「ファーストパーソン・シューティングゲーム」の版間の差分

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1997年、Quake2では更なるグラフィックの質が高まっただけでなく、敵がプレーヤーの攻撃をしゃがんでかわそうとするなど、敵キャラクターが攻撃重視の動きからある程度防御もするようになった。しかし、アイデアは画期的だったものの未開拓の技術で、しゃがんだらそのまま攻撃を受けてもしゃがみ続けて動かないなど実際の動作は単純であった。
 
しかし、1998年[[Epic Games]]社から発売された『[[Unreal]]』がその画期的な技術で世界に衝撃を与える。GlideによるUNREALエンジンはQuake2エンジンを遥かに越える驚異的なグラフィックの美麗さで、3ヶ月たてばグラフィックが陳腐化されるといわれるほど進化発展の速いこのジャンルでも、その後1年近くトップランナーであったほど頭一つ抜きん出ていた。さらに、敵キャラクターが銃を向けられたら壁を利用してかわしたり、カンフー映画のようなアクロバティックな動きでプレーヤーを幻惑しながら攻防一体の攻撃するなど、まるで人間が操作しているかのような[[コンピュータゲームにおける人工知能|知的な敵AI]]は当時としては革新的で、その後のFPSの進化発展に大きな影響を及ぼした。さらに、一人称視点での広大な惑星の冒険という徹底したリアリティを追及し、「ストーリー」ではなくプレーヤーに「体感」させるという、FPSの本来の目標ともいえるバーチャルリアリティを非常に高いレベルで達成し、世界中で絶賛され、世界中のゲーム賞を総舐めにした。
 
同年末に発売された[[Valve Software]]社の『[[ハーフライフ (ゲーム)|Half-Life]]』は、UNREALとはまた違ったアプローチで成功する。グラフィックはQuake2エンジンをライセンス取得して独自で拡張したGoldsourceエンジンで、すでにQUAKE2エンジンの作品がありふれた中ではさほど目立つ質ではなかった。しかし、敵AIの素晴らしさ、ゲーム性の高さはUNREALと共に当時の最高レベルであり、また、ストーリーにはSF作家でフィリップ・K・ディック賞受賞者のマーク・レイドロー(Marc Laidlaw)を起用し、しっかりとしたストーリー性と緊迫感のあるゲームバランスは当時のFPSの中でも格別に優れており、たちまち同様のゲーム群の中でも抜きん出て高い評価を受けた。映画のようなムービーを間に挟むシネマティックな演出は昔からあったものの、Half-Lifeのストーリー部とムービー部がシームレスで繋がる絶妙さは「体感」しながら映画のように「観て楽しむ」という新しい境地を開いた。また、「主人公=プレーヤー」でありながら、主人公ゴードンを魅力的でインパクトあるキャラクターとする試みも成功している。謎解きも多くのFPSにありがちな「お使い」ではなく、プレーヤーに苦痛を与えないよう見事に考え抜かれており、世界中で高評価を得、各国のゲーム賞を獲得。また、Goldsourceエンジンの汎用性の高さから数多くのMODが登場し、何百回でも楽しめるというDOOM時代の伝統もきちんと押さえ大人気となった。
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「スポーツ系FPS」は立体的なマップを縦横無尽に駆け跳ね回り、ドッジング(緊急回避)、ウォールジャンプ(壁蹴り大ジャンプ)、ロケットジャンプ(爆風を用いた大ジャンプ)に代表される派手なアクションやスピード感を楽しむタイプのもの。
非常にテンポの早い戦闘が繰り広げられ、外見的な特徴として現代の科学水準では到底実現不可能な未来的武器が登場する[[サイエンスフィクション|SF]]や非科学的な [[ファンタジー]]を題材にしているものが多い。基本的に対人対戦のマルチプレイこそがこの手のジャンルの真髄で、キャンペーン(一人用のストーリーモード)はオマケ、もしくは全くないという作品も目立つ。
 
「リアル系FPS」は実在の武器や戦場など現実を模した世界観設定がされ、キャラクターの身体能力なども現実に近いシビアな設定がされていて、索敵やチーム戦術、一撃必殺の緊張感を売りにした物などが当てはまる。作戦を立て、仲間と協力、もしくは部下に指示を出しながら(もちろん一人でやるものもある)着実に任務を進めていくというリアルな戦闘プロセスを楽しめるような設定がなされている。その性質上、リアル系はキャンペーンに力が入れられているものが多い。
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より大規模に家庭用ゲーム機でFPSが作られるようになったのは第6世代機となる初代[[Xbox]]の『[[Halo: Combat Evolved]]』以降である。この作品は海外ではXboxとロンチで、そして日本では当時売り上げ不調だったXboxの[[キラータイトル]]として大々的に宣伝され、売り上げ本数が世界で500万本を突破するまでに至った。しかしこの作品もまた日本での売り上げは他のゲームハードで同時期に発売されたソフトと比較してもあまり良くなく(そもそもXbox自体が日本で常に劣勢を強いられていたのも起因する)、この時点で直ちにFPSがゲーム機市場に大きな一石を投じるほどの影響力は発生しなかった。また、第6世代のゲーム機においても同作シリーズ以外に目だって好調な売り上げ成績を収めたFPSがリリースされる事はあまり無かった。
 
2000年代中盤に入ると、ゲーム世代が一つ繰り上がり、Xbox 360やPS3等の家庭用ゲーム機が高性能化して家庭用ゲーム機向けにFPSが移植・開発されるケースが目立ち始める。この頃になるとコンピュータパーツの性能進化発展も比較的緩やかになっており、解像度やフレームレート等を除けばPC版とさほど遜色の無い出来でゲームをプレーできるようになった事も要因の一つである。さらにコンシュマーは基本的に性能が完全同一であり、スペック環境によって動作不良を起こす心配がなく、ユーザーにとっても安定感がある選択肢でもある。
 
特にコール・オブ・デューティシリーズは特筆すべき作品であり、4作目以降よりコンシュマー版の売り上げが目立って好調になり、後の続編であるモダン・ウォーフェア2やブラック・オプスといった作品が今まで家庭用ゲーム機向けFPSの歴史の中でも類を見ない数百万本、一千万本以上といった大ヒットを挙げるようになり、同シリーズがコンシュマーFPS市場を牽引し、それまで類を見ないほどのFPSゲームが家庭用ゲーム機に流入するようになった。
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===2000年代===
; [[Serious Sam]]
: 2001年、[[Croteam]]。敵AIの進化発展から、リアルさばかり重視し、プレイが複雑になってしまったFPSに対するアンチテーゼを示した作品。幻想的で美麗な古代文明のグラフィック、[[Duke Nukem]]を髣髴させるマッチョなサムのキャラクターも話題となった。広大なステージの中、画面に溢れんばかりに登場する膨大な数の敵を豪快にひたすら撃ちまくる、爽快感を重視したFPSの原点に戻った作品。既存メーカーがストレスが溜まるばかりになったFPSを反省し、原点に帰るきっかけとなった。[[Painkiller]]、[[Will Rock]]など同系統の作品も数多く生まれる元になった。
; [[ハーフライフ2|HALF-LIFE 2]]
: ゲーム全般のグラフィックス品位を大きく引き上げた作品の一つ。