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==形態==
===有性世代(テレオモルフ)===
子実体(子座)は菌核から1個ないし数個が形成され、もろい肉質で全体としては太鼓のばち状をなし、ほぼ球状の頭部(径2-3.5ミリ程度:紅褐色~赤紫色または紫褐色)と細い円筒状の柄(長さ20-30ミリ、径1-2ミリ程度)とで構成され、頭部の表面には微細な粒状の隆起([[子嚢殻]]の頸部)が無数に認められる。頭部の表層に埋没した子嚢殻は楕円形ないしフラスコ形をなし、上部は次第に細まって頭部の外面に突出するとともに、上端に小さな頂孔を開く。子嚢殻の内部には細長い円筒形の[[子嚢]]が無数に形成される。個々の子嚢は無色・薄壁(頂部のみ顕著に厚壁)で長さ70-80μm、径3-4μm程度、内部に8本ずつの[[胞子|子嚢胞子]]を含む。子嚢胞子は無色で細長い糸状(幅1-1.5μm)を呈し、未熟時には単細胞であるが、子嚢から射出された後には隔壁を生じる<ref name=UDAGAWA>宇田川俊一・椿啓介・堀江義一・箕浦久兵衛・渡辺昌平・横山竜夫・山崎幹夫・三浦宏一郎、1978.菌類図鑑(上巻).講談社サイエンティフィック、東京. ISBN 9-784-06129-961-0.</ref><ref>今関六也・本郷次雄(編著)、1989.原色日本新菌類図鑑'''(Ⅱ)'''.保育社、大阪. ISBN 978-4-586-30076-1 </ref>。成熟した子嚢胞子は子嚢先端から射出され、さらに子嚢殻の先端に開いた頂孔から噴出し、風に運ばれたり雨水に交じったりして分散することにより、新たな宿主植物の花序に感染することになる<ref name=saibai></ref>
頭部の表層に埋没した子嚢殻は楕円形ないしフラスコ形をなし、上部は次第に細まって頭部の外面に突出するとともに、上端に小さな頂孔を開く。子嚢殻の内部には細長い円筒形の[[子嚢]]が無数に形成される。個々の子嚢は無色・薄壁(頂部のみ顕著に厚壁)で長さ70-80μm、径3-4μm程度、内部に8本ずつの[[胞子|子嚢胞子]]を含む。子嚢胞子は無色で細長い糸状(幅1-1.5μm)を呈し、未熟時には単細胞であるが、子嚢から射出された後には隔壁を生じる<ref name=UDAGAWA>宇田川俊一・椿啓介・堀江義一・箕浦久兵衛・渡辺昌平・横山竜夫・山崎幹夫・三浦宏一郎、1978.菌類図鑑(上巻).講談社サイエンティフィック、東京. ISBN 9-784-06129-961-0.</ref><ref>今関六也・本郷次雄(編著)、1989.原色日本新菌類図鑑'''(Ⅱ)'''.保育社、大阪. ISBN 978-4-586-30076-1 </ref>。成熟した子嚢胞子は子嚢先端から射出され、さらに子嚢殻の先端に開いた頂孔から噴出し、風に運ばれたり雨水に交じったりして分散することにより、新たな宿主植物の花序に感染することになる<ref name=saibai></ref>。
 
 
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;分生子世代
:''Sphacelia''型で、菌糸は無色であるが、肉眼的には黄白色にみえる<ref name=IHT>今関六也・本郷次雄・椿啓介、1970. 標準原色図鑑全集14 菌類(きのこ・かび). 保育社、東京. ISBN 978-4-58632-014-1.</ref>。分生子柄は分岐せず、単一のこん棒状で、多数が密集して分生子形成層となる。[[分生子]]は卵形ないし楕円形で無色・薄壁、隔壁を生じることなく単細胞で表面は平滑、大きさ4-6×2-3μm 程度である<ref name=UDAGAWA></ref>。野外の罹患植物から得た蜜滴を観察した場合には、ときに蜜滴中に混在する[[コウボ]]類などと見誤られることがある<ref name=ABE275>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/nogeikagaku1924/20/5/20_5_275/_pdf 阿部又三、1944.麥角菌に関する研究(第一報の1).形態学的研究(その1) 分生胞子の大さに就て.日本農芸化学会誌20: 275-282.]</ref>。分生子には二型性を欠き、二次分生子(secondaly conidia)の形成能も持たない(Pažoutová, S., Kolarík, M., and R. Kolínská, 2004.Pleomorphic conidiation in ''Claviceps''. Mycological Research 108:126-35.=REF NAME=CONIDIAinCLAVICEPS)。
 
