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{{Otheruses}}
{{出典の明記|date=2023年10月}}
{{ページ番号|date=2023年10月}}
{{中華圏の事物
| タイトル = 孫悟空
| 画像種別 =
| 画像 =
| 画像の説明 =
| 英文 =
| 簡体字 = 孙悟空
| 繁体字 = 孫悟空
| ピン音 = Sūn Wùkōng
| 通用 =
| 注音符号 = ㄙㄨㄣㄨˋㄎㄨㄥ
| ラテン字 = Sun¹ Wu⁴- k'ung¹
| 広東語ピン音 = Syun¹ ng⁶hung¹
| 広東語 = Syun¹ Ng⁶hung¹
| 上海語 =
| 閩南語発音 = Sun Ngōo-khang
| 台湾語 = Sun Ngō͘-khong
| カタカナ = スン・ウーコン
| ひらがな = そんごくう
}}
[[File:Xiyou.PNG|thumb|西遊原旨の挿絵より。]]
[[File:Sun Wukong and Jade Rabbit.jpg|thumb|『玉兎』([[月岡芳年]]『月百姿』)孫悟空と月の妖精。]]
[[File:Sun Wukong at Beijing opera - Journey to the West.jpg|thumb|[[京劇]]『西遊記』の孫悟空。]]
'''孫 悟空'''(そん ごくう、スン・ウーコン、{{Lang-zh | t=孫悟空| s=孙悟空| hp=Sūn Wùkōng| w=Sun¹ Wu⁴- k'ung¹|j =Syun¹ ng⁶hung¹| first=t}})は、中国の[[四大奇書]]小説『[[西遊記]]』の主要登場[[キャラクター]]<ref>{{efn2|大鬧天宮の話などでは主人公であり、京劇などでは最も重要な役とされる</ref>。}}の一人である[[仙人|上仙]]。今も崇拝される[[道教]]の神でもあり、香港をはじめ、台湾や東南アジアでは一般に{{読み仮名|'''[[斉天大聖]]'''|せいてんたいせい}}の号で呼ばれ、信仰されている<ref>{{Cite web2 |df=ja |url=http://tw.myblog.yahoo.com/jw!d0GiVJ6BBAAQKGZHarobbSTMY6Cp9Q--/archive?l=f&id=24 |title=-台南郎-@部落格 |website=Yahoo!奇摩部落格 |accessdate=2009-07-23 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20060511055436/http://tw.myblog.yahoo.com/jw!d0GiVJ6BBAAQKGZHarobbSTMY6Cp9Q--/archive?l=f&id=24 |archivedate=2006-05-11 |language=zh-Hant-TW}}</ref>。彼は中国の民間信仰のなかで最も活躍する英雄の一人である。別名は'''孫行者'''。
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}}
'''孫 悟空'''(そん ごくう、スン・ウーコン、{{Lang-zh | t=孫悟空| s=孙悟空| hp=Sūn Wùkōng| w=Sun¹ Wu⁴- k'ung¹|j =Syun¹ ng⁶hung¹| first=t}})は、中国の[[四大奇書]]小説『[[西遊記]]』の主要登場[[キャラクター]]<ref>大鬧天宮の話などでは主人公であり、京劇などでは最も重要な役とされる</ref>の一人である[[仙人|上仙]]。今も崇拝される[[道教]]の神でもあり、香港をはじめ、台湾や東南アジアでは一般に{{読み仮名|'''[[斉天大聖]]'''|せいてんたいせい}}の号で呼ばれ、信仰されている<ref>
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|url=http://tw.myblog.yahoo.com/jw!d0GiVJ6BBAAQKGZHarobbSTMY6Cp9Q--/archive?l=f&id=24
|title=齊天大聖
|language=中国語([[繁体字]])
|accessdate=2009-07-23
}}</ref>。彼は中国の民間信仰のなかで最も活躍する英雄の一人である。別名は'''孫行者'''。
 
