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『'''三里塚のイカロス'''』(さんりづかのいかろすイカロス)は、[[2017年の映画|2017年]]の[[日本]]の[[ドキュメンタリー]]映画。
 
== 概要 ==
[[三里塚闘争]]([[成田空港問題]])を題材とした[[ドキュメンタリー]]映画。『[[三里塚に生きる]]』の続編。イカロスとは『[[ギリシア神話]]』に登場する、[[蝋]]で固めた[[翼]]によって自由自在に飛翔する能力を得るが、[[太陽]]に接近し過ぎたことで、翼が溶けて墜落する人物「[[イーカロス]]」のことである。
 
前作では成田、[[三里塚芝山連合空港反対同盟]]熱田派の地元農民を中心にかれていたのに対し、今作では[[革命的共産主義者同盟 (日本)|革共同]]・[[共産主義者同盟マルクス・レーニン主義派|ML派]]・[[日本革命的共産主義者同盟(第四インターナショナル日本支部)|第四インター]]に所属していた、[[成田空港管制塔占拠事件]]実行犯を含む[[日本の新左翼|新左翼]]の支援者・活動家・支援妻らを中心に描く。また空港反対派だけでなく「0期生」と呼ばれる[[新東京国際空港公団]]が正式な採用を始める前からのたたき上げ(「0期生」と呼ばれる)として、数多くの地元農民と[[成田国際空港|新東京国際空港]]の用地買収交渉と秘密会談を手掛け、後に[[革命的共産主義者同盟全国委員会|中核派]]に自宅を[[爆破]]された元空港公団用地部職員の前田伸夫<ref>前田伸夫は空港公団退職後に『特命交渉人 用地屋』を[[アスコム]]から出版し、[[成田国際空港 (企業)|成田国際空港株式会社]]から出入り禁止処分を下されている({{Cite web|和書|url=http://webneo.org/archives/43703/3|title=【Interview】かつて本気で三里塚に関わった人を訪ねて 『三里塚のイカロス』 代島治彦(監督)×加藤孝信(キャメラマン)|accessdate=2018-08-28|date=2017-09-11|publisher=neoneo}})。</ref>への[[インタビュー]]行わ収録さている。
 
本作を制作するため、[[クラウドファンディング]]を利用して、映画制作資金を集めた<ref>{{Cite web |和書|url=https://motion-gallery.net/projects/sanrizuka02 |title=傑作『三里塚に生きる』につづく戦後ニッポン黙示録の第二章、『三里塚のイカロス』製作費をご支援ください。 |accessdate=2017-04-30}}</ref>。
 
[[2017年]]([[平成]]29年)[[9月9日]]から、[[東京都]][[渋谷区]]の[[シアター・イメージフォーラム]]で、[[英語]]字幕付きで公開された。また、公開記念および[[小川紳介]]没後25周年として「小川プロダクション・三里塚とあの時代 [[1967年|1967]]-[[1973年|1973]]」も、[[学校法人アテネ・フランセ|アテネ・フランセ文化センター]]と[[武蔵大学]]提供の16ミリフィルムで[[9月17日]]まで再上映された。その後は『三里塚に生きる』の再上映を実施している
 
第18回チョンジュ国際映画祭の招待作品に選ばれた。
 
なお、主要登場人物の1人作中インタビューを受けてい中核派の元活動家[[岸宏一 (活動家)|岸宏一]]([[2006年]](平成18年)に中核派元代表を離れ、[[2007年]](平成19年)に中核派から[[除名]])は、映画撮影後の2017年(平成29年)[[3月26日1981年]]に、から[[谷川岳2006年]]への雪山[[スキー]]中遭難しかけおり、捜索結果25年間持ち物中核派リュックが見つかったが、身体が見つかっていない<ref name="Mainichi-2017-06-20">{{Cite news |title=「三里塚のイカロス」完成 成田反対運動その後描く 元現地闘争活動家の「遺言」 /東京 |newspaper=[[毎日新聞]] |date=2017-06-20 |author= |url=https://mainichi.jp/articles/20170620/ddl/k13/040/003000c |accessdate=2017-09-17}}</ref>責任者であった<ref name="Sankei-2017-06-23">{{Cite news |title=【ニュースの深層】 中核派元幹部、雪山で不明3カ月 10年前に除名…「完全打倒」予告されていた |newspaper=[[産経新聞]] | date=2017-06-23 | author= 渡辺浩 | url = httphttps://www.sankei.com/premiumarticle/news20170623-BCYOSIJRKVJVPOZSVHQYI7DCVI/1706212/prm1706210002-n2.html |accessdate=2017-09-19}}</ref>。岸が[[<ref name=":0">映画『三里塚闘争]]責任者([[1981年]] イカロス』パンフレット、80- [[2006年]])だ81頁。</ref>。岸がその任にあった期間中、中核派は[[成田空港問題]]を巡り、[[10.20成田現地闘争]]のほか、[[東鉄工業作業員宿舎放火殺人事件]][[千葉県収用委員会会長襲撃事件]][[日本飛行機専務宅放火殺人事件]]、仲間・新左翼セクト同士の[[内ゲバ]]などの[[テロリズム]]を起こしてきたが<ref name="Sankei-2017-06-23" />、劇中の[[団結小屋|岩屋鉄塔]]のシーンでは「あれは間違ぼくにとては、活動家として人生を歩んできていた。過ちだるなかで、(中略)国家権力との闘いがあったころの中心にいたわけで生前そういう意味では恵まれていたという風いまは総括しているんですけどもね」と述べる。しかしその後岸は中核派の現状と三里塚闘争[[失敗]]を認めについて語りだし事実上最期「でも、それは岸さん25年間やってたわけだから、岸さん[[遺言]]失敗っていうこにもるんですよ」と代島に問われ活動岸が「完全にそうですね。完全にそういうことだと思います」と答えたところで映画のエンディング[[総括迎える<ref name=":0" /><ref name=":1">{{Cite web|和書|url=http://waniwanio.hatenadiary.com/entry/2017/09/18/202955|title=ドキュメンタリー監督、代島治彦さんに聞く(連合赤軍後編)|総括]]しているaccessdate=2018-03-01|author=朝山実|date=2017-09-18|publisher=「ウラカタ伝」}}</ref>
 