Abstract
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アラスカを含む北アメリカ国内における調査では、165種の植物を宿主とすることが確認されるとともに、その分生子のサイズは、宿主の種や発生した場所の地理的相違とはほぼ無関係に安定していると考えられている<ref name=HOSTS>[http://naldc.nal.usda.gov/download/8419/PDF Alderman, S. C., Halse, R. R., and J. F. White, 2004. A reevaluation of the host range and geographical distribution of ''Claviceps'' species in the United States. Plant disease 88: 63-81.]</ref>。
 
 
 
 
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宿主植物への感染はその開花期に限定され、菌の侵入は[[子房]]の側面から行われる<ref>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/nogeikagaku1924/23/1/23_1_37/_pdf 阿部又三・八田亮三、1949.麥角の栽培試驗(第1報) 二三の基礎的な問題に就て.日本農芸化学会誌23: 37-40.]</ref>。感染するとまず胚珠が破壊され、子実の内部組織はしだいに菌糸に置き換えられ、充分に生育すれば無数の無性胞子([[分生子]])を形成する。同時に、菌糸は糖分を含んだ液体のしずく(蜜滴:Honey Due)を分泌し、[[分生子]]は蜜滴とともに花穂の表面に滲み出る。蜜滴は昆虫によってほかの花序に分散され、あるいは雨滴によっても飛散し、または乾いた蜜滴が剥離して付近の他の花へと伝染する<ref name=saibai></ref>。なお、変種群を含め、分生子が発芽した菌糸から新たに分生子を形成する性質(二次分生子の形成)はない<ref name=CONIDIAinCLAVICEPS>Pažoutová, S., Kolarík, M., and R. Kolínská, 2004.Pleomorphic conidiation in ''Claviceps''. Mycological Research 108:126-35.</ref>。
 
 
[[籾殻]]の内部に形成された菌糸塊はさらに肥大し、子房への感染から2-3週を経たころから着色した細胞からなる薄い皮層とほぼ無色の菌糸からなる髄層とに分化し、[[菌核]]として、外界に姿を現す。菌核は宿主植物から離れて地上に落下すると休眠に入り、翌年の宿主の開花期まで残存する<ref name=saibai></ref>。休眠が破れれば、有性世代(テレオモルフ)の[[子実体]](子座)が菌核上に形成される。実験的には、植物体から自然に分離・脱落した菌核を、2-3℃の低温下で一カ月ほど処理し、次いで湿らせた砂の上に並べ、室温で再び一カ月ほど保つことで、子座を発生させることができる<ref name=UDAGAWA></ref>。低温処理を施した後であっても、35℃以上の温度のもとでは子座は形成されない<ref name=Mississippi2></ref>。また、照度の大小も子実体形成に影響し、約3000ルックスの照明下では子座は作られないという<ref name=Mississippi2></ref>。
[[籾殻]]の内部に形成された菌糸塊はさらに肥大し、子房への感染から2-3週を経たころから着色した細胞からなる薄い皮層とほぼ無色の菌糸からなる髄層とに分化し、[[菌核]]として、外界に姿を現す。菌核は宿主植物から離れて地上に落下すると休眠に入り、翌年の宿主の開花期まで残存する<ref name=saibai></ref>。休眠が破れれば、菌核内部に[[造精器]]が作られ、[[受精毛]](trichogene)の形成なしに核融合が行われる。ついで鉤状構造の形成(hook-formation)を経て子嚢が作られ始める<ref>Killian, C., 1919. Sur la sexualité de l'ergot de seigle, le ''Claviceps purpurea''. Bulletin de la Société Mycologique de France 35: 182–197.</ref>。
 
