「ダラーラ・BMS189」の版間の差分

ダラーラ・BMS189は前作[[ダラーラ・BMS188|BMS188]]の後継車として設計された。BMS188を全面的に手掛けた[[セルジオ・リンランド]]が[[ブラバム]]へと移籍したため<ref name=89gpx>リンランドはブラバム移籍後の'89年開幕後にBMS189を見て、「私のBMS188の基本骨格をベースに良く改良されているようだね。」と評した。　セルジオ・リンランド 快進撃ブラバムを支えるデザイナーの自信 [[GPX (雑誌)|グランプリ・エクスプレス]] '89カナダGP号 14-15頁 [[山海堂 (出版社)|山海堂]] 1989年7月8日発行</ref>、ジャンパオロ・ダラーラとマリオ・トレンティーノが設計し、[[ダラーラ・BMS188|BMS188]]の後継車として[[ダラーラ]]が製作した。エンジンは[[ハイニ・マーダー]]がチューンした[[フォード・コスワース・DFVエンジン#DFR|コスワース DFR]] [[V型8気筒|V8]]エンジンを搭載し<ref name=Nye>Nye, 1992, p. 256</ref>、タイヤは3年ぶりに復帰した[[ピレリ]]を装着した。

{{f1|1989}}シーズン、BMSスクーデリア・イタリアは2台体制に拡大した。[[アレックス・カフィ]]が残留し、経験豊富な[[アンドレア・デ・チェザリス]]が加わった。カフィは昨シーズンポイントを獲得することはできなかったが、デ・チェザリスは[[リアル・ARC1|リアル]]で3ポイントを獲得していた。そのためカフィはシーズン前半[[予備予選 (F1)|予備予選]]に回らなければならなかったが、良い車とピレリの強力な予選用タイヤもあって、若いイタリア人ドライバーにとって問題にはならなかった<ref name=StatsF1/> 。開幕戦でデ・チェザリスは予選15位、決勝はエンジントラブルでフィニッシュできなかったものの完走扱いで13位となった。デ・チェザリスのベストレースは[[1989年カナダグランプリ|カナダグランプリ]]で、雨天のレースであった。予選は9位（シーズン最高予選順位）で、決勝は3位となった<ref name=StatsF1/>。これは彼にとってシーズン唯一のポイント獲得となり、スクーデリア・イタリアにとってはF1参戦二年目にして初の表彰台獲得となった。次戦のフランスGPでは予選落ちを喫したが、その他のレースは大半が予選を中位で通過している<ref name=StatsF1/>。

一方のカフィは開幕戦ブラジルGPで予備予選落ちし、この他にも第8戦イギリスGPでも予備予選落ちを喫した。しかしこの他のレースでは通常デ・チェザリスよりも上位で予選を通過し、いくつかのケースではグリッド上位を記録しているた<ref name=StatsF1/><ref>{{cite web|title=USA 1989 - Lap by lap|url=http://www.statsf1.com/en/1989/etats-unis/meilleur-tour.aspx|publisher=Statsf1|accessdate=12 June 2016}}</ref>。第10戦[[1989年ハンガリーグランプリ|ハンガリーGP]]では[[ウィリアムズ]]の[[リカルド・パトレーゼ]]、[[マクラーレン]]の[[アイルトン・セナ]]に次く予選3番手をマークするなど速さを見せたが、決勝ではピレリタイヤの弱点であった決勝用タイヤのライフ問題もありポイント外の7位に終わった<ref>{{cite web|title=Hungary 1989 - Qualifications|url=http://www.statsf1.com/en/1989/hongrie/qualification.aspx|publisher=Statsf1|accessdate=12 June 2016}}</ref>。カフィは結局シーズンにおいてポイントを獲得したのは2回で、[[1989年モナコグランプリ|モナコGP]]での4位とカナダGPでの6位であった。カナダではスクーデリア・イタリアの2人のドライバーが2名共にポイントを獲得した唯一のレースとなった。カフィとデ・チェザリスは共に4ポイントを記録し、ランキング16位となった<ref name=StatsF1/>。カフィはこれらのポイントを得たことで予備予選を「卒業」し、シーズン後半戦からは予備予選を免除され予選からの出場となった。スクーデリア・イタリアは参戦2年目でコンストラクターズ8位を記録した<ref name=Nye>Nye, 1992, p. 256</ref>。