白昼の悪魔
アガサ・クリスティの小説
『白昼の悪魔』(はくちゅうのあくま、原題:Evil under the Sun)は、イギリスの小説家アガサ・クリスティによって1941年に発表された長編推理小説である。初訳は堀田善衛訳『白晝の悪魔』が早川書房の傑作探偵小説シリーズから刊行。同訳は現行の表記でハヤカワ・ポケット・ミステリにも収録された。その後講談社がクリスチー探偵小説集の一点に『太陽は見ていた』の題名で予定したものの、早川書房が翻訳権を持っていたため中止となった。1976年の鳴海四郎による新訳はハヤカワ・ノヴェルズ、ハヤカワミステリ文庫を経てクリスティー文庫に至る。
あらすじ
イギリスのスマグラーズ島にある「ジョリー・ロジャーホテル」に休暇でやってきたポアロは、元女優のアリーナ・マーシャルを見かける。彼女の周りには、穏やかならぬ雰囲気が漂っていた。ポアロは、彼女がホテルの客の一人と不倫しているのを見つける。そして、ある快晴の日に、彼女が死体で見つかった。だが、関係者には、完璧と思えるアリバイがあった。
登場人物
- エルキュール・ポアロ - 私立探偵。
- オーデル・C・ガードナー - ホテルの宿泊客。アメリカ人。
- ガードナー夫人 - ホテルの宿泊客。おしゃべりなオーデルの妻。
- バリー少佐 - ホテルの宿泊客。
- スチーブン・レーン - ホテルの宿泊客。元牧師。
- エミリー・ブルースター - ホテルの宿泊客。スポーツウーマン。アリーナに損害を負わされた過去が。
- ロザモンド・ダーンリー - ホテルの宿泊客。ドレスメーカー。ケネスに気がある。
- ケネス・マーシャル - ホテルの宿泊客。実業家。
- アリーナ・マーシャル - ホテルの宿泊客。美貌の元女優。事件の被害者。
- リンダ・マーシャル - ホテルの宿泊客。マーシャル夫妻の娘。継母であるアリーナを疎ましく思う。
- パトリック・レッドファン - ホテルの宿泊客。アリーナと不倫関係にある。
- クリスチン・レッドファン - ホテルの宿泊客。元教師。夫の不倫に気付き、アリーナを恨む。
- ホレス・ブラット - ホテルの宿泊客。ヨットが趣味。
- ミセス・カースル - ホテルの女主人
- コルゲート - 州警察警部
- ウェストン警視正 - 州警察本部長
作品の評価
メディア
映画
1982年公開。邦題は『地中海殺人事件』。『ナイル殺人事件』に続き、ピーター・ユスチノフがポアロを演じた。舞台はアドリア海の隔絶したリゾート地に変更された。(撮影はスペインのマジョルカ島で行われた)
- 監督 : ガイ・ハミルトン
- 脚本 : アンソニー・シェーファー/バリー・サンドラー
- キャスト
- ピーター・ユスティノフ(エルキュール・ポアロ)
- ダイアナ・リグ(アリーナ・マーシャル)
- ジェームズ・メイソン(オーデル・ガードナー)
- マギー・スミス(ダフネ・カースル)
- ニコラス・クレイ(パトリック・レッドファン)
- ジェーン・バーキン(クリスチン・レッドファン)
- ロディ・マクドウォール(レックス・ブルースター)- 原作では女性だが映画では男性の設定になっている。
テレビドラマ
2001年、デビッド・スーシェ主演のドラマ「名探偵ポワロ」にて映像化されている。ガードナー夫妻が登場しない、マーシャル夫妻の娘リンダが「息子、ライオネル」になっている、ヘイスティングズ、ミス・レモン、ジャップ警部らが重要な役回りを演じる、など原作との相違が見られる。
ゲーム
2007年、The Adventure CompanyによりPC向けアドベンチャーゲームとしてリリースされた。ポアロを声優のケヴィン・ディレーニーが演じた。