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海兵遠征旅団(2024-02-18T21:00:29‎の版)からの転記によりMEBについて加筆など。
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[[日本語]]にいう'''旅団'''の語は[[古代]][[中国]]の軍隊の単位である'''旅'''に由来する{{Efn2|[[周]]代の中国では、兵員500名を「一旅」、5旅(約2500名)を「一師」と称し、5師(約12,500名)を一軍とした。}}。「Brigade」は[[ケルト語]]の'''briga'''(争い)に由来するという。その由来通り、本拠地より遠く離れた土地での戦闘を遂行できる編成が念頭に置かれる。
 
[[イギリス軍|英軍]]の'''Brigadier'''([[准将]]あるいは[[上級大佐]]{{Efn2|正確には旅団長たる大佐の職制上の地位(Positional(Positional Rank)Rank)であり、そのため海軍代将(Commodore)(Commodore)にならぞえて陸軍代将と和訳するケースも稀にある。}})は本来は「旅団の長」そのものであった。よって、諸外国の陸軍では旅団長には伝統的には准将級(旧[[ロシア帝国]]軍や現在の[[ロシア陸軍]]・[[ブラジル陸軍]]・[[中華民国陸軍]]等准将を置かない軍隊では[[少将]])が充てられてきたが、[[アメリカ陸軍]]では[[大佐]](独立旅団では准将)が充てられ、[[中国人民解放軍]]ではそれぞれ[[上級大佐]]・大佐に相当する大校・上校が充てられる。[[ドイツ連邦軍]]、[[ポルトガル軍]]等でも大佐が長になっている旅団の例がある。
 
[[将官]]の階級を3段階として准将級の階級を置かなかった[[大日本帝国陸軍|旧日本陸軍]]では[[少将]]が、将官の階級を2段階とした[[陸上自衛隊]]では[[陸将補]]がそれぞれ充てられる。
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[[第二次世界大戦]]の戦訓と戦後の技術革新により、核兵器の脅威や機甲衝撃力の重視、火力の増大や柔軟性の追求などに対応して、再び旅団という単位が注目されることとなった{{Sfn|藤井|1996}}。[[ドイツ陸軍 (ドイツ連邦軍)|ドイツ陸軍]]は、[[1955年]]の建軍直後には同時期のアメリカ機甲師団を参考にしたコンバット・コマンド制度を用いていたが、[[1957年]]より旅団を基本単位とするよう改編した{{Sfn|McGrath|2004|pp=61-65}}。また[[フランス陸軍]]も、[[1959年]]には連隊にかえて旅団を基幹とするように改編された{{Sfn|成清|1996}}。
 
[[アメリカ陸軍]]でも、3単位制師団への移行に伴い一度は旅団編制を廃止したものの、[[ペントミック]]改編に伴い、1958年には再導入した{{Sfn|McGrath|2004|pp=59-61}}。これに続く[[師団#ROAD師団|ROAD師団]]では、師団内に常設された3つの旅団司令部の下に、戦術単位としての大隊を適宜に組み入れて諸兵科連合タスクフォースを構成するという手法であっが用いられた{{Sfn|藤井|1996}}{{Sfn|成清|1996}}。
 
その後、[[冷戦]]終結後の世界情勢の変化に対応した[[米軍再編#米陸軍再編|米陸軍再編]]の一環として、アメリカ陸軍では旅団の編制を均質化するとともに自己完結性を向上させた[[旅団戦闘団]](BCT)の制度を導入し、師団に代わる基本作戦単位とした{{Sfn|大嶋|伊藤|古本|2006|pp=72-75}}。また[[ロシア陸軍]]でも、[[アナトーリー・セルジュコフ|セルジュコフ国防相]]による改革の一環として基本作戦単位を師団から旅団に変更したが、アメリカ陸軍のBCTが師団の下位の階梯と位置付けられたのに対し、ロシア陸軍の旅団は師団から改編される形で編成された{{Sfn|小泉|2016|pp=211-216}}{{Sfn|小泉|2016|pp=241-246}}。ただし基本作戦単位の小型化は、[[非対称戦争]]には適していても大規模な通常戦には不適な部分が多く、アメリカ陸軍では、「2030年の陸軍」({{Lang|en|Army of 2030}})構想において、再び師団を基本作戦単位と位置付ける計画としている{{R|waypoint-divisions}}。
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== アメリカ陸軍 ==
[[アメリカ陸軍]]でも、他国と同様、師団が4単位制から3単位制に移行するのに伴い、って師団における旅団は廃止されていった{{Sfn|McGrath|2004|pp=54-56}}。もしき、師団よりも小規模な諸兵科連合部隊を組織する必要が生じた際には連隊戦闘団(RCT)が編成されており、[[アメリカ海兵隊]]ではこれを「旅団」と称した{{Sfn|McGrath|2004|pp=54-56}}。
{{See also|旅団戦闘団}}
アメリカ陸軍でも、他国と同様、師団が4単位制から3単位制に移行するのに伴い、師団における旅団は廃止されていった{{Sfn|McGrath|2004|pp=54-56}}。もし師団よりも小規模な諸兵科連合部隊を組織する必要が生じた際には連隊戦闘団(RCT)が編成されており、[[アメリカ海兵隊]]ではこれを「旅団」と称した{{Sfn|McGrath|2004|pp=54-56}}。
 
