暗号
第三者に通信内容を知られては困るような場合に、何か独特の表記法を使って通信することによって、第三者が通信を盗み見ても意味が分からないようにすることがある。このような通信の仕方、あるいは表記法のことを指して暗号(あんごう)と呼ぶ。
企業秘密を守るため、軍事・国防上の秘密を守るためなどの目的で様々な暗号が考案されてきた。 野球で用いられるサインも、ある種の暗号であると言える。
用語
現代暗号
コンピュータの登場によって暗号は様変わりした。人間の手作業によって暗号化・復号化が行われていた時代には、あまりにも複雑な暗号法は現実的な時間では適用することができなかった。しかし、コンピュータを用いればかなり複雑な暗号法でも実用することができる。
しかし、一方ではコンピュータは暗号を不正に解読しようとする者をも利することとなった。従来は複雑すぎて解析しきれなかった暗号法であっても、コンピュータを用いれば可能となる場合が多くあった。殊に、出現頻度解析のみで解読可能な単純な暗号法は、事実上役に立たなくなったと言える。
コンピュータをもってしても解析が難しい暗号法を考えるには、様々な数学的構造を応用したり、計算量理論の議論が必要となる。
シーザー暗号等の前近代的な暗号方式では、復号化の方法が秘密でなければ安全性が 保てなかった。 しかし近代的な暗号理論では鍵(秘密鍵)のみを秘密にしていれば暗号化および複合化の 方式を皆に公開した場合の安全を議論する。
暗号は大きく分けて秘密鍵暗号方式と公開鍵暗号方式との二つに分かれる。 公開鍵暗号方式は1976年にDiffieとHellmanとが提唱した暗号方式である。 その後MerkleとHellmanの二人が世界初の公開鍵暗号方式であるナップザック暗号(Merkle-Hellmanナップザック暗号)を提案した。(しかしこの暗号方式は後に 解読されてしまった)。 代表的な公開鍵暗号方式にはRSA暗号、ElGamal暗号などがある。
現代における"暗号技術"あるいは"暗号学"と呼ばれるものは数論や情報理論の一環としての暗号理論から秘匿、認証、一貫性、秘密分散、暗号プロトコル、電子投票、量子暗号、etc. それらの安全性証明や実装方法までを含めた幅広いクロスオーバー的な分野となっている。
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