「ヴァイオリン」の版間の差分
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=== 本体 ===
全長は約60cm。一般にボディ長で楽器の大小を見る。現代では355mmが平均。オールドは352mm前後が多い。
重量は楽器にもよるが、
側板・裏板のカエデ材は
一般的に木目の目立つ素材は、技術力の高い職人が完成度や性能の高い楽器を作るときに見た目をよくするために用いられる。
指板は通常[[黒檀]]が使われるが、ペグボックスとスクロールは形に適合した木の又やコブを利用する場合があった。
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表板の裏側には、力木(バスバー)と呼ばれるスプルース(表板と同じ材)の部品が、膠で張りつけられる。これは表板を補強するとともに、特に低音の響きを強め安定させる役割を果たす。表板を削る際にその形状にしないのは、バスバーの両端は板に密着させないためであり、音の本来の出所は、側板で緊張された硬く滑らかな表板に由来するからである
ヴァイオリン内部には、[[魂柱]](サウンドポスト)と呼ばれるスプルースの円柱が立てられている。立てる際に用いる魂柱立てによってできる刺し傷は
魂柱は表板と裏板の形をある程度支持すると同時に、コマから表板に乗った振幅を裏板に伝え、両板の振幅を適切に引き出して音色・音量を決定する、重要な役割を果たす。
これらのうち、駒・魂柱・ペグ・エンドピン以外の各部位は、[[ゼラチン|ニカワ]]によって接着される。ニカワの接着剤としての性質上、蒸気を当てることで分解できるため、分解修理や部品交換が可能である。
さらにニカワは乾燥接着した後も、楽器の振動を完全に吸収することなく、適度な柔軟性を発揮する。そのため楽器に最適で、現在でも他の接着剤は使われない。
この柔軟性は湿気によるダメージ阻止にもつながる。湿気の多い夏や乾燥した冬に表板や裏板が剥れるのは、湿気による歪みに 安価な楽器には、接着剤の他に、好ましくない材料が使われている場合がある。特に指板を黒く塗った[[ツゲ]]などで代用している場合は、使用するにつれて色が禿げてくることがある。ちなみに、黒檀の木(エボニー)は2層あり外側は茶色で芯だけが黒い。漆黒でしかも密度の高い部分はとても希少である。近年の材料枯渇状況もあり、普通最高級品とされない茶色の部分がある黒檀も受け入れられつつある。
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指板の先には弦の張力を調整する糸巻き(ペグ)がついている。先端の渦巻きは装飾で、この部分に別の彫刻(人、天使、ライオン等の顔)が施される場合もある。
ボディの周囲に、黒檀による[[パフリング]]という細い二重ラインを呈した埋め木が施される。本来これは装飾目的ではなく、板の振動をそこで止める・外部からの振動/衝撃をふせぐ、という役割をもつ。つまり、パフリング内において板が適切に振幅できるようにしている。総じて音響目的であ
ヴァイオリンの仕上げには[[ニス]]が塗られる。ニス塗りは職人によりさまざまな形態をとるが、基本的にはスピリット(アルコール)系とオイル系の二種類がある。ポリウレタンを使ったコーティングもあるが、これは安価な楽器に使われるのが大半である。ニス塗り肯定は亜麻仁油、アルコール溶媒やシンナーに油脂や色素を溶かし、塗布後乾燥により揮発溶媒を飛ばす。通常30回程度、職人によっては50回ほど、薄いものから徐々に濃くしたものを塗り、ニスを浸透させていく。最後は乾燥と研磨と重ね塗りを繰り返し
ニスは、一般的に家具などで考えうる、木材の腐朽・食害などからの保護も兼ねているが、楽器の音を逃がさないよう引き締める、という役割が最も大きい。白木で組み立てたヴァイオリンは、音が発散して芯のあるヴァイオリンの響きにはならない。
オールド楽器のなかには、楽器自体は健康でもニスが剥げて木肌が露出しているものがあり、構造的な調整を行って音色を引き出せた段階で、最後の仕上げに透明ニスを薄くコートしてやることで、さらに敏感に反応して音が締まってくる。つまり、ニスの塗りすぎは楽器の動きを止める。
以上のように、見た目が整う、というのはあくまで最終的な結果であり、「制作段階で出来の良い楽器」に対して綺麗にニスを塗りこむことが良い、といった段階的な目的では本来ありえないはずである。
=== 弦 ===
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