元代の『西遊記』(最古とされる)のあらすじを収録した朝鮮の書『朴通事諺解』(1677年)には'''孫吾空'''として登場する。また、齊天大聖の登場する主な[[雑劇]](説話)は以下のとおり。これら先行する各種作品をうけて[[明]]代に100回本としてまとめられ集大成したもの<ref>{{efn2|100回本の作者として、中国では[[魯迅]]による呉承恩説があるが、日本の研究者(太田辰夫[[中野美代子]]ら)は根拠に乏しいとして否定的である。中野は100回本を成立させた「作者」が複数存在する可能性も指摘している。</ref>}}が分量が多すぎたため、[[清]]代には整理簡略された簡本のうち[[康熙]]33年([[1694年]])刊行の『西遊真詮』が比較的よくみられる『西遊記』である。
* 西遊雑劇(戯曲)
* 斉天大聖(戯曲)
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=== 生い立ち ===
昔々、東勝身洲([[須弥山]]の周囲にある[[閻浮提]]の一つ)<ref {{efn2|name="tr世界観">|『西遊記』における世界観では、世界は「{{読み仮名|'''東勝身洲'''|とうしょうしんしゅう}}」「{{読み仮名|'''西牛賀洲'''|せいごけしゅう}}」「{{読み仮名|'''南贍部洲'''|なんせんぶしゅう}}」「{{読み仮名|'''北倶盧洲'''|ほっくるしゅう}}」の四大陸に分かれているとされている。なお、これは仏教の[[四天王]]の統治する世界である。孫悟空の出身地・花果山は東勝身洲の近海に、中国(作中では[[唐]])は南贍部洲にあるとされている。また、[[三蔵]]一行の目的地である[[天竺]]は西牛賀州にあるとされており、中国からすると文字通り「西方浄土」ということになる</ref>。}}にある{{読み仮名|傲来国|ごうらいこく}}付近沖合うかぶ火山島、いる花果山<ref>ただ{{efn2|十洲山ではなく神仙祖脈、三島棲む特別な霊来龍だと言われ、天地開闢から形成した美しい仙である</ref>。}}の頂に一塊の仙石があった。天地開闢からずっと天地や日月の精華を感じ続けた故、その中に仙胞が形成した。この石が割れて卵を産み、卵は風にさらされて一匹の石猿が孵った<ref>{{efn2|孫悟空が生まれたのが、岩から生まれた卵であったことは有名。誕生まもなくその目から金色の光がほとばしって天界まで達したので、天帝を驚かせた</ref>。}}。この石猿は、島に住む猿たちが、誰かが谷川の水源を見つけたら王様にするというので、勇を振るって滝壺に飛び込み、水簾洞という住み処を見つけてきたので、約束どおり猿たちに崇められ{{読み仮名|'''美猴王'''|びこうおう}}と名乗ることになった。
 
数百年経ったある日、限りある命に儚さを感じたことから[[不老不死]]の術を求めて旅に出て、十年以上かけて西牛賀洲<ref {{efn2|name="tr世界観" />}}に住む{{読み仮名|[[須菩提]]祖師|すぼだいそし}}という[[仙人]]を探し出して弟子入りした。祖師は、姓を持たぬという美猴王に孫という姓を与え、'''孫悟空'''の法名を授ける。7年後、兄弟子を差し置いて、念願の長寿の妙道を密かに教わり、さらに3年後に{{読み仮名|地煞数|ちさつすう}}という'''七十二般の[[変化]]術'''<ref>これは{{efn2|72とは地煞(ちさつ)数で無尽の変化を意味する</ref>。八戒は悟空の頭を切られても芽生える術を解釈するために72の変化は72の頭だと言っていたが、猪八戒も36の変化をできるのに頭を再生することができないから見れば、信憑性低いセリフです。}}を自然に悉く体得してしまった。さらに{{読み仮名|'''[[觔斗雲]]'''|きんとうん}}の法も教わって自在に空の雲に乗れるようになる<ref>{{efn2|他には分身する術など。身外身の術という、にこ毛を噛み砕いて吹いた物を多数の猿に変化させて使役する術はよく使われる</ref>。}}。ところが、他の弟子に術<ref>{{efn2|[[仙術]]はすべて秘伝の技であり、術を見せれば見た者は自分も習いたくなってきっと邪心を起こすので、みだりに見せたりしてはならなかった</ref>。}}を見せびらかしたことから、祖師の怒りを買い故郷に帰るように命じられた<ref>{{efn2|祖師は、悟空がきっと禍を引き起こすだろうと予測し、決して誰から術を教わったか口外するなときつく言い渡した</ref>。}}
 
