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'''マーティン・ウィクラマシンハ''' ([[シンハラ語]]: මාර්ටින් වික්රමසිංහ、[[1890年]][[5月29日]] - [[1976年]][[7月23日]])は、[[スリランカ]]の作家。20世紀の近代シンハラ文学を代表する作家の1人である。リアリズムと口語体による近代小説のスタイルを確立して高い評価を受けるとともに、その後のスリランカ作家に大きな影響を及ぼした<ref>カルナーラトナ (2005) p.14</ref>。
== 生涯 ==
1890年
30歳で新聞記者として働き、さまざまなペンネームを用いて、シンハラ語の新聞や、多数の学術誌に記事や論文を寄稿した。ロシア革命以前のロシアの文芸作品に傾倒して、1950年代には文芸雑誌でロシア文芸を紹介している。1944年からは、[[イギリス領セイロン|イギリス植民地時代]]のスリランカを舞台とした小説『変わりゆく村({{仮リンク|ガンペラリヤ|en|Gamperaliya (novel)}})』を発表して、第2部にあたる『変革の時代({{仮リンク|カリユガヤ|en|Kaliyugaya}})』(1957年)、第3部にあたる『時の終焉({{仮リンク|ユガーンタヤ|en|Yuganthaya}})』(1948)によって3部作として完結した<ref>野口 (2010) p.296</ref>。
ヨーロッパの戯曲がシンハラ語で翻訳上演されるようになると、その表現について批判をすることもあった。また、同時代のスリランカ作家で『亡き人』や『お命日』の2部作でベストセラーを出した{{仮リンク|E・R・サラッチャンドラ|en|Ediriweera Sarachchandra}}とは論争を繰り広げた<ref>野口 (2010) p.298</ref>。
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== 作品 ==
3部作の第1部『変わりゆく村』は、コッガラ村で伝統を守る中流の旧家ムハンディラム一族と、新興の資産階級との対立を描いた作品だった。第2部の『変革の時代』では、世代が代わってコロンボへ移り住んだ一族が登場し、上流階級や贅沢に魅了された両親に反対する息子の対立が描かれる。第3部である最終作『時の終焉』においては、労働者と資産家の階級対立とともに村社会が変容する様子を描いた。
この3部作は[[ドストエフスキー]]との比較で評価もされており、1965年にはロシア語に翻訳されて10万部以上を売り上げた<ref>野口 (2010) p.297</ref>。3部作はスリランカの映画監督{{仮リンク|レスター・ジェームス・ピーリス|en|Lester James Peries}}によって映画化されて、1965年のニューデリーの第3回[[インド国際映画祭]]で『変わりゆく村』が金孔雀賞、1986年に『時の終焉』が最優秀映画賞を受賞した<ref>野口 (2010) p.300</ref>。
その他のベストセラーとして、1957年に年間最優秀作品賞に選ばれた『蓮の道』がある。ウィクラマシンハの作品は、[[タミル語]]、英語、[[ロシア語]]、[[中国語]]、[[ルーマニア語]]、[[ブルガリア語]]、[[オランダ語]]、[[フランス語]]、[[イタリア語]]にも訳されている。▼
▲その他のベストセラーとして、1957年に年間最優秀作品賞に選ばれた『蓮の道』がある。ウィクラマシンハの作品は、[[タミル語]]、英語、[[ロシア語]]、[[中国語]]、[[ルーマニア語]]、[[ブルガリア語]]、[[オランダ語]]、[[フランス語]]、[[イタリア語]]にも訳されている<ref>野口 (2012) 著者年譜</ref>。
== 日本語訳著作 ==
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== 出典 ==
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== 参考文献 ==
* 野口忠司・縫田健一『変わりゆく村』解説、訳者あとがき、
* 野口忠司『
* 野口忠司『時の終焉』解説、著者年譜、2012年。
* マッラワ・アーラッチゲー・ニマル・カルナーラトナ「[http://gensha.hit-u.ac.jp/research/theses/16a.pdf シンハラ文学語の発展における外来語法と口語語法]」一橋大学大学院言語社会研究科 LD0218、2005年10月31日。
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