「名家 (諸子百家)」の版間の差分

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'''名家'''(めいか)は、古代中国[[戦国時代 (中国)|戦国時代]]を中心に活動した[[諸子百家]]の一派。主な人物に[[恵施]]と[[公孫龍]]がいる<ref name=":2">[[湯浅邦弘]]編『概説 中国思想史』ミネルヴァ書房、2010年、ISBN 9784623058204。22頁</ref>。'''弁者'''('''辯者''')、'''弁士'''('''辯士''')、'''察士'''とも呼ばれる{{Sfn|関口|1993|p=70}}。
 
人間の[[言葉]]についての探究([[言語哲学]])を背景に、[[白馬非馬|「白馬は馬ではない」([[白馬非馬]]、「亀は蛇より長い」(亀長於蛇)、「鶏は三本足」(鶏三足)、「今日[[越]]に行って昨日着く」(今日適越而昔来){{Sfn|池田|2014|loc=天下篇}}などの奇怪な学説を説いた。また、[[政治哲学]]として[[非戦論]]や君主の心得を説くこともあった。
 
[[秦漢]]以後は埋もれた学派だったが、[[明治]]期の日本や[[中華民国の歴史|民国初期]]の中国において、西洋の[[哲学]]や[[論理学]]・[[パラドックス]]と類似視されて以来、再評価されるようになった。しかしながら、現存する文献が乏しい等の理由から、思想の詳細については諸説ある。
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『荀子』は複数の篇で、名家の学説や「堅白同異」を邪説として引用している。とりわけ正名篇では、上記の「殺盗非殺人」「非而謁楹有牛馬非馬也」や、[[宋子|宋尹学派]]の「見侮不辱」などの学説を、「名・実」の観点から三パターン('''三惑''')に分類して論駁すると同時に、荀子自身の学説(「[[wikt:zh:約定俗成|約定俗成]]」「大共名・大別名」など)を述べている{{Sfn|中島|1990|p=}}。なお、「見侮不辱」は正論篇でも論駁される。
 
『荘子』は複数の篇で、名家の学説と似た表現を用いている{{Sfn|馮|1995|p=281-298}}。具体的には、斉物論篇の「南郭子綦」章において「指之非指」「馬之非馬」「天地一指也、万物一馬也」「堅白之昧」、養生主篇の「[[包丁#庖丁|庖丁]]」章において「刀刃者无厚」、天道篇の「士成綺」章において「呼我牛也而謂之牛」(通称「呼牛呼馬」)、秋水篇の「秋水」章において「至精無形、至大不可」、則陽篇の「丘里之言」章において「合異以為同、散同以為異」「指馬之百体而不得馬」といった表現を用いている{{Sfn|馮|1995|p=281-298}}{{Sfn|池田|2014|loc=各篇の注釈}}。
 
『孟子』告子上篇では、名学と直接関係ない文脈で「白馬之白」や「吾弟則愛之、秦人之弟則不愛也」といった表現を用いている。