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通則法第37条では、国税の納期限後50日以内に督促状を1度に限り発するものとされており、同法第40条および徴収法第47条では原則として督促状を発した日から10日以内に当該国税が完納されない場合、滞納処分(差押)を行うとされている。
 
督促状の発付は滞納処分の前提行為とされており、督促状が発されずに行われた滞納処分は[[無効]]となる。「50日以内」という督促状発送の期限は訓示規定であると解されており、50日を過ぎて発せられた督促状が直ちに無効になるとはされていない。
 
ただし、通則法第38条第1項各号の規定により繰上請求がなされた場合は繰り上げられた納期限までに当該国税が完納されなかった場合(通則法第40条)、督促状を発してから10日以内に繰上請求の事由が発生した場合は直ちに(徴収法第47条第2項)、滞納処分を行うことができる。特に徴収法第47条第2項の場合を指して「繰上差押え」と呼ばれる。
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質問は、上記の者に対して口頭または照会文書等の書面で行う。検査は、上記の者の財産に関する[[帳簿]]類([[コンピュータ]]上のものを含む)の提示を求めて行う。
 
質問に対して答弁をせず、偽りの陳述をした者・検査を拒否、妨害、忌避し、または偽りの帳簿類を提示した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の[[罰金]]刑に処せられる(徴収法第188条)。また、法人等の代表者・従業員、[[自然人]]の[[代理]]人等がこれを行った場合、行為者とともに、行為者が代理を行った法人や自然人も罰せられる。
 
=== 捜索 ===
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== 財産の差押 ==
'''[[差押]]'''は、滞納者の特定の財産について、滞納者の意思に関わりなく、法律上または事実上の処分を禁じ、それを公売その他の方法により金銭に換価可能な状態にするために行われる最初の手続きである強制処分である。差し押さえられた財産は、[[所有権]]に基づく使用・収益・処分に制限を受けるが、差押を受けた段階ではその所有権は滞納者に属し、国に所有権が直接移転するわけではない。
 
=== 通則 ===
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差押のうち、通知書等の書面の送付によってその効果が発生するものについては、効果発生の時点を明確にするため、実務では通知書は[[配達証明]]郵便などの手段で送付されることが多い。通説上、発送した書面が受取人の支配下に入った(基本的には本人・家族・従業員等が[[郵便]]物を受け取った)時点で相手方に到達したものとみなされ、滞納者が読まなかったなどの場合も、差押の効力には影響を及ぼさない。
 
通則法第72条第3項により準用される民法第147条の規定により、国税徴収のために財産の差押を行った場合、当該国税に係る時効は中断する。すなわち、差押を行ったときからその目的となっている国税の時効は進行せず、[[#財産の換価|換価]]・換価の猶予等により[[#差押の解除|差押が解除]]された翌日から起算してさらに5年後(通則法第72条第1項)が当該国税の消滅時効となる。
 
=== 動産の差押 ===
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[[金銭]]や有価証券を差し押さえた場合は、その限度において(有価証券の場合はこれを換金した限度において)国税を徴収したものとみなされる(徴収法第57条)。
 
動産のうち、[[登記]]または登録の制度がある[[船舶]]・[[航空機]]・[[自動車]]・[[建設機械]]・[[小型船舶]]の差押は、[[#不動産の差押|不動産の差押]]の手続きに準じて行われる。この場合、営業上の必要などがある場合は、一定の要件により運行・航行・使用を許可される場合がある。ただし、[[軽自動車]]や[[二輪車]]、櫓(ろ)や櫂(かい)をもって航行する船などは登録の制度がないため、通常の動産差押の手続きによる。
 
=== 債権の差押 ===
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徴収職員は、必要な場合は当該債権の証書を、動産の差押の例により滞納者から取り上げることができる(徴収法第65条)。
 
差し押さえた債権取立ては徴収職員が行い、金銭を取り立てた場合はその限度内において滞納者から国税を徴収したものとみなされる。金銭以外のものを取り立てた場合は、そのものは差し押さえられる(徴収法第67条)。
 
差し押さえるべき債権が[[抵当権]]等登記することができるものである場合、税務署長がその登記を関係機関に嘱託することができる。この場合、税務署長は滞納処分に関係する第三債務者以外の権利者に対して差し押さえた旨を通知しなければならない(徴収法第64条)。
 
=== 不動産の差押 ===
不動産の差押は、滞納者に差押書を送達して行い、差押書送達の時点で効力を生ずる。これとともに、税務署長は差し押さえた物件の登記を関係機関([[登記所]])に嘱託しなければならない。登記がなされていなければ、[[対抗要件|第三者に対して対抗]]することができないためである。差押書が滞納者に到達する前に登記がなされた場合は、登記された時に差押の効力が生ずる(徴収法第68条)。
 
滞納者または差し押さえられた不動産ついて使用・収益をする権利を持つ第三者は、当該不動産を通常の用法で使用収益することができるが、その価値を著しく損なう行為がなされると認められるときは、税務署長はその使用収益を制限することができる(徴収法第69条)。