猪八戒
猪 八戒(ちょ はっかい、繁体字: 豬八戒、簡体字: 猪八戒、拼音: )は、中国の四大奇書小説『西遊記』に登場する主要登場キャラクターの一人である妖仙。台湾などでは
概要
中国語では家猪はブタ、野猪がイノシシを意味し、単に「猪」といえば通常はブタのことをさす。元代の西遊記とみられる逸話をもつ朝鮮の『朴通事諺解』(1677年)では、「猪」と近似した発音の「朱」を名字としていたが、明代に皇帝の姓が「朱」であったため、はばかってもとの意の通り「猪」を用い、猪八戒となった。
元々は、天界で天の川を管理し水軍を指揮する天蓬元帥だった。西遊記よりも古い西遊雑劇などの設定では摩利支天の配下・御車将軍であったともされる。女癖の悪さで知られ、酔った勢いで月にある広寒宮の
地上ではまっとうに生きようと人間に生まれ変わるはずが、誤って雌豚の胎内に入り、黒豚の妖怪となってしまった。雌豚の腹を噛み破って生まれ、群れの他の豚も打ち殺して、福陵山で人食い妖怪となる。その後、武芸をたしなむことを見初められ、福陵山雲桟洞の女妖怪であった
ある日、天竺に経典を取りに行く人物を探していた観音菩薩と恵岸に出会い、菩薩と知らずに最初は襲撃するが、知って慈悲を乞う。菩薩は
しかし待ちくたびれて人里におりていき、
三蔵は、五葷三厭を食べないでいたことに感心し、念願が叶ったので物忌をもう止め普通に食べたいという猪悟能をおしとどめて、猪八戒という別名を与え、以後も戒めは守り続けるように諭した。彼はこれを嬉々として受け入れる。以後、孫悟空、沙悟浄らと共に天竺まで経典を求めて旅をする。
原作においては、敬虔な仏教徒ないし僧として描かれ、煩悩と戦いながらも飲酒(ただし般若湯と憚って飲むシーンはある)・生臭食・女犯(ただし婿に入ろうとすることはある)を犯すことは無く、僧としての義務である八斎戒も守っていた。三蔵一行のなかでコミカルな役回りが多く、明るく単純な性格に描写され、悟空によくからかわれる。豚そのものの醜い姿で、頭髪はない。
一般的なイメージ
- 太鼓腹に長い鼻のある豚の顔
- 怪力
- 好色
- 食欲旺盛
- 楽天的
- 嘘つき
- 欲が深い
- 怠け者
- 愚か
- 武器は釘鈀(ていは)。九本の歯を持つ熊手を思わせる馬鍬(まぐわ)風の農具で、太上老君の作。
- 孫悟空同様に雲に乗って空を飛べるが、あまり知られていない。
その自由奔放で人間くさい性格から、中国では孫悟空以上の人気を誇る[2]。また、中国では「猪八戒吃人参果(猪八戒が人参果(架空の不老長寿の果実)を食べる)」(猪八戒は人参果の味が分からないので、物の価値や有難みを理解しないこと、日本の「猫に小判」「豚に真珠」と同義)など、猪八戒を題材とする諺も生まれた。
イスラム諸国で西遊記があまり読まれない理由は諸説あるが、猪八戒(イスラム教では豚が忌み嫌われている)の存在があるためであるとの説が有力視されている。
名前の遍歴
- 天蓬元帥(天帝の任命職名)
- 猪悟能(観音菩薩が名づけた法名)
- 猪剛鬣(婿養子の際の自称)
- 猪八戒(玄奘三蔵による通称)
- 浄壇使者(釈迦如来の任命 仏に捧げられたお供え物の始末を一手に引き受ける、即ち自分で食べてしまってもよい)