'''ミーシャ'''を溺愛する。
 
=== 少年期 ===
; 両親・妹の死
: [[第二次世界大戦]]中の[[1944年]]、[[東部戦線]]の拡大と共に避難を余儀なくされたレクター一家は別荘へ避難するが、そこで[[ドイツ軍]][[Ju 87 (航空機)|攻撃機]]と[[ソビエト連邦軍|ソ連軍]][[T-34|戦車]]の戦闘に巻き込まれ、両親が死亡。妹ミーシャと二人きりになるが、大寒波に覆われリトアニアの対独協力者たちと別荘で暫く生活を共にする事になる。しかし食料が尽き、対独協力者たちは飢えを満たすため、'''衰弱が甚だしいミーシャを殺害し食料にする'''。この体験が、後の彼の異常な人格を決定的にしたとされる。
: その後、別荘が破壊された混乱に乗じて逃走、雪の森の中を彷徨っている衰弱しきったハンニバルを、ソ連軍が保護した。
; 孤児院での生活
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=== 渡米後 ===
; 精神科医として連続殺人
: 成人後[[アメリカ合衆国|アメリカ]]に渡り医学を修得。しばらくは病院の救急外来嘱託医などをしていたが、[[1970年]]ごろに独立、精神科を開業した。その治療手腕は評判となり、多くの有名人や上流階級の人間が患者となった。こういった人種との享楽的な付き合いや非常識ぶりが、彼の眠っていた欲望や凶暴性を目覚めさせたらしく、自分の患者を殺害してはその肉を食うという連続猟奇殺人が始まった(『[[レッド・ドラゴン]]』『[[羊たちの沈黙]]』『[[ハンニバル (トマス・ハリス)|ハンニバル]]』)
: [[1975年]][[3月22日]]、患者であったボルティモア・フィルハーモニック・オーケストラの[[フルート]]奏者、'''ベンジャミン・ルネ・ラスペイル'''を殺害した際には、彼の臓器を調理して、ゲストとして招いたオーケストラの理事たちに振舞った(『[[レッド・ドラゴン]]』)。
: [[1978年]]、レクターの「ちょっとした遊び心」が原因となって[[連邦捜査局|FBI]]の捜査顧問であった'''ウィル・グレアム'''に犯行を突き止められ、グレアムに瀕死の重傷を負わせて逃亡。それからの9日間で更に3人を殺害している(『[[レッド・ドラゴン]]』)。
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: [[1981年]]、グレアムは連続殺人犯'''フランシス・ダラハイド'''の捜査協力をレクターに求めてきたが、レクターは逆にダラハイドをけしかけてグレアムと家族を襲わせた。命は助かったものの、グレアムは顔をズタズタに切り刻まれる重傷を負った(『[[レッド・ドラゴン]]』)。このように、レクターには「他人を心理的に操作して罪を犯させる驚異的な能力」があるとされる。
; バッファロー・ビル事件
: [[1983年]]、連続誘拐殺人犯'''ジェイム・ガム'''による「バッファロー・ビル事件」に対する捜査協力を求めてきた、当時FBIアカデミーの学生であった'''[[クラリス・スターリング]]'''捜査官の訪問を受ける。彼女に関心を抱いたレクターは、ガムに娘を誘拐された'''マーティン上院議員'''への情報提供の見返りとして条件の良い特殊監房に移ることになったが、その途上で2人の看守見張りを殺害して逃亡。バッファロー・ビル事件解決時には南米にまで逃れた(『[[羊たちの沈黙]]』)。また目立たなくするためか多指症を手術し、6本目の指を取り除いている。
 
=== イタリア ===
; 司書・研究者として
: [[1990年]]、イタリアへと渡ったレクターは、カッポーニ宮の司書を殺害し(失踪扱い)、自分その席に収まると、[[ダンテ・アリギエーリ|ダンテ]]研究者の'''フェル博士'''を名乗り、フィレンツェに居を構える。この時は峻厳をもって鳴る専門家連中を満足させるほどの深い知識を披露したり、カッポーニ宮の蔵書や銀行家の往復書簡を読み漁り、[[ドゥオーモ]]の修繕や、[[テルミン]]を奏でるなど生活を満喫している。
: 前司書の失踪事件を捜査していた'''リナルド・パッツィ刑事'''は、彼を連続殺人鬼ハンニバル・レクターではないかと疑い、レクターの元患者で、瀕死の重傷を負わされた資産家'''[[メイスン・ヴァージャー]]'''が出していた懸賞金目当てに、単独で捜査を開始するも、[[ヴェッキオ宮殿]]で[[パッツィ家の陰謀|パッツィの先祖の例]]に倣い、レクターに絞首により殺害される(『[[ハンニバル (トマス・ハリス)|ハンニバル]]』)。
 