 
[[籾殻]]子嚢内部に形成された菌糸塊はさらに肥大し、子房への感染から2-3週を経たころから着色した細胞からなる薄い皮層とほぼ無色の菌糸からなる髄層とに分化し、[[菌核]]過程並行して、外界に姿を現す。菌核は宿主植物から離れて地上に落下すると休眠に入り、翌年の宿主の開花期まで残存する<ref name=saibai></ref>。休眠が破れれば、有性世代(テレオモルフ)の[[子実体]](子座)が発達し始め、菌核上に形成の表層を破って小な菌糸塊として出現する。実験的には、植物体から自然に分離・脱落した菌核を、2-3℃の低温下で一カ月ほど処理し、次いで湿らせた砂の上に並べ、室温で再び一カ月ほど保つことで、子座を発生させることができる<ref name=UDAGAWA></ref>。低温処理を施した後であっても、35℃以上の温度のもとでは子座は形成されない<ref name=Mississippi2></ref>。また、照度の大小も子実体形成に影響し、約3000ルックスの照明下では子座は作られないという<ref name=Mississippi2></ref>。
 
 
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==分布==
[[ユーラシア]]を中心に、[[イネ科|イチゴツナギ亜科]](
Pooideae)・[[イネ科|ダンチク亜科]]( Arundinoideae)・[[イネ科|キビ亜科]](Panicoideae)など、[[イネ科]]に属する宿主植物の分布域と重なって見出される<ref name=Nordic>Hansen, L., and H. Knudsen (ed.), 2000. Nordic Macromucetes 1. Ascomycetes. 309 pp. Helsinki University Printing House, Helsinki. ISBN 87-983961-2-9.</ref><ref name=Strategy>[http://parazite.nn.fi/hiveboard/picproxie_docs/000535721-claviceps_evolutionary_strategy.pdf Pažoutová S., 2002. Evolutionary strategy of ''Claviceps''. ''In'' Clavicipitalean Fungi: Evolutionary Biology,Chemistry, Biocontrol and Cultural Impacts. (White, J. F., Bacon, C.W., and N. L. Hywel-Jones:Eds.) Marcel Dekker, New York. pp.329-354.]</ref>
 
 
==分類学上の位置づけ==
宿主植物([[ライムギ]])への噴霧接種による人工培養では、菌核がまれに宿主の花穂以外の部位(宿主の茎の[[形成層]]内)に発達することもある<ref>Lewis, R. R., 1956. Development of conidia and sclerotia of the ergot fungus on inoculated rye seedlings. Phytopathology 46: 295-296.</ref>。
 
 
属内では、分布域が温帯から亜寒帯にかけて広がることや、[[分生子]]に大・小の二型が区別されないことなど、典型的とはいえない性質を持っている。[[分子系統学]]的見地からは、''Claviceps''属内でも、''C. paspali'', ''C. zizaniae'' および ''C. grohii'' とともに小さなクレードを形成している<ref name=Strategy></ref>。
 
肉眼的・顕微鏡的形態や生態学的性質が多少とも類似している菌群としては''[[:en:Epichloë|Epichloë]]''属(がまの穂病菌属)や ''[[:en:Neoclaviceps|Neoclaviceps]]''属(コスタリカ産)などが挙げられるが、前者は菌核を形成せず、子実体は無柄で、宿主植物の花穂上に多数密生して形成される点で異なる。また後者は、子実体が球状の頭部と細く短い柄とで構成される点では麦角菌に似るが、やはり菌核を作らないこと・[[分生子]]の形成様式が異なることなどにおいて区別されている。これらは、[[分子系統学]]的解析によっても、麦角菌類との類縁関係が指摘されている<ref name=Strategy></ref><ref>Sullivan, R., Bergen, M. S., Patel, R., Bills, G. F., Alderman, S. C., Spatafora, J.W., and J. F. White Jr., 2001. Features and phylogenetic status of an enigmatic clavicipitalean fungus Neoclaviceps monostipa gen. et sp. nov. Mycologia 93: 90-99.</ref>
。5.8S[[リボソーム]]の[[ITS]]-1および[[ITS]]-2領域の分子系統学的解析によれば、''Claviceps''属は ''Corallocytostroma''を祖先として進化してきたものと考えられる<ref name=CONIDIAinCLAVICEPS></ref>。
 
 
 ''Claviceps''属には、現時点では45種ほどまれるが、そのほかに、アナモルフのみが知られ、テレオモルフがまだ発見されていない種がいくつか報告されている<ref name=Strategy></ref>。
 
 
==和名・学名==
和名は、ムギ類をしばしば宿主とする生態と、宿主の花序に混在する紡錘状の菌核の外形とに因む。中国語でもこの名称が用いられるが、名称が中国渡来のものであるのか否かは明らかでない。属名''Claviceps''は、ラテン語''clavis'' (こん棒)とギリシア語''ceps'' (頭)とに由来し、種形容名''purpurea'' はラテン語''purpureus''(暗紫色の)からきている<ref name=IHT></ref>。
 
