「ゴジラ (平成VSシリーズ)」の版間の差分

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平成ゴジラ大全より加筆。
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=== 演技 ===
[[スーツアクター]]は[[薩摩剣八郎]]{{refnest|group="出典"|{{R|最新大百科20|平成大全110|平成C254|C大全138}}{{Sfn|東宝特撮映画大全集|2012|pp=209,221,225,235,237,247,251}}}}。当初は、薩摩が主催する劇団の若手俳優が演じる予定であったが辞退されたため、薩摩が担当することとなった{{R|大ゴジラ173|平成大全110}}。
 
薩摩は、84ゴジラのスーツは100キログラム近くあって歩きづらく、手も硬く動かしづらかったと証言している{{R|怪獣大全集84}}{{efn|薩摩は、動きが硬いロボットのようであったとも述懐している{{R|大ゴジラ173}}。}}。薩摩は演技に悔いが残り、『vsビオランテ』で再度起用された際には自分だけの薩摩流ゴジラを作り出すことを目標に掲げた{{R|最新大百科40|平成P124}}。初代の中島春雄同様に動物園で動物の動きを研究し、ゴリラの背を反らせる姿勢やゾウの後ろ足の動きなどを取り入れている{{R|平成P124}}。また、脇を締めた隙を見せない構えは薩摩が師事していた[[示現流]]の型が元になっており、これによって腕の動きが小さくなることから、指先を動かして芝居をつけることを意識している{{R|平成P124}}。
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; スーツ
: スーツは小林がリーダーとなり、新規造形したものである{{refnest|group="出典"|{{R|大ゴジラ168|5499超全集24|平成C32|造型57}}}}。設定上は前作と同一個体ではあるものの、特技監督である[[川北紘一]]の意向で{{Sfn|小林晋一郎|1993|pp=181 - 182}}大幅にスタイルが変更され、より生物的なイメージが強調された{{R|デイズ362|5499超全集24}}{{efn|川北は、恐竜をイメージしてリアルな巨大生物として描くことを目指したと述べている{{refnest|group="出典"|{{R|大百科SG59|デイズ362|東宝特撮映画大全集223}}}}。また、[[ワニ]]の容姿や動きも参考にしたという{{R|デイズ362}}。}}。鎌首をもたげたようなS字カーブを描く首の上には、比較的小さな頭部が位置し{{R|大百科46|BOMG112}}、瞳は白目がほとんど隠れ、[[猛禽類]]{{efn|書籍『ゴジラ大百科 [スペースゴジラ編]』では、爬虫類に近づけたと記述している{{R|大百科SG59}}。}}を思わせる黒目がちのものになった{{refnest|group="出典"|{{R|怪獣大全集84|大全集42|大ゴジラ170|5499超全集26|ALL220|C大全138|超常識112}}}}{{efn|川北は、人間的な白目をやめて動物的な生きているゴジラをやってみたと語っている{{R|大ゴジラ180}}。}}。資料によっては白目がなくなったと記述しているものもあるが{{refnest|group="出典"|{{R|最新大百科15|大ゴジラ168|平成C244|ALL230}}}}{{efn|川北は小林から目が白いのはおかしいという意見を受けたと述べている{{R|デイズ362}}。}}、実際には眼球をポリエステル樹脂でコーティングして光沢を出したため、光の加減で暗く見えるようになっている{{R|造型58}}。照明技師の[[斉藤薫 (照明技師)|斉藤薫]]によれば、照明班から眼に[[反射材|スコッチライト]]を貼り付けて正面から照明を当てて光らせることを提案したが、川北は別アングルのカメラからでは仕掛けがわかってしまうため、これを却下したという{{R|平成C244}}。川北は、光彩がなくなって撮影に苦労したといい、宣伝部からもポスター用に白目を加えるよう要望されたという{{R|デイズ373}}。
: 『vsビオランテ』の原案者である[[小林晋一郎]](本職は歯科医)の意見も取り入れられており{{refnest|group="出典"|{{Sfn|小林晋一郎|1993|pp=181 - 182}}{{R|大百科46|大ゴジラ180|5499超全集26|ALL220|造型58}}}}、[[ワニ]]の歯を参考に2列の歯並びとなっている{{refnest|group="出典"|{{R|大全集44|大ゴジラ168|ALL220}}}}{{efn|資料によっては、[[サメ]]を参考にしたと記述している{{refnest|group="出典"|{{R|デイズ362|C大全138|超常識112|BOMG112}}}}。}}。当初、歯の材質はFRP樹脂製であったが、その後に[[コンポジットレジン修復法|歯科用樹脂]]で作り直された{{R|大ゴジラ170}}。また、
: 見た目の重心位置を考慮して背びれの配列が変更され(最大サイズのものが従来よりも上に来る)、色も銀色から歯や爪と同じようなものになっている。背びれ部分はマジックテープで着脱でき、発光用の背びれはFRP製{{R|平成大全99}}。従来は合成で背びれの発光を表現していたが、本作品以降は内部にフラッシュ球を仕込んでいる{{R|平成大全114}}。
: スーツアクターの薩摩は、「前作より軽くなり演じやすくなった」と述べている{{R|怪獣大全集84|東宝特撮映画大全集223}}。
: 海と芦ノ湖、三原山のシーンは前作の2号スーツの頭部を付け替えたものを使用した{{refnest|group="出典"|{{R|大ゴジラ168|ALL220|C大全138|造型58}}}}{{efn|資料によっては、こちらも新規造形と記述している{{R|平成C32}}。書籍『超最新ゴジラ大図鑑』では、スーツの正確な区別は難しいとしている{{R|超最新208}}。}}。通称は「海用」{{R|大ゴジラ168|造型58}}。
: これに対し、完全新規のものは「{{読み仮名|陸用|おかよう}}」と呼ばれる{{R|大ゴジラ168|造型58}}。こちらは、マスコミに公表された後、頭部を作り直している{{refnest|group="出典"|{{R|大ゴジラ172|C大全138|造型60}}}}{{efn|薩摩は、この時のスーツについて首が太くゴジラという感じではなかったと述べている{{R|大ゴジラ173}}。}}。
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:
; その他の造形物
: 腰から上だけのFRP製モデルを機械フレームに装着し、ラジコンとワイヤーによるコンピュータ制御で表情を付けるメカニカルモデルも作られた{{refnest|group="出典"|{{R|超最新214|大百科MG152|大ゴジラ172|5499超全集25|平成大全99|平成C32|東宝特撮映画大全集223|ALL226|C大全138|特撮全史94}}{{R|造型60}}}}。小林によれば、造形はアップアートが担当{{R|平成大全115}}。前作のものサイボットがスーツと顔が違ってしまっていたために作り直されというが、こちらも機械に被せる段階で形状が変わってしまったという{{R|大ゴジラ174|平成大全115}}。これは『vsデストロイア』まで改修を施しつつ使用され、本作品で制作されたものと見られるギニョールが表皮を剥がした状態で保管されていることが、1999年時点で確認されている{{R|BEST5460}}。
: そのほか、水中を泳ぐ小型モデルも用いられた{{R|大ゴジラ172}}。
: ビオランテの蔦と戦うシーンがモデルアニメーションで制作されたが、NGとなった{{R|平成大全115}}。
 
