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{{改名提案|レナリドミド|t=ノート:レナリドマイド|date=2011年4月}}
{{drugbox
| verifiedrevid = 415677899
| drug_name = レナリドマイド (Lenalidomide)
| IUPAC_name = (''RS'')-3-(4-amino-1-oxo-3''H''-isoindol-2-yl)piperidine-2,6-dione
| image = Lenalidomide.png
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| routes_of_administration = 経口
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[['''レナリドミド'''または'''レナリドマイド]]'''(英名: Lenalidomide)とは2005年に登場した、再発もしくは難治性の[[多発性骨髄腫]](Multiple Myeloma:MM)<ref name="清水">清水「骨髄腫患者の治療目標 新規薬剤によるパラダイム・シフト」</ref>と[[5q-症候群]]<ref name="通山">通山「レナリドミドによるMDSの治療」</ref>の[[抗がん剤|治療薬]]である。開発コード'''CC-5013'''としても知られる。
 
1999年に[[サリドマイド]]が難治性の多発性骨髄腫 (MM) の約30%に効果を示すことがわかり<ref name="清水"/><ref name="阿部 p510-511">阿部『造血器腫瘍アトラス』p510-511</ref>、レナリドマイドはサリドマイドよりさらに効果を高め、副作用を少なくする目的で開発されたサリドマイド誘導体である<ref name="阿部 p512">阿部『造血器腫瘍アトラス』p512</ref>。レナリドマイドはサリドマイドより[[TNF-α]]産出抑制に優れ、Thi細胞増加を刺激することが分かっている<ref name="得平">得平「腎疾患を伴う骨髄腫患者に対する治療方針 新規薬剤の使用方法」</ref>。
 
レナリドマイドは再発もしくは難治性の多発性骨髄腫に対して一定の効果を上げ、とくに[[デキサメサゾン]] (DEX) との併用で奏効率60%と高い成績を上げている<ref>{{cite journal| author = Weber DM, Chen C, Niesvizky R, ''et al.''| title = Lenalidomide plus dexamethasone for relapsed multiple myeloma in North America| journal = The New England Journal of Medicine| volume = 357| issue = 21| pages = 2133–42| year = 2007| month = November| pmid = 18032763| doi = 10.1056/NEJMoa070596| accessdate = 2009-06-18}}</ref><ref name="阿部 p512-513">阿部『造血器腫瘍アトラス』p512-513</ref><ref name="がん研究センター・多発性骨髄腫の新しい薬">[http://ganjoho.ncc.go.jp/public/cancer/data/myeloma_new_therapy.html 国立がん研究センター・多発性骨髄腫の新しい薬]201.04.02閲覧</ref>。
 
また、レナリドマイドは5q-症候群に対しても著効を示し、多くの患者が輸血依存から脱却できる可能性がある<ref name="千葉">千葉「5q-症候群とmiRNA.p53の異常:動物モデルの解析」</ref>。
 
==多発性骨髄腫==
多発性骨髄腫<ref>{{cite journal| author = Armoiry X, Aulagner G, Facon T| title = Lenalidomide in the treatment of multiple myeloma: a review| journal = Journal of Clinical Pharmacy and Therapeutics| volume = 33| issue = 3| pages = 219–26| year = 2008| month = June| pmid = 18452408| doi = 10.1111/j.1365-2710.2008.00920.x| accessdate = 2009-06-18}}</ref>の治療は従来はメルファラン+プレドニゾロンをはじめとする化学療法あるいは移植治療などであったが、1999年にサリドマイドが効果があることが分かり、さらにレナリドマイドや[[ボルテゾミブ]]も加わり、治療法の選択の幅が広がってきた<ref name="がん研究センター・多発性骨髄腫の新しい薬"/><ref name="得平"/>。
 
再発もしくは難治性の多発性骨髄腫ではレナリドマイドを25 mg程度/dayを3週間続け、1週間休薬する投薬が多いが、副作用、特に好中球数を見ながら投薬量を調整することが多い<ref name="浅野">浅野「新規薬剤の副作用予防とマネージメント」</ref>。デキサメサゾンを併用することでさらに効果が増大することが期待されている<ref name="野坂">野坂生郷「若年患者に対する大量メルファラン療法と自家造血幹細胞移植は必要か」</ref>。
 
==5q-症候群==
[[5q-症候群]]ではレナリドマイドを10 mg程度/dayを3週間続け、1週間休薬する投薬が多いが<ref name="通山">通山「レナリドミドによるMDSの治療」</ref>。サリドマイドには単球からの[[TNF]]の産出を抑制する効果があり、[[T細胞]]を刺激する特性もあり、5q-症候群を含む骨髄異形成症候群 (MDS) では[[赤血球]]数増加などの効果をもたらすが、副作用が問題になることも多かった。その為、サリドマイド誘導体で副作用を軽減し、TNFの産出抑制に優れたレナリドマイドが試されたところ効果が認められた<ref name="通山"/>。
 
