「営団日比谷線中目黒駅構内列車脱線衝突事故」の版間の差分

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原因として、ボルスタレス台車において1車両の内の8輪にかかる重量の不均衡(輪重比)が30%に及んでいても放置されていたことや、事故が起こった箇所は半径160mの急カーブであるにもかかわらず[[脱線防止ガード|護輪軌条]](ガードレール)が無かったこと、多数の列車が集中し、レール塗油の効果が減少する朝[[ラッシュ時]]であったことなどが挙げられており、複合的要因により発生した事故だとされている。そのため、いずれか1人に刑事責任を負わせる事はできないとされた。また、レールの保守・管理を担当していた営団工務部の職員5名が管理限界を超える線路の狂いを放置したとして、[[警視庁]]から[[東京地方検察庁]]に[[業務上過失致死傷罪]]で[[書類送検]]されていたが「事故の予見は困難だった」として[[不起訴]]処分となった。
 
事故調査検討会は緩和曲線部、低速走行、摩擦係数の増加など複数の要因が複合した乗り上がり脱線であるとしているが、安全確保という観点から次のような見解を示している。すなわち、事故発生の主原因は[[鉄道車両の台車史#ボルスタレス台車|ボルスタレス台車]]においては曲線区間を走行中に変形した空気バネによってボギーを戻す力が発生するために車輪に圧が加わるため、輪重比の大きな狂いがあると脱線しやすく、また副原因は営団の護輪軌条の設置基準が極端に緩かった、という点が事故調査報告書の結論の主旨である。この見解を基にして、全国の鉄道事業者に以下のような2種3項の指示を順次出した。
;* 半径200m以下のカーブ出口のカント逓減部([[線形 (路線)#緩和曲線|緩和曲線]]部)への護輪軌条の設置
:2000年3月16日に通達され、即実施。
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[[2004年]]度製造の[[東京メトロ東西線|東西線]]用[[営団05系電車#第40 - 43編成(13次車)|05系13次車]]からは車体全体をダブルスキン構造で構成する「オールダブルスキン構造」を採用したほか、車体隅柱に強化したダブルスキン構造の衝突柱を設置し、より安全性を向上させた。
 
[[2006年]]度製造の[[東京メトロ有楽町線|有楽町線]]・[[東京メトロ副都心線|副都心線]]用の[[東京メトロ10000系電車|10000系]]からは、輪重変動割合の大きいボルスタレス台車から、ボルスタアンカー付き構造台車への採用に戻った<ref>新車ガイド「東京地下鉄10000系」『[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]』2006年9月号([[交友社]])</ref>。以降の新造車両ではボルスタ構造の台車を採用している。また車軸支持についても操向剛性が高いSUミンデン式台車では輪重のばらつきに対する許容度が低くなるため採用を止めている。

なお、メトロ線を走行する[[直通運転]]先事業者(東急([[横浜高速鉄道|横浜高速]]含む)・東武・[[西武鉄道|西武]]・[[東日本旅客鉄道|JR東日本]]・[[小田急電鉄|小田急]]・[[埼玉高速鉄道|埼玉高速]]・[[東葉高速鉄道|東葉高速]])および線路共用区間を走行する[[東京都交通局]]([[都営地下鉄三田線|都営三田線]])の[[鉄道車両]]にボルスタレス台車を装備する車両があるが、それらに関しては入線制限の規定を設けていない。
 
[[2020年]]3月28日からは、乗り入れ車両を含み日比谷線を走行するすべての車両がボルスタ構造の台車を採用している<ref>{{Cite web|和書|url=https://dot.asahi.com/dot/2020041700021.html|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200421085427/https://dot.asahi.com/dot/2020041700021.html?page=1|title=来年で”還暦”の日比谷線 車両更新は完了し、ただいま激変中|archivedate=2020-04-21|date=2020-04-21|accessdate=2021-12-19|publisher=[[朝日新聞出版]]|work=[[AERA dot.]]}}</ref>。
 
なお、事故調査報告会の発した前出輪重比管理指示は、台車の狂いは同じでも車体重量が40%も軽くなると相対的に脱線係数が大きくなっていたのを改める指示であり、その最終報告書でも当該03系台車では輪重の不均一が起こりやすく、また操向剛性が比較対象車より若干大きかったことはデータとして指摘したが脱線の直接の原因がボルスタレス台車であるとは断定していない。
 
このほか事故の再発防止策として、当時計画中だった13号線([[東京メトロ副都心線|副都心線]])[[雑司が谷駅|雑司が谷]] - [[西早稲田駅|西早稲田]]間の曲線線形を変更する[[都市計画]]決定が[[2004年]]に行われた<ref>{{Cite book|和書|year=2009|title=東京地下鉄道副都心線建設史|publisher=東京地下鉄|pages=172,179-180|id={{全国書誌番号|21588011}}}}</ref>。