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#[[自然状態]]においては、人間の[[自然本性]]と人間が置かれた自然的条件のゆえに、万人に対する万人の戦争が起こる。
#この状態を抜け出すための必要な条件(=自然法)を[[理性]]が発見し、[[平和]]な[[社会状態]]に移行することが可能である。
#[[社会状態]]を維持するための必要十分条件は、[[主権]]の設立とそれへの服従である。
 
このような[[ホッブズ]]の論証は、[[思考実験]]的な性格を有している。つまり、仮に[[市民国家]]を持たない人々がいるならば、彼らはどのような規範を受け入れるのかということである<ref>内井惣七『自由の法則 利害の論理』ミネルヴァ書房、1988年、p.16.</ref>。実際に[[自然状態]]が存在したかどうかは重要ではない。また、[[ホッブズ]]は、事実から規範を直接的に導出するという[[自然主義的誤謬]]をも入念に回避している。[[ホッブズ]]の主張の要点は、[[自然状態]]から[[市民国家]]へ移行すべしということではなく、仮に[[自然状態]]が生じるとしても、人々はそこで[[市民国家]]へと向かう[[自然法]]を受け入れるであろうという予測である<ref>内井惣七『自由の法則 利害の論理』ミネルヴァ書房、1988年、p.14.</ref>。