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|損害='''沈没'''：{{Flagicon|JPN}} [[愛媛県立宇和島水産高等学校|宇和島水産高校]] 練習船 えひめ丸<br/>'''一部損傷'''：{{Flagicon|USA}} 原子力潜水艦[[グリーンビル (原子力潜水艦)|グリーンビル]]
|timezone=
|補償=[[2002年]][[11月14日]]、被害者35人のうち33人の家族ら、米国海軍から総額約1390万ドル（約16億8000万円）の補償金が支払われることで[[和解]]<ref>[https://web.archive.org/web/20111204163919/http://www.47news.jp/CN/200211/CN2002111401000162.html 33家族が米海軍と和解 えひめ丸と原潜衝突事故] [[共同通信]] 2002-11-14（[[47ニュース]]） 2010-05-20閲覧。</ref>。<br/>[[2003年]][[1月31日]]、被害者35人の残り2人の家族ら、ワドル元艦長による直接の謝罪を受け、米国海軍から他の家族らと同水準の補償金が支払われることで[[和解]]<ref>[https://web.archive.org/web/20111204154948/http://www.47news.jp/CN/200212/CN2002121601000305.html 2遺族も補償交渉和解へ ワドル元艦長の謝罪受け] [[共同通信]] 2002-12-16（[[47ニュース]]） 2010-05-20閲覧。</ref><ref>[https://web.archive.org/web/20111204160514/http://www.47news.jp/CN/200301/CN2003013101000270.html えひめ丸の補償、全面解決 米原潜衝突事故から2年] [[共同通信]] 2003-01-31（[[47ニュース]]） 2010-05-20閲覧。</ref>。
}}
'''えひめ丸事故'''（えひめまるじこ）は、[[2001年]][[2月10日]]8時45分（日本時間）、[[アメリカ合衆国]][[ハワイ州]]の[[オアフ島]]沖で、[[アメリカ海軍]]の[[原子力潜水艦]][[グリーンビル (原子力潜水艦)|グリーンビル]]が、[[愛媛県立宇和島水産高等学校]]の練習船だった[[えひめ丸]]に衝突し、えひめ丸を沈没させ<ref name="gaimu">[https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hawaii01/ugoki.html 日本国 外務省 「えひめ丸」衝突事故の概要]</ref>、教員・乗組員5人と生徒4人を死亡させた事故である。
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アメリカ海軍所属の[[ロサンゼルス級原子力潜水艦|ロサンゼルス級攻撃型原子力潜水艦]]グリーンビルが浮上中に、愛媛県立宇和島水産高等学校に所属する漁業練習船'''えひめ丸'''（499トン）と衝突し、損傷したえひめ丸は、衝突後5分程度の間に沈没した<ref name="tuushin">[https://www.kaiho.mlit.go.jp/info/kouhou/h13/ehimemaru/jikeiretu.html 日本国 海上保安庁 愛媛県漁業練習船『えひめ丸』衝突・沈没海難事故における海上保安庁通信等経緯概要]</ref>。えひめ丸側35名の乗組員・教員・生徒の内9名が死亡し、衝突の際に海上に投げ出された26名は救出されたがその内の1名が[[鎖骨骨折]]、11名が軽傷を負い、9名が後に[[心的外傷後ストレス障害|PTSD]]と診断された。
 
この事故の際、グリーンビルは浮上以前からソナーでえひめ丸の存在に気付いてはいたが、グリーンビルには民間人16名が搭乗しており、グリーンビルのクルー等はこの民間人の対応に追われ、ソナーによる確認作業がなおざりになっていたとされる。{{要出典範囲|その他にもいくつかのミスが事故の原因とされている。|date=2022年4月}}事故後にグリーンビルは現場海域に留まったものの同乗の民間人に配慮して積極的な救難活動を行わなかったとする非難の声がある。一方で衝突当時周辺の海はかなり荒れており（波高3-6フィート）、潜水艦が積極的な救助活動を行うことは難しかったとアメリカ海軍は主張している<ref>[http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-j088.html 在日アメリカ合衆国大使館 「えひめ丸」行方不明乗員家族より提出されたアメリカ政府への要望書（2001年2月25日付）]</ref>。アメリカ海軍側が早々に捜索を打ち切ろうとした際に現場に派遣されていた[[桜田義孝]]外務大臣政務官が「捜索を打ち切ると言われたから断ると言ってやった」と報道陣の前で啖呵を切ったシーンが話題になった。<ref>{{Cite web|和書|title=『「えひめ丸」事故から１０年 外交に必要な“強気”』|url=https://ameblo.jp/sakurada-yoshitaka/entry-11044634228.html|website=桜田よしたかの「ズバリ直言」|accessdate=2019-07-17|language=ja}}</ref><ref>{{Citation|title=ザ・櫻田　衆議院議員・桜田義孝ものがたり|url=https://www.youtube.com/watch?v=COc5G30VQSA|date=2012-10-25|accessdate=2019-07-17|last=櫻田よしたか}}</ref>
 
