熊谷真菜

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熊谷 真菜くまがい まな、1961年10月14日 - )は、生活文化研究家、たこ焼き研究家(宇宙でただひとりのタコヤキストと自称している)、日本コナモン協会会長、作家、フードマーケティングデザイナー。

兵庫県西宮市生まれ。幼少時から、たこ焼きに興味を持ち、立命館大学産業社会学部での卒業論文執筆のため、庶民の味「たこ焼き」の調査を開始。在学中から現代風俗研究会で事務局を担当。同志社大学大学院修士課程へ進学と同時に結婚(23歳)し、1993年、『たこやき』を出版。おりからの大阪ブームで本書は学会などから高い注目・評価を受けた。現在は生活文化研究家として講演や著述のほかテレビ・ラジオの出演も。日本コナモン協会を設立・運営している。

プロフィール

タコヤキスト自称まで

出身の地元西宮では、たこ焼きといえば明石焼き(あかしやき、地元では玉子焼、卵焼きと呼ぶことが多い)のことであった。子どものころ、大阪の屋台で初めてソース味のたこ焼きを食べて驚愕。大阪のたこ焼きと明石焼きの違いに素朴な疑問を感じ、たこ焼きに興味を持つ。これが後年、日本文化・生活文化の研究テーマとして、食文化としてのたこ焼き研究に挑む契機となった。

高校時代から、京都学派のひとつでもある社団法人現代風俗研究会(1976年9月発足、初代会長・桑原武夫)に所属していた。立命館大学在学中も同研究会の桑原武夫(フランス文学文芸評論家、財団法人平安建都1200年記念協会会長)、多田道太郎(フランス文学、文化現象研究)、鶴見俊輔(大衆文化研究、哲学者、『思想の科学』創刊・編集者)らによる刺激や励ましを受け、たこ焼き研究を志すことになった(熊谷は後年、多田道太郎を恩師と呼んでいる)。

それまで、たこ焼きについての本格的な研究はされていなかったため、文献・資料などはほとんどなく、地道なフィールドワーク・取材をこなし、立命館大学産業社会学部の卒業論文「現代食事文化論-大阪文化としてのたこやきとその象徴的意味論のための一考察」をまとめる。

同志社大学大学院に進学し、同時に結婚。代用食(つまり粉食など)を研究テーマに、たこ焼きを選んで研究を進め、1993年に十年間のフィールドワークをまとめた著書『たこやき』をリブロポートから出版。

この1993年には、東京都渋谷区を中心に『京たこ』騒動(渋谷公園通のたこ焼き屋「京たこ」・「京風たこ焼き亭」などによる、俗に「渋谷たこ焼き戦争」と呼ばれる争い)を震源とする全国的なたこ焼きブームが起きた。また、翌年の関西空港開港で大阪は全国から注目を浴びており、大阪ブームに火がつくころでもあった。時期的な幸運もあって、著書『たこやき』は各界から注目され、評判を呼んだ。さらに、本格的な粉食(粉物、コナモン)文化研究、たこ焼き研究の本として、著書『たこやき』は現代風俗研究会で橋本峰雄賞を受賞。この著作をもって日本における、たこ焼き第一人者となった。

ちなみに、粉食(コナモン)とは、あらゆる食材(小麦など)を粉末(小麦粉、米粉など)にしたものを素材とする料理(たこ焼き、お好み焼きもんじゃ焼きうどんなどの類、すいとん、そばまんじゅう、ビーフン、タコス、パンパスタなど)の総称である。

タコヤキスト熊谷真菜

『たこやき』出版後、全国的なたこ焼きブームとなり、「築地 銀だこ」(株式会社ホットランド)など大手たこ焼きチェーン店(フランチャイズ店)が続々と誕生し、また冷凍たこ焼きなどの販売も盛んとなったため、執筆、講演、シンポジウムのパネリスト依頼などが相次ぎ、各地のたこ焼きやコナモン料理を食べ歩くかたわら、それら依頼をこなした。また1995年には、自ら作詞作曲した『たこやき音頭』など、たこ焼きの曲ばかりを集めた CD アルバム『たこやき』を発表して話題を呼ぶ。また、自らをタコヤキストと称し、ウェブサイトを立ち上げた。

コナモン協会設立以後

熊谷真菜は2002年10月ごろ日本コナモン協会設立を思い立ち、準備を開始。設立動機として、後に、友人から「なぜ大阪にたこ焼き博物館がないのでしょうか」とのメールを受け取ったからだと明かしている。2003年3月7日、コナを挽く・練る・加熱のプロセスを知るための、子ども連れの家族にも楽しめる協会設立記念プレ・イベント「親子でたこ焼き塾~粉を挽くところからはじめよう」(第一回ワークショップ)を大阪市中央区のキリンプラザ大阪で開催。同時に語呂合わせで5月7日を「コナモンの日」とし、日本記念日協会(長野県佐久市)に記念日としての認定を受けた。5月7日には東京都豊島区東池袋の speakeasy (スピーキージー)において記念イベントを催し、この日が協会の発足日となる[1]。9月1日に協会公式サイトを立ち上げ、12月22日に専用掲示板(BBS)「こなもん食堂」を開設[2]した。熊谷は「『偉大なるコナモン』の魅力を“オモシロまじめ”に考える民間道楽団体」と称し、協会を、関西のみならず信州の「お焼き」や大分の「団子汁」など郷土料理にまで手を広げて研究、粉食文化振興の拠点とした。

