「ヒトパピローマウイルスワクチン」の版間の差分

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{{See also|報道被害}}
{{See also|風評被害}}
日本人女性の50~80%が生涯でHPV に感染し、毎年約3000人が子宮頸がんによって亡くなっている。そのため、2010年度からHPVワクチン接種の公費助成、2013年4月には小学6年生から高校1年生の女性を無料接種対象年齢とした積極的定期接種が始まったが、同年に騒がれ出した「副反応」を理由に同年6月には積極的勧奨が中止された<ref name=":4">{{Cite web |title=新聞はHPVワクチンをどう報じたか(山口浩) - エキスパート |url=https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/b232a5d8d37a2e1ebe6897564b7f2db6b50f927d |website=Yahoo!ニュース |access-date=2024-03-05 |language=ja}}</ref>。しかし、翌2014年にWHOが安全性の再確認を報告、2015年には[[欧州医薬品庁]]がHPVワクチンは[[複合性局所疼痛症候群]](CRPS)及び[[体位性頻脈症候群]](POTS)を起こさないと発表、2017年には医師で村中璃子が英科学誌「Nature」ら主催の「John Maddox賞」を受賞など、騒動後の肯定的研究結果発表で日本メディアにおけるマイナスな報道が激減していった。特に主な新聞における報道データベース調査によって[[朝日新聞]]は、最も反HPVワクチン報道をしていたことが判明しており、2013年1月から2021年8月までの間に235件の記事が記録されており、2020年にHPVワクチン報道記事が0、2021年から推奨的報道になるまで反ワクチンキャンペーンの報道姿勢であった。HPVワクチン報道姿勢を転換した一方で過去の報道内容検証や、自分達の報道の影響・未接種による健康被害に対する視点が欠けていたことへの批判がされている。[[中日新聞]]は関連記事数自体は朝日より少ないものの、2013年1月から2021年8月までで関連報道計93件で2018年には肯定的報道へ、[[読売新聞]]は2013年1月から2021年8月までで関連報道計212件で多いものの、2013年に副反応問題が注目を集めた際ワクチン接種に対する否定的な印象を読者に抱かせるものだったが、同年12月にはポジティブな報道自体あり、その後も「再開要望」を報じるなどワクチン接種に前向きな論調の記事が散見、2018年以降は接種前向きな記事が占めるようになった<ref name=":4" />。2013年から2019年までの日本のマスメディアにおける反ワクチンキャンペーン・デマによって、若い日本人女性<ref>2022年度に17歳から25歳になる女性</ref>に未接種者が大量に発生し、「キャッチアップ接種世代」が生じるHPVこととなった<ref>{{Cite web |title=子宮頸がん・HPVワクチンは親子で学んで デマや誤解で接種を逃した医学生 - #がんの誤解 - NHK みんなでプラス |url=https://www.nhk.or.jp/minplus/0119/topic004.html |website=NHK みんなでプラス - みんなの声で社会をプラスに変える |date=2022-05-17 |access-date=2024-03-05 |language=ja |last=日本放送協会}}</ref><ref name=":4" />。地方自治体からも日本のマスメディアが不安を煽り、起こしたHPVワクチンに対する風評被害への批判がなされている<ref>https://www.city.yamato.lg.jp/material/files/group/35/000163777.pdf<nowiki>https://osaka-hk.org/_cms/wp-content/uploads/20200513hpvpressmemo.pdf</nowiki></ref>。
 