 
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==分類学上の位置づけ==
宿主植物([[ライムギ]])への噴霧接種による人工培養では、菌核がまれに宿主の花穂以外の部位(宿主の茎の[[形成層]]内)に発達することもある<ref>Lewis, R. R., 1956. Development of conidia and sclerotia of the ergot fungus on inoculated rye seedlings. Phytopathology 46: 295-296.</ref>。
 
 
属内では、分布域が温帯から亜寒帯にかけて広がることや、[[分生子]]に大・小の二型が区別されないことなど、典型的とはいえない性質を持っている。[[分子系統学]]的見地からは、''Claviceps''属内でも、''C. paspali'', ''C. zizaniae'' および ''C. grohii'' とともに小さなクレードを形成している<ref name=Strategy></ref>。
 
肉眼的・顕微鏡的形態や生態学的性質が多少とも類似している菌群としては''[[:en:Epichloë|Epichloë]]''属(がまの穂病菌属)や ''[[:en:Neoclaviceps|Neoclaviceps]]''属(コスタリカ産)などが挙げられるが、前者は菌核を形成せず、子実体は無柄で、宿主植物の花穂上に多数密生して形成される点で異なる。また後者は、子実体が球状の頭部と細く短い柄とで構成される点では麦角菌に似るが、やはり菌核を作らないこと・[[分生子]]の形成様式が異なることなどにおいて区別されている。これらは、[[分子系統学]]的解析によっても、麦角菌類との類縁関係が指摘されている<ref name=Strategy></ref><ref>Sullivan, R., Bergen, M. S., Patel, R., Bills, G. F., Alderman, S. C., Spatafora, J.W., and J. F. White Jr., 2001. Features and phylogenetic status of an enigmatic clavicipitalean fungus Neoclaviceps monostipa gen. et sp. nov. Mycologia 93: 90-99.</ref>
。5.8S[[リボソーム]]の[[ITS]]-1および[[ITS]]-2領域の分子系統学的解析によれば、''Claviceps''属は ''Corallocytostroma''を祖先として進化してきたものと考えられる<ref name=CONIDIAinCLAVICEPS></ref>。
 
 
 ''Claviceps''属には、現時点では45種ほどを含むが、そのほかに、アナモルフのみが知られ、テレオモルフがまだ発見されていない種がいくつか報告されている<ref name=Strategy></ref>。
 
 
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</ref>。
 
;ヒメバッカク ''C. microcephala'' (Wallr.) Tul. var. ''microcephala''
:[[クサヨシ属]]を宿主とし、菌核は''C. purpurea''(およびその変種群)のそれと比較して小形である<ref name=IHT></ref>。子嚢の形成過程は''C. purpurea'' と同様<ref>Kulkarni, U. K., 1963. Initiation of the dikaryon in ''Claviceps microcephala'' (Wallr.) Tul. Mycopathologia et mycologia applicata 21: 19-22.</ref>で、後者の異名として扱う意見もある<ref name=Nordic></ref>。
 
;''C. microcephala'' var. ''acus'' Desm.
;''C. microspora'' Tanda var. ''microspora''
;''C. microspora'' var. ''kawatanii'' Tanda
;''C. nigricans'' Tul.
;''C. nigricans'' Tul.<ref>Tulasne, L. R., 1853. Mémoire sur l'ergot des Glumacées. Annales des Sciences Naturelles (Botanique) Sér. 3, 20: 5-56.</ref>
:ヨーロッパに広く産し、[[:en:Eleocharis|''Eleocharis'']] および[[ホタルイ属]]([[:en:Scirpus|''Scirpus'']])を宿主とする<ref name=Nordic></ref><ref>Tulasne, L. R., 1853. Mémoire sur l'ergot des Glumacées. Annales des Sciences Naturelles (Botanique) Sér. 3, 20: 5-56.</ref>
 
