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老人は魚のかかった糸を素手であやつり、獲物が弱るのを忍耐強く待ちながら、むかし船員だった若い頃にアフリカの岸辺で見たライオンの群れのこと、力自慢の黒人と演じた一晩がかりの腕相撲勝負のことなど、過ぎた昔のことをとりとめもなく思い出す。4日にわたる孤独な死闘ののち、サンチャゴはカジキを仕留めるが、獲物が大きすぎて舟に引き上げられず、横に縛りつけて港へ戻ることにした。しかし傷ついた魚から流れる血の臭いにつられ、サンチャゴの舟は[[アオザメ]]の群れに追跡される。
 
舟に結びつけたカジキを執拗に襲い、肉を食いちぎるサメの群れと、老人は必死に闘う。しかし鮫がカジキの体に食いつき、老人が鮫を突き殺すたび、新しく流れだす血がより多くの鮫を惹きつけ、カジキは次第に喰つくされていく。望みのない戦いを繰り返しながら老人は考える。人は殺されることはある、しかし、負け敗北するようにはできていないのだ。
 
ようやく港にたどりついたとき、仕留めたカジキは鮫に食い尽くされ、巨大な骸骨になっていた。港に帰ってきたサンチャゴの舟と、横のカジキの残骸を見た助手の少年が粗末なサンチャゴの小屋にやってきたとき、老人は古新聞を敷いたベッドで眠っていた。老人はライオンの夢を見ていた。
 
== 日本語訳 ==