花果山に帰郷すると、[[混世魔王]]という化け物が水簾洞を荒らしていたので身外身の術で退治したが、これをきっかけに傲来国に出かけて大量の武器を強奪して配下の猿たちに配って守りを固めさせ、配下の猿を軍隊にまとめ上げた。そうすると自分の武器も手に入れたくなり、海中の[[四海竜王|東海竜王]]敖廣の宮殿である[[龍宮]]にいき、悟空の意によって自在に伸縮する[[如意金箍棒]]<ref>{{efn2|これは重さ一万三千五百[[斤]]の「天河鎮底神珍鉄」という名で、両端に金のたががはまった黒い棒で、伸縮自在、すなわちまたの名を'''[[如意金箍棒|如意棒]]'''である</ref>。}}を無理矢理譲ってもらう。さらに長く居すわって残りの[[四海竜王|三海の竜王]]たちからも武具を要求し、金の冠、金の鎧、歩雲履の防具一式<ref>{{efn2|南海の敖欽は鳳翅飾りの紫金冠を、西海の敖閏は黄金の鎖編みの鎧を、北海の敖順は{{読み仮名|藕糸|はすいと}}で編んだ歩雲履を持ってきた</ref>。}}を持ってこさせた。
[[牛魔王]]を含む6大魔王<ref>{{efn2|残りは、{{読み仮名|蛟魔王|こうまおう}}、{{読み仮名|鵬魔王|ほうまおう}}、{{読み仮名|獅駝王|しだおう}}、{{読み仮名|獼猴王|びこうおう}}、{{読み仮名|𤟹狨王|ぐしゅうおう}}(𤟹は犭偏に禺)。を加えた7兄弟は、七大聖と呼ばれ、牛魔王が長兄。詳しくは[[斉天大聖]]で説明</ref>。}}の妖仙と義兄弟となり、宴席で酔いつぶれていると、[[天国|幽冥界]]から使いが2人きて魂を連れ去り、「寿命が尽きた」という。しかしそんなはずはないと抗弁して暴れ、[[鬼籍|閻魔帳]]を持ってこさせると、なるほど孫悟空の寿命が342歳とあるので、自分の名を墨で塗りつぶし、ついでに気に入ってる仲間の猿の名前もいくつかすべて消した。もうお前らの厄介にはならんと[[十王|冥界十王]]<ref>{{efn2|冥途の十人の王のことで、十殿冥王ともいう。秦広王、楚江王、宋帝王、仵官王、閻羅王、平等王、泰山王、都市王、卞城王、転輪王の十人</ref>。}}を殴って帰ってきたところで目が覚めたが、以後、悟空以外の山猿にも不老のものがふえたという。
 
=== {{読み仮名|大鬧天宮|だいどうてんぐう}} ===
こうして死籍を消すに至ったことから、[[天|天界]]からも危険視される存在になった。天上界の主宰者、'''[[天帝]]'''は石猿悟空を討伐しようとするが、[[太白]]の意見で思い直し、官吏として天界に召すことで懐柔することにした<ref>{{efn2|太白は穏健派で、外交官の神としても知られる。</ref>}}。悟空は、天界の使者に喜び、'''弼馬温'''<ref>{{efn2|'''弼馬温'''は中国語で「ピーマーウェン」と読み、日本語音は「ひつぱおん」。職務は天界の[[厩舎]]の管理人で、馬の飼育係という賤職であったので、のちのち悟空を罵倒する言葉としても使われる。なお、猿を厩の管理人とするとされたのは、弼馬温と同音の避馬瘟という[[サル]]はウマを守るものとの伝承がインドから中国に伝来したことによる<br /ref>HP・[{{Cite web2 |df=ja |author=萬遜樹 |url=http://www.relnet.co.jp/relnet/brief/r18-144.htm |title=水神の話-「河童駒引」をめぐる動物考―馬・牛・猿(3)]より |date=2003-07-19 |accessdate=2023-10-22}}</ref>。<br />同様の伝承は日本に伝わり、日本でも武家屋敷の厩でサルが飼育されていた様子が、鎌倉末期の[[13世紀]]末ころの絵巻である『男衾三郎絵詞』の図に見られる</ref>。}}の[[官職]]に任命されたが、半月後にその身分が低いと知ってへそを曲げ、不意に脱走してしまう。地上ではすでに十数年<ref>{{efn2|天界の一日は地上の一年に相当するため</ref>。}}経っていたが、帰還した美猴王を神としてかしずく猿たちに囲まれて気分がいいところに、[[獨角兕大王|独角鬼王]]という妖怪が訪ねてきて臣下となり、さらに褒めそやして煽てたので、[[有頂天]]になった悟空は'''斉天大聖'''<ref>{{efn2|「天にも等しい大聖人」の意</ref>。}}と自ら号するようになった。これを聞いた天帝は身の程知らずの石猿だと怒り、[[毘沙門天#托塔李天王|托塔李天王]]を大将にする討伐軍に派遣したが、先鋒の巨霊神と{{読み仮名|[[哪吒|哪吒太子]]|なたたいし}}が敗れて歯が立たないと、悟空の'''[[六神通|神通力]]'''に恐れをなして退却した。
 
