XP-55 (航空機)
XP-55 アセンダー
XP-55 アセンダー(Curtiss-Wright XP-55 Ascender)は、アメリカ合衆国のカーチス・ライト社がアメリカ陸軍航空軍向けに開発した試作戦闘機。
単発の推進式レシプロエンジンを胴体後部に配置してプロペラを駆動し、機首付近に前翼を配した先尾翼機という特異な形状であった。失速しやすいという問題点が改善しきれなかったこともあって、3機の試作のみに終わった。愛称の「アセンダー (Ascender)」は、上昇の意であり、製造チームの期待による冗談から発展した呼称[1]である。カーチス・ライト社(略称はCWC)内での開発名称はCW-24。
概要
1939年にアメリカ陸軍航空隊はレシプロ機の限界を打ち破るべく周回計画(Circular Proposal)R40Cという単発の迎撃機の仕様を航空メーカー8社に提示したが、この中においてヴァルティー社製三胴機・XP-54と、ノースロップ社製無尾翼機・XP-56と共に試作契約を勝ち取ったのがカーチス社製の本機である。先尾翼機で、主翼が後退翼、降着装置はカーチス社製軍用機としては初の前輪式という設計だった。エンジンは開発中だったP&W X-1800(2,200 hp)を搭載することになっていた。しかし、陸軍は余程カーチス社に信頼がおけなかったのか、地上試験用モデルと風洞テスト用モデルの製作発注のみを行い、試作機の発注はその結果次第で行うという対応をとった。その結果、カーチス社はまず実物大の飛行テスト機(社内名称 CW-24B)を自費製作し1941年12月からテストを行った。そして、その年の7月にようやくXP-55として試作機3機の発注を陸軍から受けることができた。
試作1号機の初飛行は1943年7月19日に行われたが、その時点から安定性不良が指摘された。また、搭載予定していたX-1800エンジンが開発中止となってしまったため、約1,000 hpも出力が落ちるアリソン社のV-1710エンジンを搭載したが、このエンジンでは明らかにパワー不足であった。試作1号機は1943年11月に失速試験を行っている際に墜落して失われた。翌年に、全幅や小翼の形状を変更し操縦性の改善を図った2号機、3号機が完成した。しかし、劣悪な操縦性や低速時の安定性不良は改善されず、最高速度も当時の制式戦闘機を下回る628 km/hしか出なかった。結局、性能不良ということで、本機の開発計画は中止になってしまった。
スペック
- 全長:9.01 m
- 全高:3.53 m
- 全幅:12.36 m
- 翼面積:21.83 m2
- 自重:2,882 kg
- 全備重量:3,597 kg
- エンジン:アリソンV-1710-95 液冷V型12気筒 1,275 hp
- 最大速度:628 km/h
- 航続距離:1,022 km
- 実用上昇限度:10,912 m
- 乗員:1名
- 武装:
- 12.7mm機関銃 × 4
登場作品
ゲーム
- 『War Thunder』
- プレイヤーが操縦できるアメリカの課金機体として登場。ゲーム内では数少ないエンテ翼機である。
- 『ストライカーズ1945シリーズ(彩京)』
- 敵機として多数登場。『1945Plus』では自機のひとつ(隠し機体)として「P55アセンダー」の名で登場。移動速度や火力に優れ、使い勝手の良い隠し機体ならではの性能となっている。
脚注
- ^ Joebaugher 's Report