BTEX
BTEX はベンゼン (benzene)・トルエン (toluene)・エチルベンゼン (ethylbenzene)・キシレン (xylene) の頭文字を表し、主に石油業界や土壌汚染関連で使用される略語である。
これら化合物は、揮発性有機化合物の一種であり、ガソリンに含まれている。一般に、ガソリン中ではトルエンの濃度が最も高く、次いで、キシレン、エチルベンゼン、ベンゼンの順である。
トルエン、エチルベンゼン、キシレンの各化合物は中枢神経系への影響が指摘されている。
また、BTEXは不溶性の流体であるため、NAPLに分類されている。
ガソリンスタンド跡地などにおける土壌や地下水の油汚染でもBTEXは専ら分析対象とされている。
しかし、土壌汚染対策法に基づく分析項目に含まれるのはベンゼンのみであり、トルエン、エチルベンゼン、キシレンは含まれていない。ただし、石油業界では各社独自の基準を設けている。
調査・対策
- 調査対策については、研究開発も行われているが、知見の蓄積が十分でなく、化学薬品を扱う工場跡地周辺住民から苦情が寄せられていることが、報告されている。
- 廃油処理工場跡地の住民から、シックハウスに似た症状が表れたとして、救済を求めていることが報告されている。
基準値等
2006年化学物質ファクトリーシート等に値が示されている。
ベンゼン
- 水質
- 水道法:水道水質基準値0.01 mg/L以下
- 水質環境基準(健康項目):0.01 mg/L以下
- 地下水環境基準:0.01 mg/L以下
- 地下水質測定:環境基準超過数;概況調査2/3389本,汚染井戸周辺地区調査1/122本,定期モニタリング調査3/517本;[2005年度,環境省]
- 大気
- 大気環境基準:0.003 mg/m3以下(1年平均値)
- 土壌
- 土壌環境基準(健康項目):0.01 mg/L以下
- 土壌汚染調査:環境基準超過数(1975~2004年度累積)158事例/3677調査事例;[2004年度,環境省]
- 底質
トルエン
- 水質
- 大気
- 化学物質環境実態調査:検出数42/42検体,最大濃度0.085 mg/m3;[1998年度,環境省]
- 室内空気汚染に係るガイドライン:室内空気濃度指針値0.26 mg/m3(0.07 ppm)
キシレン
- 水質
- 水道法:要検討項目(目標値0.4 mg/L)
- 水質要監視項目:指針値0.4 mg/L以下
- 公共用水域水質測定(要監視項目):指針値超過数0/708地点(報告下限値0.04 mg/L);[2005年度,環境省]
- o-キシレン;検出数12/137検体,最大濃度0.0012 mg/L;[1986年度,環境省]
- m-キシレン;検出数15/126検体,最大濃度0.0012 mg/L;[1986年度,環境省]
- p-キシレン;検出数4/122検体,最大濃度0.00048 mg/L;[1986年度,環境省]
- 地下水質測定(要監視項目):指針値超過数0/422地点(報告下限値0.04 mg/L);[2005年度,環境省]
- 大気
- 室内空気汚染に係るガイドライン:室内空気濃度指針値0.87 mg/m3(0.2 ppm)
- o-キシレン;検出数42/42検体,最大濃度0.0095 mg/m3;[1998年度,環境省]
- m-キシレン/ p-キシレン;検出数42/42検体,最大濃度0.035 mg/m3;[1998年度,環境省]
- 底質
- o-キシレン;検出数24/111検体,最大濃度0.007 mg/kg;[1986年度,環境省]
- m-キシレン;検出数33/118検体,最大濃度0.0150 mg/kg;[1986年度,環境省]
- p-キシレン;検出数12/105検体,最大濃度0.0038 mg/kg;[1986年度,環境省]
エチルベンゼン
- 水質
- 公共用水域 要調査項目存在状況調査:検出数13/147地点,最大濃度0.00047 mg/L;[1999年度,環境省]
- 地下水 要調査項目存在状況調査:検出数2/23地点,最大濃度0.00015 mg/L;[1999年度,環境省]
- 大気
- 室内空気汚染に係るガイドライン:室内空気濃度指針値3.8 mg/m3(0.88 ppm)
- 底質
- 要調査項目存在状況調査:検出数3/24地点,最大濃度0.002 mg/kg;[2002年度,環境省]