=== 再びアメリカへ ===
; クラリスの治療
: タトゥラー誌で、[[クラリス・スターリング]]がマフィアの女ボスを射殺したことでFBI内から孤立している事を知ったレクターは、スターリングに手紙を送った後、ツアー旅行者に紛れ込み再び渡米する。
: メイスン・ヴァージャーとの決着をつけるべくアメリカで潜んでいたレクターだったが、スターリングの車に誕生日プレゼントを入れようとしていたところ、張り込んでいたヴァージャー一味に麻酔銃で撃たれ、その場に昏倒、拉致される。レクターを追っていたスターリングからナイフを受け取り窮地を脱するも、今度はスターリングが麻酔銃で負傷、大量の薬物によって意識混濁となったスターリングはレクターに治療されて一命を取り留める。
: そこでレクターは、スターリングの治療をすると同時に、FBIでスターリングの悩みの種だった上司の'''ポール・クレンドラー'''と「会食」することで、彼女の心の傷も治療する。愛する父親の死をついに受け入れトラウマを克服したスターリングは、今度はレクターのトラウマである妹ミーシャの存在の場をスターリング自身の中に作り「記憶の宮殿を共有する」という形でレクターの傷を癒し、[[共依存]]的な関係を構築する。(『[[ハンニバル (トマス・ハリス)|ハンニバル]]』)
; クラリスと失踪
: その後、レクターはスターリングと共に失踪、スターリングが友人に宛てた手紙を最後に消息を絶ったが、数年後に南米で観光旅行中の'''バーニー・マシューズ'''(精神異常犯罪者診療所収監時の担当看護師)に、スターリングと連れ立っているところを目撃されている。(『[[ハンニバル (トマス・ハリス)|ハンニバル]]』)
: 公開上映された映画ハンニバルのラストでは、レクターの看病は銃弾を受けたスターリングを治療し鎮痛薬の影響で意識が朦朧とした状態にありながら愚直に職務を遂行しようとしようとす試みスターリング彼女一瞬の隙を突かれ手錠をかけられ捕縛されてしまうが、自らの手首を切断し逃亡、機上の人となる。
:: ''※ 年数表記は、『羊たちの沈黙』の原作を中心とした前後関係に基づく。なお、全ての作品が映画化されているが、映画版は製作時期の差により原作とは多少異なる時代設定となっている。''
 
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: 知力だけではなく身体能力も優れ、並外れた膂力の持ち主。青年時代に身に付けた[[剣術]]の心得もある。
; 嗅覚
: 対面している人物が普段使用している化粧品などの匂いを嗅ぎ分け、そのブランドや銘柄を正確に言い当てるほどの動物的[[嗅覚]]を持つ。他人飛行機の機内で客室乗務員革バンドの腕時計を身に着けている時計の皮バンドた際には、その匂いを嫌がったり、ワインの給仕を断って手酌で飲んでいる。フィレンツェで「[[サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局|サンタ・マリア・ノヴェッラ]]」のオリジナル・コロンを使い、同店でクラリスに贈る石鹸を購入するなど香りにも造詣が深い。
 
