リハビリテーション

最適な生活水準の達成を可能とすることによって、各人が自らの人生を変革していくことを目指す過程

これはこのページの過去の版です。210.151.106.74 (会話) による 2008年10月27日 (月) 08:10個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

リハビリテーション(rehabilitation、リハ)とは、障害を持った人が生活していく手段を得るためのアプローチの総体を指す。アプローチの手段のひとつでしかない「治療体操や運動療法」自体が「リハビリテーション」と同義で呼ばれることがあるが、前述のように的確な意味とはしがたい。現代的なリハビリテーションの意義・目的・行為は第二次大戦中に激増した傷病兵に残る身体障害が社会問題化したことからアメリカで始まったとされる。

概要

リハビリテーションの語源はラテン語で「本来あるべき状態への回復。権利の回復、復権。教会からの破門の取り消し。」等の意味合いがある。強いて類義語を挙げれば「ルネサンス(再生)」が最も近い用語である。

戦傷者を対象として発祥した分野であるが、先進国ではむしろ脳卒中など神経疾患の後遺症、老年痴呆への対策としてリハビリテーションの重要性が増してきている。一方、政情不安定地域ではいまだに地雷被害の後遺症などへのリハビリテーションの必要性がなくならないままである。

医学的リハビリテーションと社会的リハビリテーション

リハビリテーションの対象たる障害は、医学的因子による障害(インペアメント)とインペアメントに伴って社会的に生ずる障害(ディスアビリティ)とに大別され、リハビリテーションは、それぞれに対応する方策として「医学的リハビリテーション」と「社会的リハビリテーション」とに大別されるが、社会的に生ずる障害でありながら、社会的リハビリテーションの実施が困難な場合には、医学的リハビリテーションが実施されるなど、広義のリハビリテーションの目的を得るためには、重畳的なアプローチが要請される。

社会的リハビリテーションにおいては、現代日本では「全人間的復権」という概念である。医学的リハビリテーションにおいては、本来「障害の克服」という概念であったが、WHOによる国際障害分類IDH)が国際生活機能分類ICF)へと改訂されてから、「生活機能の改善・向上」という概念へと変化した。

障害の分類と対策

障害を以下の3つレベルに分け、それぞれについて対策を講じていく。

WHOによる障害モデル(旧)

  • Disability(能力障害)
    • Impairment(機能障害)の結果として失われている能力。具体例として、歩行障害、コミュニケーション障害などのADL(日常生活動作群日常生活諸動作)低下障害をいう。
    • 理学療法、作業療法、言語療法では残された能力を用いてADLを遂行する介入を行うほか、装具・用具を用いて動作の自立を目指すアプローチも用いる。下肢麻痺の患者が車椅子を用いることで移動能力を補うなどがその一例である。
  • Handicap(社会的不利)
    • 社会との関係で被っている損害。また、生活を維持する上で考慮されるべき社会的背景。就業困難、要介護、経済的困難、家屋・施設の使用困難などをいう。
    • 社会福祉サービスの施設利用や現物支給など、行政との連携が重要になる。日本では社会の高齢化が進むことにより、従来家族間、地域間の互助共助により支えられてきた介護ニーズを社会的に保障することが必要であるとの認識に立ち、介護保険制度が始まった。

WHOによる障害モデル (新)

WHOが提唱したICF「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版」によると障害は以下のように分類される。

  • 機能障害 impairments
    • 臓器レベルの障害である。心身機能や身体構造の障害で、治療により改善を目指す。 頚髄損傷や四肢麻痺などである。
  • 活動制限 activities
    • 個体レベルでの障害である。個体が活動する際に生じる障害で、福祉用具を使用しての動作の獲得を目指す。歩行障害などである。
  • 参加制約 participation
    • 社会レベルの障害である。社会的活動に参加しようとする際に生じる障害で、改善には社会環境の整備が必要である。就職困難などである。

関連項目

外部リンク