医療人類学者の磯野真穂による一連の報道の影響については、被害の訴え時には当初報道に慎重だった新聞各社が、杉並区の女子中学生がの体調不良で不登校になったことについて区が副反応と認めたことから一斉に副反応被害報道に舵を切ったことが述べられている。また「被害者連絡会」が厚労省に接種中止を求めたことを報じた朝日新聞をはじめ、副反応報道中心となっていた指摘がある<ref>{{Cite web |title=HPVワクチン、当初は慎重な書きぶりだったのになぜ? 一気に危険視する報道に流れていった新聞記事の分析 |url=https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/hpvv-reports-analysis-1?bfsource=relatedmanual |author=岩永直子|website=buzzfeed japan |date=2022年6月9日 |access-date=2024-06-29|language=ja}}</ref>。ただし、[[岩永直子]]の取材では2013年4月以降に、けいれんする女の子の姿などを繰り返し流したでむしろテレビ報道で母親たちは不安を覚えたと聞き取りしている<ref>{{Cite web |title=結局のところ、日本でものごとを決めているのは「空気」? HPVワクチン接種を勧めるメッセージが届かなかったわけ |url=https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/hpvv-reports-analysis-2?bfsource=relatedmanual |author=岩永直子|website=buzzfeed japan |date=2022年6月9日 |access-date=2024-06-29|language=ja}}</ref>。
<nowiki>https://osaka-hk.org/_cms/wp-content/uploads/20200513hpvpressmemo.pdf</nowiki></ref>。'''[[ノーベル医学生理学賞]]受賞の京都大特別教授[[本庶佑]]は、2020年5月の中日新聞「防ごう!子宮頸がん」シリーズの取材で、日本メディアを「使命忘れたワクチン報道」「メディアとしての使命を放棄している」と批判している。'''彼は過去に記者らにHPVワクチンについて話をしても「記事はできたけど、デスク(新聞社やテレビ局の取材のまとめ役)によって没になった」と言われてきたと明かしている。本庶から中日新聞はちゃんと自分への取材内容を掲載してくれるのを問われたインタビュー役の中日新聞記者は「取材相手からの突然の質問にひやっとした。」「私自身、この問題を手探りで取材し始めて、当時はまだ二カ月しかたっていなかった。本当に紙面に掲載できるかどうかもわからない。」と心情を明かしている <ref>{{Cite web |title=子宮頸がんをなくすために 本庶教授の訴え(上):中日新聞Web |url=https://www.chunichi.co.jp/article/20493 |website=中日新聞Web |access-date=2024-03-06 |language=ja}}</ref>。
 
<nowiki>https://osaka-hk.org/_cms/wp-content/uploads/20200513hpvpressmemo.pdf</nowiki></ref>。'''[[ノーベル医学生理学賞]]受賞の京都大特別教授[[本庶佑]]は、2020年5月の[[中日新聞]]「防ごう!子宮頸がん」シリーズの取材で、日本メディアを「使命忘れたワクチン報道」「メディアとしての使命を放棄している」と批判している。'''彼は過去に記者らにHPVワクチンについて話をしても「記事はできたけど、デスク(新聞社やテレビ局の取材のまとめ役)によって没になった」と言われてきたと明かしている。本庶から[[中日新聞]]はちゃんと自分への取材内容を掲載してくれるのを問われたインタビュー役の[[中日新聞]]記者は「取材相手からの突然の質問にひやっとした。」「私自身、この問題を手探りで取材し始めて、当時はまだ二カ月しかたっていなかった。本当に紙面に掲載できるかどうかもわからない。」と心情を明かしている <ref>{{Cite web |title=子宮頸がんをなくすために 本庶教授の訴え(上):中日新聞Web |url=https://www.chunichi.co.jp/article/20493 |website=中日新聞Web |access-date=2024-03-06 |language=ja}}</ref>。
日本のように風評被害などでHPVワクチンの接種率が低下したものの草の根や国レベルのキャンペーンでデンマークやアイルランドでは、日本よりも早い段階で接種率が回復している<ref>{{Cite web |title=「HPVワクチン接種、一刻も早く積極的勧奨、再開を」 |url=https://www.m3.com/news/open/iryoishin/610068 |website=医療維新 {{!}} m3.com |access-date=2024-03-06}}</ref>。
 
日本のように風評被害などでHPVワクチンの接種率が低下したものの草の根や国レベルのキャンペーンで[[デンマーク]][[アイルランド]]では、日本よりも早い段階で接種率が回復している<ref>{{Cite web |title=「HPVワクチン接種、一刻も早く積極的勧奨、再開を」 |url=https://www.m3.com/news/open/iryoishin/610068 |website=医療維新 {{!}} m3.com |access-date=2024-03-06}}</ref>。
 
===国内報道内容の変遷===