== 趣味・嗜好 ==
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: 幼少期、彼の妹が殺された際に、知らずに自分も妹の肉を食べさせられていた事がトラウマとなり、カニバリズムの根源となっている。自分だけでなく他者にも知らせずに人肉料理をふるまう。
; 教養ある人物への偏執
: 連続殺人犯ではあるが、認めた相手に対しては紳士的に接する。彼に敬意を持って接したバーニー・マシューズ(収監施設の看護師)とは会話を交わし、請われれば知識を伝授することもあった。ボルティモア収容時には自分の隣の囚人ミッグスがバッファロー・ビルの捜査中だっで訪れたクラリスを辱めた際に、それまでのそっけない態度を一変させてクラリスに事件のヒントを教えた。その後、ミッグズはレクターに「会話」で追い詰められ[[自殺]]する。
: 自身が優れた知性と感性、豊富な知識を備えた人間であることに強いプライドを持っており、能力的に伍する者が現れた場合はそれがたとえ一側面に過ぎずとも異常な興味と執着を示す。例として『[[レッド・ドラゴン]]』において、謙遜から自らを凡庸な人物と述べるウィル・グレアムに対して「自分を追い詰め、囚われの身にした人物が凡庸であるわけがない」とたしなめる場面がある。
; 性的嗜好
: [[性的嗜好]]などについては不明な点が多いが、クラリス・スターリングについては、女性としてではなく特別な思い入れがある様子を時折のぞかせる。
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; クラシック音楽
: 嗜好する音楽は[[クラシック音楽]]。[[グレン・グールド]]の演奏する[[ヨハン・ゼバスティアン・バッハ|バッハ]]「[[ゴルトベルク変奏曲]]」を好む。『レッド・ドラゴン』ではオーケストラで稚拙な演奏を披露したフルート奏者を殺害、調理している。『[[ハンニバル (映画)|ハンニバル]]』では路上でトランペットを演奏していた青年に投げ銭を行っている。
; 自動の運転
: [[カーマニア]]であり[[自動]]の運転きであるという能動的な一面もある([[スーパーチャージャー]]付[[ベントレー]]や[[ジャガー (自動車)|ジャグァー]]XJRXJR(いずれも[[スーパーチャージャー]]付きの[[高級車]]を自ら乗りこなす。
; ナイフ
: 『ハンニバル』のパッツィ刑事殺害に使用されたナイフは[[スパイダルコ|スパイダルコ社]]製の実在するモデル(C08 - Harpy )Harpy)。小説版では同社のナイフを数本購入する描写があり、何らかの思い入れがあるようである。
 
== モデル ==
ハンニバル・レクターの人物像は、[[テッド・バンディ]]をはじめとする世界各地の実在する[[シリアルキラー]]を融合させて、原作者のトマス・ハリスが創造したものである<ref name ="matsuzaki">松崎まこと, [https://www.thecinema.jp/article/1033 製作から30年余。ホラーのジャンルを超え、アメリカ映画史に輝く“マスターピース”『羊たちの沈黙』], ザ・シネマ, 2022年2月15日.</ref>。しかし、その中でもハリスに一際インスピレーションを与えた人物がおり、それがアルフレド・バッリ・トレビーニョ(Alfredo Ballí Treviño)である<ref name ="banger">[https://www.banger.jp/news/81858/ テレ東「午後ロー」で放送『ハンニバル』のトリビアまとめ! レクター博士には実在のモデルが? ハンニバル役の第一候補だった意外な俳優とは!? 視聴前に総復習!!], BANGER, 2022年7月27日.</ref><ref name ="biography">Tim Ott, [https://www.biography.com/.amp/news/real-life-hannibal-lecter-alfredo-balli-trevino Alfredo Ballí Treviño: The Killer Doctor Who Inspired the Character Hannibal Lecter], BIOGRAPHY, OCT 16, 2020.</ref>。
 
原作者のトマス・ハリスは、若き日、テキサス州のベイラー大学で英語学を専攻しながら、地元紙に犯罪記事を提供して身を立てていた。次いでAP通信のニューヨーク支社へと移り、国際報道にも携わったという。そんなジャーナリスト時代であった1960年代初め、ハリスはある殺人事件の取材でメキシコの刑務所に出向いた。その取材中、同刑務所の診療所でサラザール博士と呼ばれる人物とも話をすることになった。サラザール博士の物腰は知的かつ紳士的で、まさにドクターという呼び名を体現したような人物であったため、ハリスは刑務所に勤める医師であろうと思った一方、博士の考え方には時折ぞっとさせるものもあったという。そして取材を終えたハリスは、後に、サラザール博士が自分が思っていたような刑務所の職員ではないことを知る。実は、彼は本名をアルフレド・バッリ・トレビーニョといい、医学の知識を利用して殺した相手の死体を切り刻み小さな箱に収めることで証拠隠滅を図った、元外科医の服役囚であった(彼は同様の手口でさらに複数の殺人を犯した疑いが持たれていた)。このトレビーニョの姿がハリスの作品に大きな影響を与えたという<ref name ="banger"/><ref name ="biography"/>。
 