同年2月16日には水深600mの地点で沈んでいたえひめ丸の船体が発見された。引き上げを希望する行方不明者家族側と、引き上げコストを理由に難色を示すアメリカ海軍側の意見のすれ違いもあった。しかし、2001年10月16日、一旦船体をダイバーが潜行して調査できる水深35mの位置まで移動させ、ダイバー等による1か月以上の捜索を実施後、船体は水深1800mの海底に移動された<ref name="gaimu"/>。
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=== 事故後 ===
当時のグリーンビルの艦長である[[スコット・ワドル]][[中佐]]（当時）は事故の責任について[[軍法会議]]で審議されることはなく、司令官決裁による減俸処分を受けただけで、後に軍を[[名誉除隊]]した（懲戒免職に相当する[[不名誉除隊]]ではなく、軍人年金などの受給資格のある一般退職となった。退職後、ただちに海軍関連の企業に再就職した）。[[2002年]]12月には[[愛媛県]]の[[宇和島市]]を訪れ、同市内にあるえひめ丸慰霊碑に献花した。
* 2002年11月30日、5代目えひめ丸が建造され愛媛県に引き渡されている<ref>{{Cite web|和書|url=https://web.archive.org/web/20150419173648/http://www.47news.jp/CN/200211/CN2002113001000102.html |title=新えひめ丸を引き渡し　宇和島水産高校の実習船 |author= |date=2002-11-30 |work= |publisher=共同通信 |accessdate=2014-03-20 }}</ref>。また、ホノルルと宇和島に慰霊碑が建立されている<ref name="gaimu"/>。▼
 
* 2003年、全国水産高校長協会が2月10日を「[[海の安全祈念日]]」に制定した。▼
▲* 2002年11月30日、5代目えひめ丸が建造され愛媛県に引き渡されている<ref>{{Cite web|url=http://www.47news.jp/CN/200211/CN2002113001000102.html |title=新えひめ丸を引き渡し　宇和島水産高校の実習船 |author= |date=2002-11-30 |work= |publisher=共同通信 |accessdate=2014-03-20 }}</ref>。また、ホノルルと宇和島に慰霊碑が建立されている<ref name="gaimu"/>。
▲* 2003年、全国水産高校長協会が2月10日を「[[海の安全祈念日]]」に制定した。
* {{要出典範囲|時期不明、[[アメリカ合衆国大統領]][[ジョージ・ウォーカー・ブッシュ]]は電話で森首相に謝罪し、アメリカの責任を全面的に認めた。|date=2022年4月}}
* ハワイの航海カヌー[[ホクレア]]はえひめ丸の犠牲者追悼の意味も込めて、2007年5月に宇和島市を訪問した。[[ナイノア・トンプソン]]船長は水産高校をクルーと共に訪れ慰霊碑の前で献花、同校等でワークショップを開催した。
* 2006年2月10日より和歌山県の[[高野山高等学校]]の宗教科生が[[高野山]] [[の奥之院]]燈籠堂にてえひめ丸慰霊法会を毎年厳修している。
 
NTSB（[[国家運輸安全委員会|アメリカ国家運輸安全委員会]]）は、2005年10月19日にこの事故に関する報告書を出している。この報告書では、グリーンビルのワドル元艦長の責任を含め[[アメリカ海軍]]による内部調査の多くの部分を認めている。ワドル元艦長は2003年に''The Right Thing''（ISBN 1591450365）と題した著書を出版し、この事故にどのように対応したかを述べている。
 
* えひめ丸事故の追悼歌・鎮魂歌として、以下の楽曲が制作された。
** 「えひめ丸」（作曲・演奏：[[ジェイク・シマブクロ]]）
** 「あゝえひめ丸」（作詞：[[沖良雄]]、作曲：[[玉井知湖]]、歌：田中幸子<ref group="注釈">編曲：[[池多孝春]]。カセットシングルで発売。レーベル：[[全日本歌楽互恵審査協会]]（JAVAC）、規格品番の記載なし</ref>、沖美恵子<ref>[https://www.joysound.com/web/search/song/205575 あゝえひめ丸／沖 美恵子-カラオケ・歌詞検索｜JOYSOUND.com] - 2020年9月12日閲覧。</ref>）
** 「海よ 鴎よ 島々よ」（作詞：[[宮内たけし (作詞家)|宮内たけし]]、作曲：[[町田真理子]]、歌：町田真理子<ref>アルバム『枯れ葉によせて』収録。[http://www2.tbb.t-com.ne.jp/mariko2212/disco.htm シャンソン・町田真理子] - 2020年9月12日閲覧。</ref>、[[多田周子]]<ref>[http://www.miyauchi-takeshi.com/ 埼玉県北本市・作詞家 宮内たけし] - 2020年9月12日閲覧。</ref>）
2006年にえひめ丸に乗船していた元実習生の一人が、別の実習生に恐喝を行った容疑で逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。{{要出典範囲|この事件は事故後の実習生たちの心のケアにあたっていた関係者にも衝撃を走らせた。|date=2022年4月}}▼
 