岸は、映画撮影後の2017年(平成29年)[[3月26日]]に[[谷川岳]]連峰・東谷山への雪山[[スキー]]中に遭難し、持ち物のリュックを残して消息を絶っており、このインタビューが岸による事実上の[[遺言]]となった<ref name="Sankei-2017-06-23" /><ref name="Mainichi-2017-06-20">{{Cite news|title=「三里塚のイカロス」完成 成田反対運動その後描く 元現地闘争活動家の「遺言」 /東京|newspaper=[[毎日新聞]]|date=2017-06-20|author=|url=https://mainichi.jp/articles/20170620/ddl/k13/040/003000c|accessdate=2017-09-17}}</ref>。なお、岸は[[2015年]](平成27年)に出版した『革共同政治局の敗北1975~2014 あるいは中核派の崩壊』を巡り中核派の攻撃対象となっており、知人や家族に相談したうえで本作の撮影に応じている<ref name="Sankei-2017-06-23" /><ref name=":1" />。
また、中核派<ref>[[三里塚芝山連合空港反対同盟]](反対同盟)の北原派の活動を支援している。反対同盟は「北原派」「旧熱田派」「小川派」などに分裂している。</ref>は2017年(平成29年)[[10月9日]]付の機関紙『[[前進社|前進]]』で『三里塚のイカロス』について触れ、同作は脱落派の見解・国家権力が描く闘争観であり、(中核派が支援を続けている反対派農家である)市東孝雄が登場することは絶対に不可能な構成になっている、脱落・転向した岸は三里塚に敵対するデタラメな主張を述べ立てている、(別の場所で行われた内ゲバや[[ABCD問題]]を論い)第四インターは腐敗し国家権力中枢からの攻撃の手先に成り果てていた、(元空港公団職員への爆破テロについて)農民切り崩しの張本人に鉄槌が下されたのは当然の報いだ、等として同作を批判し、「三里塚闘争はこれからだ。労農連帯で市東さんの農地を守り、軍事空港を阻止しよう!」と締めくくっている<ref>{{Cite web |url=http://www.zenshin.org/zh/f-kiji/2017/10/f28830302.html |title=映画「三里塚のイカロス」批判 三里塚の歴史と真実ゆがめ虚偽で「闘争の終結」あおる |publisher=革命的共産主義者同盟全国委員会 | date = 2017-10-09 |accessdate=2017-10-13}}</ref>。
 
また、中核派<ref>[[三里塚芝山連合空港反対同盟]](反対同盟)の北原派の活動を支援している。反対同盟は「北原派」「旧熱田派」「小川派」などに分裂している。</ref>は2017年(平成29年)[[10月9日]]付の機関紙『[[前進社|前進]]』で『三里塚のイカロス』について触れ、同作は脱落派の見解・[[国家権力]]が描く闘争観であり、(中核派支援されて空港用地内での耕作を続けている反対派農家である)市東孝雄が登場することは絶対に不可能な構成になっている、脱落・転向した岸は三里塚に敵対するデタラメな主張を述べ立てている、(別の場所で行われた内ゲバや[[ABCD問題]]を論い)第四インターは腐敗し国家権力中枢からの攻撃の手先に成り果てていた、(元空港公団職員・前田伸夫への爆破テロについて)農民切り崩しの張本人に鉄槌が下されたのは当然の報いだ、等として同作を批判し、「三里塚闘争はこれからだ。労農連帯で市東さんの農地を守り、軍事空港を阻止しよう!」と締めくくっている<ref>{{Cite web |和書|url=http://www.zenshin.org/zh/f-kiji/2017/10/f28830302.html |title=映画「三里塚のイカロス」批判 三里塚の歴史と真実ゆがめ虚偽で「闘争の終結」あおる |publisher=革命的共産主義者同盟全国委員会 | date = 2017-10-09 |accessdate=2017-10-13}}</ref>。
 
== スタッフ ==
* 制作・監督・編集:[[代島治彦]]<ref>{{Cite web |和書|date= |url=http://www.moviola.jp/sanrizuka_icarus/staff/index.html |title=スタッフ |publisher= |accessdate=2017-09-17}}</ref>
* 撮影:[[加藤孝信]]
* 音楽:[[大友良英]]
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* [[成田国際空港]]
* [[成田空港問題]]([[三里塚闘争]])
* [[吉田義朗]]
 
== 外部リンク ==
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** {{YouTube|tzBJ7tH39xA|『三里塚のイカロス』予告編}} {{ja icon}}
** {{YouTube|fAgQEyGGllI|THE FALL OF ICARUS: NARITA STORIES}} {{en icon}}
* {{シネマトゥデイ|T0022269}}
* {{Allcinema title|361345}}
* {{Kinejun title|88752}}
* {{Movie Walker|mv63224}}
* {{YouTube|NqLofSCgJmY|title=証言で紡ぐ成田闘争~「三里塚のイカロス」代島監督インタビュー}}
 
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[[Category:2017年の映画]]
[[Category:千葉県を舞台とした映画作品]]
[[Category:成田空港問題に関連する作品]]
[[Category:MOTION GALLERYで資金調達した映画作品]]