力で抑えるのが難しいとわかると、再び太白の意見で懐柔策をとることになり、二度目は悟空の希望通りの待遇とすることにして、新官職'''「[[斉天大聖]]」'''が創設され、正式に任命された。これは職務のない名目だけの官職であった。これでしばらくは悟空も満足していたが、天界では暇をもてあましていたので、新たに{{読み仮名|[[蟠桃会|蟠桃園]]|ばんとうえん}}<ref>{{efn2|天界で供される桃を栽培する果樹園。蟠桃をはじめ数種類の桃が作られているが、いずれも食べることで不老長生を得ることのできる神聖な桃(仙桃)である</ref>。}}の管理を任されることになる。ところが、[[不老不死|不老]]は悟空の最も好むところであり、栽培されている[[仙桃]]が熟れるのを待って食べ尽くした。そこに美しい[[天女|仙女]]たちが桃を摘みに来て宴会が催されるというので、悟空は仙女たちが歓談する宴席に忍び込んで酒番を眠らせ、仙酒仙肴を食べ荒らし、さらに酔ったはずみで[[兜率天|兜率天宮]]に迷い込んだので、ついでに[[太上老君]]の[[錬丹術|金丹]]の全部を頬張って、再び天界を逃げ出した<ref>{{efn2|二度目の逃走はかなり確信犯的で、はっきりと悪事を働いた自覚を持って逃げ行く</ref>。}}
 
悟空が戻ると地上では百年経過していた。天帝は烈火のごとく怒り、天兵10万を派遣して包囲し、諸将を総動員して攻めかからせた。悟空の側は、一人だけで九曜星君達を打ち負かした後、神々の総攻撃で七十二洞の妖怪たちと独角鬼王は生け捕られたが、猿たちはすべて逃げ延び、悟空は恵岸をも負かし、そして{{補助漢字フォント|哪}}{{JIS2004フォント|吒}}太子と托塔李天王と[[四天王|四大天王]]、恵岸打ち負か身外化身で撃退した。ところが恵岸がその師である[[観音菩薩]]に苦戦を報告したところ、菩薩は天帝に[[顕聖二郎真君]]を推薦する。二郎真君は梅山の六兄弟と共に悟空を遂に追い詰め、太上老君の投げた[[獨角兕大王|金剛琢]]で悟空が脳天を打たれてふらふらのところを捕まえた。
 
天帝は、悟空を斬妖台に引きだして八つ裂きの刑にするが、悟空は[[錬丹術|仙丹]]の力で無敵の体となっていた刀も斧も歯が立たず、火神の炎や雷神の雷すら効果が僅かもなかった。太上老君の解釈のよると、これは[[錬丹術|仙丹]]が三昧真火により悟空と一体化したので傷付けられない体となっていると言う。最終手段として太上老君の秘法'''[[八卦]]炉'''の前に差し出し押し込めて熔かそう六丁神火で仙丹を分離させるとするも、火の回らない巽の隅に退避して無事を得る(代わりにいぶされて目が真っ赤{{読み仮名|火眼金睛|あかめ}}」となった、つまり炎の煙に弱い眼病。その後あらゆる嵐の影響を無効化できる定風丹を食べたが、炎が巻き上げた煙に効かないかどうかは不明)。もう焼き尽くされたかと炉を開けると、勢い八卦炉から飛び出し<ref>{{efn2|この時割れて地上に落ちた八卦炉の破片が[[火焔山]]となった。</ref>}}、大暴れしてもう手が付けられない状態になった。悟空が怖ろしくなった天帝は、雷音寺の[[釈迦如来]]に助けを求めることになる。如来は悟空に身の程をわきまえさせるために賭けを持ちかけ、如来の手のひらから飛び出せなかった悟空を取り押さえて、'''[[五行思想|五行]]山'''<ref>{{efn2|別名「両界山」。この山が西遊記のの唐の国境であり、ここから先は妖の住む多い領域。</ref>}}に五百年間封印してしまった。
 
