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{{出典の明記|date=2011年4月}}
[[Image:Benz3.svg|thumb|right|300px|ベンゼン分子の共鳴]]
[[Image:Resonance examples.png|thumb|right|300px|共鳴の例]]
'''共鳴理論'''(きょうめいりろん)とは、[[量子力学]]的[[共鳴]]の概念により、[[共有結合]]を説明しようとする理論である。
 
== 共鳴理論の提唱 ==
1929年に[[ライナス・ポーリング]]はハイトラーとロンドンによる[[水素分子]]の共有結合の描像から、共有結合が量子力学的共鳴に基づくものという描像を提唱した。
すなわち水素分子の全[[電子]]の[[波動関数]]Ψ(1,2) = c<sub>1</sub>φ<sub>Ha</sub>(1)φ<sub>Hb</sub>(2) + c<sub>2</sub>φ<sub>Ha</sub>(2)φ<sub>Hb</sub>(1)を
[[水素]]原子Haに電子1が所属し水素原子Hbに電子2が所属する状態と、水素原子Haに電子2が所属し水素原子Hbに電子1が所属する状態とが共鳴しておりそれにより安定化が起こっているものと考えた。
ライナス・ポーリングはこの描像を発展させて様々な結合の様式について、また化合物の安定性、反応性について説明していった。
 
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そしてこのように共鳴により生成した新しい軌道を[[混成軌道]]と呼んだ。
 
そして、ポーリングは[[ベンゼン]]について複数のルイス構造(ケクレ構造、デュワー構造)に対応する波動関数の共鳴により、ベンゼンの安定性を説明することに成功した。
ケクレの振動説ではベンゼンは2つのケクレ構造が[[互変異性]]しているもの、つまり化学平衡にあるものと考えていたが、共鳴理論では2つのケクレ構造はあくまで仮想的な共鳴構造であり、真の構造はそれらの共鳴混成体としているところが異なる。
それ故、共鳴構造の集合である共鳴式を互変異性を表す式と混同してはならない。
混同を避けるため、互変異性においてはそれぞれの互変異生体を片側に矢のある矢印2本、←と→を上下に並べて表すのに対し、共鳴は2つ以上の共鳴構造を両側に矢のある一本の矢印⇔で結んで表す。
 
この(広義の)共鳴理論はその後発展して[[原子価結合法]]となった。
そのため(広義の)共鳴理論は大抵の場合、原子価結合法と称されており、現在ではこの(広義の)共鳴理論によって説明される現象の中で共鳴安定化および共鳴効果の2つの概念について(狭義の)共鳴理論と呼んでいることが多い。
 
==共鳴安定化==
共鳴安定化は共役π電子系において共鳴構造の寄与によって、孤立したπ電子系に比べてエネルギーが安定化することを言う。
 
ケクレ構造式によればベンゼンは[[二重結合]]を3本持っており、[[エチレン]]は二重結合を1本持っている。
そのため単純に考えればベンゼンを水素化して[[シクロヘキサン]]にするときの発熱量はエチレンをエタンに水素化するときの発熱量の3倍になると推測される。
しかし実測してみるとこの値は予想される値の半分程度しかない。
これはベンゼンのπ電子系が孤立したπ電子系よりもエネルギーが低いためと考えられる。
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*[[分子軌道法]]
 
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[[ca:Ressonància]]