「モラルハラスメント」の版間の差分

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加害者にとり、被害者は人間ではなく「モノ」<ref>イルゴイエンヌ「モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする」p163,p230</ref>である。とはいっても、モラル・ハラスメントの被害者に選ばれる人物にも傾向が存在する。被害者は、起こった出来事に対して「自分が悪いのでは」と罪悪感を持ちやすい<ref name="pp.9 - 10."/>、誰かに与えることを欲している<ref name="p.241."/>という[[性格]]が利用される。自己愛的な変質者が欲しているが持っていないものを持っているか、自身の生活のなかから喜びを引き出しているという性格の場合も被害者に選ばれやすい<ref>イルゴイエンヌ(2006) pp.218 - 220. </ref>。
 
加害者は道徳家のように振舞うことが多い。[[妄想症]]の人格に近いところがある<ref>イルゴイエンヌ「モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする」p226</ref>。しかしながら、加害者が人を支配しようとするのに、妄想症の人間が自身の「力」を用いるのとは対照的に、モラルハラスメントの加害者は自身の「魅力」を用いる<ref>イルゴイエンヌ(2006) p.226.</ref>(婉曲的な表現や倒置法を好んで使うなど)。次に、ひとつひとつを取ってみればとりたてて問題にするほどのことではないと思えるようなささいな事柄・やり方により、被害者の考えや[[行動]]を支配・制御しようとする。この段階では、加害者は被害者に罪悪感を与え、周囲には被害者が悪いと思わせようとする<ref>イルゴイエンヌ(2006) pp.250 - 255.</ref><ref name="pp.10 - 11.">イルゴイエンヌ(2006) pp.10 - 11.</ref>。
 
被害者が自立しようとすると、[[誹謗中傷|中傷]]や罵倒などの精神的な暴力を振るい始める<ref name="pp.10 - 11."/>。だが、モラル・ハラスメントのメカニズムが機能しているかぎり、加害者の心には安寧がもたらされるので、被害者以外の人には「感じのいい人」として振る舞うことが出来る。そのため、その人が突然モラル・ハラスメントの加害者として振る舞ったとき、周囲には驚きがもたらされ、時にはハラスメントの否定さえなされる<ref>イルゴイエンヌ(2006) p.228.</ref>。故に、被害者は自分のほうが悪いのではないかと逡巡し、暴力行為自体は相手が悪いが、原因は自分にあると思考してしまう<ref name="pp.10 - 11."/><ref>イルゴイエンヌ(2006) pp.250 - 259.</ref>。