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Caesar1960 (会話 | 投稿記録)
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選考対象の「大衆小説」にまつわる問題としては、[[推理小説]]を主たる活動分野とする作家が受賞しにくい傾向が長く続いた点がある。受賞したのは[[多岐川恭]]の『落ちる』(第40回)、[[生島治郎]]『追いつめる』(第57回)、[[中村正䡄]]『元首の謀叛』(第84回)くらいで、[[笹沢左保]]、[[真保裕一]]、[[貫井徳郎]]、[[湊かなえ]]は4度、[[北方謙三]]、[[志水辰夫]]、[[西村寿行]]は3度候補となりながら受賞に至らず、[[赤川次郎]]、[[小杉健治]]、[[折原一]]、[[島田荘司]]、[[福井晴敏]]ら推理作家として大成した作家も届かず、[[三好徹]]、[[陳舜臣]]、[[結城昌治]]、[[連城三紀彦]]、[[皆川博子]]らも非ミステリー分野の作品で受賞していた<ref>外部リンク『直木賞のすべて』の「候補作家たち」</ref>。しかし[[逢坂剛]]が『[[カディスの赤い星]]』で受賞(第96回)して以後は認められるようになり、[[笹倉明]](第101回)、[[原尞]](第102回)、[[髙村薫]](第109回)、[[大沢在昌]](第110回)、[[小池真理子]]、[[藤原伊織]](第114回)、[[乃南アサ]](第115回)、[[宮部みゆき]](第120回)とコンスタントに受賞者が出た[[1989年]]から[[1999年]]は「ミステリーの隆盛」とも呼ばれる<ref>川口則弘『直木賞物語』339-401頁</ref>。北方、髙村、宮部は[[桐野夏生]](第121回)、[[東野圭吾]](第134回)と共に選考委員を務めることになり、第150回現在で選考委員9人のうち5人がミステリー畑出身者で占められた<ref>文藝春秋特別編集『芥川賞・直木賞150回全記録』331頁</ref>(東野圭吾は161回を最後に選考委員を退任し<ref>[[オール讀物]]2019年9月号34頁</ref>、後任には[[角田光代]]が就任した<ref>日本文学振興会2019年9月18日付ツイッター</ref>。また第169回から北方謙三に代わって京極夏彦が委員になっている)。
 
同様に大衆小説内でも発展期以降の歴史が比較的浅い[[サイエンス・フィクション|SF]]や[[ファンタジー]]なども選考段階では幾度か俎上候補に上げられてはいるが、実際受賞事例したのは[[景山民夫]]『[[遠い海から来たCOO]]』(第99回)が唯一と小川哲『地図と拳』(第168回)の2例のみである([[半村良]]はSF小説で2回候補になった後、人情小説で受賞している)。昭和末期に勃興した[[ライトノベル]]のレーベルから刊行された作品の中にも広義にいえば若年層向けの大衆文学ともいえる要素を内含している作品が一部見られるが、日本文学振興会と密接な関係にある文藝春秋がこのジャンルに対するノウハウを持ち合わせていないためか、ほぼ目が向けられていないに等しい(ライトノベル出身の受賞作家としては[[桜庭一樹]]がいるが、受賞作は一般文芸誌に掲載された作品であった)。この様に現在でも空想性が極端に高いSF・ファンタジー等のジャンルに対する評価が総じて低いのも直木賞選考の特徴である。古くより選考委員の席の大半を過去の本賞受賞者が占めていることもあってか、毎回行われる選評での高評価も[[伝奇小説]]・[[時代小説]]・[[歴史小説]]・人情小説などといった多くの受賞者が属する従来型の大衆文学に属する作品に偏りがちで、新規に開拓された後発ジャンルや選考委員たちが専門知識を持たないか興味の薄いジャンルに対してはジャンルそのものへの理解が乏しい、言い換えれば守旧的な選考を行う傾向が根強い一面がある。この様な風潮によって受賞を逃した作家には[[小松左京]]・[[星新一]]・[[筒井康隆]]・[[広瀬正]]・[[万城目学]]などがおり、中でも不利とされるSFを専門範囲とし三度にわたり落選の憂き目を見た筒井は、後に[[別冊文藝春秋]]において、直木賞をもじった「直廾賞」の選考委員たちが皆殺しにされるという、直木賞選考を批判的に風刺した小説『[[大いなる助走]]』を発表している。
 
近年では、大衆文学の延長線上で生み出された[[音楽小説]]<ref>{{Cite web |url = https://movies.yahoo.co.jp/movie/367201/|title = 蜜蜂と遠雷|website = movies.yahoo.co.jp|publisher = movies.yahoo.co.jp|date = |accessdate = 2021-07-13}}</ref>なるものにも受賞されることがある。