油汚染
油汚染 (あぶらおせん)は土壌汚染(一部では地下水汚染)の一例であり、その原因が、鉱油類を含む土壌により、その土地や周辺を利用したり今後利用しようとする者に対して、油臭や油膜による生活環境保全上の支障を生じさせていることをいう。 つまり、油を含む土壌が存在するだけでは、生活環境上の支障が無い限り、油汚染にはあたらない。
油汚染は他の土壌汚染と異なり、特定の物質を対象とせず、鉱油類全体を人の感覚を基に総体的に捉え、油臭・油膜の有無を判断する。これは、鉱油類には様々な種類が存在し、成分も多様で、かつ環境中で性状も変化するため、油臭・油膜の程度を一律に捉えることが困難なためである。
油汚染対策ガイドライン
環境省は油汚染対策ガイドライン(外部リンク)を発表し、油汚染に対する考え方、対応を示している。油汚染対策ガイドラインによると、油臭・油膜により、臭いや見た目での支障をきたすことを概念的に生活環境保全上の支障と定義付けている。 そのため、油臭の判定方法などは公園や砂場など、利用者が土壌に触れる場所では地表で、その他の土地利用に関しては地上1.5mで油臭の確認を行うなど、生活スタイルに則した形で判定が行われている。 また。油はその生成由来より、鉱油と動植物油に分類されるが、ガイドライン内では鉱油類を対象としており、動植物油に関しては対象外としている。
汚染の事例
代表的な油汚染に給油所等におけるタンク、配管からのガソリンの漏洩による油汚染がある。 また、油汚染はベンゼン等の特定有害物質や、トルエン・キシレンなどのシックハウス原因物質が検出されることがある。
調査
調査の方法について油汚染対策ガイドラインに示されている。しかし、油分の分析は、従来の廃棄物処理法におけるノルマルへキサン抽出法による方法でなく、総石油炭化水素量(TPH)である。 また、油臭の分析は油汚染対策ガイドラインにおいては臭気強度で評価することとなっているが個人差が大きい、悪臭防止法に基づく各自治体ので用いられている臭気指数では、コストや時間が過大に要する。
対策
ガソリンスタンド・廃油処理工場跡地に一戸建て住宅を建築する場合には、個人差の多いシックハウスや、化学物質過敏症等の十分な留意が必要である。 BTEXは比重が水より軽いので、住宅地の地下水上昇対策が不良で地下水位が上昇すると、一旦浄化した土壌地下水汚染が濃縮されて地表近くに浮上し、住民に健康被害を与える事例が報告されている。また、油による土壌汚染があった場合には、土壌環境基準を超過していなくても、土地売主が費用を負担することが、平成14年に東京地裁で結審している。
関連項目
外部リンク