前世療法

これはこのページの過去の版です。180.47.247.176 (会話) による 2013年11月21日 (木) 08:29個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎外部リンク)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

前世療法(ぜんせいりょうほう : Past Life Therapy )とは、催眠療法の一種であり、退行催眠により患者の記憶を本人の出産以前まで誘導(= 過去生退行[1])し、心的外傷等を取り除くと主張されている。

前世の記憶は虚偽記憶の一種であるという批判があり、かつて催眠によりありもしない記憶が作られた例が多くあった。そのため、前世療法を利用する人は注意が必要であるともされている[2]。しかし、中には本人の知るはずの無い史実と一致する正確な記憶を話す事例も存在する。

事例

ブライアン・L・ワイス
アメリカ合衆国精神科医であるブライアン・L・ワイス博士によって催眠療法中に偶然発見(当時彼が知らなかっただけだが、多数の前例があったことに後に気づく)され、1986年に出版された"Life Between Life"[3]という本で世に知られるようになった。退行催眠療法により出産以前に遡った記憶(日本語では前世記憶という。以下この記事で記述。)を思い出すことにより現在抱えている病気が治ったりと治療に役立つともされ、多くのケースで施行された。

上記ブライアン・L・ワイスの前世療法関連の記述に限らず、前世記憶に関する複数の報告や活動が存在している。

Carol Bowman
Children's past lives (Carol Bowman著)では、5歳の白人の子供がその前世は黒人の兵士であったという記憶を持っている、という記述などもある。また、その家族もサイコロジストとの関わりによってそれぞれの記憶をたどる。著者の話では、その記憶と空想とは明らかに違うという。子供が語る戦争などの記憶はかなり詳しい。当時の大砲、武器の特徴までよく現している。注意したいのは、これらの記憶をたどることは、(歴史的な事実との検証にも貢献するという付随的なメリットがあるかもしれないが)(本来の目的としてはあくまで)精神的な心的外傷などを治療するために行われていることである。また前世の記憶が、現在の生で、身体的特徴として現れるという説がこの本の中で出てくる。
Dreen Virtue
上記に似たような見解を示しているのが、Dreen Virtue 博士である。彼女はサイコロジストで前世の専門的な研究家ではないが、セラピストとして接した実例から、過去の事故や戦争の際に受けた傷などが現在の体に産まれたときから備わっていることがあるという。また、精神療法で(この場合は思い出してすっきりすることのようだが)傷が消えていく場合もあるという[要出典]。いずれも実例からの研究結果によるものであり、治療の手段として知られている。
モンロー研究所
超心理学ロバート・モンローが開設したモンロー研究所ではによるヘミシンクによって、その領域の記憶の開発、あるいは体外離脱などの様々な領域を開拓している。『光の剣』の著者、クリスチアン・タル シャラー博士も在籍していたことがある。


なお、上記に挙げた以外に、飯田史彦著の『生きがいの創造』(PHP研究所)に、実際にあったとされる多くの事例が紹介されている。

  • 被験者の発言内容が歴史的事象と一致していた。
  • 「前世の記憶」を語った子供たちの事例を集め、その真偽を詳しく調査した結果、証言内容の人物が実在し、証言通りの死に方をしていた。

など。

記憶のゆがみ

ブライアン・ワイスは彼の著書、『前世療法―米国精神科医が挑んだ、時を越えたいやし〈2〉』 において、以下のように述べている。

精神科の医者として、本能的に患者の過去世の記憶の内容と従来方式の夢分析を比較したところ、偽の記憶やファンタジー、比喩と、実際の過去世の記憶との区別を見つけ出すことができた。過去世退行時に体験する比喩とゆがみのまじり合った映像は、夢の場合とほとんど同じである結果に至った。

過去世退行により体験するイメージと、夢で体験するイメージとを比較した場合、夢の内容の70パーセントは何らかのシンボルや比喩で、15パーセントが実際の記憶、あとの15パーセントがゆがめられたものか、間違ったもの。しかし、過去世の記憶では、その割合が逆になり、おそらく80パーセントは実際の記憶、10パーセントがシンボルや比喩、残りの10パーセントがゆがみや偽り。

ゆがみについては、例えば、ある人を子供時代まで退行させて、幼稚園のことを思い出すよう指示すれば、当時の先生の名前や自分の服装や壁に貼ってあった地図、友達のこと、教室のみどり色の壁紙などを思い出すかもしれない。そして、そのあとでいろいろ調べてみると、幼稚園の壁紙は本当は黄色だったこと、緑色の壁紙は小学校一年生の時のことだとわかった。しかし、だからといって、その記憶は間違ったソースから来ている記憶とは言えない。

同じように、過去世の記憶は一種の歴史小説といった性格をもっており、お話はファンタジーや創作、ゆがみ等が一杯あるかもしれないが、その核心はしっかりした正確な記憶であり、それらの記憶はみんな役に立つもの。なぜかというと、真実はその中にあるからであり、これと同じ現象は夢の中でも、今生での過去への退行の場合にも起こることである。という見解を示している。[4]

脚注

  1. ^ : Past Life Regression
  2. ^ 批判に関しては下記の石川勇一の資料が参照可
  3. ^ 1988年の日本語訳『前世療法』、1989年 片桐すみ子訳『輪廻転生』人文書院
  4. ^ 「前世療法2」邦訳、山川絋矢、亜希子、PHP出版の69ページを参照

参考文献

  • 『光の剣―遙かなる過去世への旅』クリスチアン・タル シャラー, ハート出版, 2004年, ISBN 978-4892955020
  • 『前世療法―米国精神科医が体験した輪廻転生の神秘』ブライアン・L. ワイス, PHP研究所, 1996年, ISBN 978-4569569321
  • 『前世療法―米国精神科医が挑んだ、時を越えたいやし〈2〉』ブライアン・L. ワイス, PHP研究所, 1997年, ISBN 978-4569570013
  • 『魂の伴侶―ソウルメイト 傷ついた人生をいやす生まれ変わりの旅』ブライアン・L. ワイス, PHP研究所, 1999年 ISBN 978-4569573090
  • Children's Past Lives: How Past Life Memories Affect Your Child, Carol Bowman, Bantam, 1998年, ISBN 978-0553574852
  • 『「魂」の未完のドラマ』ロジャー・J・ウルガー, 中央アート出版社, 2006年 ISBN 4-8136-0371-8

関連項目

外部リンク