その後、[[ペントミック]]改編に伴い、1958年には旅団の制度が再導入された{{Sfn|McGrath|2004|pp=59-61}}。この改編では連隊が戦闘単位としての機能を失ったことから、従来のRCTを代替するものとして旅団が再創設されたものだが、これは、アメリカ陸軍史上として初の諸兵科連合・独立部隊としての旅団であった{{Sfn|McGrath|2004|pp=59-61}}。また[[1960年代]]には、[[師団#ROAD師団|ROAD師団]]の導入とともに、師団の下の司令部部隊としての旅団も復活したほか、独立旅団({{Lang|en|Separate / nondivisional brigade}})も編成されるようになった{{Sfn|McGrath|2004|pp=61-65}}。師団内旅団({{Lang|en|Divisional brigade}})は、師団内に常設された3つの旅団司令部の下に、戦術単位としての大隊を適宜に組み入れて部隊を編成するのに対し、独立旅団は当初から編制として大隊を隷下にもつほか、師団内旅団の指揮官は大佐なのに対し、独立旅団では准将が指揮官とされた{{Sfn|McGrath|2004|p=159}}。
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ただし基本作戦単位の小型化は、[[非対称戦争]]には適していても大規模な通常戦には不適な部分が多く、アメリカ陸軍では、「2030年の陸軍」({{Lang|en|Army of 2030}})構想において、再び師団を基本作戦単位と位置付ける計画としている{{R|waypoint-divisions}}。
 
== アメリカ海兵隊 ==
[[アメリカ海兵隊]]でも、陸軍と同じく3単位制師団の導入とともに師団における旅団は廃止されていったが、RCTを組織した場合にこれを「旅団」と称していたため、その名称自体は生き残った{{Sfn|McGrath|2004|pp=54-56}}。
 
その後、1960年代に[[海兵空地任務部隊]](MAGTF)の制度が導入されると、海兵連隊を基幹としたMAGTFは[[海兵遠征旅団]](MEB)と称されるようになった。MEBは、1992年に一度全て廃止されたものの、1999年から2000年にかけて、3個の[[海兵遠征軍]](MEF)それぞれに1個ずつのMEBが再編された{{Sfn|河津|2000}}。
 
== ロシア陸軍 ==
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== 参考文献 ==
* {{Citation|和書|last=大嶋|first=康弘|last2=伊藤|first2=清登|last3=古本|first3=和彦|year=2006|month=12|title=米国のトランスフォーメーションと主要国の対応|journal=防衛研究所紀要|volume=9|number=2|pages=69-130|publisher=防衛省防衛研究所|url=https://www.nids.mod.go.jp/publication/kiyo/pdf/bulletin_j9_2_4.pdf|naid=40015273065}}
* {{Citation|和書|last=河津|first=幸英|year=2000|month=9|title=政党のような米海兵隊の生残り術|journal=[[軍事研究 (雑誌)|軍事研究]]|volume=35|number=9|pages=72-83|publisher=[[ジャパン・ミリタリー・レビュー]]|doi=10.11501/2661876 }}
* {{Citation|和書|author=軍事情報研究会|title=シリーズ・最新世界の軍隊第15回 陸自2000年の旅団化改編|pages=123-145|journal=[[軍事研究 (雑誌)|軍事研究]]|volume=33|number=5|publisher=[[ジャパン・ミリタリー・レビュー]]|year=1998|month=05|doi=10.11501/2661848 }}
* {{Citation|和書|last=小泉|first=悠|authorlink=小泉悠|year=2016|title=軍事大国ロシア|publisher=[[作品社]]|isbn=978-4861825804}}