「サイトメガロウイルス」の版間の差分

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マウスに感染するムロサイトメガロウイルス(murine cytomegalovirus;MCMV)は1954年に報告された<ref>{{Cite journal|last=Smith|first=M. G.|date=1954-7|title=Propagation of salivary gland virus of the mouse in tissue cultures|url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/13194679|journal=Proceedings of the Society for Experimental Biology and Medicine. Society for Experimental Biology and Medicine (New York, N.Y.)|volume=86|issue=3|pages=435–440|issn=0037-9727|pmid=13194679}}</ref>。
 
== 疫学と初感染 ==
CMVは母子間で経胎盤・経産道・経母乳等のルートで垂直伝搬をおこし、その後はキス等の唾液の交換、尿などからの接触あるいは飛沫により直接的あるいは間接的に、精液や子宮頸管分泌液を介して性的に、さらに移植や輸血等により医原的に水平伝搬を起こす<ref name=":0" /><ref name="merck.cmv" />。
 
CMVは広い臓器親和性(向汎性)を有するため種々の臓器に潜伏感染(ウイルスゲノムは存在するが感染性のウイルス粒子は賛成されない状態)し、終生宿主に持続感染し排除されない<ref name=":0" />。外因感染ののち、種々の誘因で再活性化(潜伏したウイルスゲノムから感染性のウイルス粒子の産生)し、内因感染を起こす<ref name=":0" />。日本では、成人期での抗体保有率は 60 % - 90 %と高く<ref name="merck.cmv">[http://merckmanuals.jp/home/感染症/ウイルス感染症/サイトメガロウイルス(cmv)感染症.html サイトメガロウイルス感染症] メルクマニュアル</ref>、多くの人が幼児期に不顕性感染していると言われている。感染者は数ヶ月間に渡りウイルスを母乳、尿、唾液中に排出する<ref name="merck.cmv" />。なお、日本では1990年代以降妊娠可能年代の女性の抗体保有率が低下しており、2000年代には70%まで低下しているとされている<ref>{{PDFlink|[http://www.shimane.med.or.jp/medicine/?c=plugin;plugin=attach_download;p=vol32_4;file_name=igaku3204_3135.pdf 泉信夫、経胎盤伝播率からみた先天性サイトメガロウイルス感染児数の推計]}} 島根医学 Vol.32 No.4(2012.12)</ref>。そのため、先天性感染や周産期感染による新生児サイトメガロウイルス感染数の増加が懸念されている<ref name="h050507">{{PDFlink|[http://www.aiiku.or.jp/~doc/houkoku/h05/h050507.pdf 干場勉、矢吹朗彦、妊婦のサイトメガロウイルスの抗体保有率の変遷と初感染] 厚生省心身障害研究「母子感染防止に関する研究」 平成5年度研究報告書: 53-55, 1994}}</ref>。
 
== ウイルス学 ==
有効なワクチンは開発されていない<ref name="h050507" />。
 
== 特徴 ==
[[DNAウイルス]]の[[ヘルペスウイルス科]]に属し、ゲノムの大きさは、直径約 180 nm、230 kbp からなる 2 本鎖 DNA ウイルスで大型の DNA ウイルスであるヘルペスウイルスの中でも最大級である。感染した細胞の核内で増殖するとき、[[光学顕微鏡]]下で観察可能な「[[フクロウ]]の目 (owl eye) 」様の特徴的な核内[[封入体]]を形成する。
 
[[1990年]]には Chee ら<ref>Chee MS, et al. Analysis of the protein‐ coding content of the sequence of human cytomegalovirus strain AD169. Curr Top Microbiol Immunol 1990; 154: 125‐170, {{DOI|10.1007/978-3-642-74980-3_6}}</ref>によってHCMV の全塩基配列が決定されている。有効なワクチンは開発されていない<ref name="h050507" />
 
== 感染症 ==