5q-症候群では[[貧血]]が強く輸血依存になることが多かったが、レナリドマイドの服用で多くの例で貧血が改善し輸血が不要となっている<ref name="通山"/>。しかし、[[好中球]]と[[血小板]]の減少には注意が必要である<ref name="通山"/>。
 
5q-症候群以外の骨髄異形成症候群でも、一部では貧血の改善が見られることがある<ref name="通山"/>。
 
===欧米における治験結果===
欧米において輸血が不可欠な輸血依存性の5q-を持つMDS患者148人にレナリドマイドを10 mg/dayを3週間続け、1週間休薬する投薬を行う治験では67%が24週までに輸血が不要になり、1年後にも62%は輸血が不要なままでいる<ref name="阿部 p482-485">阿部『造血器腫瘍アトラス』p482-485</ref>。5q-クローンの細胞も45%の患者では見られなくなり、28%の患者では異常細胞は見られるもののその数を減らしている<ref name="阿部 p482-485"/>。好中球減少と血小板減少は半数の患者でみられ、好中球減少による感染症の死の可能性のある例が少数発生している。白血球減少の副作用はあるものの5q-には効果が明らかにあり、輸血中心の5q-症候群の治療が大きく変化する可能性は高い<ref name="阿部 p482-485"/>。
 
==副作用==
レナリドマイドは元になったサリドマイドで見られる眠気や便秘(サリドマイドは元々は睡眠薬として開発されたものである)は少ないが、[[白血球]]や血小板数が減ることが多く、その為に3週間内服した後に1週間休薬するサイクルが推奨されている<ref name="阿部 p513">阿部『造血器腫瘍アトラス』p513</ref>。
 
また、この薬はサリドマイドの誘導体であり、胎児に極めて強い催奇性を持つので妊婦には絶対に与えてはならない<ref name="お薬レナリドミド水和物"/><ref>[http://www.info.pmda.go.jp/iyaku/file/h220625-001.pdf 厚生省通達]2011.03.31閲覧</ref>。
 
==代謝と腎臓==
レナリドマイドはサリドマイドの類であるが、サリドマイドと違い腎代謝なので、腎障害がある場合は減薬、あるいは他剤への切替が必要となる<ref name="得平"/>。
 
==薬価問題==
レナリドマイド (Lenalidomide) 商品名レブラミドカプセル5 mgがアメリカでは2005年、日本では2010年7月に発売されたが、価格は2010年日本円で5 mg 1カプセル 8,861円であり、多発性骨髄腫では、それを1日に5カプセル/day服用を3週続けて1週休薬のサイクルで継続しなければならず(4週間ごとに93万円、1年間で約1213万円の薬代)、医療保険制度の整った国家で無いと相当に裕福な患者以外には使用できない経済的な問題が発生する可能性がある<ref name="お薬レナリドミド水和物">[http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se42/se4291024.html お薬110番・レナリドミド水和物]201.03.31閲覧</ref><ref>[http://www.myeloma.gr.jp/medical_info/2010/07/post-41.html 日本骨髄腫患者の会]2011.03.31閲覧</ref><ref>[http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/380809_4291024M1024_1_03G.pdf 患者向け医療品ガイド]2011.03.31閲覧</ref>。
 
==化学的性質==
レナリドマイドはわずかに黄味がかった白色から淡黄色の粉末固体である<ref name=lib>{{Cite web|title=Revlimid (Lenalidomide) - Description and Clinical Pharmacology|url=http://www.druglib.com/druginfo/revlimid/description_pharmacology/|publisher=DrugLib.com|date=2009-04-15|accessdate=2011-4-3}}</ref>。水および水と有機溶媒の混合液に対して可溶<ref name=bank>{{Cite web|title=Lenalidomide|url=http://www.drugbank.ca/drugs/DB00480|publisher=DrugBank|date=2010-12-23|accessdate=2011-4-3}}</ref>。水への溶解度は2.33 g/Lであり、酸性溶液に対しては溶解度が増す<ref name=bank/>。[[酸解離定数|pKa]]は15.21である<ref name=bank/>。
 
レナリドマイドは[[不斉炭素原子]]を持つため、S(-)体とR(+)体の2つの[[光学異性体]]が存在する。これらの[[旋光度]]はそれぞれ+側と-側に等しく、薬品としてのレナリドマイドはS体とR体が等量ずつ含まれ見た目上の旋光度が0となっている混合物として生産されている<ref name=lib/>。
 
== 脚注 ==
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* [[血液学]]
 
{{DEFAULTSORT:れなりとまいと}}
[[Category:血液疾患]]
[[Category:抗がん剤]]