事故から10年経った2011年から（2020年を除く）、宇和島市では「うわじまハワイアンフェスティバル」が行われている。事故を風化させないために、また、もともと宇和島市の姉妹都市であったホノルル市との友好を深めることがを目的であとする。▼
▲2006年にえひめ丸に乗船していた元実習生の一人が、別の実習生に恐喝を行った容疑で逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。{{要出典範囲|この事件は事故後の実習生たちの心のケアにあたっていた関係者にも衝撃を走らせた。|date=2022年4月}}
 
▲事故から10年経った2011年から（2020年を除く）、宇和島市では「うわじまハワイアンフェスティバル」が行われている。事故を風化させないために、また、もともと宇和島市の姉妹都市であったホノルル市との友好を深めることが目的である。
 
発生から20年目の2021年、グリーンビルのワドル元艦長が、遺族に謝罪するとともに「事故の責任は自分にある」とする遺族宛ての書簡をまとめ、公表した<ref>[https://web.archive.org/web/20210210024232/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210210/k10012858951000.html 「事故の責任は私だけに」元潜水艦長が遺族宛てに謝罪の書簡] - NHK NEWS WEB（[[日本放送協会]]） 2021年2月10日 11時40分</ref>。また2021年のホノルルでの慰霊式典は[[新型コロナウイルス感染症 (2019年)|新型コロナウイルス]]感染拡大及び日本国内一部地域にて改正・[[新型インフルエンザ等対策特別措置法]]に基づいて発令された緊急事態宣言の影響を受け、日本からの遺族の参加を中止した<ref>[https://web.archive.org/web/20210210030253/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210210/k10012858911000.html えひめ丸 事故から20年 ハワイで慰霊式典行われる] - NHK NEWS WEB（[[日本放送協会]]） 2021年2月10日 11時56分</ref>。
 
== 慰霊碑・式典 ==
2002年、ハワイ州・オアフ島の[[ホノルル]]の[[カカアコ・ウォーターフロント・パーク]]内に当時の[[高野山高校]]宗教科の生徒らが寄付を募り、慰霊碑が設置された。[[2018年]][[6月4日]]には、訪米中の[[秋篠宮]]夫妻が立ち寄り慰霊を行っている<ref>{{Cite web |和書|date= 2018年6月5日|url= https://www.afpbb.com/articles/-/3177308|title= 秋篠宮ご夫妻、ハワイの「えひめ丸」慰霊碑訪問|publisher= AFP|accessdate=2018-06-05}}</ref>。
また、高野山高校宗教科の海外研修としてハワイに何度か訪れて、慰霊碑の前で物故者慰霊法会をしている。
 
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* [[1981年]][[4月9日]]、日本船籍の日昇丸が、[[東シナ海]]でアメリカ海軍の原子力潜水艦ジョージ・ワシントンに下から突き上げられ沈没するえひめ丸とよく似た事故（[[米原潜当て逃げ事件]]）が発生している。この事故で2名が死亡した。
* [[1988年]][[7月23日]]、海上自衛隊の潜水艦「なだしお」が遊漁船「第一富士丸」と横須賀沖で衝突する事故（[[なだしお事件]]）が発生し、遊漁船の乗客39名・乗員9名のうち30名が死亡し、17名が重軽傷を負った。
* [[1988年]][[8月26日]]、[[ペルー]]海軍所属の潜水艦パコーチャ(BAP Pacocha, SS-48)と[[三重県]]の遠洋マグロ漁船「第8共和丸」がペルー・[[カヤオ]]港外で衝突しパコーチャが沈没、パコーチャの艦長ら8人が死亡した。パコーチャは元はアメリカ海軍の[[バラオ級潜水艦]]の[[アトゥル (潜水艦)|アトゥル]]で、アトゥルは第二次世界大戦では対日通商破壊作戦に従事し、[[1944年]][[11月1日]]に[[浅間丸]]を撃沈した潜水艦であった。なお同艦は浮上後スペアパーツとして使われた。
* [[2006年]][[11月21日]]、宮崎県沖で、海上自衛隊の練習潜水艦「あさしお」とパナマ船籍の貨物船スプリング オースターが接触したが、双方とも損傷が軽微で負傷者がでなかった。
* [[2007年]][[1月9日]]、[[ホルムズ海峡]]で[[ロサンゼルス級原子力潜水艦]]のニューポート・ニューズが日本のマンモスタンカー「[[最上川 (タンカー)|最上川]]」（16万トン）に衝突、双方に負傷者は出なかったが「最上川」の船底部を損壊し航行不能になった。
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* [http://www.pref.ehime.jp:8080/honbu/index.htm 宇和島水産高校水産実習船沈没事故対策本部]:[[愛媛県]]庁公式ホームページ内
* [https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/pub/geppo/pdfs/08_3_2.pdf 米太平洋軍の同盟マネージメント対策と市民社会との連携―えひめ丸事故とその後の友好関係― 中村邦子 外務省調査月報 2008/No.3]
* {{NHK放送史|D0009030304_00000|実習船えひめ丸 沈没事故}}
* {{YouTube|nIvdZnz7e2M|【現場から、】平成の記憶、えひめ丸事故 課題残されたまま 190207}}
 
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[[Category:ハワイ州の軍事史]]
[[Category:ハワイ州の交通事故]]
[[Category:ロサンゼルス級原子力潜水艦|事]]
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