 
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;バッカクタケ ''Neobarya aurantiaca'' (Plowr. & A.S. Wilson) Samuels & Cand.
:''Claviceps'' 属の菌に重複寄生し<ref name=Cooke>Cooke, M. C., 1884. Notes on Hypocreaceae. Grevillea 12:77-83.</ref>、子座は、ときには宿主の''Claviceps''属の菌のそれと混じって発生する。子座は、こん棒状で淡オレンジ褐色ないし肉色の頭部と白色・円筒状の柄とからなり、高さ1-2センチ程度、頭部の組織に半ば埋没して濃いオレンジ色の子嚢殻を密生する。子嚢は薄壁であるが、先端部は顕著に肥厚し、する。子嚢胞子は細長い糸状を呈し、隔壁を欠き、子嚢から射出された後に分断されて二次胞子となことはない<ref name=Nordic></ref>。別に、楕円形で無色・平滑な分生子を形成する<ref name=CLAVICIPITALEAN></ref><ref name=NEOBARYA>Candoussau, F., Boqueras, M., Gómez-Bolea, A., Læssøe. T., Lowen, R., Rogers, J. D., Rossman, A. Y., and G. J. Samuels, 2007. Observations on ''Neobarya'', including new species and new combinations. Sydowia 59:179-215.</ref>。
 
 
:[[ドジョウツナギ]]属(''Glyceria'')の一種の花穂上で得られた標本に基づいて記載され、麦角菌の一種として''Claviceps wilsonii'' Cooke の学名<ref name=Cooke></ref>(あるいは''C. purpuracea'' の一変種として''Claviceps purpurea'' var. ''wilsonii'' (Cooke) W.G. Sm. なる学名)が与えられていた菌は、実際には''Barya aurantiaca'' Plowr. & A.S. Wilson(かつては''Baryella''属に置いたり、あるいは''Cordyceps''属、すなわち広義の[[冬虫夏草|冬虫夏草類]]に所属させる意見もあった)の異名であることが判明し、''Claviceps'' 属からは除外された。さらに、''Barya'' なる属名には、定義を異にする先行属名が存在することが判明したため、現在では表記の学名のもとに取り扱われている<ref name=CLAVICIPITALEAN></ref><ref name=NEOBARYA></ref>。
 
:''Neobarya'' 属には、現在までのところ13種が知られているが、いずれも寄生性である<ref name=Nordic></ref><ref name=NEOBARYA></ref>。[[樺太]]産の標本([[ハマニンニク]]・[[オオアブラススキ]]および[[ヨシ属]]の一種に生じた麦角上)に基づいて表記の和名が与えられたが<ref name=ACTAphytotaxaGEOBOTANICA>[http://ci.nii.ac.jp/els/110003762577.pdf?id=ART0004974267&type=pdf&lang=en&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1375889618&cp= 今井三子、1943. 日本産土団子菌と菌生冬虫夏草.植物分類地理 13:75-83.]</ref>、現在までのところ北海道以南では発見されていない。[[スウェーデン]]にも産する<ref name=Nordic></ref>
 
 
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===薬効===
[[偏頭痛]]<ref name=Pharmasia></ref>・[[陣痛]]促進<ref name=IHT></ref>・[[子宮]]の弛緩症<ref name=Pharmasia></ref>・出産時その他の止血<ref name=IHT></ref>・[[起立性循環障害]]・[[老人性痴呆症]]・[[不妊症]]・[[プロラクチン]]分泌の過多などのほか、[[パーキンソン病]]にも適用される<ref name=Pharmasia></ref>。古くは[[堕胎]]にも用いられたという記録がある<ref>****、1954. 子宮収縮剤 Ergotrate Maleate(Ergonovine Maleate) の臨床的観察.日本産科婦人科学会雑誌 6:1255-1260.</ref>が、現代では適用されていない。
 
 
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Alkaloids of ''Claviceps'' from ''Spartina''. Mycologia 69: 838-840.
<ref>Eleuterius, L. N., and S. P. Meyers, 1977. Alkaloids of ''Claviceps'' from ''Spartina''. Mycologia 69: 838-840.</ref>
 
Initiation of the dikaryon in ''Claviceps microcephala''.
→Summary
An account of the nuclear behaviour in the initiation of the dikaryon in ''Claviceps microcephala&& (Wallr.)Tul. inciting the ergot of bajri in India is given. The pattern follows closely the mode of dikaryotization reported by Killian (1919) for ''Claviceps purpurea&& (Fr.)Tul., characterised by functional antheridium, absence of trichogyne, the Claussen-type of nuclear fusion and hook-formation.
 
<ref>Kulkarni, U. K., 1963. Initiation of the dikaryon in ''Claviceps microcephala'' (Wallr.) Tul. Mycopathologia et mycologia applicata 21: 19-22.</ref>
 
Long-term preservation of a nonsporulating strain of ''Claviceps paspali''.