「ロジカルシンキング」の版間の差分

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日本でロジカルシンキングや論理思考の概念が広まった契機は、『ロジカル・シンキング』(照屋華子・岡田恵子, 東洋経済新報社, 2001年)以来、主にコンサルタント系の著者たちにより、ロジカル・シンキングのための様々なツールや手法が企業向けに提唱され、ビジネス書のブームとなったことにある。
 
以上のことから、logical thinkingが広く英語圏で広く自然に通用する一般的な語彙ではなく、特定の経営コンサルティング会社あるいは業界の用語とみなすことができる。
 
論理思考の用語から連想される論理学は、哲学、数学などの分野で古くから研究されてきた学問分野であるが、一般に膾炙した用語[[MECE]]をはじめ、上記の論理思考の解説書解説導入される概念は、こうした学問としての論理学とは関係がない。
 
野矢茂樹教授の著書『新版 論理トレーニング』中で、論理的思考という用語自体について、論理は思考力を意味しないため誤解を招く使い方であるという指摘がなされている。
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論理思考から連想される、「論理学」は哲学、数学、計算機科学等の一部となる学問分野である。
 
哲学としての論理学は、三段論法に代表されるアリストテレスが体系化した研究にまで遡ることができる。現代の論理学は演算記号を用いた数学的な体系であるが、それ以前の自然言語による研究は伝統的論理学と呼ばれる。現代の論理学は、19世紀になってフレーゲにより数学的な枠組みを与えられて以降、数理論理学として発展し、以降の数学や物理学の基礎を形作っている。
(詳細は[[論理学]]を参照)
 
これら学問的な文脈からは、「論理的」という表現や「論理的思考」が何かは規定されておらず、これらは学術用語であるとは認められない。学問的な意味での論理は、日常的に使われる論理のイメージとは異なったものであることは、広く指摘されている。このことを踏まえ、論理学の成果を日常生活に役立つように平易に解説する努力がなされてきた。本節の末尾にそのうちために執筆された書籍のいくつかを示す。
 
日常的に使われる「論理的な思考」という表現は、主張に対して妥当な根拠付けがされていることを指す。例えば、『論理的に考える方法』(小野田博一, 日本実業出版社, 1998年)では、日常生活上での「論理的な思考」はリーズニング(reasoning)を意味すると指摘し、さらにreasoningについては理由付けとか推論の構造くらいの意味であるとしている。
 
学術的に権威のある立場からロジカルシンキング、あるいは、論理思考という用語について明確な解説をしている例は少ないが、『新版 論理トレーニング(哲学教科書シリーズ)』(野矢 茂樹, 産業出版, 2006年)には次のように記述されている。
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== コンサルティング会社由来の論理思考 ==
日本では、2000年前後に米国のコンサルティング会社である、[[マッキンゼー・アンド・カンパニー]]の出身者によって、同社によって開発されてきたとされるコンサルティングノウハウが紹介された。特にベストセラーとなった書籍『ロジカルシンキング』(照屋華子・岡田恵子, 東洋経済新報社, 2001年)によってMECEなどのテクニックが広く知られるようになり、ロジカルシンキングに関するビジネス書のブームが起きた。本節の末尾に関連する書籍のいくつかを示す。
一連の書籍で共通に紹介される手法およびキーワードには次のものがある。
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日本語で書かれた文章が、曖昧であることが多いなどの理由から「日本語は論理的な言語ではない」あるいは「日本人は論理思考が苦手である」といった主張が古くからなされている。
 
こうした主張は英語やフランス語をはじめとする、主として欧米の言語に堪能な日本の知識人によって主張され、[[志賀直哉]]等の日本語不要論 に展開する議論の一部となってきた。こうした考え方について反論する論者も多い。
 
例えば、『日本語の作文技術』(本多勝一, 朝日新聞社, 1982年)には、次のような記述が見られる。