=== 取経の旅へ ===
五百年後、[[観音菩薩|観世音菩薩]]の救済によって[[三蔵法師]]の弟子となって功徳を積むことを許され、[[天竺]]までの[[大唐西域記|取経の旅]]<ref>{{efn2|三蔵法師の旅は、大乗仏教の経典を授かることが目的であったため、「取経の旅」といった表現がなされる。</ref>}}を助けることになる。三蔵法師からはおもに{{読み仮名|'''孫行者'''|そんぎょうじゃ}}<ref>{{efn2|風貌が小坊主に似ているという理由である。このことから悟空は猿のなかでも毛の短い猿であることがわかる</ref>。}}と呼ばれている。弟子になってからも反抗的な態度は相変わらずで、納得できない時は相手が[[神の一覧|神々]]や[[如来]]、[[菩薩]]だろうと平気で文句は言うし反抗的態度に出る。乱暴な気質も相変わらずで、相手が人間であっても邪魔なものは力ずくで排除ないし従わせようと考えることがしばしばであり、それが原因で三蔵の怒りを買い、確執の原因となることが多い。しかし仁義や礼儀に精通しており、その他で無礼を働くことはない。初め三蔵法師に反発して脱走も試み、その後もいわれのない罪で破門されたりしているが、観世音菩薩や釈迦如来の導きもあり<ref>{{efn2|最初の脱走の際に、以後の脱走を防ぐ抑止力として頭にはめられたのが「'''緊箍児'''」(きんこじ、別称「金剛圏」)と呼ばれる輪っかである。これは「緊箍呪」という[[呪文]]を唱えることで輪が収縮し、頭が締めつけられるというものである。しかしこの後に三蔵法師は緊箍児によって直接的に脱走を防ごうとすることはほとんどなかった。悟空が妖怪を殺したのを人間が殺めたと誤解したり、実際に人間を殺めてしまったことを知った際の懲罰として用いている<ref>{{CRD|1000128702|孫悟空の頭にはまっている輪の名前を知りたい}} ({{date|2013-03-10|ymd}}) {{accessdate|2023-10-22}}</ref>。}}、結局はいつも三蔵法師の元に戻ってくる。旅では失敗を繰り返して学習し成長しながら、次第に行いが改まっていくが、不機嫌さや不満を露にすることが多い。三蔵との関係は師匠と弟子というよりも、無知無力な人間を庇う守護者のような損な役回りで、人使いの粗い三蔵には困らされることが多い<ref>{{efn2|人間に化けすました[[妖魔]]を見破って相手にせずに無視したり、予め討ち取ろうとしても、妖魔を見抜くことのできない三蔵に慈悲を理由に咎められて制止され、結局、防ぎきれずに三蔵を攫われてしまったり、制止を振り切って倒した結果、三蔵の誤解を受けて勘当を言い渡されるなどの憂き目にあっている。</ref>}}。取経の旅の間、[[白骨夫人]]や[[霊感|霊感大王]]や、[[竜|万聖竜王]]など多くの[[妖怪|魔物]]や[[悪霊]]と戦いを繰り広げながら退治していき、多勢に及ぶ'''[[魔]]'''を降し遂に取経の旅に成功すると、三蔵法師を守り固め天竺から多くの経典を持ち返ったその抜群の功績を認められ、'''[[仏陀|仏]]の記別'''を受けるこが出来なっ<ref>{{efn2|仏としての名前は{{読み仮名|'''闘戦勝仏'''|とうせんしょうぶつ}}。なお、仏となったのちには緊箍児は消えていた</ref>。}}
 
なお、ここで書いたとおり孫悟空は本篇や[[漢詩|漢詩中]]で、各種の名前や肩書きで呼ばれている。ここに書いたほかにも、大聖翁、猴仔公、心猿、'''混元一気上方太乙金仙美猴王斉天大聖'''など、様々な名称で呼ばれている。
 