なお、レクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスは、かつてロンドンに住んでいた時、道端でおかしな行動をしている男性と遭遇し、「かなり怖い思い」をした際、その男性がまばたきをしていなかったことから、レクター博士を怖く見せるために「まばたきをしない」表現を取り入れたという<ref name ="matsuzaki"/>。
 
== 登場作品 ==
=== 小説 ===
; 『[[レッド・ドラゴン]]』(''Red Dragon'')
: [[1981年]]に出版。[[1986年]]に『''Manhunter''』の題名で映画化(邦題『[[刑事グラハム/凍りついた欲望]]』、ビデオ改題『レッド・ドラゴン/レクター博士の沈黙』)。[[2002年]]に原題の『[[レッド・ドラゴン (映画)|レッド・ドラゴン]]』で再映画化。2013年にはアメリカ[[NBC]]により『[[ハンニバル (テレビドラマ)|ハンニバル]]』としてドラマ化されている。
; 『[[羊たちの沈黙]]』(''The Silence of the Lambs'')
: [[1988年]]に出版。[[1991年]]に映画化。映画作品については『[[羊たちの沈黙 (映画)|羊たちの沈黙]]』を参照。
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: [[2006年]]に出版。[[2007年]]に映画化。映像作品については『[[ハンニバル・ライジング (映画)|ハンニバル・ライジング]]』を参照。
 
=== 映像化 ===
上記は出版順で、映像化順としては下記となる。
 
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* 2002年 レッド・ドラゴン
* 2007年 ハンニバル・ライジング
* 2013年 ハンニバル(テレビドラマ)
 
== 俳優 ==
[[File:Anthony Hopkins cropped 2009.jpg |thumb|120px|アンソニー・ホプキンス]]
[[file:Mads Mikkelsen (San Diego Comic-Con 2016) cropped to face.jpg|thumb|120px|マッツ・ミケルセン]]
映画化作品においてハンニバル・レクターを演じた最初の俳優は[[1986年]]『[[刑事グラハム/凍りついた欲望]]』の[[ブライアン・コックス (俳優)|ブライアン・コックス]]であった。ハンニバル・レクター役で最も有名とされるのは、『羊たちの沈黙』『ハンニバル』『レッド・ドラゴン』で演じた[[アンソニー・ホプキンス]]である。『羊たちの沈黙』の演技により、彼は初の[[アカデミー賞]]主演男優賞を受賞した。
 
[[2007年]]に映画が公開された『ハンニバル・ライジング』では新しく若手の俳優[[ギャスパー・ウリエル]]が起用され、ホプキンスは出演していない。ホプキンス自身は『[[世界最速のインディアン]]』公開での来日時、各映画雑誌などに「もうレクターはこりごりだよ。」と語っている。ちなみにホプキンスは[[ベジタリアン]]であり、人間はもちろん、牛・豚・鶏は絶対に食べない。
 
2013年よりアメリカ[[NBC]]で放送が始まったテレビドラマ『[[ハンニバル (テレビドラマ)|ハンニバル]]』では[[マッツ・ミケルセン]]がハンニバル・レクターを演じているが、時代設定が2013年時点の現代に置き換えられているため、原作の生い立ちそのものが根本から異なる。映画版のようにレクターが直接的に犠牲者に噛みつくカニバリズム的描写はない。
 
== 声優 ==
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|}
 
== 脚注 ==
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== 関連項目 ==
* [[ハンニバル]] - [[紀元前2世紀]]ごろの[[カルタゴ]]の武将。[[第二次ポエニ戦争#アルプス越え|アルプス越え]]をしたときに味方の兵士を食べて飢えを凌いだという俗説が流れたことがある。
 
{{ハンニバル・レクター}}
{{井上和彦 (声優)}}
{{浪川大輔}}
 
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:れくたあ はんにはる}}
[[Category:ハンニバル・レクター|*]]