=== 撮影・演出(vsビオランテ) ===
川北は、重量のあるスーツを着て俳優が演技をするのには限界があると考え、カメラワークで補うという方針を打ち出し、撮影の[[江口憲一]]は以後これを基本とした{{R|平成大全101}}。
 
また、本作品ではナイトシーンが多いが、照明の斉藤はゴジラの正面からは光を当てず、逆目からの光線を多用し、怪獣の立体感や凹凸を出すことを意図している{{R|平成大全103}}。これにより暗くなるカットも増えるため、目の発光を重視している{{R|平成大全103}}。
 
体内放射を使ったのは本作品が初である。川北は、放射熱線と尾以外の攻撃方法が欲しいと考え、光る背びれから発想したという{{R|デイズ362}}。
 
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<ref name="平成大全70">{{Harvnb|平成ゴジラ大全|2003|pp=70 - 72|loc=「序之弐 復活『ゴジラ』 完成へのラスト・スパート」}}</ref>
<ref name="平成大全72">{{Harvnb|平成ゴジラ大全|2003|p=72|loc=「序之弐 復活『ゴジラ』 全社挙げての宣伝戦略」}}</ref>
<ref name="平成大全99">{{Harvnb|平成ゴジラ大全|2003|p=99|loc=「メイキング・ギャラリー 『ゴジラVSビオランテ』篇2 ビオゴジ」}}</ref>
<ref name="平成大全101">{{Harvnb|平成ゴジラ大全|2003|pp=101 - 102|loc=「破之壱『ゴジラVSビオランテ』 新しいゴジラに向けて」}}</ref>
<ref name="平成大全103">{{Harvnb|平成ゴジラ大全|2003|pp=103 - 104|loc=「破之壱『ゴジラVSビオランテ』 照明・斉藤 薫」}}</ref>
<ref name="平成大全110">{{Harvnb|平成ゴジラ大全|2003|pp=110 - 111|loc=「破之壱『ゴジラVSビオランテ』 スーツアクター・薩摩剣八郎」}}</ref>
<ref name="平成大全114">{{Harvnb|平成ゴジラ大全|2003|pp=114 - 117|loc=「破之壱『ゴジラVSビオランテ』 背鰭を光らせろ!」}}</ref>
<ref name="平成大全115">{{Harvnb|平成ゴジラ大全|2003|p=115|loc=「メイキング・ギャラリー『ゴジラVSビオランテ』篇4 特撮スクラップブック」}}</ref>
<ref name="平成C32">{{Harvnb|平成ゴジラクロニクル|2009|p=32|loc=「part2 1989 造型メイキング」}}</ref>
<ref name="平成C37">{{Harvnb|平成ゴジラクロニクル|2009|p=37|loc=「part3 1989 特撮メイキング [大島・三原山]」}}</ref>