== 孫悟空のモデル ==
[[中華人民共和国|中国]]西部の[[陝西省]]や[[チベット]]などに生息する[[キンシコウ]]を研究する[[日本モンキーセンター]]世界サル類動物園長の小寺重孝<ref>[https://www.asahi.com/obituaries/intro/NGY201206150033.html 訃報]</ref><ref>[https://www.itozu-zoo.jp/blogs/encho/2012/06/4121.php 訃報]</ref>が、[[日本放送協会|NHK]]の動物の生態を紹介するテレビ番組『[[ウオッチング (テレビ番組)|ウオッチング]]』で、「美猴王」を名乗った孫悟空のモデルにふさわしい美しいサルであり、もしかしたらこれがモデルなのかもしれないと紹介した。後に『アサヒグラフ』1985年3月29日号にて、小寺重孝本人も勘違いと認めているが世間に広まったためひっこみがつかなくなっているという旨の談話が掲載されている。『西遊記』そのものを研究している中国文学研究者は、作中描写から判断すると[[マカク属]]の[[アカゲザル]]である可能性が高いとする説を提唱しており、例えば同属の[[ニホンザル]]と異なり水泳を好むアカゲザルの生態などが巧みに『西遊記』の中に描写されていることなどを指摘している。
{{main|西遊記の成立史#孫悟空}}
[[中華人民共和国|中国]]西部の[[陝西省]]や[[チベット]]などに生息する[[キンシコウ]]を研究する[[日本モンキーセンター]]世界サル類動物園長の小寺重孝が、[[日本放送協会|NHK]]の動物の生態を紹介するテレビ番組『[[ウオッチング (テレビ番組)|ウオッチング]]』で、「美猴王」を名乗った孫悟空のモデルにふさわしい美しいサルであり、もしかしたらこれがモデルなのかもしれないと紹介した。後に『アサヒグラフ』1985年3月29日号にて、小寺重孝本人も勘違いと認めているが世間に広まったためひっこみがつかなくなっているという旨の談話が掲載されている。『西遊記』そのものを研究している中国文学研究者は、作中描写から判断すると[[マカク属]]の[[アカゲザル]]である可能性が高いとする説を提唱しており、例えば同属の[[ニホンザル]]と異なり水泳を好むアカゲザルの生態などが巧みに『西遊記』の中に描写されていることなどを指摘している。
 
また、中国起源説(岳亭丘山、[[魯迅]]など)は、中国神話に登場する水神「無支祁(巫支祁、無支奇)」に淵源を求める。
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== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist2|20em}}
=== 出典 ===
{{Reflist}}
 
== 参考文献 ==
* [[中野美代子]]『西遊記の秘密  [[道教|タオ]]と[[錬丹術|煉丹術]]のシンボリズム』[[中野美代子]] [[岩波現代文庫]] ISBN 、{{ISBN2|978-4-00-602070-5}}
* 中野美代子『孫悟空はサルかな?』中野美代子 日本文芸社 ISBN 、{{ISBN2|978-4-537-05013-4}}
* 実吉達郎、東山鈴鹿『西遊記 孫悟空編』実吉達郎・東山鈴鹿 メタモル出版 1991 ISBN 年、{{ISBN2|978-4-895-95026-8}}
 
== 外部リンク ==
* [https://web.archive.org/web/20210512080613/http://www.innerjourneytothewest.com/jp/jp-monkey.html 孫悟空に隠された意味を説明すウェブページ世界』]
{{Commonscat|Sun Wukong}}
* [http://innerjourneytothewest.com/jp/jp-aim.html 『 西遊記の目的 』]
* [http://www.china-on-site.com/pages/comic/comiccatalog1.php Story of Sun Wukong with manhua]
* [http://www.innerjourneytothewest.com/jp/jp-monkey.html 孫悟空の内的な意味を説明するウェブページ]
 
{{西遊記}}
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{{DEFAULTSORT:そんこくう}}
[[Category:西遊記の妖怪]]
[[Category:道教の神]]
[[Category:仙人]]
[[Category:神話・伝説の猿]]
[[Category:架空のサル]]
[[Category:架空の僧]]
[[Category:フィクションの妖怪]]