ダミーサークル

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ダミーサークルとは、同人誌即売会用語で、実質的な活動実体が無いのにサークル参加(出展)を行うサークルのこと[1]。かつてはダミーダミー申し込みとも呼ばれた[2]。正規のサークルのように偽装するためを含め、簡単なコピー誌ペーパー便箋等を作成・陳列するサークルもあるが、これらは偽装のためでないものも含めて1980年代前半には同一視されていた[1]。ただし当日新刊が間に合わない等さまざまな事情によりこうした頒布・配布形態をとることもあり、頒布・配布形態のみではダミーとそうでないものとの判別はできない[3][2]。またスペースが無人だった場合は単なる遅刻・欠席の可能性もある。

目的

ダミーサークルは主に、以下のような目的で作られる。

販売スペースの確保

同会場に2つ以上のスペースを確保する目的[1][2]
一般に、あるジャンルの同人誌は当該ジャンルが集中する場所で多く売れるため、複数ジャンルの同人誌を発行するサークルが売り上げを伸ばすために各ジャンルでそれぞれ申し込みを行ったりする[2]。また、複数日の日程のイベントにおいて、各日にそれぞれ申し込みを行うケースもある[2]。但し、複数のサークルが互いの同人誌の頒布委託を行ったり、時間帯や開催日が異なる場合には作業者の相互支援を行っている場合日常的にあり、同じ同人誌が複数スペースで頒布されているだけではダミーサークルと断定することはできない[2]
抽選倍率の高い即売会でのスペース確保をより確実にする目的[2]
コミックマーケットをはじめとする複数の即売会では1サークル・1代表者に付き1スペースしか応募できないことになっており、複数スペースの申し込みはルール違反とされる[2]
1スペースでは販売しきれない場合や混雑による混乱が予想されたり、サークル側が希望し2スペース分の費用をあらかじめ負担している場合、企画用にサークルが別途申請する場合等には主催者が1サークルによる複数スペース確保を容認するケースもあり[2]これがダミーサークル行為が許されていると誤解を招いているとの指摘もある。[要出典][誰によって?]
コミックマーケットでは、事務処理の都合で同一サークルでの複数スペース登録はできないが[2]、友人・サークルメンバー等の名義でもう一つのサークルを登録し、「合体申込」の手続きを取ることで同時に申し込んだ2つのサークルを隣接させることダミーサークルを使って申し込んだ場合と同じ実質的な1サークルで2サークルのスペースが確保できるようになる[2]

サークル入場証の確保・販売

サークル入場証を確保し、開場前に入場する目的[1]
サークル参加者は、販売準備を行うために即売会の開場前に入場する必要がある。このため即売会主催者は、サークル参加者であることを証明するサークル入場証サークルチケット)を交付している。入場証があれば開場前に入場できるため、一般参加者よりも有利に同人誌を購入するためにダミーサークルが結成される[4]
なお、サークル入場証は1サークルにつき複数枚交付されるのが通例であり、余剰となった入場証が転売に回されることもある[要出典](これはダミーサークルに限らず、活動実態のある通常のサークルにおいても行う者がいる)。
サークル入場証自体を販売する目的。[要出典]
前述の通り、サークル入場証を所持すると同人誌の購入に有利であるため、入場証が購入できるならば買いたい、という者は多い。このため、換金目的でダミーサークルが結成される場合がある。この目的での結成は、インターネットオークションが盛んになった2000年以後に顕著である。[要出典]
特に同人誌即売会の代名詞といえるコミックマーケットのサークル入場証はオークションに数多く出品される人気商品となっており高値で取引されることもある[2]。またダフ屋に渡るケースもあった[2]
なお、コミックマーケット準備会ではダミーサークルによるもの、いかなる理由・目的であれ入場証の販売行為を一切禁止してはいるが、単純な所持や本来の目的に則した使用は法的に問題ないものであるため、どの開催業者も出品を禁止せず黙認されたままでいるのが現状となっている。準備会でも精々インターネットオークションで入場証を出品しているアカウントを公表する程度で、有効な手を打てない状況が続いている。[要出典]

荷物置き場の確保

大量購入者やコスプレイヤーが、荷物置き場を確保する目的[1]
共同購入や転売目的で大量の同人誌を購入する場合、一時的な荷物置き場として利用される。ただし荷物置き場としてだけが目的であることはまれであり、前述の事前入場が主たる目的である場合が多い。[要出典]また、即売会でコスプレを行うコスプレイヤーは着替えのために荷物が多くなるが、ほとんどの即売会では荷物置き場まで提供しない(スペースが限られ、荷物置き場まで提供できる余裕がない)ため、ダミーサークルが利用されることがある。[要出典]

問題点

ダミーサークルが当選することで、ダミーでないサークル参加者がスペース抽選から漏れることもあり[1]特にサークル参加者からの反感が強い。また、一般参加者にとっても、ルールを守って長時間列に並んだにもかかわらず、ダミーサークルのようなルールを破った側が得をしてしまうという不公平が拭えない。この状況を見た一部の参加者が、同様にダミーサークル行為を行うようになるという悪循環も生まれている。[要出典]

同様の問題はワンフェス等の立体物版権物のイベントでも過去にあったが、開場直前にディーラー(サークル)の人員点呼や出展物の当日審査を行い、違反していたディーラーに対し、次回イベントでの当日版権申請の停止やイベントへの永久参加禁止などのような「制裁」ともいえる対策をとっている。しかし、こちらも近年は、転売目的の参加者がディーラー用入場許可書の偽造や、障害者のふりをしての優先的な入場、ホームレスを動員し前日から並ばせるなど手口が巧妙化しており、いたちごっこと化している。[要出典]

「ダミーサークル」という名称で活動したサークル

  • 1980年代後半、「ダミーサークル」という名称で活動している同人サークルが実在した[4]。敢えて「ダミーサークル」というサークル名を用い、また机の上に本を並べておらず「本なんて出るわけないじゃん」と張り紙が貼ってあるだけなど一見しただけではダミーサークルのように見えるが、その「お遊び」が分かっている人は暗号(「『本なんて出るわけないじゃん』を下さい」)を伝えると奥から本(タイトルが『本なんて出るわけないじゃん』)が出てきて買えた[4]。これは一例で、その他様々な「お遊び」があった。ダミーサークルのイメージを逆手に取ってネタにしたものである[4]。このサークルには主宰のあさりよしとおをはじめ著名な執筆者が多数参加しており、その同人誌は非常に質が高かったと言われている[4]

脚注

  1. ^ a b c d e f 『コミケット20's[コミックマーケット20周年記念資料集]』 コミックマーケット準備会、1996年3月、私家版(赤表紙)、P189、P220。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 阿島俊『同人誌ハンドブック』、久保書店、1994年1月、P133,167,173,178,179,180,186,187。
  3. ^ 永山薫・昼間たかし『マンガ論争勃発 2007-2008』、マイクロマガジン社、2007年12月、PP68-69
  4. ^ a b c d e 寺西社主「たのしひ暗躍inコミケット その弐、黎明編」・「たのしひ暗躍inコミケット その参、現代編」『別冊宝島358 私をコミケにつれてって!』pp.135-136、1998年。ISBN 4-7966-9358-0