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'''マーティン・ウィクラマシンハ''' ([[シンハラ語]]: මාර්ටින් වික්‍රමසිංහ、[[1890年]][[5月29日]] - [[1976年]][[7月23日]])は、[[スリランカ]]の作家。20世紀の近代シンハラ文学を代表する作家の1人である。リアリズムと口語体による近代小説のスタイルを確立して高い評価を受けるとともに、その後のスリランカ作家に大きな影響を及ぼした<ref>カルナーラトナ (2005) p.14</ref>
 
== 生涯 ==
1890年にスの[[イギス領セイロ]]南部の{{仮リンク|コッガラ|en|Koggala}}で生まれる。11歳で父親が死去し、経済的な事情で学校を中退する。コッガラの僧から[[シンハラ語]]、[[サンスクリット語]]、[[英語]]を習う。復学するも長くは続かず、16歳から家計を支えるために[[コロンボ]]へ出て商店で働く。英語の文献からダーウィン進化論やキリスト教に興味を持ち、ヨーロッパの作家を読む。それと並行して、最初のシンハラ大衆作家とも言われるダーサ・シリセーナやW・A・シルワの作品、そして古典である[[ヴェーダ]]文献の[[ウパニシャッド]]、仏教譚の[[ジャータカ]]などの古典も読んで見識を広めた<ref>野口 (2010) p.295</ref>。
 
30歳で新聞記者として働き、さまざまなペンネームを用いて、シンハラ語の新聞や、多数の学術誌に記事や論文を寄稿した。ロシア革命以前のロシアの文芸作品に傾倒して、1950年代には文芸雑誌でロシア文芸を紹介している。1944年からは、[[イギリス領セイロン|イギリス植民地時代]]のスリランカを舞台とした小説『変わりゆく村({{仮リンク|ガンペラリヤ|en|Gamperaliya (novel)}})』を発表して、第2部にあたる『変革の時代({{仮リンク|カリユガヤ|en|Kaliyugaya}})』(1957年)、第3部にあたる『時の終焉({{仮リンク|ユガーンタヤ|en|Yuganthaya}})』(1948)によって3部作として完結した<ref>野口 (2010) p.296</ref>。
 
ヨーロッパの戯曲がシンハラ語で翻訳上演されるようになると、その表現について批判をすることもあった。また、同時代のスリランカ作家で『亡き人』や『お命日』の2部作でベストセラーを出した{{仮リンク|E・R・サラッチャンドラ|en|Ediriweera Sarachchandra}}とは論争を繰り広げた<ref>野口 (2010) p.298</ref>。
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== 作品 ==
3部作の第1部『変わりゆく村』は、コッガラ村で伝統を守る中流の旧家ムハンディラム一族と、新興の資産階級との対立を描いた作品だった。第2部の『変革の時代』では世代が代わってコロンボへ移り住んだ一族が登場し、上流階級や贅沢に魅了された両親に反対する息子の対立が描かれる。第3部である最終作『時の終焉』においては、労働者と資産家の階級対立とともに村社会が変容する様子を描いた。当初3部作ウィクラマシンハ[[ドストエフスキー]]と、『変わりゆく村』比較で評価もされており、1965年執筆時にはロシア語に翻訳されて10万部以上を売り上げた<ref>野口 (2010) p.297</ref>。3部作はスリランカの映画監督{{仮リンク|レスター・ジェームス・ピーリス|en|Lester James Peries}}によを意識していなかて映画化されてた。しかし1965年当時ニューデリーの第3回[[ (国際映画祭ミニオン)|セイロン]]で『変わりゆく村』が金孔雀賞の独立運動に影響を受けて1986年第3部あたる『時の終焉』が最優秀映画賞の執筆受賞決めた。こうて同時代を題材とした第3部が先に完成し、第2部はその後に完成となった<ref>野口 (20102011) p.300308</ref>。
 
この3部作は[[ドストエフスキー]]との比較で評価もされており、1965年にはロシア語に翻訳されて10万部以上を売り上げた<ref>野口 (2010) p.297</ref>。3部作はスリランカの映画監督{{仮リンク|レスター・ジェームス・ピーリス|en|Lester James Peries}}によって映画化されて、1965年のニューデリーの第3回[[インド国際映画祭]]で『変わりゆく村』が金孔雀賞、1986年に『時の終焉』が最優秀映画賞を受賞した<ref>野口 (2010) p.300</ref>。
その他のベストセラーとして、1957年に年間最優秀作品賞に選ばれた『蓮の道』がある。ウィクラマシンハの作品は、[[タミル語]]、英語、[[ロシア語]]、[[中国語]]、[[ルーマニア語]]、[[ブルガリア語]]、[[オランダ語]]、[[フランス語]]、[[イタリア語]]にも訳されている。
 
その他のベストセラーとして、1957年に年間最優秀作品賞に選ばれた『蓮の道』がある。ウィクラマシンハの作品は、[[タミル語]]、英語、[[ロシア語]]、[[中国語]]、[[ルーマニア語]]、[[ブルガリア語]]、[[オランダ語]]、[[フランス語]]、[[イタリア語]]にも訳されている<ref>野口 (2012) 著者年譜</ref>
 
== 日本語訳著作 ==
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== 出典 ==
{{Reflist|2}}
<References />
 
== 参考文献 ==
* 野口忠司・縫田健一『変わりゆく村』解説、訳者あとがき、著者2010
* 野口忠司『変革終焉時代』解説、訳者あとがき2011年。
* 野口忠司『時の終焉』解説、著者年譜、2012年。
* マッラワ・アーラッチゲー・ニマル・カルナーラトナ「[http://gensha.hit-u.ac.jp/research/theses/16a.pdf シンハラ文学語の発展における外来語法と口語語法]」一橋大学大学院言語社会研究科 LD0218、2005年10月31日。