マックス・シェーラー

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マックス・シェーラーMax Scheler, 1874年8月22日 - 1928年5月19日)はユダヤ系のドイツ哲学者である。ルドルフ・オイケンの門下生。哲学的人間学の提唱者。初期現象学派の一人[1]

マックス・シェーラー

生涯

妻メーリットは、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーの妹。

思想

晩年、カイゼルリンク伯の英知の学校で、「宇宙における人間の位置」と題する講演をし、そこで哲学的人間学という哲学的研究の新分野として提案した。彼によれば、現代はわたしたちが人間と は何かということを全く知らず、かつ、そのことを熟知している時代であるとされ、哲学的人間学は、人間が自身に抱く自意識の歴史について、現代その自意識が突然に増大し続けている事態を解釈するための学問とされる。この問題について、彼はその著著『人間と歴史』および『包括的人間学からの断章』において、人間の自己像の解釈を、「宗教的人間学」、「ホモ・サピエンス」、「ホモ・ファーベル」、「生の哲学における人間学」、「要請としての無神論における人間学」の五つに類型化し、それぞれに対して同等の現代的アクチュアリティを要求することによって答えようとした。

ここから、人間学研究のブームドイツ語圏で始まった。人間学ないし哲学的人間学は、ドイツ系の民俗学ないしアングロサクソン系の文化人類学とは別の観点のものである。特に、これが受容されたのは教育学で、教育人間学という名称で、日本においても浸透を見せた。

シェーラーは形式倫理学ではなく、現象学的な実質的価値倫理学を説いた。反心理学的で超越論的である点で新カント派の価値哲学と共通するが、価値とは本質的に倫理学に属し、かつ、ただ妥当するものではなく、存在し、現に在るものだとする。これはニコライ・ハルトマンに影響を与えた。

脚注

  1. ^ フッサールの弟子・ハイデガーの兄弟子に当たる。ハイデガーと同じくフッサールから離反するが、ハイデガーとの間に交流があったようである(1829年5月19日のハイデガーによるシェーラー追悼講義など))である。

外部リンク