薄れゆく記憶のなかで

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薄れゆく記憶のなかで』は1992年公開の日本映画・青春映画である。 菊池麻衣子主演。篠田和幸監督。

70年代の地方高校を舞台に、物理学を志望する女子高校生と、 将来への目標を見出せないでいる男子高校生の出会いと別れを描く。 ストーリーは、10年前の初恋を回顧する青年の独白から始まり、青春の残酷さと その蹉跌、更には主人公の内的世界の描写へと展開していく。

監督の出身地である岐阜の魅力を最大限に生かした映像美に加え、七夕伝説を モチーフとし長良川を天の川と見立てるなど、ローカル色と普遍性を融合した 巧みな構成が魅力となっている。

また商業主義を一切拒否したストイックな製作姿勢を貫いるのも特徴である。 カメラマン等にはプロを配しているものの、監督と全ての出演者が新人となっている。 音楽もすべてこの映画オリジナルである。その結果、テクニック的な不完全さを補って余りある、 熱意とみずみずしさ溢れる作品となり、一部に熱心なファンを獲得するに至った。

あえて欠点をあげると、後半部分の映像が病院を舞台としたため色彩感に欠けること、 大人達の描写がやや類型的であることが挙げられる。

映画公開終了後は、レンタル専用ビデオしかリリースされておらず、その数も少なかった。 そのため鑑賞には、地上波・衛星放送をリアルタイムで視聴するか、その際に ビデオ録画するしか現実的な選択肢がなかった。この現状を憂いたファンによって 1999年12月にDVD化署名運動が起こり、2004年7月に市販向けDVDソフトが販売されることと なった(供給元とDVD化署名運動との直接的な交渉があったかは定かではない)。 なおDVD化署名運動の間には、ビデオを常備したレンタル店のリスト作成が並行して行われ、 視聴希望者への便宜を図っていた。

映像作品以外には、この映画のシナリオが月刊シナリオ誌1992年9月号に掲載されている。 ただし掲載されているシナリオは、ストーリー展開は同じであるものの、細部が映画と 大きく異なっており、いわばシナリオ原案と位置づけるべきものである。

スタッフ
監督・脚本 : 篠田和幸
撮影 : 高間賢治
音楽 : 辻陽
編集 : 太田義則
キャスト
鷲見和彦 : 堀真樹
琴澄香織 : 菊池麻衣子