協会の設立と並行して、2003年9月には『大阪たこ焼33ヵ所めぐり』(2003年度版)を、会社設立間もない西日本出版社(社長・内山正之)から出版。単なるたこ焼き屋の紹介ではなく、たこ焼き屋の立地条件、店の経営者のプロフィールなどを丹念に辿りつつ、たこ焼き文化から、たこ焼きの歴史まで目配りし、また巡礼になぞらえた遊び心のある本にまとめ、熊谷真菜二十年間の取材を集大成したものとなった。発売直後の週は、大阪駅・紀伊国屋書店梅田本店で、単行本全体で11位、実用書部門で1位となるなど、売れ行きは好調であった。

現在、すでにたこ焼きの取材歴は20年をこえるものとなり、協会設立三年後に大阪で世界コナモン博覧会を、そして設立十年後にはコナモンミュージアム設立に向けた活動を宣言している。画家の夫、長男長女との4人暮らし。

著作

著書・編著書・監修書

  • 1993年6月 『たこやき』リブロポート
  • 1996年1月 『たこやきの正しい食べ方』(『ゴマブックス』)、ごま書房、[3]
  • 1998年5月 『たこやき 大阪発おいしい粉物大研究』(『講談社文庫』)、講談社、[4]
    • リブロポート1993年刊の増補
  • 1998年11月 熊谷真菜監修『大阪新発見散歩』(『旅の森』)、昭文社、[5]
  • 2000年9月 熊谷真菜著、シノハラガク絵『たこやきのナゾ』草土文化、[6]
  • 2001年1月 熊谷真菜監修『大阪新発見散歩』(『旅の森』)、昭文社、[7]
  • 2001年4月 熊谷真菜、日本ふりかけ懇話会著『ふりかけ 日本の食と思想』学陽書房、[8]
    • 年表あり
  • 2003年5月 熊谷真菜著、ハリー中西写真『大阪たこ焼33ヵ所めぐり』2003年度版、西日本出版社、[9]

共著

  • 1994年8月 石井晃編著『100%大阪人 決定版!「大阪学」10連発』リバティ書房
  • 1996年 オタフクソース編『TAKOLOGY』オタフクソース、(非売品)
  • 1996年7月 トラベルジャーナル出版事業部編『大阪路線バスの旅』(『TRAJAL Books』)、トラベルジャーナル、[10]
  • 1996年7月 トラベルジャーナル出版事業部編『京都路線バスの旅』(『TRAJAL Books』)、トラベルジャーナル、[11]
  • 2002年2月 月刊『大阪人』2002年3月号、大阪都市協会
    • 「たこやきトーク 初めに、たこやきありき」(寄稿: タコヤキスト・食文化研究家 熊谷真菜)所収
  • 2003年9月 石井晃著『100%大阪人 なんでもアンチになる理由』(『幻冬舎文庫』)、幻冬舎、[12]
    • 第8章「たこやきに捧げる愛」を執筆

現代風俗研究会

(現代風俗記事)

  • 1985年 『現代風俗'85』
    • 『文化としてのたこやき』 熊谷真菜
  • 1990年 『現代風俗'90貧乏』
    • 『食のダウンアップ変貌する「ごちそう観」』 熊谷真菜with橋爪紳也
    • 『代用食の味わい』 熊谷真菜
  • 1991年 『現代遺跡・現代風俗'91』
    • 『現代遺跡の最高峰「太陽の塔」と岡本太郎』 熊谷真菜・山脇文子
    • 『高坂貞男のエキスポ・ウエディング』 鵜飼正樹・熊谷真菜
    • 『まさに花のある人生 コンパニオン藤原恵美子』 熊谷真菜
    • 『ハンパクと鈴木マサホ』 石井素子・熊谷真菜・野口良平
  • 1992年 『現代風俗'92・恋愛空間』
    • 『毎日がハネムーン』 熊谷真菜+松本佳子
    • 『「変わる」ための恋愛 エッチおじさんへの独り言』 熊谷真菜
  • 1995年 『もてへん男 現代風俗'95』
    • 『いつも心にダンディなブ男を』 熊谷真菜
  • 1996年「脳内グルメ 」編著(リブロポート, )現代風俗研究会「現代風俗'96」
    • 『たこ焼きから人絹まで』 熊谷真菜

CD

  • 1995年6月21日 熊谷真菜&たこやきシスターズ『たこやき』NA‐NECアベニユー、NACL-1183
    • 曲目: たこやき音頭、たこやきできた、たこやき天国、たこやきの季節、ぼんさん・たこやき、明石海峡・恋の味、愛しのたこやき、たこやきロックンロール、踊れ!たこやきマン、ごきげんパワーだ!たこやきマン、ボョョン日和、たこやき音頭(レゲエヴァージョン)

外部リンク

公式サイト

アーティクルなど

関連