Bウイルス感染症
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Bウイルス感染症(びーういるすかんせんしょう)とは旧世界ザル由来の人獣共通感染症。感染症法における四類感染症。ヒトおよび新世界ザルにおいて致死的な疾病として知られる。
歴史
1932年に米国のポリオ研究者Brebner, W.がアカゲザルに咬まれ、急性進行性髄膜脳炎で死亡したものが最初の報告とされている。Bウイルスという名はこの患者の名前に由来する。
原因
ヘルペスウイルス科アルファヘルペスウイルス亜科に属するBウイルスの感染を原因とする。Bウイルスの正式名称はcercpithecine herpesvirus 1であるが、herpes simiae virus(サルヘルペスウイルス)、cercopithecine herpesvirus 1(オナガザルヘルペスウイルス)とも呼ばれる。
疫学
主に米国における発症例が確認されており、世界中で40例程度が報告されている。Bウイルスは東南アジアに常在する。日本にも存在するが、ヒトでの感染は確認されていない。自然宿主はマカク属サルであり、単純疱疹様の症状を呈するが、死亡例はきわめてまれである。サル間では主な伝播経路は接触感染あるいは母子間の産道を介した垂直感染である。ヒトへの伝播はサルによる咬傷が主な感染源であり、実験室でサルの組織材料などを扱う際に傷を通して感染することもある。ヒト-ヒト間の伝播は起こらないとされている。
症状
早期症状として接触部の激痛、掻痒感、外傷部周囲の水疱や潰瘍、リンパ節腫大、中期症状として発熱、接触部の感覚異常などであり、晩期症状として頭痛、悪心、嘔吐、意識障害、脳炎を示す。致死率は50%程度とされる。前述のとおりサルでの死亡例はまれであるが、実験的に脳内接種すると、脳炎、脊髄炎を起こして死亡することが報告されている。
診断
治療
予防
ワクチンは実用化されていない。サルを取り扱う者は飼育管理、防御衣類、消毒処置などに関するガイドラインを遵守する。 ウイルスは4 ℃では安定であるが、40 ℃を越す条件では失活しやすく、また有機溶剤で容易に感染性を喪失する。
関連項目
参考文献
- 高島郁夫、熊谷進編 『獣医公衆衛生学第3版』 文永堂出版 2004年 ISBN 4830031980
- 大里外誉郎編著 『医科ウイルス学改訂第2版』 南江堂 2000年 ISBN 4524214488