ホクリクサンショウウオ

これはこのページの過去の版です。ShellSquid (会話 | 投稿記録) による 2012年10月15日 (月) 12:31個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎生態)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ホクリクサンショウウオHynobius takedai)は、両生綱有尾目サンショウウオ科サンショウウオ属に分類される有尾類。

ホクリクサンショウウオ
保全状況評価[a 1]
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 両生綱 Amphibia
: 有尾目 Urodela
上科 : サンショウウオ上科
Cryptobranchoidea
: サンショウウオ科 Hynobiidae
: サンショウウオ属 Hynobius
: ホクリクサンショウウオ H. takedai
学名
Hynobius takedai
Matsui & Miyazaki, 1984
和名
ホクリクサンショウウオ
英名
Hokuriku salamander

分布

日本石川県能登半島富山県[1][2][3]固有種[a 2]

模式標本の産地(模式産地)は羽咋市(石川県)[2]

形態

オス10.8センチメートル、メス10.1センチメートル[1][a 2]。体側面に入る皺(肋条)は左右に12本ずつ[1][a 2]。尾は側偏するが鰭状にはならない[a 2]

上顎中央部に並ぶ歯の列(鋤骨歯列)はやや切れこみの浅いアルファベットの「U」や「V」字状[1][a 2]。四肢はやや短く[1]、胴体に沿って前肢(および指)を後方へ後肢(および趾)を前方に伸ばしても接することは無い[a 2]。趾は5本[a 2]

卵嚢の表面に入る皺が不明瞭[1][a 2]。オスは背面の色彩が暗褐色[1][a 2]。メスは背面の色彩が黄褐色で不明瞭な斑紋が入る[1][a 2]

アベサンショウウオトウホクサンショウウオと類似した外見を持ち、両者の中間的な存在とされる[4]。外見からこれらと区別して特定することは困難である[3]。過去にはこれらと混同されたこともある[3]。成体での特定は難しいが、卵嚢に入った条の模様によって特定することができる[4]。トウホクサンショウウオ、アベサンショウウオの卵嚢にはある横条がホクリクサンショウウオのそれには存在しない[4]

生態

夜行性で、日中は落ち葉や木の下に隠れている[3]。標高250m以下の低い山の裾や丘陵に生息する[3]。湧き水や水溜り、雑木林などで繁殖し、そこからあまり移動しない[3]

食性は動物食で、節足動物、陸棲の巻貝環形動物などを食べる[a 2]。幼生は節足動物、環形動物などを食べ、餌が少ない場合は共食いも行う[a 2][3]

繁殖形態は卵生。堆積物が多い水中で産卵する[3]。1-4月に林縁周辺の池や側溝にある落ち葉や木の枝など[3]に26-148個の卵を1対の卵嚢に包んで産む[1][a 2]。卵は3月に孵化する[1][a 2]。幼生は7月以降に変態し幼体になるが、幼生のまま越冬し翌年の春季に変態する個体もいる[1][a 2]。生後3年で性成熟する[1]

人間との関係

開発や渇水による生息地の破壊、水質汚染などにより生息数は激減している[1]。ペット用の乱獲、人為的に移入されたアメリカザリガニによる幼生の捕食などによる生息数の減少も懸念されている[a 2]

絶滅危惧IB類 (EN)環境省レッドリスト[1][a 2]

参考文献

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 小原秀雄、浦本昌紀、太田英利、松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』、講談社2000年、231頁。
  2. ^ a b 千石正一監修 長坂拓也編著 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、291頁。
  3. ^ a b c d e f g h i 原色爬虫類・両生類検索図鑑(北隆館ISBN 978-4-8326-0756-9
  4. ^ a b c 決定版 日本の両生爬虫類(平凡社ISBN 4-582-54232-8

関連項目

外部リンク

  1. ^ The IUCN Red List of Threatened Species
    • Yoshio Kaneko, Masafumi Matsui 2004. Hynobius takedai. In: IUCN 2012. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2012.1.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 環境省 自然環境局 生物多様性センター