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'''イチジク'''(無花果{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=186}}、映日果、一熟<ref>{{Cite web|url=https://hatena.michikusa.jp/zatsugaku/kanji/z_kanji_3rika1.html|title=植物 難読漢字学園 きらめく雑学|accessdate=2020-03-29}}</ref>、[[学名]]: ''Ficus carica'')は、[[クワ科]][[イチジク属]]の[[落葉高木]]、またはその[[果実]]のことである。西アジア原産。果樹として世界中で広く栽培されている。小さな花が多数入った花嚢をつけ、雌雄異株で、雌株の花嚢が果嚢になる。これがいわゆるイチジクの果実とよばれており、古くから食用にされている。「'''南蛮柿'''」などの別名もある<ref name="asahi">{{Cite web|url=https://www.asahi.com/articles/ASL874GN8L87TLVB009.html|title=熊本)イチジク料理など27品 天草や苓北でフェア|website=朝日新聞デジタル|publisher=[[朝日新聞]]|accessdate=2023-02-07|date=2018-08-12}}</ref>。
 
[[カール・フォン・リンネ|リンネ]]の『[[植物の種]]』([[1753年]]) で[[記載]]された植物の一つである<ref>{{Cite book|last=Linnaeus|first=Carolus|year=1753|title=Species Plantarum|location=Holmia[Stockholm]|publisher=Laurentius Salvius|page=1059|url=https://www.biodiversitylibrary.org/page/359080|ref=harv|language=la}}</ref>。
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== 形態・生態 ==
[[落葉広葉樹]]の[[小高木]]{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=62}}。日本では成長してもせいぜい樹高3 - 5[[メートル]]ほどの樹であるが、条件が良ければ高さ20メートル、幹径1メートル以上にもなる[[落葉高木]]{{sfn|辻井達一|1995|p=142}}である。[[樹皮]]は灰色で皮目があり、ほぼ滑らかで、年を経てもあまり変わらない{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=186}}。枝は横に広がり、一年枝は太く、紫褐色や緑褐色で短い毛がある{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=186}}。小枝には横長で筋状の[[托葉]]痕があり、しばしば枝を一周する{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=186}}
 
[[]]は大型の3裂または5裂する掌状で[[互生]]する{{sfn|馬場篤|1996|p=21}}。日本では、浅く3裂するものは[[江戸時代]]に日本に移入された品種で、深く5裂して裂片の先端が丸みを帯びるものは明治以降に渡来したものである。葉の裏には荒い毛が密生する。葉や茎を切ると白乳汁が出る{{sfn|馬場篤|1996|p=21}}。
 
花期は6 - 9月{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=62}}。新枝が伸びだすと葉腋に花を入れた袋である[[花嚢]]がつく{{sfn|馬場篤|1996|p=21}}。下のものから順に育ち、花嚢は[[果嚢]]となって肥大化する{{sfn|馬場篤|1996|p=21}}。花嚢は倒卵状球形で、厚い肉質の壁に囲まれ、初夏に、花嚢の内面に無数の花(小果)をつける{{sfn|馬場篤|1996|p=21}}。このような花のつき方を隠頭花序(いんとうかじょ)という。雌雄異花であるが、イチジク属には[[雌雄同株]]で同一の花嚢に両方花をつける種と[[雌雄異株]]で雄株には同一の花嚢に雌雄両方の花、雌株には雌花のみを形成する種がある<ref group="注">栽培種のイチジクや日本に自生する[[イヌビワ]]、[[オオイタビ]]などは後者、やはり日本に自生する[[アコウ (植物)|アコウ]]、[[ガジュマル]]や[[観葉植物]]として普及している[[インドゴムノキ]]、[[ベンジャミンゴムノキ]]などは前者に属する。</ref>。
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栽培イチジクの栽培品種は、結実に雌雄両株が必要な品種群が原産地近辺の[[地中海沿岸]]や[[西アジア]]では古くから栽培されてきたが、受粉して雌花に稔性のある種子が形成されていなくても花嚢が[[肥大成長]]して熟果となる品種もあり{{sfn|馬場篤|1996|p=21}}、原産地から離れた日本などではこうした品種が普及している。イチジク属の植物は自然では花嚢内部には{{仮リンク|イチジクコバチ|en|Blastophaga psenes}}などのイチジクコバチ属''Blastophaga'' spp.の蜂が[[共生]]しており、雌雄異株の種では雄株の花嚢に形成される雌花の受精後の種子全てを、雌雄同株の種では花嚢内の雌花の柱頭の長短で2群に分かれるもののうち、柱頭の短い型のものに形成される種子を幼虫時代の食物として繁殖し、雄花の花粉を体の花粉収納器官に収めた[[交尾]]後の雌が、若い花嚢に潜り込んで花粉を散布することで[[受粉]]を媒介する。日本で栽培されているイチジクのほとんどが、果実肥大に日本に分布しないイチジクコバチによる受粉を必要としない[[単為結果性]]品種である。
 
果期は8 - 10月{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=186}}。ほとんどの種類の果嚢(いわゆる果実と呼んでいるもの)は秋に熟すと濃い紫色になり、下位の部分から収穫することができる{{sfn|馬場篤|1996|p=21}}。甘みのある食用とする部分は果肉ではなく[[小果]]と[[花托]]である。
 
[[冬芽]]は小枝に互生する{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=186}}。[[頂芽]]は尖った円錐形で、2枚の芽鱗に包まれた鱗芽で無毛{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=186}}。[[側芽]]は丸く、横に副芽が並ぶ{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=186}}。葉痕は円形で大きく、[[維管束]]痕が多数あり輪状に並ぶ{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=186}}。
 
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== 利用 ==
庭木や果樹として栽培される{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=186}}。
 
=== 食用 ===
[[File:Figue sec.JPG|thumb|乾燥イチジク]]
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* {{Cite book|和書|author =猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|title = かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典|date=2012-07-10|publisher = [[成美堂出版]]|isbn=978-4-415-30997-2|page =186|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =貝津好孝|title = 日本の薬草|date=1995-07-20|publisher = [[小学館]]|series = 小学館のフィールド・ガイドシリーズ|isbn=4-09-208016-6|page =177|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|title =樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種|date=2014-10-10|publisher =[[誠文堂新光社]]|series=ネイチャーウォチングガイドブック|isbn=978-4-416-61438-9|page =186|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =田中孝治|title =効きめと使い方がひと目でわかる 薬草健康法|date=1995-02-15|publisher =[[講談社]]|series=ベストライフ|isbn=4-06-195372-9|page =124|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author=辻井達一|title=日本の樹木|date=1995-04-25|publisher=[[中央公論社]]|series=[[中公新書]]|isbn=4-12-101238-0|ref=harv}}